弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     控訴人等の本件控訴をいずれも棄却する。
     控訴費用は控訴人等の負担とする。
         事    実
控訴人等代理人は、まず、「原判決を取り消す。被控訴人等の本件訴を却下する。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人等の負担とする。」との判決を求め、本案につ
き、「原判決を取り消す。被控訴人等の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審と
も被控訴人等の負担とする。」との判決を求め、被控訴人等代理人は、主文同旨の
判決を求めた。
当事者双方の主張は、左に記載するもののほか、原判決の事実摘示のとおりである
から、ここにこれを引用する。
 本案前の双方の主張
 一、 控訴人がわの本案前の抗弁
 (一) 本件専従休暇の申出に対して承認又は不承認を決することは、公務に支
障があるかどうかという行政上の判断に基いて、服務監督者たる当局の行う行政上
の服務監督行為そのものであり、いわゆる特別権力関係内部における行政庁の監督
権の発動に外ならない。その承認は、これを申し出た職員に対し、その職員が本来
負う職務専念義務を免除するという効果を有し、その不承認は、当該職員をしてそ
の本来の職務に専念すべき地位をそのまま継続させるにとどまり、これによつて、
公務員たる職員の身分になんら変動をおよぼすものではないから、地方公務員法
(以下、地公法という)第四九条にいう不利益処分にも該当しない。すなわち、専
従休暇不承認の行為は、特別権力関係における純然たる内部規律に関する行政上の
服務監督行為そのものであり、行政固有の領域の措置であつて、抗告訴訟の対象と
なる行政庁の処分ではない。したがつて、本訴は、裁判所の審査権がおよばないも
のとして却下されるべきである。
 (二) 仮りに、本件につき、裁判所の審査権がおよぶとしても、抗告訴訟は、
行政庁の違法な処分により権利を侵害されたとする者が、その救済を求める場合に
許されるものである。ところで、職員の専従休暇の承認に関する利益は、法が服務
監督者に専従休暇を与える権限を付与していることの反射的利益にすぎないのであ
り、職員が専従休暇の申出を拒否されたとしても、その効果は、前述のごとく、当
該職員をして本来の職員としての職務に専念すべき義務をそのまま継続させるにと
どまり、職員の身分になんら不利益な変動をともなうものでないから、当該職員が
不承認処分によりなんらかの権利又は法律上の利益を侵害されるということは、あ
り得ない(なお、ここに原判決の事実摘示の関係部分を引用する)。この点は、従
来から職員団体の専従役員になつている職員についても、同様である。すなわち、
 専従休暇の期間は、一日を単位として、一年をこえない範囲で定められるもので
あつて(本件各市の「職員団体の業務にもつぱら従事する職員に関する条例」の二
条二項前段又は二条後段)、一年限りのものであり、実際においても、毎年三月
に、そのとおり実施されている。したがつて、すでに一年を限つて許可されている
専従休暇の期間が満了すれば、従来の職務専念義務の免除かその効力を失い、その
職員は、当然、自動的に、職務に復帰しなければならないのである。前年度専従休
暇を与えられていたからといつて、必ずしも、次年度も専従休暇の承認が与えられ
るとは限らず、新たに専従休暇の申出をし、その承認を得てはじめて、その効果と
して次年度の職務専念義務を免除されるのである。次年度の専従休暇の申出が許可
されなかつたからといつて、そのことのゆえに、職務専念義務を有するにいたると
いうわけではなく、次年度についてはもともと職務専念義務を負うているのであ
る。したがつて、次年度の専従休暇の不承認処分により、当該職員の従来の地位と
か権利を侵害するということは、あり得ない。
 かくのごとく、本件において、被控訴人等が控訴人等の不承認処分によつて自己
の権利を侵害されたと認むべき根拠がないから、本訴は、訴の利益を欠き、不適法
として却下されるべきものである。 (三) 被控訴人等の承認申請にかかる本件
専従休暇は、昭和三四年度のもので、その休暇期間は一カ年であるから、終期は昭
和三五年三月三一日で、同日後におよばないこと、明かである。ところで、専従休
暇の承認は、将来の期間につき与えられるものであるから、右申請にかかる専従休
暇期間が経過しでいない昭和三五年三月三一日までならともかく、右期間経過後の
今日においては、たとえ、本訴において、被控訴人等の請求が認容され、本件不承
認処分が取り消されたとしても、それによつて、不承認処分のなかつた状態が形成
されるにすぎず、直ちに本件専従休暇が承認されたことにならないのは勿論、今後
控訴人等において、昭和三四年度の専従休暇を承認したところで、なんら実質的の
意味を有しないのである。したがつて、本件専従休暇不承認の行政処分は、右期間
の経過により、実質的存在を失い、これを取り消すべき具体的利益を喪失してしま
つているのであるから、本訴は、本案判決を求める法律上の利益を失つたものとし
て、却下されるべきである。
 この点に関する被控訴人等の主張に対する反論として、
 1. 本件専従条例による専従休暇は、前述のごとく一年限りのもので、特殊な
「更新」制度を認めたものではないから、本件不承認処分が昭和三五年度の被控訴
人等に対する専従休暇不承認処分の原因となつたとは、いえないし、又本件におい
て、仮りに、取消判決が確定したとしても、その拘束力は、昭和三五年度の処分に
はおよばないから、昭和三五年度の処分に関連して、本件の訴の利益が生ずること
はない。
 2. 仮りに、被控訴人等に対し、懲戒処分あるいは昇給昇格等給与の面におけ
る不利益な取扱が予定されているとしても、それは、本件不承認処分の取消とは、
いわば間接的関連を有するにすぎないものであるし、本件不承認処分が取り消され
たとしても、それは、直ちに昭和三四年度の専従休暇が承認されたことにはならな
いのであるから、被控訴人等が控訴人等の承認を得ることなく、職務専念義務に違
反して事実上専従活動に従事した期間を、昇給昇格等の期間に算入しないのは、当
然である。さらに、懲戒処分については、仮りに、将来、そのような処分がとられ
るとしても、被控訴人等はそのときに処分そのものを争うことができるのであつ
て、本件による必要はない。したがつて、右のごとき事情をもつて、本件の訴の利
益があるものとは、いえない。
 3. 専従休暇の承認が職員の職務専念義務を免除するという立法趣旨からして
も、その不承認処分は個別的労働関係としてとらえるべきものであつて、集団的労
働関係としてとらえるべきものではないのみならず、本件不承認処分により和教組
自体の活動に支障を来たすことがあるとしても、それは和教組自体の事実上の利益
にすぎないから、和教組に関することをもつて、被控訴人等自身に訴の利益がある
ものとすることはできない。
 (四) 本件不承認処分が、仮りに、不利益処分であるとしても、被控訴人等
は、行政事件訴訟特例法第二条の規定に従い、訴願裁決を経た後でなければ、その
取消を求める抗告訴訟を提起することが許されないのであり、本件は右規定の但し
書にいう、著しい損害の生ずる場合にも当らないから、本訴は前記訴願裁決を経て
いない違法がある。
 二、 被控訴人がわの、右抗弁に対する主張、
 (一) 本件が抗告訴訟の対象となり得ないとの主張について
 控訴人等教育委員会と被控訴人等教育公務員との間に、特別権力関係における包
括的支配の理論が全面的に妥当するかは、教育公務員の特殊性よりみて、甚だ疑問
であるが、仮りに、その理論が適用されるとしても、それは、あくまで「勤務関係
の場」における「上命下服」の問題であり、しかも、それは、その限界として、特
定の目的のために客観的に必要な範囲限度にとどまるべく、かつ、審法の保障する
基本的人権に対し重大な侵害を加えることを得ないという制約を有する。
 ところで、地方公務員たる市町村の教職員が、地公法において、その職員団体の
結成および加入を認められているのは、憲法第二八条の保障に基く、勤労者として
の教職員の基本権に属し、かかる教職員の結成した職員団体は、給与、勤務時間そ
の他の勤務条件につき、当局と交渉し得る権利を有する。そして、かかる職員団体
の業務にもつぱら従事する職員の存在は、労働組合活動の成長、発展に当然かつ必
然のものとして、承認されなければならないものであつて、控訴人等関係の各市条
例も、団結権保障の法体系の一環として、職員の専従休暇制度を保障しているので
ある。したがつて、右条例にもとづく職員の専従休暇の申請は、かかる職員団体の
代表者又は役員として活動する権利としてとらえるべきものであつて、団結権に附
随する権利として、基本的な権利性格をもつものであり、これに対応して、服務監
督者たる控訴人等は、その申請に対し、公務に支障のない限り、専従休暇を与える
べく羈束義務づけられているのである。
 本件の専従休暇不承認処分は、右のごとき権利の侵害に関する問題であつて、特
別権力関係において具体的な法令の根拠なくして包括的な支配権の行使せられ得る
ような、純然たる内部規律に関するものではない。したがつて、本件不承認処分
は、それが地公法第四九条の不利益処分に該当するかどうかの点にかかわりなく、
正しく裁判所における抗告訴訟の対象となり得べきものである。
 (二) 権利侵害がないから、本訴は訴の利益を欠く、との主張について、
 職員の専従休暇が、団結権保障の上で職員に与えられた法令上の具体的権利であ
