弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
原告らの本件訴えをいずれも却下する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた判決
一 原告ら
1 第一次的請求
被告がした左記(一)及び(二)の処分をいずれも取り消す。
(一) 昭和五一年一二月二七日建築主株式会社第一勧業銀行に対し別紙目録一記
載の建物についてした総合設計制度による建築許可処分
(二) 昭和五〇年八月一五日付告示をもつてした別紙目録四記載の<地名略>特
定街区にかかる都市計画決定
2 第二次的請求
被告がした前記1の(一)及び(二)の処分はいずれも無効であることを確認す
る。
3 第三次的請求
(一) 被告が別紙目録一ないし三記載の各建物の建築の排除を請求せず、これら
の建築につき自ら許可ないし都市計画決定をし、もつて財産の管理を怠る事実が違
法であることを確認する。
(二) 被告が別紙目録四記載の都市計画決定を都市計画法二一条一項により取消
し又は変更せず、もつて財産の管理を怠る事実が違法であることを確認する。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
主文と同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告らはいずれも東京都の住民である。
2 東京都千代田区にある日比谷公園は、東京都が都市公園法等により設置管理す
る都市公園であり、その敷地は東京都及び国の所有に属し、国所有の部分の土地は
東京都が借り受けて使用している。右日比谷公園の敷地中、東京都所有部分の土地
はもとより、国から借り受けている部分の土地使用権も東京都の公有財産(行政財
産)であり、また、東京都所有の各種公園施設や樹木も同様である(地方自治法二
三八条一項一、三、四号)。更に、同公園又はその構成要素である土地、施設、樹
木等にかかわる健全かつ快適な環境要素、特に日照も、右土地等の所有権や使用権
に内在する資源又は本質的要素として、あるいは日照権等の独立の権利の対象とし
て、前記公有財産の一部又は独立の公有財産(同条一項四号)に当たるというべき
である。
3 被告は、昭和五〇年八月一五日付告示をもつて、日比谷公園の南側に位置する
こととなる別紙目録二、三記載の各超高層建物の建築を予定して、同目録四記載の
<地名略>特定街区を定める都市計画決定(以下、「本件都市計画決定」とい
う。)をし、また、同五一年一二月二七日建築基準法(昭和五一年法律第八三号に
よる改正前のもの)五二条三項、五六条三項及び東京都総合設計許可要綱に基づく
総合設計制度により建築主株式会社第一勧業銀行に対して日比谷公園の南東側に位
置することとなる同目録一記載の建物の建築を許可した(以下、「本件建築許可処
分」という。)。
4 第一次的及び第二次的請求について
(一) 被告がした本件都市計画決定及び建築許可処分は、前記公有財産又はその
本質的部分を「処分」することに当たる。けだし、本件都市計画決定及び建築許可
処分によつて必然的に日比谷公園の南ないし南東側に同公園に隣接して三棟の極め
て巨大な超高層建物が実現することとなる結果、同公園自体及びその敷地、施設等
に甚大な日照阻害、風害、天空及び景観の阻害等がもたらされることになり、同公
園の利用価値と快適性は激減し、その敷地等の財産的価値も減少することとなるの
であつて、被告がかかる結果をもたらす右決定及び許可処分をしたことは、とりも
なおさず同公園及びその敷地等の財産又はその本質的部分を右各建物の建築主に無
償譲与したか、あるいは被告自身がこれを損壊又は放棄したことと異ならないから
である。
そして、被告がした本件都市計画決定及び建築許可処分には次のとおり重大かつ明
白な瑕疵がある。
(1) 被告がした右決定及び許可処分は、地方自治法二三八条の四第一項、地方
財政法八条に違反し、かつ財産管理者としての基本的な善管義務に著しく違背す
る。
(2) 本件都市計画決定が予定する別紙目録二、三記載の建物の完成により、冬
至において日比谷公園の南側約三分の一が日照を阻害され、また著しい風害の発
生、風致景観の破壊など同公園の利用価値と快適性がほとんど半減されることにな
