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平成28年1月20日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成27年(ネ)第10095号追加判決請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成27年(ワ)第13363号)
判決
控訴人株式会社イー・ピー・ルーム
被控訴人国
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
別紙控訴状写しの「控訴の趣旨」記載のとおりである。
第2事案の概要
1訴訟の概要
⑴控訴人は,原判決別紙訴状写し(以下「本件訴状」という。)記載のとおり,
東京地方裁判所平成26年(ワ)第17872号損害賠償請求事件(以下「前訴」
という。)に係る判決(本件訴状の別紙1)が,控訴人の前訴における請求(本件訴
状の別紙2参照)に対する裁判を全部脱漏したとして,新たな訴訟(本件訴え)を
提起することにより,前訴における200万円及びこれに対する遅延損害金の請求
につき追加判決を求めたものと解される。
⑵原判決は,本件訴えは不適法であり,かつ,その不備は,性質上これを補正
することができないとして,本件訴えを却下した。
控訴人は,原判決を不服として,控訴を提起した。
2控訴人の主張
控訴人の原審における主張は,本件訴状記載のとおりであり,当審における主張
は,別紙控訴状写しの「控訴の理由」記載のとおりである。
第3当裁判所の判断
当裁判所も,本件訴えは不適法であり,かつ,その不備は,性質上これを補正す
ることができないものであると判断する。その理由は,以下のとおりである。
1裁判所が請求の一部について裁判を脱漏したときは,訴訟は,その請求の部
分については,なおその裁判所,すなわち,当該請求に係る訴訟が係属する裁判所
に係属している(民訴法258条1項)。裁判所に係属する事件については,当事者
は,更に訴えを提起することができないのであるから(民訴法142条),裁判の脱
漏を主張する者は,新たな訴えの提起をもって追加判決を求めることは許されず,
当該裁判がなおその受訴裁判所に係属していることを前提として,同受訴裁判所に
対して追加判決の申立てをすべきである。
本件訴えは,前記第2の1⑴のとおり,判決が前訴において控訴人が求めた請求
に対する裁判を全部脱漏したとして,新たな訴えの提起により,追加判決を求める
ものにほかならず,許されないものといわざるを得ない。
2控訴人の主張について
⑴控訴人は,裁判の脱漏は,裁判所の過失であるから,脱漏した部分がなお裁
判所に係属しているかどうかの裁判と過失の裁判をすることは民事訴訟であるとし
て,受訴裁判所に追加判決の申立てをすべきであるとした原判決の判断には誤りが
あり,取り消すべきである旨主張しているものと解されるが,独自の見解であり,
採用できない。
⑵控訴人は,法律により判決に関与することができない裁判官が関与した判決
を援用した前訴の判決は取り消されるべきである旨主張するものと解されるが,前
訴の判決の取消しは,同判決に対する上訴手続においてされるべきものであるから,
本件の原判決に対する不服申立ての理由とはなり得ず,主張自体失当である。
⑶別紙控訴状写しの「控訴の趣旨」2項の請求は,その趣旨が必ずしも明瞭で
はないものの,本件訴えに加えて,前訴の「判決」が「脱漏した200万円給付請
求の原因」が,「国の公権力の行使に当たる特許庁審判官審判長松本悟」による「職
権濫用罪(刑法193条)である」ことの確認を求める趣旨であるとすれば,本件
訴えを却下した原判決に対する控訴審において,新たに請求を追加する訴えの変更
は,追加に係る請求について被控訴人の審級の利益を奪うことになり,許されない
というべきであるから,不適法である。
また,前記「控訴の趣旨」2項の請求を,前訴の判決に対する追加判決を求める
趣旨と解しても,前記1のとおり,不適法である。
⑷控訴人は,その他るる主張するが,いずれも上記認定,判断を左右するもの
ではない。
3結論
以上によれば,本件訴えを却下した原判決は相当であるから,本件控訴を棄却す
ることとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官髙部眞規子
裁判官田中芳樹
裁判官鈴木わかな

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