弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成24年(あ)第646号強盗殺人,死体遺棄被告事件
平成26年9月2日第三小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人宮田桂子,同大槻展子の上告趣意のうち,裁判員の参加する刑事裁判に関
する法律による裁判員制度に関して憲法13条,18条後段,19条,20条,2
1条,31条,32条,37条違反をいう点は,裁判員制度が憲法のこれらの規定
に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁平成22年(あ)第1196号同23
年11月16日大法廷判決・刑集65巻8号1285頁)及びその趣旨に徴して明
らかであり,死刑制度に関して憲法13条,31条,32条,36条,37条,3
9条違反をいう点は,死刑制度がその執行方法を含め憲法のこれらの規定に違反し
ないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12
日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同3
0年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第22
47号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)及びその趣旨
に照らして明らかであるから,いずれも理由がない。
弁護人らのその余の上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単
なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に
当たらない。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認め
られない。
付言すると,本件は,高利貸しを本体とし,建設,水道設備工事業等を経営する
事業グループの従業員である被告人が,同僚のA及びB並びにAの知人であるCと
順次共謀の上,同グループの会長及びその息子である専務を殺害して現金等を強奪
しようと企て,長野市内の会長宅において,睡眠導入剤を混入した雑炊を食べさせ
て専務(当時30歳)を昏睡状態に陥らせたところ,その妻(当時26歳)に不審
を抱かれ,強盗殺人を成功させるために同女の殺害も決意して同女をロープで絞殺
し,その後,昏睡状態の専務及び就寝中の会長(当時62歳)を順次,同様に絞殺
して現金合計約416万円を強取し,同人らの死体を愛知県内の資材置場まで運ん
で土中に埋めて遺棄したという強盗殺人,死体遺棄の事案である。
被告人は,会長親子の支配下に入り,前記事業グループの従業員として長年会長
宅に住み込んで働いてきたが,かねて会長親子による給料の不当な天引きや暴力的
な扱いについて我慢を強いられてきた事情があり,また,交際相手との結婚のため
会長のもとを離れたいがままならず思い悩むとともに,積年の恨みを晴らしたいと
の思いを持ち,被告人以上に会長らの束縛を受け,会長らに強い恨みをもっていた
Aに同調し,会長らを殺害し,また死体運搬・保管役のCへの報酬の原資等を得る
ため,会長らの現金等を奪うことにして,C及びBとともに本件に及んだ。このよ
うな動機,経緯には,酌むべき事情として相応に考慮すべき点もあるが,他の解決
策を何ら試みておらず,安易かつ短絡的といわざるを得ない上,専務の妻の殺害と
の関係では,何ら酌量すべき事情にはならない。そして,会長及び専務に対する強
盗殺人,死体遺棄は綿密とはいえないまでも計画性が認められる上,専務の妻の殺
害は,当初の計画に含まれたものではなかったものの,犯行完遂の障害を排除する
意図からあえて行ったものである。また,本件犯行態様は冷酷かつ非情である。一
度に3名の生命を奪ったという結果は誠に重大であり,遺族らの処罰感情は厳し
く,社会一般に与えた影響も大きい。本件を主導したのはAであるが,被告人は,
実行段階において,専務の妻と会長の殺害に自ら手を下し,物色行為を1人で担う
などしたのみならず,実行直前に呼び出されたBと異なり,準備段階の当初からA
の相談相手となり,Aの精神的な支えとなるとともに,時には有益な意見を授ける
などもしており,本件の遂行に当たって重要で必要不可欠な役割を果たし,共犯者
間で遜色のない利益分配にもあずかっている。
以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざる
を得ず,被告人が反省の態度を示し,被告人の両親が遺族に対して慰謝の措置を講
じていることなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,原判決が維
持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是
認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官野口元郎公判出席
(裁判長裁判官大橋正春裁判官岡部喜代子裁判官大谷剛彦裁判官
木内道祥裁判官山﨑敏充)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