るとともに、震災時における建物の倒壊、ガラスの飛散などにより避難広場として
の同公園が死の広場と化する危険も生ずることとなる。このような環境破壊等をも
たらすこととなる本件都市計画決定は、既存の環境を破壊、低下することなく積極
的にこれを向上、増進させて健康で文化的な都市環境の形成確保に資するという特
定街区の趣旨、目的に違反するのみならず、昭和三九年四月三日建設省発都第七号
「特定街区計画標準」第二1(4)ハの(イ)(隣地等の日照の考慮)及び(ロ)
(建築物の高さ制限)にも違反することは明らかである。
また、被告は、都市計画法一六条の趣旨、本計画の重大性、都民参加をうたう都の
基本方針からすれば、本件都市計画決定をするに際し、当然公聴会を開催すべきで
あつたにもかかわらず、これをすることなく、しかも同法一八条による関係自治体
である千代田区、港区の付帯意見をも無視して本件都市計画決定を強行したもので
あつて、かかる決定には重大かつ明白な手続的違法がある。
(二) 仮に、被告がした本件都市計画決定及び建築許可処分が公有財産の違法な
「処分」に当たらないとしても、これらは次のとおり公有財産の違法な「管理」に
当たる。
すなわち、本件都市計画決定及び建築許可処分により各建物の建築主らは日比谷公
園の良好な景観を独占的に支配、瞰望し、従来同公園が享受しえた日照、天空等の
利益を横取り的に占取することとなる。かかる建築を容認する右決定及び許可処分
は、公有財産である日比谷公園及びその敷地等をその用途目的を明らかに害する方
法で私企業の独占的利用に委ねることにほかならず、これは都市公園法六条、七
条、地方自治法二三八条の四、地方財政法八条等に違反する管理行為として無効で
ある。
5 第三次的請求について
仮に、前記主張がいずれも理由がないとしても、被告には次のとおり財産の管理を
違法に怠る事実がある。
(一) 地方公共団体の財産は常に良好な状態において管理し、所有の目的に応じ
て最も効率的に運用しなければならない(地方財政法八条)のであつて、東京都の
財産管理者である被告としては、日比谷公園及びその構成要素である敷地等の価値
を正当な理由なしに著しく減損させるような第三者の行為を排除し、その財産を維
持保全すべき義務がある。しかるに、被告は建築基準法の原則からすれば建築でき
ない別紙目録一ないし三記載の各建物の建築を阻止するどころか、かえつて自ら積
極的に本件建築許可処分をし、あるいはその建築を予定する本件都市計画決定をし
て、違法に財産の管理を怠つている。
(二) また、本件都市計画決定後、日影規制に関する規定の新設を内容とする建
築基準法の改正が行われ、これに伴い近く制定施行される東京都の日影規制条例に
よると、右決定にかかる特定街区内に建築が予定されている各建物は大幅に右規制
に抵触することとなつた。更に、右決定後における災害問題の緊迫化、下水道など
都市施設の負担過重の重大化、省資源等の要請の高まりなどは、右決定の基礎とな
つた諸事情に極めて重要な変更をもたらし、現に右決定後に策定された東京都や国
の諸計画は、右のような諸問題の深刻化を指摘し、都心部の過密を推進する建物の
超高層化等を抑制すべきこととしているのであつて、しかも建設省は昭和五一年一
二月建築審議会答申に基づき霞が関付近の建物の高層化を二〇階程度に抑制し、皇
居及び日比谷公園との調和を確保することを決定しており、本件都市計画決定は、
これらに逆行するものとなつた。本件都市計画決定後に生じた以上のような重大な
事情の変更に照らせば、被告としては都市計画法二一条一項に基づき右決定を取り
消し、又は変更しなければならないにもかかわらず、被告はこれを怠り、日比谷公
園及びその敷地等の財産価値の激減を放置して、違法に財産の管理を怠つている。
6 原告らは、被告の右財産の違法な処分、管理及び怠る事実について、昭和五三
年二月二〇日東京都監査委員に対し監査請求をしたが、同委員は同年三月二日原告
らの右請求を却下した。
7 よつて、原告らは、地方自治法二四二条の二第一項二号及び三号に基づき、第
一次ないし第三次的請求として請求の趣旨記載の判決を求める。
二 被告の本案前の主張
原告らの本件訴えは、次の理由によりいずれも不適法であるから却下されるべきで
ある。
