弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人石川泰三、同荒井鐘司の上告理由第一点について。
 商法二六六条ノ三第一項前段の規定は、株式会社の取締役が、悪意または重大な
過失により会社に対する義務に違反し、これによつて第三者に損害を被らせたとき
は、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、
会社がこれによつて損害を被つた結果、ひいて第三者に損害を生じた場合であると、
直接第三者が損害を被つた場合であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三
者に対し損害賠償の責に任ずべきことを定めたものと解すべきであるし、株式会社
の代表取締役が、他の取締役その他の者に会社業務の一切を任せきりとし、その業
務執行に何等意を用いることなく、ついにはそれらの者の不正行為ないし任務懈怠
を看過するに至るような場合には、自らもまた悪意または重大な過失により任務を
怠つたものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭
和三九年(オ)第一一七五号、同四四年一一月二六日大法廷判決参照。)。上告人
は商法二六六条の三により、第三者である被上告人に対し、本件麦類亡失事故によ
つて蒙らせた損害を賠償すべき義務を負うものである旨の原審の判断は、原判決の
判示する事実関係の下においては、正当として支持することができる。原判決に所
論の違法はなく、論旨は、採用することができない。
 同第二点について。
 原審は、昭和三三年四月一日の寄託契約締結後、昭和三三年の会計年度末である
昭和三四年三月三一日までの間に亡失したものと認定している趣旨であることは原
判決に徴し明らかであり、この点に関する原審の事実認定ならびに判断は、原判決
の挙示する証拠関係に照らして是認することができる。その他原判決に所論の違法
はなく、論旨は、適法になされた原審の証拠の取捨判断、事実認定、それに基づく
正当な判断を非難するに帰し、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官松田二郎、同岩田誠の
反対意見があるほか、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 裁判官松田二郎の上告理由第一点についての反対意見は、次のとおりである。
 私は、商法二六六条ノ三についての多数意見に対して反対するものである。その
理由については、前記大法廷判決の中の私の反対意見をすべて引用する。
 私は、同法二六六条の三第一項は、取締役が対外的の業務執行につき、第三者に
対し悪意または重大な過失による不法行為に因つて直接に損害を与えた場合におけ
る規定と解するものであつて、会社の行為によつて第三者に損害の生じた場合、取
締役の行為が対会社関係において任務懈怠となるにしても、それだけで同条を適用
すべきではないと考える。このような場合には、損害を被つた第三者は、自己の会
社に対する損害賠償請求権を確保するため、会社に代位して、会社の取締役に対す
る損害賠償請求権を行使し、直接自己に給付すべきことを請求し得、また、自己に
転付(民訴法六〇一条)することが認められるのであつて、それにより救済を得る
ことができるのである。
 今叙上の見地に立つて本件について見るに、原審認定の事実関係のみでは、未だ
上告人自身が、被上告人に対する関係において商法二六六条ノ三の責任を負うもの
とは断じ難い。原審はすべからく、上告人の行為が被上告人に対し同条の定める不
法行為上の悪意又は過失に該当したか否か、更に審理すべきであつたのである。原
審はこの点において審理不尽の誹を免れ得ない。さらば、これらの点について更に
審理せしめるため、原判決を破棄してこれを原審に差戻すのを相当と考える。
 裁判官岩田誠の上告理由第一点に対する反対意見は、次のとおりである。
 私は、商法二六六条ノ三、一項の規定は、取締役の会社に対する任務違反の責任
を定めたものではなく、取締役が第三者に対する悪意または重大な過失によつて直
接損害を与えた不法行為責任を定めたものであると解するもので、その理由は、前
示大法廷判決における私の反対意見で述べたとおりであるからこれをここに引用す
る。私の右意見によれば、上告人の訴外会社に対する任務違反を理由として、上告
人の被上告人に対する損害賠償義務を肯認し、被上告人の本訴請求を容認した原判
決は、商法二六六条ノ三の解釈適用を誤つた違法があるもので破棄を免れない。そ
して被上告人の本訴請求が理由あるか否かを決するには、なお上告人においてその
故意または重大な過失によつて被上告人に対しその主張の損害を与えたか否かを審
究することを要するので、本件は原裁判所に差し戻すべきものと思料する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    大   隅   健 一 郎

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