弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人重松蕃、同新井章の上告理由について。
 上告人らの本訴請求は、要するに、長野県教育委員会教育長の原判示通達が、同
県立高等学校教員である上告人らに対し、その職務、勤務、研修その他につき、同
通達所定の勤務評定書の様式第二表乙に自己観察の結果を表示すべきことを命じて
いるのは、憲法および教育基本法に違反するものであるから、上告人らにおいて右
自己観察の結果を表示する義務を負わないことの確認を求める、というにある。そ
して、上告人らは、もし同人らが本件通達の定める義務の履行を強制されるとすれ
ば、憲法によつて保障された思想、良心、表現の自由等を害されることとなり、さ
りとて、その義務を履行しなければ、懲戒その他の不利益処分を受けるおそれがあ
るので、本訴によつてこの法律上の地位の不安定を除去する必要がある、と主張す
るのである。
 よつて、按ずるに、所論の表示義務なるものは、それ自体その履行を直接強制さ
れるような義務ではなく、その違反が懲戒その他の不利益処分の原因となるにすぎ
ないものであるから、本訴の趣旨とするところを実質的に考察すれば、上告人らの
過去もしくは将来における右義務の不履行に対し懲戒その他の不利益処分が行なわ
れるのを防止するために、その前提である上告人らの義務の不存在をあらかじめ確
定しておくことにあるものと解せられる。
 ところで、具体的・現実的な争訟の解決を目的とする現行訴訟制度のもとにおい
ては、義務違反の結果として将来なんらかの不利益処分を受けるおそれがあるとい
うだけで、その処分の発動を差し止めるため、事前に右義務の存否の確定を求める
ことが当然許されるわけではなく、当該義務の履行によつて侵害を受ける権利の性
質およびその侵害の程度、違反に対する制裁としての不利益処分の確実性およびそ
の内容または性質等に照らし、右処分を受けてからこれに関する訴訟のなかで事後
的に義務の存否を争つたのでは回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等、事
前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情がある場合は格別、そう
でないかぎり、あらかじめ右のような義務の存否の確定を求める法律上の利益を認
めることはできないものと解すべきである。
 本件において原審の確定するところによれば、本件通達は、第二表乙の自己観察
ならびに希望事項欄の記載方法として、自己評価に基づき、たとえば「学校の指導
計画が適確に実施されるようにくふうしているか」、「分掌した校務を積極的に処
理しているか」、「熱意をもつて仕事にうちこんでいるか」というような第二表甲
の観察内容や乙の各項目等を参考にして、つとめて具体的に記入することと定めて
いるにすぎない、というのであつて(通達別冊第二項(二五))、その文言自体、こ
れを最大限に拡大して解釈するのでなければ、記入者の有する世界観、人生観、教
育観等の表明を命じたものと解することはできない。してみれば、本件通達によつ
て記載を求められる事項が、上告人らの主張するような内心的自由等に重大なかか
わりを有するものと認めるべき合理的根拠はなく、上告人らがこれを表示しなかつ
たとしても、ただちに義務違反の責めを問われることが確実であるとは認められず、
その他、上告人らにおいて不利益処分をまつて義務の存否を争つたのでは回復しが
たい重大な損害を被るおそれがある等の特段の事情の存在は、いまだこれを見出す
ことができないのである。
 所論は、行政事件訴訟法三六条の規定をひいて、権利侵害のおそれさえあればそ
の予防のための訴訟を広く認めるべきであると主張するが、前記説示に照らして採
用することができない。
 以上により、上告人らは、将来における不利益処分を防止するために、あらかじ
め本件通達の定める自己観察の結果の表示義務を負わないことの確認を求める法律
上の利益を有しないものというほかなく、本訴はこの点において不適法たるを免れ
ない。したがつて、これと結論を同じくする原判決は、その余の所論の当否につい
て判断するまでもなく相当であつて、その違法をいう論旨は理由がない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一
 裁判官岩田誠は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎

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