1 第一次的及び第二次的請求にかかる訴えについて
(一) 住民訴訟を提起しうる者は、適法な監査請求を経た者に限られるところ、
原告らは、本件都市計画決定及び建築許可処分について、それらが違法な財産の処
分又は管理に当たるものとしてその是正を求める監査請求をしていない。仮に、原
告らが昭和五三年二月二〇日にした監査請求が右の請求を含むものであるとして
も、その監査請求は、後記のとおり、地方自治法二四二条にいう財産に当たらない
日比谷公園そのものについて違法、不当な管理の是正を求めるものであるから不適
法であるし、また、是正を求める本件都市計画決定及び建築許可処分のあつた日か
らいずれも一年を経過してされた不適法なものである。
(二) 建築基準法に定める処分の取消しを求める訴えは、当該処分についての審
査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ提起することができない(建
築基準法九六条)ところ、原告らの本件建築許可処分の取消しを求める訴えは、右
裁決を経ていないから不適法である。
(三) 本件都市計画決定は、都市計画法上の地域地区の決定の一つであるが、か
かる決定は地方自治法二四二条の二第一項二号による取消し等の対象となる行政処
分に当たらないから、その取消し又は無効確認を求める原告らの本件訴えは不適法
である。
2 第三次的請求にかかる訴えについて
(一) 原告らが昭和五三年二月二〇日にした監査請求は、要するに被告が日比谷
公園の利用価値や快適性を維持すべき管理を違法に怠つているとして、その是正を
求めるものである。しかし、日比谷公園は全体として一の公の施設であつて地方自
治法二四二条にいう財産に当たらないから、その管理の違法、不当に関する事項は
監査請求の対象となりえず、原告らの右監査請求は不適法である。したがつて、本
件訴えも不適法といわざるをえない。仮に、本件訴えが、日比谷公園を構成する個
々の財産の管理が違法に怠られているとして、その事実の違法確認を求めるものと
するならば、原告らはそのような趣旨の監査請求をしていないから、不適法であ
る。
(二) また、原告ら主張の財産の管理を怠つている事実のうち、別紙目録三記載
の建物の建築に関する事実については監査請求をしていないから、本件訴え中右の
部分はその点で不適法である。
三 原告らの反論
1 被告の本案前の主張1の(一)について
(一) 原告らがした監査請求の対象となつた事項には、本訴で主張している財産
の処分又は管理に関する事実も実質的にはすべて含まれており、特に本件建築許可
処分の取消しについては明確に請求の対象として掲げている。また、監査請求と住
民訴訟の性格及び要件の相違、住民自治の実質的保障と直接参加のため設けられた
住民訴訟制度の趣旨からすると、監査請求の対象と住民訴訟の対象とが形式的に完
全に一致する必要はなく、両者の間には密接な関連あるいは請求の基礎の同一性が
あれば足りると解すべきところ、本件においては両者間に右の関連性あるいは同一
性が存することは明らかである。
(二) また、地方自治法二四二条二項所定の監査請求の期間は、「当該行為のあ
つた日又は終つた日」から起算すべきところ、本件都市計画決定及び建築許可処分
は、少なくとも建築の完了により日比谷公園及びその構成財産への被害が現実化す
るまではその効力が継続すると解されるから、未だ当該行為が終つたということは
できないし、そういえないとしても、本件における右期間は建築基準法による建築
主事の建築確認がされた日(別紙目録一記載の建物については昭和五二年二月二三
日、同目録二記載の建物については同年三月二三日)から起算すべきである。した
がつて、原告らの監査請求は地方自治法二四二条二項所定の期間内にされたもので
適法である。
仮に、原告らの監査請求が期間を徒過したものであつたとしても、東京都監査委員
はその点について何ら問題としなかつたから、右瑕疵は既に治癒されたというべき
であるし、そうでないとしても原告らには、当該行為のあつたことを確知しえなか
つたことなど地方自治法二四二条二項ただし書所定の正当な理由がある。
なお、原告らの監査請求が、専ら日比谷公園そのものの違法、不当な管理の是正の
みを求めるものでないことは、後記のとおりである。