ることは、すでに述べたとおりである。したがつて、本件不承認処分は、専従者と
して選出された被控訴人等自身の、職員団体の業務に専従活動する権利を侵害する
とともに、被控訴人等およびその所属する職員団体の団結権の侵害におよぶもので
ある。本件不承認処分によつて職員としての身分上に変動を来たさないことは、控
訴人がわのいうとおりであるけれども、右のごとき権利侵害が存在する以上、本訴
が訴の利益を欠くという控訴人等の抗弁は、理由がない。
 (三) 抗告訴訟係属中における時日の経過により、本訴を維持する利益がなく
なつた、との主張について、
 1. 行政事件訴訟特例法第一二条にいう、確定判決の関係行政庁に対する拘束
力の趣旨については、関係行政庁が判決の趣旨に従つて行為すべき義務を負うもの
と解すべきものである。これを本件についてみるに、本件不承認処分取消の判決が
確定するにいたつた場合、控訴人等は、被控訴人等に対し、不承認処分を違法とす
る判決の実質的判断の趣旨に従つて専従休暇を承認し、その関係について右承認を
与えたと同様の効果を行政上、法律上、生ぜしめねばならない義務を負うものであ
る。したがつて、本件取消判決の確定によつて、被控訴人等は、実質的に、本件専
従休暇の承認を得たと同様の権利と利益を取得するものであつて、控訴人がわの主
張するような、専従休暇許否のない状態にもどるというがごときものでは、決して
ない。
 2. 被控訴人等は、いずれも、将来数年にわたり和教組の専従職員に就くこと
を予定せられていたもので、従来、一カ年の専従休暇期間の経過後も引き続き、更
新を重ねて専従休暇を得て来たものであるが、昭和三五年度の被控訴人等の専従休
暇申請に対して、控訴人等は、いまだにこれを承認しない。したがつて、被控訴人
等は本訴を維持する利益を有する。
 3. 控訴人等の補助参加人である県教育委員会は、被控訴人等の懲戒処分を意
図し、控訴人等に対して処分の内申書の提出を要求し、すでに昭和三五年四月中
旬、控訴人等からその内申書が提出されており、本件判決の結果如何により、直ち
に被控訴人等に対する懲戒処分を発令せんとしている。 また、被控訴人等の本件
専従休暇の期間は、今後職務に復帰した場合においても、昇給、昇格、期末勤勉手
当支給等の期間に算入されなければならないのに、控訴人等および補助参加人は、
本件の違法な不承認処分を理由として、右専従期間を算入しないという明白な態度
を示している。
 これらの被控訴人等に対する不利益取扱が、現実に行われている限り、被控訴人
等は、これらの違法を排除するため、訴の利益を有するものである。
 4. 控訴人等は、昭和三四年度以降被控訴人等の専従休暇の申請を拒否し、現
に和教組および被控訴人等の団結権を侵害しているので、被控訴人等は、これらの
侵害を排除するためにも、本訴を維持する利益を有するものである。
 (四) 訴願の前置を要するとの主張について
 1. 行政事件訴訟特例法第二条にいわゆる訴願前置主義は、法令の規定によつ
て訴願が認められている場合に限つて適用があるものであるが、地公法第五二条以
下の職員団体の各規定をはじめ、専従休暇に関する本件各条例にも、訴願を認める
規定がないし、本件不承認処分は、訴願法第一条の制限列挙するいずれの事項にも
該当しない。したがつて、本件不承認処分に対しては、右特例法第二条の適用はな
く、直接第一次的に裁判所に提訴し得るものである。
 2. 仮りに訴願を要するとしても、被控訴人等は、昭和三四年四月一三日、和
歌山県人事委員会に対し、本件専従休暇不承認処分を違法として、適当な措置のと
らるべき旨の審査の請求をなしているから、前記特例法第二条の訴願前置主義の立
法趣旨に即応した不服申立をしているのであつて、右第二条に規定する要件の欠缺
はない。しかも、本訴係属(昭和三四年四月一六日、準備書面に「五月」とあるの
は、誤記、記録六一三丁)後三カ月を経過した今日、いまだに右措置要求に対する
審査判定がなされていないから、本訴は、この点においても、適法である。
 3 仮りに、右1.2が理由ないとしても、本件は「訴願の裁決を経ることによ
り著しい損害を生ずる虞のある場合」に該当する。すなわち、職員団体は、その職
員の勤務条件等の交渉団体としての本来的性格よりして、一日たりともその活動を
停止することを得ないものであつて、したがつて、この職員団体の業務に専従する
ための職員も一日として欠くことを得ないものである。それゆえ、専従休暇の承
認、不承認の問題は、適時適切に処理されなければならないのであつて、訴願の裁
決をまつて、はじめて、訴を提起し得るものとすれば、職員団体に対し、回復し難
い明白かつ重大な現実の損害を与えるものであるから、本件においては、訴願の裁
決を経ないで、訴を提起し得るものといわなければならない。
 本案に関する双方の主張
 一、 控訴人がわの主張
 本件専従休暇不承認処分は、左の理由により、違法ではない。
 (一) 和教組は、非職員たる被免職者を構成員にふくみ、これを組合役員とし
ているから、不適法な職員団体である。
 和教組のような地公法上の職員団体において、その構成員が職員に限られるかど
うかについては、地公法に明文がなく、見解の岐れるところであり、特別の制限規
定のない限りは、労働組合と同様の法的取扱をしようとする傾向がある。しかしな
がら、
 1. 地公法は、公務員は全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務すべき
ものであるという点に、その労働関係の特殊性を認め、一般労働者と異なり、労働
組合法の適用を排除し、労働組合に代えて、職員団体の結成を認め、その団結権、
団体交渉権を制限し、争議権を否定している。これに対し、地方公務員のうちで
も、地方公営企業に勤務する職員については、地方公営企業労働関係法(以下、地
公労法という)は、一面、地方公営企業が企業である点に私企業との類似性を認
め、その職員の団結権については、労働組合法の適用を認め、広汎な団体交渉権を
認めるとともに、これに関し労働協約締結権を認めているが、他面、地方公営企業
が行政主体の経営する公益事業であること、その争議行為か一般住民に対し著しい
不利益を与えること、いいかえれば「公共の福祉」に重大な影響をおよぼすことを
考慮し、その職員の争議権を否定し、一般の労働者と区別して取り扱うという建前
をとつている。地公労法第五条三項が、職員の労働組合について、非職員を排除し
ているのは、この趣旨のあらわれである。このような意味において、地方公営企業
の職員の労働組合の地位は一般労働組合と公務員の職員団体との中間に位するもの
ということができる。
 右のような公務員の労働関係の特殊性および公務員の労働法上の地位に照らして
みると、地公法の職員団体の構成については、公共企業体等労働関係法(以下、公
労法という)第四条三項や地公労法第五条三項のような、非職員を排除する旨の明
文の規定がないけれども、地公労法が、企業的色彩をもつ点において、私企業に近
い地方公営企業の労働組合についてさえ、非職員の加入を認めていない以上、より
強く全体の奉仕者たることを要請される一般公務員の職員団体については、外部勢
力による不当な影響から一層強く独立しなければならないのであつて、特別の規定
をまつまでもなく、当然、非職員の加入を認めないと解するのが、地公法の趣旨に
合する。
 2. 被控訴人がわは、地公法附則第一三ないし第一五を根拠として、職員団体
は、非職員を排除するものでないと解している。しかし、この附則は、地公法を制
定実施するに当り、従来認められていた労働組合法に基く官公庁労働組合をどのよ
うに扱うべきかについての経過規定として設けられたもので右の附則の、「地公法
第五八条第一項の規定施行の際現に在する労働組合でその主たる構成員が職員であ
るもの」は、一定期間内に登録しなければならないとの規定は、登録申請義務者
は、その主たる構成員が職員である労働組合で足るが、その登録申請の対象となる
職員団体については、その構成員のすべてが職員で、かつ、当該地方公共団体の職
員でなければならぬことを意味する。すなわち、当該労働組合は、通常まずその構
成を整備して登録を申請すれば、地公法上の職員団体となり得る趣旨を定めたもの
と解すべきであり、この規定から、職員団体は非職員をふくむと解するのは、正当
でない。
 3. 地公法第五三条三項は、組合登録制に関して、職員団体の規約の作成等、
重要な行為につき、職員の平等なる選挙権を担保しているが、この規定は、地公法
上の職員団体が非職員をふくまないと解すべき一つの根拠となるものである。けだ
し、もしそうでないとすれば、右規定は、職員団体が、本来平等なるべき構成員中
に、法的に担保された選挙権を有する者とそうでない者とをふくむことを予想した
不合理な条文と化するにいたるからである。
 4. わが憲法のもとにおいて、労働三法の適用を受ける一般労働者、地公労法
又は公労法の適用を受ける職員および地方公務員法又は国家公務員法の適用を受け
る職員の三者につき、それぞれその労働関係の性質に応じた規制がなされている以
上、ILO八七号条約が当然に国内法の解釈基準として妥当すると解するのは、早
計であり、現行法の建前に反する。
 以上の理由により、現行地公法の解釈として、非職員は一切職員団体の構成員と
なり得ないものと解するのが、相当である。しかるに、和教組は、A等七名の被免
職者たる非職員を組合の構成員にふくみ、これらの者が、執行委員長、書記長、常
任執行委員等、組合役員の枢要な地位を占めているのであるが、これら非職員がい
わゆる外部勢力として、和教組に甚大なる影響をもち、公務員関係の秩序を破壊す
る危険を生ずるおそれのあることは、極めて明白である。したがつて、和教組は不
