弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人樋渡俊一の上告受理申立て理由第二点について
 一 原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
 1 被上告人B1は、昭和五五年一二月九日、D(昭和三六年二月二一日生)と
婚姻し、同人との間に、被上告人B2(昭和五八年一月二四日生)及び同B3(昭
和五九年一一月二一日生)をもうけた。被上告人らは、平成四年当時、その生活を
Dに依存していたところ、Dは、同年九月八日に殺害されたが、上告人は、右殺害
行為の実行前に、その正犯から依頼を受けて偽装工作をすることを約束し、これに
より、右殺害行為を容易にした。
 2 Dは、平成三年度には七八〇万円の収入を得ていたが、他方、約四八億円の
負債を抱えていた。Dの相続人である被上告人らは、相続の放棄をした。
 二 本件は、被上告人らが、上告人に対し、Dから受けることができた将来の扶
養利益の喪失等の損害についてその賠償を求めるものであるところ、原判決は、前
記事実関係の下において、上告人はDの殺害行為の幇助者として不法行為責任を負
うとした上で、次のとおり判示して、被上告人らの請求をいずれも認容した。
 Dが殺害されることがなければ、被上告人らは、Dの収入の一部を扶養料として
享受することができたといえるが、Dの約四八億円にものぼる債務がD及びその家
族である被上告人らの生活に影響を及ぼしたであろうことも否定できないから、扶
養権侵害による損害額の算定の基礎としては、死亡時前年度の年収七八〇万円をそ
のまま用いるのは相当でなく、賃金センサス平成四年第一巻第一表・産業計・企業
規模計・学歴計・男子労働者の平均年収額五四四万一四〇〇円を用いるのが相当で
ある。Dは、満六七歳に達するまでの三六年間は就労可能であったものであり、そ
の間は少なくとも右金額程度の収入を得ることができたはずであり、その間の同人
の生活費として、同人が世帯主であることを考慮して右収入額の三割を控除し、ラ
イプニッツ方式により中間利息を控除して計算すると、Dの死亡による逸失利益は、
六三〇二万六四三〇円となる。そして、被上告人B1は、Dの妻として、その二分
の一の三一五一万三二一五円について、また、被上告人B2及び同B3は、Dの長
女及び二女として、右逸失利益の各四分の一の各一五七五万六六〇七円について、
それぞれ扶養利益を喪失したものと認めることができる。
 三 しかしながら、原審の扶養利益の喪失による損害額の算定についての右判断
は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 1 不法行為によって死亡した者の配偶者及び子が右死亡者から扶養を受けてい
た場合に、加害者は右配偶者等の固有の利益である扶養請求権を侵害したものであ
るから、右配偶者等は、相続放棄をしたときであっても、加害者に対し、扶養利益
の喪失による損害賠償を請求することができるというべきである。しかし、【要旨
】その扶養利益喪失による損害額は、相続により取得すべき死亡者の逸失利益の額
と当然に同じ額となるものではなく、個々の事案において、扶養者の生前の収入、
そのうち被扶養者の生計の維持に充てるべき部分、被扶養者各人につき扶養利益と
して認められるべき比率割合、扶養を要する状態が存続する期間などの具体的事情
に応じて適正に算定すべきものである。
 2 これを本件についてみるに、原審は、Dの前記債務の負担状況にかんがみ、
扶養利益喪失による損害額の算定に当たり、同人の死亡時前年度の年収七八〇万円
をそのまま用いることなく、前記賃金センサスによる平均年収額五四四万一四〇〇
円を用いるべきであると判断しているが、Dの債務負担額が約四八億円にも達して
いることにかんがみると、なおこれを是認することはできない。また、Dの逸失利
益全額をそのまま被上告人らの扶養利益の総額とし、これを被上告人らの相続分と
同じ割合で分割して、各人の扶養利益の喪失分とした点、並びに被上告人B2及び
同B3については、特段の事情がない限り、Dの就労可能期間が終了する前に成長
して扶養を要する状態が消滅すると考えられるにもかかわらず、右扶養を要する状
態の消滅につき適切に考慮することなく、扶養利益喪失額を認定した点は、前記1
に判示した事項を適正に考慮していないといわざるを得ず、扶養利益喪失による損
害額の算定につき、法令の解釈適用を誤ったものというべきである。
 四 以上のとおり、右に述べた各点について、原審の判断には判決に影響を及ぼ
すことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
そして、以上の説示に従い、被上告人らの喪失した扶養利益の額について更に審理
を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井正雄 裁判官 大出
峻郎 裁判官 町田顯)

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