2 同1の(二)について
本件建築許可処分について、原告らが一住民の立場で建築審査会に対し審査請求を
することができるとする明文上の根拠はなく、被告の主張はその前提を欠き失当で
ある。仮に審査請求が可能であるとしても、本件建築許可処分に際し同意を与えた
東京都建築審査会に対する審査請求は実質上意味がないことなどからすると、本件
においては行政事件訴訟法八条二項二号又は三号所定の事由がある。
3 同1の(三)について
特定街区を定める都市計画決定は、用途地域や高度地区を定めるそれとは異なり、
個別性が強く、容積率や建築物の高さの限度も特定されているのであるから、これ
を取消し又は無効確認の対象となる行政処分に当たらないとする根拠はない。まし
て、本件は財産の管理処分の面からその違法を主張する住民訴訟であつて、その対
象としてのいわゆる行政処分性は抗告訴訟の場合とは異なつた要件のもとにゆるや
かに肯定されてしかるべきである。
4 同2の(一)について
原告らが、監査請求において日比谷公園自体の管理の違法のみならず、東京都の所
有地である敷地その他同公園を構成する諸財産の財産的価値の激減を主張してそれ
らの財産の管理、処分の違法の是正をも請求していることは、監査請求書の記載か
ら明らかである。
また、被告は、公の施設は監査請求の対象となる財産に当たらないと主張するが、
地方自治法二四二条一項が公の施設の違法、不当な使用あるいは管理について監査
請求の対象から除外する趣旨のものであると解すべき根拠はない。
5 同2の(二)について
原告らが監査請求において別紙目録三記載の建物について明示しなかつたのは、同
建物が当時未だ建築確認にも至つていなかつたからであつて、監査請求書に「超高
層二棟を含む特定街区」と記載している以上、その一棟が同建物を示していること
は明らかであり、同建物に関する事実も監査請求の対象となつているというべきで
ある。
第三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 地方自治法二四二条の二の定める住民訴訟は、普通地方公共団体の執行機関又
は職員による同法二四二条一項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実につい
て、住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え、もつて地方財務
行政の適正な運営を確保することを目的としたものである。したがつて、住民訴訟
の対象となりうるのは、専ら当該地方公共団体の財務会計の分野に属する事務処理
のみに限られるのであつて、それ以外の非財務的な一般行政上の事務処理について
までこれを対象とするものでないことはいうまでもない。このことを同法二四二条
一項の定める財産の管理若しくは処分又はその管理を怠る事実(以下、「財産の管
理等」という。)についていえば、地方公共団体の執行機関又は職員の行為(不作
為を含む。)が違法な財産の管理等として住民訴訟の対象となりうるためには、そ
れが当該財産の財産的価値そのものの維持、保全又は実現のためにそれを直接の目
的としてされる行為でなければならないのであつて、その他の非財産的目的のため
にする行為は、たとえそれが何らかの形で右財産の財産的価値に影響を及ぼすこと
があるものであるとしても、これを財産の管理等に当たるとして住民訴訟の対象と
することはできないというべきである。
二 そこで、以上の見地から、まず、原告らが第一次的及び第二次的請求において
その取消し又は無効確認を求める本件都市計画決定及び建築許可処分が住民訴訟の
対象となりうるかどうかについて考えるに、原告らは、右決定及び許可処分がされ
たことにより、必然的に日比谷公園の隣接地に三棟の超高層建物が実現する結果、
同公園について著しく日照等の環境被害が生じ、同公園の利用価値、快適性又はそ
の敷地等の財産的価値が減少することとなるのであり、また、従来同公園の享受し
えた日照等の利益を右各建物の建築主に占取させることともなるのであるから、右
決定及び許可処分は同公園又はその敷地等の財産を処分又は管理する行為に当たる
旨主張する。
しかしながら、本件都市計画決定は都市計画法上の地域地区のひとつである特定街