適法な職員団体といわなければならない。
 次に、職員団体の登録取消の制度との関係について附言する。職員団体が引き続
き登録されるためには、その構成が職員に限られることを法律要件とするところ、
その構成員に被免職者をふくみ、かつ、被免職者が組合の幹部役員の地位を占める
ような場合には、その違法は重大かつ明白というべきであつて、かような場合に
は、人事委員会による登録の取消をまつまでもなく、当然に、その職員団体は、地
公法上の適法団体としての資格を失うものといわなければならない。したがつて、
前述のごとき和教組は、その登録の取消をまつまでもなく、すでに適法な職員団体
としての資格を失つたものということができる。
 (二) 和教組は、連合体としての職員団体ではないから、適法な職員団体とは
いえない。すなわち、和教組のごとき県費負担教職員の組織する職員団体は、教育
公務員特例法第二五条の六第一項による連合体でなければ、都道府県人事委員会に
登録することを許されない。しかるに、和教組は、もともと、各市町村の組織が独
立した職員団体(単位職員団体)として存在した上での連合体ではなかつたのであ
るから、連合体たる職員団体として登録することができないものである。したがつ
て、連合体として登録されている和教組の現在の登録は、虚偽申請による登録であ
り、本来無効のものであつて、和教組は、適法な職員団体ということはできない。
 (三) 公務上の支障
 1. 原判決摘示の本案の答弁(二)の(3)(記録五〇四丁)に補足して、県
教育委員会の指示により、現実に後任補充を期待し得ない場合に、専従休暇を認め
ることは、たちまち学校業務に支障を生ずること、明かである。
 2. 和教組の専従者の員数は、他府県のそれと比較して、余りにも多い。昭和
三四年度都道府県教組における専従職員の数は、和歌山県をのぞく全国平均は、実
に、六九六人に対し一人の割合である。しかるに、和教組は、約六〇〇〇人の組合
員に対し、毎年約三〇人の専従職員が認められたのであるから、約二〇〇人に対し
一人の割合であり、これを全国の平均値に近づけるためには、専従者を減少し、こ
れを教壇に復帰させて職務に専念させることが、公務の正常なる運営としてのぞま
しいことは、経験則上、容易に了解し得るところである。しかるに、和教組は、昭
和三四年度は、被控訴人等をふくむ三三名につき、専従休暇の申出をなしたもので
あつて、これを承認すれば、公務に支障あることは、容易に推測されるところであ
る。
 3. 組合業務に専従するには、専従休暇の承認を得ることを要するにかかわら
ず、承認前又は不承認を知りつつ専従役員に就任するがごときは、既定事実を構成
してこれを服務監督者に強引に認めしめようとする、いわゆる力による強圧手段と
いわざるを得ない。かかる既定事実を容認せざるを得ないような状態を作り出すこ
とは、公務員としてふさわしくない行動であるから、本件において、もし被控訴人
等の専従休暇申請を承認するとすれば、かかる例を将来とも容認するものと職員に
受け取られ、服務に関する諸規則の遵守を期し得ない結果となる。したがつて、か
かる場合は、控訴人等の学校業務の秩序ある運営に支障があり、専従条例にいう
「公務に支障がある」場合に該当するといわなければならない。
 4. 停職についで、現に起訴休職中の被控訴人BおよびCの両名につき、仮り
に同人等が専従休暇を申し出ることができるとしても、停職処分は、懲戒処分とし
て、職員に対し、公務員としての行為を停止しているものであり、起訴休職は、公
務遂行の信頼を確保するため、職員に対し、公務員としての行為を停止しているも
のであつて、このように、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた者に、
専従休暇の承認を与えるのは、他の職員に悪影響を与え、ひいては、教育全体の秩
序ある運営をそこなう場合も招来するから、「公務に支障ある」場合に該当するも
のである。
 二、 被控訴人がわの主張
 (一) 被免職者七名をふくむ和教組は、地公法上、適法なる職員団体である。
 1. 地公法は、地方公務員の「全体の奉仕者」性と「公共の福祉」というその
職務の特殊性から、憲法第二八条に規定された労働基本権に部分的制約を加え、争
議行為を禁止し、労働協約の締結について制限しているが、それは、地方公務員の
労働者性を否定するものではない。地方公務員について、労働基準法がほとんど全
面的に適用されていることも、右の本来的労働者性を示している。したがつて、地
方公務員の結成する職員団体は、労組法の適用が排除されていても、労働組合たる
本質を有するものである。地公法は、右の規制措置をのぞいては、職員の団結につ
いてなんら制約を加えていないのである。地公法には、公労法第四条第三項のよう
な規定はなく、職員の団結を保障する地公法第五二条第一項は、職員団体が非職員
をふくむか、ふくまないかについて、積極にも消極にも言及していないのであり、
右条項が「職員は」と規定していること自体から、非職員をふくまないと解すべき
ではない。労働基本権たる狭義の団結権の制限は、厳格に解されなければならない
のであつて、前述の地方公務員の職務の特殊性のごときは、右の団結権を制限する
理由とはなり得ない。
 地方公務員が職員団体を組織し、職員団体の構成員として行動する限りにおいて
は、当局と対等当事者たる地位を有するものであり、その職員団体の組織運営につ
いては、自主性が尊重されなければならない。非職員を構成員にふくむことによ
り、職員団体の自主性がそこなわれるものではなく、かえつて、非職負をふくみ得
ないと解することにより、一層その自主性はそこなわれる。けだし、対立当事者で
ある当局より免職処分を受けた者は、職員団体の構成員たり得ないと解することに
より、当局の職員団体に対する支配干渉を容易にするからである。
 右に述べたところから、地公法上の職員団体の構成員の範囲について、これを制
限する明文の規定がない以上、解釈論として、非職員をふくまないという制限的
(違憲的)立場をとるべきではない。したがつて、地公法上の職員団体は、非職員
をふくむことを妨げないと解すべきである。
 2. 地公法附則第一三項以下の諸規定は、「現に存する労働組合でその主たる
構成員が職員であるもの」は、所定の期間内に法所定の登録を申請することによ
り、引き続き存続することを定めている。この登録申請は、非職員の排除を意味す
るものではない。もし、それが非職員の排除を意味するものとすれば、当然経過規
定の中にその旨の明文の規定を必要とする。右附則は、従前の労組法等の規定の適
用を受けていた公務員の労働組合が、地公法の規定する資格要件を充足することを
要求しているものである。したがつて、右経過規定たる附則の存在も、非職員を職
員団体の構成員となし得る根拠を示すものである。
 3.ILO第八七号条約は、わが国においてまだ批准されていないけれども、確
立された国際通念として、現行法上の団結権の解釈にあたり重視されなければなら
ない。
 以上の諸点から、地公法にいう職員団体は、職員を主たる構成員とするものであ
れば足り、その構成員中に一部の非職員を包含しても差し支えない、と解するのを
相当とする。控訴人がわの援用する地公法第五三条第三項の規定は、右の解釈をく
つがえし得る根拠とはなり得ない。したがつて、約六、〇〇〇人の組合員から成る
和教組が、その組織の中に僅か七名の被免職者たる非職員をふくんでいるからとい
つて、現在の和教組を法外組合ときめつけることは、明らかに不当不法な措置とい
わなければならない。
 のみならず、和教組についてなされた県人事委員会の行政処分たる登録は、公定
力を有し、権限ある機関による取消あるまでは、行政機関相互間においてこれに拘
束される。したがつて、登録の取消に関する唯一の判定権限者である県人事委員会
が、いまだ右登録を取り消していないのにかかわらず、控訴人等およびその補助参
加人において、被免職者を包含する和教組を、その登録の取消をまつまてもなく、
不適法団体とするのは、到底許されないところである。
 (二) 和教組は連合体ではなく、したがつて、連合体としてなされた和教組の
登録も無効であるとの控訴人がわの主張について。
 和教組は、もと、県下教職員をもつて組織する単一体であつたところ、地公広お
よび教育公務員特例法の制定により、連合体として登録されることとなり、組織変
更して、昭和三〇年九月二一日連合体として登録され、現在にいたつている。た
だ、右組織変更、登録の前後においても、和教組の運営自体には変更なく、単一体
におけると同様の直接民主制を維持してきたものである(地公法五三条三項等参
照)。しかも、右の登録等については、すべて和歌山県人事委員会の指導のもとに
行われ、控訴人等およびその補助参加人も、右人事委員会の措置に従い、なんらの
異議なく、和教組との交渉、専従承認をなしてきたものである。この点に関する控
訴人がわの主張は、単なるいいがかりにすぎない。
 (三) 公務に支障があるという控訴人がわの主張は、理由がない。
 1.本件専従条例にいうところの「公務の支障」は、最終的には、任命権者であ
る控訴人等の補助参加人の所管する和歌山県全体の教員の人事問題にまで関連する
が、本件の場合、処分者は控訴人等各市教育委員会であり、そのなし得る認定は、
当該市の教員の教育業務に関する「公務の支障」である。
 ところで、教員の職務は、その特質として、極めて普遍的なものであつて、教育
基本法に明示されている教育目的達成のため、学校教育法において、その職務を定
められており、かつ、いずれの教員も教育職員免許法に基く免許状を有する、一定
の能力と資格の所有者であつて、その限りにおいて、何人をもつてしても代置し得
