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平成24年(あ)第736号殺人,死体遺棄被告事件
平成26年10月16日第一小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人谷口渉,同黒原智宏の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当
の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認め
られない。
付言すると,本件は,被告人が,早朝,自宅において,同居していた長男(当時
生後5か月),妻(当時24歳)及び義母(妻の実母,当時50歳)の3名を殺害
し,その後,長男の死体を土中に遺棄したという殺人,死体遺棄の事案である。
その経緯,動機は,被告人が,本件の約1年前に妻と結婚した当初から義母とも
同居していたところ,義母が,被告人に対して,説教や,叱責,非難を繰り返すこ
とに嫌気がさし,義母との同居生活から逃れたいと思い悩んだ末に,その手段とし
て義母を殺害しようと考え,そのことによる逮捕を免れるためには妻も殺害するほ
かなく,乳児である長男も妻と一体であると考えて,家族3人の殺害を決意したと
いうものである。被告人に対する義母の言動には,結婚前後のことなど,被告人と
しては既に解決したと考えていた問題を繰り返し引き合いに出して非難するもの
や,被告人の両親に対する非難を理不尽に被告人に向けるものがあり,その口調も
激しいものであったから,若年の被告人がうまく対処できず,義母から逃れたいと
考えたこと自体には同情の余地があるものの,そのような事情で義母を殺害し,さ
らに妻子の殺害まで決意するというのは,余りに短絡的であるし,自らの自由を手
に入れるために家族3人を殺害したという点で,甚だ身勝手なものである。
各殺害の態様も,長男については,その頸部を両手で絞め付けて瀕死の状態にし
た上,全身を浴槽の水中に沈めて窒息死させたものであり,妻については,その就
寝中に洋包丁を手にして襲いかかり,目を覚ましたところを,その頸部を同包丁で
突き刺し,助けを求める声を上げても意に介さずに,後頭部をハンマーで5回くら
い殴打し,頭蓋骨を粉砕して脳挫滅により死亡させたものであり,義母について
も,目を覚まし立ち上がっていたところを,その頭頂部にハンマーを振り下ろして
殴打した上,倒れてからも後頭部を更にハンマーで3回くらい殴打し,頭蓋骨を粉
砕して脳挫滅により死亡させたもので,いずれも,強固な殺意に基づく,執拗で,
残虐なものである。また,被告人は,本件の数日前に3名の殺害を決意し,その方
法を考えた上で,犯行前夜には職場の倉庫から上記ハンマーを持ち帰るなどしてお
り,本件は相当に計画的な犯行であるし,3名殺害後は,勤務先の資機材置場に穴
を掘って,長男の死体を埋めて遺棄したほか,埋めきれなかった妻と義母について
は,強盗犯人に殺害されたと装うべく,部屋が荒らされた様子を作出し,貴重品を
持ち出して草むらに隠匿するなどもしており,殺害後の情状も悪い。3名の殺害と
いう結果は誠に重大であり,義母の母ら遺族が厳しい処罰感情を示しているのも無
理からぬことである。
以上の事情を踏まえると,被告人が義母から逃れたいと考えたこと自体には同情
の余地があること,被告人に前科はなく,犯罪性向が強いとはいえないこと,被告
人が反省の態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮し
ても,その刑事責任は誠に重大であり,被告人を死刑に処した第1審判決を維持し
た原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のと
おり判決する。
検察官野口元郎公判出席
(裁判長裁判官山浦善樹裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官
横田尤孝裁判官白木勇)

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