区を定めるものであるが、都市計画は、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市
活動を確保し、土地の合理的な利用を図るという理念のもとに(都市計画法二条参
照)、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及
び市街地開発事業に関し都道府県知事又は市町村が定める計画であつて(同法四条
一項、一五条一項参照)、かかる都市計画を決定する行為は、当該地方公共団体の
財産の財産的価値の維持、保全又は実現を目的とする財務的処理とは全く関係のな
い都市計画法により委ねられた行政上の権限の行使にほかならない。また、本件建
築許可処分は建築基準法(昭和五一年法律第八三号による改正前のもの)五二条三
項及び五六条三項に基づく特定行政庁による許可を指すものと解されるが、それ
は、一定の要件のもとに特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がな
いと認めた建築物につき、その許可の範囲内において延べ面積の敷地面積に対する
割合及び高さに関する同法の基準を緩和する措置であつて、右許可もまた当該地方
公共団体の財産の財産的価値の維持、保全又は実現という見地から行われる行為で
ないことは明らかである。
このように、被告がした右決定及び許可処分は、それ自体としては非財務的な目的
及び性格をもつ都市計画行政又は建築行政の一環をなす行為であり、仮に、その結
果として、日比谷公園又はその敷地等の財産につき原告らが主張するような事態が
生ずるとしても、それは右各行為の本来的、直接的な効果ではないのであるから、
先に述べたところにより、右各行為をもつて被告が財産の処分又は管理に当たる行
為をしたものとみる余地はないというべきである。
そうすると、本件都市計画決定及び建築許可処分が財産の処分又は管理に当たると
してその取消し又は無効確認を求める原告らの第一次的及び第二次的請求にかかる
訴えは、いずれもその余の点について判断するまでもなく不適法な訴えといわざる
をえない。
三 次に、原告らの第三次的請求にかかる訴えについて検討する。
原告らは、被告が別紙目録一ないし三記載の各建物の建築の排除を請求せず、本件
都市計画決定及び建築許可処分をしたことが、日比谷公園又はその敷地等の財産の
管理を怠つたことになるとして、その違法であることの確認を求めるのであるが、
その趣旨は要するに、被告が右各建物の建築を抑制することなく、かえつてこれを
容認する右決定及び許可処分をしたこと自体の違法確認を求めるものにほかならな
いと解される。しかしながら、被告が右決定及び許可処分をすることは、前示のと
おり、当該地方公共団体の財産の管理そのものとは直接関係のない行為であり、右
各行為をしたことを財産管理の懈怠としてとらえて住民訴訟の対象とすることがで
きないことはいうまでもない。したがつて、右怠る事実の違法確認を求める原告ら
の訴えは不適法である。
また、原告らは、被告が都市計画法二一条一項により本件都市計画の取消し又は変
更をしないことの違法確認を求める。しかしながら、都市計画法二一条一項は、都
市計画決定後の社会的、経済的事情の変化などに応じて当該都市計画を変更すべき
必要が生じた場合に、都道府県知事又は市町村がこれを変更(廃止を含むと解され
る。)しなければならないこととしているものであつて、右規定に基づく都市計画
の変更(廃止)は、前記都市計画の決定と同様、財産の管理を直接の目的とする行
為ではない。したがつて、被告が右の変更(廃止)をしないことは、財産の管理を
怠つていることに当たらないから、住民訴訟の対象となりえず、その違法確認を求
める原告らの訴えも不適法というほかない。
四、以上のとおりであつて、原告らの本件訴えはいずれも不適法であるから、これ
を却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九
条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 佐藤 繁 中根勝士 佐藤久夫)
(別紙)(省略)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