る完全な代替性を有し、その者を措いて余人をもつて替え難いとする特殊な職務を
遂行するものではない。したがつて、一般的にいつて、公務の支障というものは、
考えられないところである。ことに、専従休暇請求権が職員の団結権、団体行動権
の具体的内容をなす基本的な権利であることに照らし、公務の支障の意味は、厳密
に解されなければならないものである。さらに、本件専従条例の関係条項では、専
従休暇の期間が満了したときは、教育委員会は更に専従休暇を与えることができる
旨規定されている。これは、前述のごとき教員の公務の代替性に着目し、一度公務
に支障なしと判断された者については、特段の事由のない限り、専従休暇を更新し
得ることを定めたものと解される。
 しかるに、本件において、控訴人等は、公務に支障ある理由として、補助参加人
より補充のないことをあげるが、かかる問題は、前述したところからしても、控訴
人等市教育委員会の認定すべき内容ではないし、一名に対する専従休暇の承認が、
当然一名の欠員を生ずることは、条例のすでに予定しているところであるに徴して
も、公務上の支障の理由とはならない。又、従来、すべての専従休暇請求がただ一
つの例外もなく承認せられ、その承認後、県より例外なく補充があつたという事実
からしても、控訴人等の右理由は、従前の慣例を無視した不当なものである。
 2. 和教組の専従職員の数が他府県に比較して多いという控訴人がわの理由
は、原審において主張されなかつたものであり、本件不承認処分の理由の追加とし
て法律上許されないものである。仮りに、その主張が許されるとしても、控訴人等
の本件不承認当時の真の意思は、単に「県よりの補充がないこと」の唯一点にあつ
たものである。しかも、右主張は、なんら公務の支障の具体的事実を示すことな
く、従前の状態の存続を公務の支障にかからしめるものであつて、到底本件専従休
暇を拒否する理由とはなり得ない。
 3. 「被控訴人等が、控訴人等の承認を得ることなく、事実上専従活動に従事
したから、公務に支障がある」という控訴人がわの主張に対し、法を無視し、秩序
を乱しているのは、控訴人等および補助参加人自身であつて、不当な理由に基いて
専従休暇申請者全員についてその申請が拒否された以上、和教組ならびに被控訴人
等は、組織自衛のため、専従業務を遂行する正当な権利を有するものである。
 (四) 被控訴人B、Cの両名につき、
起訴休職は、刑事上の犯罪を犯した疑いあるものとして起訴ぜられた者を、引き続
き公務に従事させることは、その執行する公務に対する一般市民の信頼を失わし
め、公務自体の権威を失う結果を招来することになるので、その裁判の確定まで、
一時、公務に従事するのを停止する制度である。起訴休職と専従休暇の制度は、い
ずれも、職員たる身分を有しつつ、職務専念義務の免除されている点において、共
通のものをもつているが、両者は、その本質、目的において異なるものであつて、
起訴休職中の職員でも、無給の専従職員となり得べく、又逆に、専従職員で起訴せ
られた場合には、起訴休職処分に付することも、可能である。
 証拠関係
 被控訴人がわは、甲第一号証、第二号証の一、二、第三ないし第五号証を提出
し、原審証人D、原審ならびに当審証人Eの各証言、原審における鑑定人F、G、
Hの各鑑定の結果を援用し、乙第二号証の一の成立を否認し、その他の乙号各証の
成立(ただし、乙第一〇ないし第一二号証の各一ないし四、第一三号証の一ないし
三については、原本の存在をあわせて)を認めると述べ、控訴人がわは、乙第一、
二号証の各一、二、第三号証の一ないし七、第四号証、第五号証の一、二、第六、
七号証、第八、九号証の各一、二、第一〇ないし第一二号証の各一ないし四(いず
れも写)、第一三号証の一ないし三(いずれも写)、第一四号証、第一五号証の
一、二、第一六号証の一ないし五、第一七ないし第二〇号証を提出し、原審証人
I、J、K、D、当審証人L、M、Nの各証言、原審における鑑定人Hの鑑定の結
果を援用し、甲第五号証の成立は不知、その他の甲各号証の成立は認めると述べ
た。
         理    由
 一、 まず、控訴人がわの本案前の主張について、順次判断する。
 (一) 本件には司法裁判権がおよばないとの主張について、
 市町村の職員である公立小、中学校の教職員(以下、教職員という)は、都道府
県単位に職員団体の連合体(以下、職員団、体という)を結成して、その給与、勤
務時間その他の勤務条件に関し、団体協約の締結をふくまない範囲で、都道府県の
当局と交渉することが認められている。地公法およびその特別法たる教育公務員特
例法は、憲法第二八条にいう「勤労者」としての教職員の団結権を、その公法上の
勤務関係の特殊性に応じて、このように具現し、保障している。この職員団体は、
教職員の任命権者たる都道府県の教育委員会や服務監督者たる市町村の教育委員会
の支配統制を離れて、自主的に、教職員の勤務条件の維持改善その他経済的地位の
向上を図ることを主たる目的とする私的団体であるが、地公法第五二条五項は、制
定の沿革からみて、かかる職員団体の組織活動の運営上の必要を勘案し、その団結
権を現実に保障する構造として、職員がその身分を保有しつつ、地方公共団体から
給与を受けないで職員団体の事務又は活動に専従するところの、いわゆる専従職員
(在籍専従ともいう)の制度を認め、本件の和歌山市、新宮市および御坊市は、地
公法に示された右根本基準の実施措置として、地公法第五条一項、第三五条に基
き、それぞれ「職員団体の業務にもつぱら従事する職員に関する条例」(以下、専
従条例という)を制定し、教職員については、(1)教職員から、登録された職員
団体の代表者又は役員として、職員団体の業務にもつぱら従事するための休暇(専
従休暇)の申出があつた場合、市の教育委員会(以下、市教委という)は、「公務
に支障のない限り」右申出に承認を「与えることができる」(ただし、御坊市の場
合は、「与えるものとする」となつている)、(2)休暇期間中は、職務に専念す
る義務を免除され、職務に従事することができない、(3)休暇期間中も、その職
を保有し、その期間終了とともにその職務に復帰する権利を有することを定めてい
る(教職員の勤務条件は、都道府県の条例で定められることになつており、専従職
員の専従期間中の処遇は、勤務条件に関するものであるところ、和歌山県の昭和二
八年五三号、市町村立学校職員の給与等に関する条例第三四条は、専従職員を無給
休職とすることを定めている。したがつて、前記各市の専従条例は、市教委を専従
承認の機関とし、その承認基準を定めたところに、意味があり同条例にいう「休
暇」は、専従承認の効果と解するのが相当である)。
 以上によれば、職員団体の構成員によりその代表者又は役員として選出された前
記各市の教職員が、専従職員として、職員団体の業務に専従し得ることは、職員団
体の団結権を現実に保障する構造として、地公広および右専従条例により当該教職
員に認められた労働関係上の権利ということができる。もつとも、右専従条例によ
れば、教職員の専従につき、市教委の承認を要するけれども、それは、公法上の勤
務関係に立つて本来職務に専念する義務を負う教職員が、その職務以外の職員団体
の業務に就くかりに外ならないから、市教委の承認を要するからといつて、教職員
の右権利の権利性を否定し得るものではなく、又公務に支障がある場合、専従承認
の申出が拒否されることが予想されるが、それは、教職員の右権利が絶対無制限の
ものでないことを示すにとどまり、右権利の権利性を否定することにはならない。
別言すれば、市教委の承認、不承認の権限の根拠が所管の学校の維持運営、教職員
の服務監督等に関する包括的な管理権の作用として、本来自律権の範疇に入るもの
であるにしても、職員団体の団結権およびこれを保障するために実定法上認められ
た教職員の在籍専従活動自体は、市教委の自律権の範囲を超えたところにあるもの
である。したがつて、本件における専従不承認処分は、教職員の上叙のごとき労働
関係上の権利侵害に関するものであつて、教育行政における内部規律としての単な
る服務監督行為の問題にとどまらない。
 それのみならず、前記専従条例は、教職員の右のごとき労働関係上の権利をまも
るために、市教委の事従承認の権限行使に対して、「公務に支障のない限り」とい
う法的制約を課しているのであつて、そこにいう「公務」の「支障」に関する市教
委の判断が、教育行政に固有なものとして、司法審査に親しまないほどの要素をふ
くむものとは、解し得ないし、その規定の文言は、不確定的抽象的概念をもつて表
示されてはいるものの、在籍専従制度を設けた法の趣旨、目的を考量して、客観的
規準に従つて解釈適用されなければならないことは、勿論である。又和歌山市、新
宮市の各専従条例は、専従承認を「与えることができる」と規定して、専従の申出
を承認するための法定要件を備えている場合でも、承認するか、しないかの裁量が
市教委に残されているがごとき規定の仕方をしているが、動労者たる教職員の福祉
を擁護するために認められた在籍専従制度の趣旨、目的に徴すれば、市教委は、法
定要件を備えている場合は、専従を承認するべく羈束されるものと解するのを相当
とする。(御坊市の場合は、専従承認を「与えるものとする」と一義的に規定し、
法定要件の備わるときは、市教委に対して専従を承認するよう拘束しているから、
問題はない)。
 したがつて、本件の専従不承認処分は、司法裁判権の対象となるというべきであ
る。これに反する控訴人等の主張は、理由がない。
 (二) 専従不承認処分が存在しないとの主張について
控訴人和歌山市教委は、被控訴人O、P、Q、R、Sの五名の本訴請求について
