弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各控訴を棄却する。
     当審における未決勾留日数中九〇日宛を被告人等の各本刑に算入する。
         理    由
 弁護人水谷利之が陳述した控訴趣意は、記録に編綴の同弁護人提出の控訴趣意書
に記載のとおりであるから、これを引用する。
 同控訴趣意について。
 しかし原判決挙示の関係各証拠によれば、原判示第三事実は優に認められる。す
なわち、被告人両名は昭和三五年四月一一日午後九時頃原判示A方に集まりB、C
と共に判示D方において金員の窃取に失敗すれば刃物で同人を脅して強取しようと
共謀した上、被告人Eは登山用ナイフを、Bはあいくちを、Cは日本刀をそれぞれ
携帯して右四名共にD方屋内にいたり金員を物色したが見当らなかつたので、右四
名は更に同屋内において就寝中のDに布団をかぶせ煉瓦で頭を殴打して金員を強取
しようと謀議を重ねた末、Bが煉瓦を用意してDの寝室に近付くや否や、同人が起
上つて「泥棒」と叫んだので被告人両名は直ちに逃走し、Bは襖の蔭に隠れたDに
発見されて捕えられたため、逮捕を免れる目的を以て咄嗟に所持のあいくちで同人
の腹部を一回突刺して逃走し、同人をして翌一二日右刺創により死亡するにいたら
しめたものである。
 <要旨>思うに、刑法第二三六条の強盗罪と同法第二三八条のいわゆる事後強盗罪
とは犯罪の構成要件を異にするが、前者は財物盗取の手段として暴行脅迫を
加える罪であり、後者は財物盗取(又はその未遂)後これを確保する等のため暴行
脅迫を加える罪であつて、両者は犯罪の態様が酷似し何れも強盗罪を以て評価せら
れる犯罪類型に属し且つ法定刑も全く同一であるから、強盗を共謀した上窃盗に着
手した後、共犯者の一人において事後強盗をしたときは、該行為につき共犯者はす
べて故意の責任を負うべきものと解するのが相当である。本件についてみると、被
告人両名はB等と強盗を共謀して窃盗に着手し未遂に終つたものであるから、共犯
者Bが犯行現場で咄嗟に単独で逮捕を免れるため盗難被害者に暴行を加えた事後強
盗につき、たとえ所論のごとき予見を有しなくとも故意の責任を免れ得ないものと
いうべきである。そして、強盗致死は強盗の結果的加重犯であつて強盗と致死との
間に因果関係の存することを以て足り、致死の結果に対し予見や過失を要しないも
のと解すべきであるから、被告人両名がBの作為による事後強盗につき共謀共同正
犯としての責任を有する以上、右強盗による致死の結果につき予見、過失がなく、
また兇器の使用を予期しなかつたとしても、強盗致死の刑責を免れることができな
い筋合である。なおまた、共謀共同正犯は実行正犯と犯意の連絡を有するものであ
るから、実行正犯の行為につき刑事責任を負担すべきものとしても毫も刑罰個人責
任の原則に反するものではない。記録を精査しても原判決に所論の如き審理不尽、
採証の誤、事実誤認は存しない。論旨は理由がない。
 そこで、刑事訴訟法第三九六条に則り本件各控訴を棄却し、刑法第二一条に則り
当審における未決勾留日数中九〇日宛を各その本刑に算入すべきものとし、主文の
とおり判決する。
 (裁判長裁判官 藤井亮 裁判官 中村荘十郎 裁判官 臼杵勉)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