弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人宮崎忠義の控訴趣意は別紙記載の通りである。
 控訴趣意第一点について。
 論旨は本件については告訴の取消があつたから原審は本件公訴の提起が起訴条件
を欠くものとして公訴棄却の判決をなすべきであるに拘らず不法に公訴を受理して
実体判決をしたのは違法であると主張する。仍て本件記録を検討して考察するに本
件の被害者A及びその法定代理人(父)Bは夫々独立しそ昭和二十五年二月二十四
日司法警察員に対し告訴をしたものであるとこる(司法警察員作成に係るAの第一
回供述調書及びBの告訴調書参照)、右Bは同年三月九日法定代理人としての告訴
を取消したことは同人の司法警察員に対する第二回供述調書により明かであるけれ
ども、同調書に徴するも右BがA自身のなした告訴をもAの代理人として取消した
ものとは未だ認められない。尤も同供述調書中所論の如く「娘とも相談の上で先方
のことわりを容れ云々」の供述記載が存するけれども、原審第六回公判調書中の証
人B、同Aの各供述記載に徴すれば右Bは右告訴の取下につき娘Aと全然相談して
いない事実を認めることができ、その他記録上窺える諸般の情況より判断するも原
判決説示の如くAが父Bに対し自己のなした告訴の取消方を依頼しBがAの代理人
として同女のなした告訴の取消をしたものとは到底認められな<要旨>い。尚論旨は
BはAの法定代理人であるから同女の特別の委任を要せずして同女の告訴取消の行
為をなすことができると主張するけれども、刑事訴訟法第二百四十条(代理
人により告訴の取消ができる旨の規定)、に所謂代理人は告訴権者の授権を必要と
するものと解すベきであり法定代理人といえども本人の委任がない限り法定代理人
として本人のなした告訴を取消すことはできないものと謂わなければならない。然
らざれば被害者本人に告訴権を認めた趣旨を没却することとなるであろう。これを
要するに原判決が判断する如くBがAの代理人としてAのなした告訴を取消した事
実は認められないから本件公訴の提起は適法であり従て原判決に所論の如き違法は
存せず、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 論旨は原判決が本件を強姦罪と認定したのは事実誤認であると謂うのである。し
かし原判決の掲げる各証拠を綜合して判断すれば原判決認定の事実即ち被告人がA
に対し虚言を弄して同女を原判示場所(畠の中)に連込み原判示の如き言辞で同女
を脅迫し且つ暴力を用いて同女を強姦した事実を充分肯認することができ原審が取
調べた各証拠を仔細に検討し論旨の援用する本件犯行場所の状況、犯行後の現場の
模様、被害者の衣服身体殊に局部の損傷程度、犯行直前における被告人と被害者と
の問答及び被害者の行動、犯行直後における被害者の動作、被害者の心理状態等を
逐一考慮に容れても原審や認定が誤であるとは認められない。
 即ち被害者Aは本件受難に際し極力抵抗を試みた形迹は本件証拠上稍認め難いけ
れども右Aは当時未だ満十五歳の少女(新制中学三年生)であり夜半原判示の如き
場所において突然被告人より原判示の如き行動に出られ且つCが被告人の犯行に協
力していたため恐怖と羞恥の余り必死の抵抗を試みることができなかつたことは充
分察せられるところであり、本件各証拠に徴するもAが承諾の上被告人と情交関係
を結んだものとは到底見られない。論旨は仮に被害者が情交を承諾していなかつた
としても被告人は被害者が承諾したものと誤信していたと主張する。しかし原判決
挙示の証拠に徴すれば被告人に本件強姦の犯意があつたことは明かであり、原審が
取調べた各証拠を検討しても被告人はAが情交を承諾したものと信じて姦淫行為に
及び強姦の犯意がなかつたものとは認められない。従つて原判決には所論の如き事
実の誤認はなく論旨は採用できない。
 仍て本件控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条により主文の通り判決
する。
 (裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)

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