は、抗告訴訟における取消の対象となる専従不承認処分が存在しないから、訴の利
益を欠くと主張するけれども、右被控訴人等が昭和三四年四月一日頃控訴人和歌山
市教委に対し、和教組の専従役員に就くための専従承認の申出をなしたことは、当
事者間に争なく、右事実に成立に争のない甲第五号証、第二号証の一、二、原審な
らびに当審における証人Eの証言を綜合すると、右控訴人は、その頃、右被控訴人
等に対し、専従不承認の処分をしたことが認められる。したがつて、控訴人和歌山
市教委の右主張は、理由がない。
 (三) 権利侵害(当事者適格)がないとの主張について
 被控訴人等が原判決別紙記載の各公立中学校の教員であつて、和歌山県人事委員
会に登録された職員団体である和教組の構成員であることは、当事者間に争なく、
原本の存在ならびに成立に争のない乙第一一号証の一ないし四、前記証人Eの証言
によれば被控訴人等が、昭和三四年二月二八日、和教組の昭和三四年度(同年四月
一日から昭和三五年三月三一日まで)の専従役員たる執行委員として選出されたこ
とが認められる。被控訴人B、T、C、Uの四名が、原判決別紙記載のとおり、そ
れぞれ控訴人V、Wの各市教委に専従承認の申出をし、いずれもその不承認処分を
受けたことも亦、当事者間争のないところであり、他の被控訴人等五名に対する右
関係事実は、前記(二)で認定したとおりである。したがつて、前記(一)で述べ
たところからして、被控訴人等は、専従役員として、和教組の業務に専従し得る労
働関係上の権利を有する筋合いであるから、控訴人等の本件専従不承認処分によつ
て、右の各権利を侵害される関係にあることが、明かである。
 専従休暇ないし在籍専従活動を単に反射的利益にすぎないとする控訴人等の見解
は、採用できない。又、専従不承認処分は、単に教職員の職務専念義務を継続させ
るにすぎないから、被控訴人等になんら不利益な処分ではないとする控訴人等の所
論は、専従不承認処分の本質を教職員の労働関係においてとらえない謬論であるか
ら、採用の限りでない。したがつて、被控訴人等は、権利を侵害された者として、
本件不承認処分の取消を求める抗告訴訟を提起し得ること勿論であつて、この点に
関する控訴人等の主張は理由がない。
 (四) 控訴人等は、本件専従不承認処分の対象とする一カ年の専従期間は、昭
和三五年三月末日をもつて満了したから、右処分の取消を求める訴の利益は失われ
たと主張する。
 被控訴人等が承認を申し出た専従期間が、昭和三四年度、すなわち、昭和三四年
四月一日から昭和三五年三月末日までの一カ年であつて、本件不承認処分も右期間
を対象としてなされたものであることは、当事者間に争なく、右期間が当審に本訴
の係属している間にすてに経過していることは、記録に徴して明かである。そして
成立に争のない甲第五号証、第二号証の一、二、原審ならびに当審証人Eの証言と
本件記録によれば、昭和三四年度における和教組関係の専従承認の申出は、被控訴
人等をふくめて全員とも拒否せられたので、被控訴人等は、本件不承認処分を違法
として、昭和三四年四月一三日和歌山県人事委員会にその取消措置を要求し、次い
で同月一六日付で本訴を提起して、これを争う一方、前記申出の専従期間にわたつ
て和教組の業務に専従したことが認められ、控訴人等各市教委およびその補助参加
人の県教育委員会が、その間における被控訴人等の専従活動を、職務専念義務に違
反して事実上専従活動をしたものとして、違法とみなしていることは、弁論の全趣
旨に徴して、明かである。控訴人がわは、右違法評価は、本件不承認処分の直接の
効果としてではなく、職務専念義務違反を根拠とするものであるというけれども、
控訴人等のいう職務専念義務違反は、本件不承認処分の適法を基礎としてはじめて
いい得ることであつて、違法なる専従不承認処分は、違法に職務専念<要旨第一>義
務を免除しないことに通ずるのである。そうすると、右申出にかかる専従期間が経
過しても、本件不承認処分が取り消されない以上、被控訴人等の前記労
働関係上の権利に対する違法なる侵害の結果として、被控訴人等の右期間における
専従活動に対して現にこれを違法とする評価を受け、ひいては、右専従期間がいわ
ゆる専従休暇期間として、昇給、昇格、退職金等の取り扱い上、公務に従事した
「正規の勤務時間」に算人されないのみならず、右専従活動が職務専念義務違反と
して、前記専従条例にいう「職務に復帰する権利」に影響をおよぼす等の法律上の
不利益を招く関係にあるものといわなければならない。したがつて、本件の違法な
る専従不承認処分による権利侵害の結果は、なお現存するものというべきである。
 而して、本件不承認処分の対象とする専従期間の満了した後において、右処分を
取り消す確定判決は、当事者間における既判力として、その処分の違法を確定する
とともに、行政事件訴訟特例法第一二条に規定する拘束力として、処分庁である控
訴人等各市教委および任命権者である補助参加人の県教育委員会に対し、判決が処
分を取り消す理由として指摘した点において、判決の趣旨に従つて行為することを
義務づけるものである。したがつて、右確定判決によつて、控訴人等の主張するご
とく、専従申出に対して未だ許否のない白紙状態に復帰するものではなく、控訴人
がわは、判決理由の指摘した点に関する限り、これと矛盾する見地に立つて、被控
訴人等の昭和三四年度における専従活動に対して違法評価を加えることができなく
なるばかりてなく、右専従活動を理由とする不利益取り扱いが許されなくなるもの
といわなければならない。もし、前記のごとき権利侵害の結果が現存するにかかわ
らず、処分後の期間経過を理由として、その処分の取消を求められないとすれば、
違法なる専従不承認処分によつて権利侵害を受けたとする被控訴人等の法律上の地
位は極めて不安定なものとなるばかりでなく、その権利救済の途は実際上ほとんど
失われることになる。
 したがつて、被控訴人等が違法に本件不承認処分を受けたとして、これによる権
利侵害の結果が現存する以上、被控訴人等は、その処分の対象とする専従期間の経
過後においても、右処分の取消を求める抗告訴訟を維持して本案判決を求める法律
上の利益を有するものといわなければならない。この点に関する控訴人等の主張は
理由がない。
 (五) 本訴は、訴願を経由していないから、違法であるとの主張について、
 本件専従不承認処分は、地公法第四九条にいう不利益処分に該当するものではな
い。又、それが教職員の勤務条件に関するものとして、被控訴人等が地公法第四六
条により、和歌山県人事委員会に対し、控訴人等各市教委により適当な措置が執ら
れるべきことの行政措置を要求し得るにしても、人事委員会の執り得る措置は、市
教委に対する勧告にとどまり、しかも、その勧告は、人事委員会の性格機能に鑑
み、市教委がこれを尊重しなければならないにしても、市教委を法律的に拘束する
ものではない。ところで、訴願前置主義を採用する行政事件訴訟特例法第二条にい
わゆる訴願は、裁決庁が訴願の対象である行政処分の適否を判断して、処分庁を法
律的に拘束する結論を出し得ることを法律上の要件とするものと解すべきである。
したがつて、本件不承認処分に対する地公法第四六条に基く行政措置の要求は、右
特例法にいう訴願ではない。結局、本件不承認処分に対しては、右特例法にいう訴
願の前置ば認められていないというの外はないから、訴願の前置を前提とする控訴
人等の主張は、理由がない。
 二、 そこで、本案に入つて判断する。
被控訴人等が、その主張のごとく、公立中学校の教員で、和歌山県人事委員会に登
録された職員団体である和教組に所属し、昭和三四年度の和教組の専従役員として
選出されたので、控訴人等各市教委に対し、前記各専従条例に基いて、専従承認の
申出をしたところ、いずれもその不承認処分を受けたことは、すでに認定したとお
りであるから、次に、その処分の当否に関する争点について検討する。 (一) 
控訴人VおよびWの各市教委は、被控訴人BおよびCの両名については、本件処分
当時より引き続き職務に従事することを許されていないから、専従休暇を請求し得
ないと主張する。
 右被控訴人両名が、昭和三三年九月七日、地公法第三七条違反被告事件の被告人
として、和歌山地方裁判所に起訴され、補助参助人の県教育委員会より、同年一一
月一七日、停職六月の懲戒処分を受け、次いで昭和三四年五月一七日、右刑事事件
が裁判所に係属中休職処分に付され、本件処分当時より現在にいたるまで、職務に
従事することを許されていないことは、当事者間に争がない。しかしながら、職員
が職員団体の業務に専従し得る前記の労働関係上の権利は、職員団体の団結権を現
実に保障するために認められたものであつて、職員が現に職務に従事し得る権利を
有するか否かにかかわりはないから、右被控訴人等が専従役員として和教組の業務
に専従し得る右労働関係上の権利は、停職又は起訴休職の処分によつて影響される
ことはないというべきである。現に、右被控訴人等は、昭和三三年度の和教組の専
従役員に就いていたが(この点は争がない)、同年度の途中で受けた右停職処分に
よつて、その地位を奪われてはいないのである(この点は弁論の全趣旨に徴し認め
られる)。したがつて、右被控訴人等は、右処分中でもかかる権利の行使として、
市教委に対し、専従承認の申出をなし得るものであり、又その処分中でも、職員と
しての身分を有し、公法上の勤務関係に立つ以上、本来の職務以外の和教組の業務
に専従するについて、市教委の専従承認を得なければならないのである。ただ本件
専従条例にいう「休暇」は、専従承認の効果とみるべきであるから、右被控訴人両
名は、たとえ専従承認を得ても、右停職又は起訴休職中は、その処分の効果の方が
優先し、本件専従条例および前記の市町村立学校職員の給与等に関する県条例によ
る「休暇」ないし「無給休暇」の取り扱いを受けられず、その専従期間が公務に従
事したものとして取り扱われないことがあるにすぎない。又専従許可を得ておかな
いと、将来、もし右停職等の処分が取り消されても、当局はその間の専従活動を適
法と認めないであろう。
 本件専従条例は、かかる「休暇」扱いを受けられない事情下にある職員の専従活
動を排斥している趣旨と解すべきではない。もし、右条例が、それら職員の専従申
出の権能を否定し、前記の労働関係上の権利を剥奪する趣旨の下に制定されている
ものとすれば、その限りにおいては、職員団体の団結権を保障し専従職員の制度を
認めた地公法の精神に反するものとして、憲法第九四条、地方自治法第一四条一項
および地公法第五条一項に反するものとして、無効といわなければならない。
 したがつて、右被控訴人両名は本件専従承認の申出をなし得るものというべきで
あつて、これに反する控訴人等の主張は理由がない。
 (二) 和教組の構成員の範囲について
 控訴人等は、和教組は、組合員ならびに組合の役員に非職員をふくんでいるか
ら、地公法上、不適法な職員団体というべきであり、したがつて、かかる不適法な
職員団体のためにする被控訴人等の専従承認の申出を拒否した本件不承認処分は、
違法ではないと主張する。
 和教組が、昭和三三年一一月一七日以来、懲戒免職処分に付された訴外A以下七
名を組合員としてふくみ、それ等の者が免職後昭和三四年度にかけて引き続き和教
組の執行委員長、書記長又は常任執行委員の地位に就いていることは、当事者間に
争がない。
 ところで、職員団体がその構成員に非職員をふくみ得るかの問題は、本件の最も
基本的な争点をなすものであつて、控訴人がわは、その構成員は職員に限られると
するのに対し、被控訴人がわは、まず、主たる構成員が職員であれば足りると主張
して、それぞれその論拠を展開している。そこで、職員団体の構成員の資格、範囲
について考えてみるのに、
 1 地公法第五二条一項は「職員は、給与、勤務時間その他の勤務条件に関し当
該地方公共団体の当局と交渉するための団体を結成し、若しくは結成せず、又はこ
れに加入し、若しくは加入しないことができる。」と規定し、職員がいわゆるオー
プン・シヨツプ制の職員団体を結成する権利(狭義の団結権)を認めているが、そ
の職員団体の構成員の資格範囲に関しては、地公法には、公労法第四条三項や地公
労法第五条三項のように、職員でなければ組合員にも組合の役員にもなれないとい
うような非職員排除の立法措置がとられていない。地公法の右規定が「職員は」と
定められていることから、その文理ないし論理解釈として、構成員を職員に限ると
解することはできない。かかる解釈の許されないことは、公労法、地公労法の前記
法条が、その第一項において、地公法の右規定と同じように、「職員は」という書
き出しで職員のオープン・シヨツプ制の組合を結成する権利を認めながら、しかも
なお、右のごとく、その三項において、非職員を排除することを規定していること
に徴しても、明かであつて、公労法地公労法の右排除規定が全く無意味なものとは
到底解し得ないからである。
 2 地公法の附則第一三ないし一五は、従前の官公庁労働組合を地公法上の職員
団体として存続させる要件として、「主たる構成員が職員であるもの」は、一定の
期間内に同法第五三条一項の規定による登録申請をなすべきことを規定している
が、右登録申請に当つて非職員を構成員から整理排除すべきことを定めた附則規定
はないし、本法の中にも、かかる排除規定のないことは、上叙のとおりである。又
地公法第五三条一項の職員団体の登録制は、職員団体が自主的民主的に組織構成さ
れたことを公証するための制度にすぎず、職員の団結権を拘束制限するものではな
いし、そのような制限を加える目的のために利用されてはならない。したがつて、
地公法の右附則は、同法の施行後においても、主たる構成員が職員で一部の非職員
を包含する職員団体の存続することを前提とした規定と解しなければならない。右
附則が地公法施行の経過規定であるということから、同法施行後に一部非職員を包
含するにいたつた職員団体につき、その施行当時から一部非職員を包容する職員団
体と差別扱いすることは、法の下における平等を保障した憲法第一四条一項の趣旨
に違反するものであつて、許されない。
 3 地公法は、職員に対し、労働組合法等の適用を排除し、団体協約を締結する
権利を否認し、争議行為を禁止する一方、職員の団結権については、職員団体の組
織形態に干与(地公法第五二条二、三項、教育公務員特例法第二五条の六)するほ
か、その構成員の資格範囲については、前述のとおり別に規制をしないで、これを
認め、協約締結権をふくまない範囲で、その勤務条件に関し、団体交渉し得る権利
を認めている。地公法が職員にこれらの権利を認めたのは、一般勤労者の階層に属
する職員と、それら職員の勤務条件に関して管理執行の権限を有する使用者的立場
にある行政当局とが、労働関係において、対立的関係にある現実を直視し、職員が
当局の支配を離れて、自主的に、職員団体を組織し、その団結の力によつて、勤務
条件の改善を図ることを得せしめようとするものに外ならない。このため、職員
は、職員団体の結成若しくはこれへの加入又は正当な団結活動のために、当局から
不利益な取り扱いを受けることから保護されているのであり(地公法第五六条)、
又職員団体の適法な団結活動に関する限りにおいては、これに対する当局の支配介
入の許されないことも、当然の事理に属する。これらは、職員の団結活動に対する
当局からの干渉を禁止し、職員の自治ないし自主的運営を擁護するものに外ならな
い。職員が争議行為をした場合においても、当該職員が任命上又は雇用上の権利の
保障を失うことあるを規定するにとどまり(地公法第三七条二項)、免職又は解雇
を受けた場合の当該職員の職員団体における地位への影響については、なんら規定
するところがない。これらの諸点に徴すると、地公法は、前記のごとき禁止又は制
限の規制をのぞく範囲においては、職員団体の組織運営については、職員の自治に
任せているものと解し得るから、職員団体の構成員の資格、範囲についても、職員
の自主性を尊重するように解釈する方が、地公法の趣旨にそうものということがで
きる。
 4 職員団体の構成員の範囲に関する解釈と憲法との関係についてみると、地方
公務員である職員も、憲法第二八条にいう「勤労者」の中にふくまれるから、同条
の上では、職員は自由に他の勤労者と団結体を組織して労働運動をなし得る筋合い
であり、地公法は、憲法上保障された勤労者の団結権を、職員について具体化した
ものに外ならない。したがつて、職員の団結権に関して、その構成員の範囲が職員
に限られるかそれとも地公法の前記附則の程度に制限されたものと解するかについ
ては、いずれも憲法上の他の原理が働いて来なければならない。ところで、地公法
は、明文をもつて、前述のごとく、職員の争議行為を禁止し、団体交渉における協
約締結権を否認したが、その理由は、職員が公務員として、全体の奉仕者であると
か、公共の福祉とかいう憲法上の原理に基くものである。職員の争議行為が地方自
治の機能をまひさせ、住民に至大の迷惑をおよぼす危険性があり、又団体協約締結
権が住民の代表者によつて構成される地方自治体の議会の権限を侵して、地方自治
の根幹をおびやかす危険性を有するという点において、職員の争議権、団体交渉権
については、右規制原理の働く根拠が存するといえよう。その点で、職員団体は、
一般の労働者の組織する労働組合のように、争議権を背景として、労使の力関係に
よつて、労働条件を自主的に決めるのとは、著しく異なつているが、争議行為の禁
止等の理由としてあげられる前記のような根拠だけで、職員団体の構成員の範囲ま
でも、厳密に職員に限らねばならぬというのは、理由として薄弱たるをまぬがれな
い。けだし、職員がその勤務条件の改善を要求する団結力の強化策として、職員団
体の構成員に一部の非職員を包容したからといつて、そのことから直ちに憲法にお
ける公務員の原理ないし秩序に危険性を招来するとは思われないし、又その構成員
から、たとえ僅かでも、非職員を排除しなければ、公共の福祉を阻害するおそれが
あるものとは、いい得ないからである。このことは、地公法の前記附則が、同法施
行当時の職員団体につき、一部の非職員を包容し得ることを認めていることから
も、うかがわれるところである。しかし、職員団体が職員の勤務条件に関する交渉
団体であり、職員を中心として団結活動すべきものであることも、勿論であつて、
そのことが憲法における団結権保障の原理からも、公務員秩序確保の必要性から
も、要請されるところである。結局、憲法における団結権保障の要請と、公務員秩
序確保の要請との調整として、職員団体は、その組織の運営上、職員の自主性が失
われない限度において、非職員を包容し得るものと解するのが、憲法の理念に即し
た解釈ということができよう。
 5 控訴人等は、右3、4、に関連して、地方公務員が、全体の奉仕者として公
共の利益のために勤務すべき特別の勤務関係に立ち、労働組合法、労働関係調整
法、労働基準法第二条等の適用を除外され、争議行為等を禁止されたという、労働
関係の特殊性なり労働法上の地位を前提として、「私企業に近い地方公営企業の労
働組合についてさえ、非職員の加入を認められていない以上、より強く全体の奉仕
者たることを要請される一般公務員の職員団体については、特別の規定をまつまで
もなく、当然、非職員の加入を認めていないと解するのが、地公法の趣旨に合す
る」と主張し、これを支持する見解(乙第二〇号証のX氏の意見)があるが、これ
らは、労働法の分野における地公法の体系的叙説から、職員団体における非職員排
除の結論を導き出すものであつて、立法論としては兎も角、地公法の解釈論とし
て、未だ当裁判所を首肯させるに足りない。かかる立論が許されるとすれば、地方
公営企業や国鉄等の公共企業体に勤務する職員が、地公労法、公労法により争議行
為を禁止されている以上、地方公務員や国家公務員は、地公法や国家公務員法の争
議行為禁止の規定をまたずして、争議行為を禁止されているということにもなるで
あろう。かかる立論の許さるべきでないことは、勿論である。
 6 なお、右4に関連して、外部勢力の排除が職員の自主性を尊重することにな
るかどうかをみるのに、法が職員の自主性を尊重するということは、国家権力又は
使用者的立場にある当局の干渉から、職員をまもることが眼目であつて、団結を保
護するという外観のもとに、職員団体の内部構成に干渉することであつてはならな
い。ところが、職員団体が非職員をふくまないことによつて、外部勢力からその自
主性がまもられるという解釈は、現実には、職員団体の団結活動を推進する組合幹
部級の職員を免職処分に付し、非職員へ転化することによつて、それらの職員を自
動的に職員団体から排除し、じごそれらの職員を外部勢力として排撃し得るとい
う、当局がわに都合のよい機能を営ましめ、職員団体の組織の弱化を招来させる危
険性をはらんでいる事実に想到すれば、かかる解釈の仕方が、果して、職員の自主
的団結を真に尊重する目的に出ているかどうか、極めて疑わしい。
 又、職員ばかりで構成されていた職員団体において、組合運動の犠牲者として被
免職者を出し、、それら極く少数の被免職者が、外部勢力として、職員団体に包容
され、幹部役員に就いた場合、公務員関係の秩序に対し、いかなる影響があるかに
ついてみるのに、その包容自体が職員団体の構成員たる職員の自主的民主的決定に
基くのであるから、その包容によつて職員団体が本質的に変容したり過激化したり
して、公務員秩序に対する破壊的活動の危険性が増大するものとは、必ずしもいえ
ないし、又、職員団体の団結活動が幹部指導によることが多いとしても、そのこと
自体職員団体の内部運営に関する事柄であるばかりでなく、構成員のほとんどを占
める職員の意向を反映するのが常態というべく、仮りに、それら職員から浮き上が
つた幹部独走があるとすれば、それら職員の批判にさらされるだけで、公務員秩序
への波及は懸念するほどのことはないであろう。又、職員団体は他の職員団体と事
実上の連合体(本件の場合はいわゆる日教組)を結成し、それがさらに大きな労働
組織体に加わつているのが実情であり、職員団体は、その運動の面において、必ず
しも孤立して活動するものではなく、すでにそれら上部組織の指導若しくは影響の
もとに世論の批判、動向を汲みながら行動するものであるから、大きな労働運動の
流れにおいて大局的に観ずれば、前記のごとき僅かの外部勢力が職員団体に包容さ
れたからといつて、そのことのために、直ちに、公務員関係の秩序を破壊する危険
性があるとは、断定し得ない。しかのみならず、かかる危険性を強調して、明文も
ないのに、地公法上の職員団体の構成員の範囲を職員に限るとする解釈は、問題が
憲法の保障する団結権に関するだけに、妥当な法解釈の態度とはいえない。
 <要旨第二>以上1.ないし6.に述べたところを綜合し、地公法上の職員団体
は、その構成員の資格、範囲として、その構成員がすべて職員であるこ
とを要せず、職員団体の組織運営上、職員の自主性が失われない限度において、非
職員を包含し得るものというべく、したがつて、主たる構成員が職員であれば足
り、被免職者をふくめて一部の非職員を、構成員としても差し支えないものと解す
るのを相当とする。したがつて、約六〇〇〇名の職員を構成員とする和教組(この
点は争がない)は、被免職着たる前記Aら七名の非職員を構成員として包含し得る
ものというべく、かつ、職員団体において、誰れを代表者又は役員とするかは、そ
の構成員の自主的民主的に決し得るところであり、たとえ非職員がその代表者又は
役員に選出されてその地位に就いたとしても、これに干渉すべき筋合いでないか
ら、前記Aら七名が和教組の構成員として、前述のごとく、その執行委員長その他
の役員に就いたからといつて、和教組を地公法上の不適法な職員団体ということは
できない。それ故、控訴人等が、和教組を構成員ならびに組合の役員の点で、不適
法な職員団体として、本件専従不承認処分をした点は、その他の争点について判断
するまでもなく、違法である。
 以上の判断に反する控訴人等の法律上の見解は、すべて、当裁判所の採用しない
ところであり、この点に関する控訴人等の主張は理由がない。
 (三) 和教組は連合体か、単一体か。
 控訴人等は、和教組は、市町村単位の教職員組合をもつて組織する連合体として
登録されているにかかわらず、現実の和教組は、登録当時から、その趣旨に賛同す
る県下の教職員をもつて組織された単一体(単位職員団体)であつて、かかる単一
体は、地公法および教育公務員特例法第二五条の六による適法な職員団体とはいえ
ないから、本件専従不承認処分は違法ではないと主張する。
 成立に争のない甲第一号証、乙第一号証の一、二、第二号証の二、第四号証、第
九号証の一、二、第一四、第一七号証、当審証人Eの証言により和教組が印刷に付
したものと認められる乙第二号証の二、原本の存在ならびに成立に争のない乙第一
〇号証の一ないし四、第一三号証の一ないし三と原審ならびに当審証人E、原審証
人K、当審証人L(一部)、M(一部)、Nの各証言を綜合すると、次のとおり認
められる。
 1. 和教組は、以前、規約の趣旨に賛同する県下公立学校教職員をもつて組織
された単一体であつたのを、昭和三〇年三月頃市町村単位の教職員組合をもつて組
織する連合体に改め、昭和三三年四月頃右連合体としての法人格を取得するため、
定款を作成し、同月二三日県人事委員会に登録申請し、同月三〇日登録せられて現
在にいえつている(ただし右登録の事実は争がない)。ところで、右定款にいう市
町村単位の教職員組合が実際いかなる組織を指すかは、必ずしも明かでない。しか
し、当時、和教組は、和歌山、海草、那賀等八つの各地方に支部を置き、各支部は
その自主性を認められて別に規約、機関、役員をもち、かつ、支部管内を概ね行政
区劃により地域別の数地区に分けて、それらに関する細則を定め、末端の組織とし
て、各市町村若しくは市町村組合の設置する小、中学校ごとに、当該学校の教職員
の中の組合員から成る職場単位の分会をつくつていた。各分会若しくは地域別の組
織は、支部規約の定めるところに従い、その代表者をもつて、支部の機関(代議員
会、郡委員会、支部委員会等、その名称は支部規約によりまちまちである)を構成
するだけで、その代表者が和教組本部の大会その他の各機関を構成することはな
く、和教組の大会は、各支部ごとに組合員によつて選出された代議員をもつて構成
し、本部役員は大会で選挙されることになつていた。また、組合活動の面からいつ
ても、分会若しくは地域別の段階では、独自の活動はほとんどなかつた。しかし、
それは法的に制約されていたことによる。すなわち、教職員は、一般の市町村吏員
と異なり、その勤務条件は、県の条例で定められ、その給与は、県が負担し、その
任命権が県の教育委員会に属していることに対応して、教育公務員特例法により、
県単位の連合体組織でなければ、勤務条件に関する交渉団体として認められていな
い。したがつて、その交渉は、もつぱら、和教組の本部又は支部と県の教育委員会
又は郡単位に設けられたその出先機関(指導室といわれている)との間に行われ、
市町村単位の組織は活動する余地がなかつた。又、市町村単位といつても、和歌山
市のような大きな都市では、それだけで一つの支部をつくるところがあるかと思う
と、山間僻地の村などでは、小さい分会しか存しないところもあつた。したがつ
て、厳密に市町村単位で独立の教職員組合をつくることを強要することは、分断統
治の嫌いがないでもないのであつて、法律の面からみても、無理があると思われ
る。しかし、とも角、右のような事情からすれば、学校ごとの分会を市町村単位の
単位職員団体とみることもできるのであつて、かかる分会が前記定款にいう市町村
単位の教職員組合に相当し、ただ前記のような特殊事情のためもあつて、和教組は
連合体となつてからも、その組織の運営および活動の面で、単一体的に行動してい
たにすぎないと認められる。
 2. しかのみならず、和教組の前記連合体への組織変更は、県人事委員会の行
政指導によつて行われたものであるばかりでなく、県人事委員会においても、和教
組の前記登録申請に対して、和教組が地公法、教育公務員特例法第二五条の六およ
び県の「職員団体の登録に関する条例」(昭和二六年、八号)に適合するものと認
めて、連合体として登録し、県教育委員会や県下の市町村教育委員会においても、
和教組が被免職者のA以下七名を組合員に包含するにいたる以前においては、和教
組を適法な連合体組織の職員団体として認め、そのためにする専従の申出に対し、
終始例外なく承認を与えていたのである。
 右1.2.の事実を考えあわせると、和教組は、前記登録申請当時、その実態が
市町村単位の教職員組合の連合体であつたものと認定することができる。当審証人
Mの証言中、右認定に反する部分は前掲の証拠に照して信用できないし、乙第一六
号各証(その中、登録の有無に関する照会は、不能のことを照会するものである)
によつても、右認定を左右するに足りない。もつとも、前掲の証拠によれば、和教
組は、昭和三三年八月二八日の第一八回臨時大会において、規約改正の件を上程し
たが、そのとき上程された規約の第二条が「この組合はその趣旨に賛同する県下教
職員を以て組織する」となつていたことから、和教組は、連合体としての前記登録
定款をもちながら、これとは別に、単一体としての規約も維持していたのではない
かという疑念が生ずるのであるが、前記登録定款(乙第一号証の一)と右改正のた
めに上程された規約(乙第二号証の一、但し選挙規定をのぞく。乙第一三号証の三
参昭)とを比較すると、前者の第二条が「この組合は、市町村単位の教職員組合を
もつて組織する連合体である」と定め、後者の第二条が前記のごとく、単一体とし
て定めている点をのぞいて、ほとんど同一文書から成つており、和教組が究極的に
はその趣旨に賛同する県下の公立小、中学校の教職員を構成員とするものであつ
て、連合体として登録後も、その運営面では単一体として動いていて、県人事委員
会や県教育委員会もその点を容認していたので、和教組においても、右規約改正の
件としては、本来定款の規定を上程すべきものを、単一体当時の規約を上程したに
すぎないものと認められる。そして、右大会においては、前記規約の第二条の本文
自体が改正案として上程されたわけではなく、又前記定款の第二条本文を改正して
組合の組織を変更した形跡もうかがわれない。これらの点に徴すると、和教組が前
記のごとく昭和三〇年三月頃から連合体としての規約をもちながら、それとは別
に、秘密裡に、昭和二七年二月当時からの単一体規約を保持し、組織形態をずつと
単一体としていたものとまで認めるのは、相当でない。したがつて、右規約改正の
際に乙第二号証の一の規定が上程されたことは、上叙の認定を動かす資料とし難
い。
 以上により、和教組を単一体とする控訴人等の主張は、理由がない。
 (四) 現在の和教組は、登録された職員団体とはいえないとの、控訴人等の主
張について(組織の同一性の問題)、
 1. 和教組が被免職者のAら七名を構成員として、組合役員に就かせているこ
とは、上叙(二)で述べたとおりであるけれども、そこで説示したところからも明
かなように、右被免職者七名の包含によつて和教組の組織の実態に本質的変化を来
たすものではないから、かかる非職員の包容は、職員団体としての同一性を失わし
めるものではない。
 2. 前掲乙第一号証の一、第一三号証の三、証人E、Kの各証言によれば、和
教組は、定款上、その執行正副委員長、書記長、書記次長およびその他の常任執行
委員の選挙ならびに承認は、大会の決定事項とされていたのを、前記臨時大会にお
いて、これらの役員の選出は、全組合員の直接無記名投票による(この選挙方法に
ついては争がない)と定款を変更したことが認められるけれども、地公法第五三条
三項、教育公務員特例法第二五条の六第二項によれば、教職員の連合体組織の職員
団体の役員の選挙につき、要件を緩和し、連合体を構成する団体ごとに選出せられ
た代議員の直接選挙によつで、選出しても差し支えない旨を規定するにとどまり、
連合体を構成する全組合員の直接選挙によつてその役員を選出することを禁ずる趣
旨ではないから、右選挙規定の改正によつて、和教組が組織の同一性を失うものて
ないことは勿論である。
 3. 控訴人等主張のごとく、前記臨時大会において、定款の専門部に校長部を
追加し、大会開催時期を「原則として五月に開く」ことに変更したことは、当事者
間に争ないけれども、かかる追加変更は職員団体の同一性を失わしめるものではな
い。
 4. 前記(三)にかかげた証拠ならびに説示によれば、和教組は、従来、現職
の教職員ばかりで構成し、組合の役員もすべて現職の組合員から選出され、定款も
その建前でつくられていたが、前記臨時大会において、「組合業務によつて教職員
たる身分をそう失した場合は、組合員としての資格は失われない」旨を議決し、右
のような非職員が組合員ならびに組合の役員たる資格をもつように、定款を変更し
たことが認められる。被控訴人等は、右の定款変更は、その後昭和三四年五月の定
期大会において、削除したと主張するけれども、原審ならびに当審証人Eの証言は
信用し難く、他に右削除を認めるに足る証拠はない。
 5. 和教組が、構成員の範囲、組合役員の資格および選挙規定、専門部の追
加、大会開催時期について、以上のごとく定款を変更しながら、その旨の変更登録
手続を経ていないことは、前記甲第一号証、乙第一号証の一に照して、明かであ
る。そのうち、構成員の範囲および組合役員の資格を非職員に広げたことは、職員
団体の組織上、極めて重要な事項であるけれども、それら非職員の範囲は、「組合
業務によつて教職員の身分をそう失した場合」に限定されているし、その適用を受
けて現在和教組の組合員となつている者はAら七名だけであるから、和教組が職員
の自主性の確保された職員団体であることにかわりないことは、前にも述べたとお
りである。又、右選挙規定の改正によつて、和教組の民主的運営が毫も影響を受け
るものでないことも、明かである。したがつて、以上のごとき定款変更によつて、
和教組が職員団体としての基本要件たる自主性民主性を失うわけではないから、和
教組が右定款変更の登録手続をしていないからといつて、現在の和教組の登録が効
力を失つているというのは、当らない。
 以上により、和教組が登録当時と組織の同一性を失い、登録された職員団体では
ないという控訴人等の主張は、理由がないから、控訴人等は、右を理由として被控
訴人等の専従承認の申出を拒否し得ない。
 (五) 公務の支障について
専従承認の申出に対する控訴人等各市教委の承認行為が羈束行為であることは、理
由の冒頭で説示したとおりである。そこで、控訴人等の、専従承認は公務に支障が
あるとの主張について検討する。
 1. 当審証人N、M、Lの各証言を綜合すると、県教育委員会(以下、県教委
という)から昭和三四年三月頃県下市町村教委に対し、「非職員をふくむにいたつ
た和教組は、不適法な職員団体であるから、市町村教委が昭和三四年度の新役員に
専従休暇を承認しても、県教委としては、専従者の後任を補充しない」旨の指示が
あつたので、控訴人等各市教委は、県教委より後任の補充がない限り、被控訴人等
に専従許可を与えては、公務に支障を来たすものと考えて、被控訴人等の本件専従
申出を拒否したものであることが認められる。
 ところで、和教組がAら七名の被免職者を構成員に包含しても、不適法な職員団
体となるものではないこと、以上に説示したとおりである。そうすると、県教委
が、和教組の専従者に対する後任補充権をもち、かつ、団体交渉において和教組の
相手方に立つべきものとして、使用者的立場にありながら、その組織構成上適法な
職員団体である和教組を、違法視して右のごとき内容の指示をしたことは、和教組
に対する支配介入行為として、許されないところといわなければならない。県教委
の右の一般的指示は、結局、県教委が、違法に補充を行わないことに帰する。した
がつて、控訴人等各市教委は任命権者たる県教委が違法に補充を行わないことによ
つて作為的に起こされる公務の支障を理由として、本件専従不承認処分をしたもの
であるが、かくのごとき公務の支障は、本件の各専従条例にいう「公務に支障」あ
る場合に全然該当しないというべきである。したがつて、控訴人等の右理由に基く
本件専従不承認処分は、違法である。
 2. 控訴人等は、和教組の専従者の人数は、他の都道府県に比し、多いから、
公務に支障があると主張する。
 控訴人等が当審において、本件不承認処分の理由として、右主張を追加すること
は、訴訟法上、許されるところであるが、上記一、の(四)で述べたごとく、和教
組の昭和三四年度の専従役員は、被控訴人等をふくめて全員、所管の教育委員会か
ら専従不承認処分を受けた事実に徴すれば、控訴人等の右主張は、被控訴人等に対
する本件不承認処分の理由づけとして、具体性を欠き、主張自体理由がない。
 3. 控訴人等は、不承認のまま専従活動を強行した者に専従許可を与えること
は、教育秩序を乱し、公務に支障があると主張する。
 本件の各専従条例にいう「公務」の「支障」とは、職員が教育の場を離れること
によつて生ずる客観的な支障をいい、控訴人等主張のごとき規律違反による教育秩
序への悪影響のごときは、右条例の専従承認の基準としての、公務の支障に当らな
いし、本件においては、不承認処分の違法性の有無に対する判断が先決問題である
から、控訴人等の右主張は理由がない。
 4. 控訴人等は、被控訴人BおよびCの両名につき、停職者又は起訴休職者を
専従者とすることは、教育秩序へ悪影響があるから、公務に支障があると主張す
る。
 控訴人等各市教委は、教職員の本来の勤務関係の面で、その服務監督あるいは県
教委に対する内申に際し、教職員の適格性を評定することができるにしても、専従
承認の申出に対する許否に当つて、当該教職員が停職者又は起訴休職者として、全
体の奉仕者たるにふさわしくないという観点から、専従者としての適格性を論ずる
がごときは、職員団体に対する支配介入として、許されないところといわなければ
ならないし、又、それら教職員の専従活動の教育秩序への影響のごときは、上記
 3. で公務の支障を説明したのと同じ理由から、本件各専従条例にいう「公務
に支障」ある場合に該当しない。
 (六) 結論
 以上の次第で、控訴人等が本件専従不承認処分をした根拠は、いずれも理由がな
く、その不承認処分は違法といわなければならない。したがつて、その不承認処分
を取り消した原判決は、結論において、相当であり、本件控訴はいずれも理由がな
い。
 よつて、民事訴訟法第三八四条、第八九条、第九三条を適用して、主文のとおり
判決する。
 (裁判長裁判官 沢栄三 裁判官 木下忠良 裁判官 寺田治郎)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