弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
一 控訴人らの被控訴人【A】に対する控訴をいずれも棄却する。
二 控訴人らの被控訴人破産者橋本製袋株式会社破産管財人【B】に対する破産債
権確定請求をいずれも棄却する。
三 当審における訴訟費用は控訴人らの負担とする。
       事実及び理由
第一 申立
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人【A】は、控訴人井関農機株式会社に対し、原判決別紙被告物件目録
記載の籾袋を生産し、販売し、拡布し、輸出してはならない。(なお、控訴人井関
農機株式会社は、破産者橋本製袋株式会社に対する原判決別紙被告物件目録記載の
籾袋の生産、販売、拡布、輸出の差止請求については、当審においてこれを取下げ
た。)
3 被控訴人【A】は、控訴人井関農機株式会社に対し金三〇〇〇万円、控訴人日
本パディバック工業会に対し金二〇〇万円及び右各金員に対する昭和六三年三月一
日から各支払済まで年五分の割合による金員を支払え。
4 (当審における新請求)
 神戸地方裁判所明石支部平成四年(フ)第四四号破産事件における破産者橋本製
袋株式会社に対する控訴人井関農機株式会社の破産債権が金三〇〇〇万円、控訴人
日本パディバック工業会の破産債権が金二〇〇万円であることを、各確定する(控
訴人らは、破産者橋本製袋株式会社に対する金員支払請求〔原判決の事実及び理由
第一の二〕を、同会社が当審係属後の平成四年六月一六日午前一〇時神戸地方裁判
所明石支部において破産宣告を受け、その債権調査期日で控訴人らの届出破産債権
につき破産管財人が異議を述べたことに伴い、本件訴訟につき破産管財人を相手方
として受継申立を行い、かつ、破産債権確定請求に訴えを変更したものであ
る。)。
5 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
二 被控訴人【A】
主文第一、第三項と同旨
三 被控訴人破産者橋本製袋株式会社破産管財人
主文第二、第三項と同旨
第二 事案の概要
一 事案の概要は、次のとおり付加訂正するほかは、原判決の事実及び理由「第二
 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決四頁七行目の「甲六二」を「甲六〇、六二」と訂正し、同五頁四行目の
「穀粒袋」の次に「1」を、同一〇行目の「チャック」の次に「3」を、各加え
る。
2 同一五頁末行の「被告らの行為」を「破産者橋本製袋株式会社及び被控訴人
【A】の行為」と、同一六頁一行目の「被告橋本製袋株式会社(以下「被告会社」
という。)」を「破産者橋本製袋株式会社(以下「破産会社」という。)」と、各
改めるとともに、同行以降の前記引用部分中に「被告会社」とあるのは、これをす
べて「破産会社」と改める。
3 同一六頁二行目末尾の「三一」を「一三」と改め、同三行目の「株式会社であ
る」の次に「が、平成四年六月一六日午前一〇時、神戸地方裁判所明石支部におい
て破産宣告を受け(同支部平成四年(フ)第四四号)、破産管財人に被控訴人
【B】(以下「被控訴人破産会社管財人」という。)が選任され、現在、破産手続
が進行中である」を加え、同四行目の「現在の」を「右破産宣告当時の」と、同一
八頁三行目の「九日」を「一九日」と、同二〇頁五行目の「販売している」を「販
売していたが、前記のとおり平成四年六月一六日午前一〇時破産宣告を受けた」
と、各改める。
4 同二一頁九行目と一〇行目との間に「(もっとも控訴人らは、右①の『内側に
折り曲げて縫着され』及び④の『外側に折り返して縫着され』との記述は、縫着の
方法でしかなく、形態とは重要な関係はないから、誤りであり、また⑥中の『逆台
形』は、『矩形〔逆台形もしくはその類似範囲内の正方形〕』とすべきであると主
張する。)」を加える。
5 同二一頁一一行目を「1 控訴人井関の被控訴人【A】に対する差止請求」
と、同二二頁六行目を「2 控訴人井関の被控訴人【A】に対する損害賠償請求及
び被控訴人破産会社管財人に対する破産債権確定請求」と、各改め、同一一行目の
「理由に、」の次に「被控訴人【A】に対しては、」を加え、同行の「請求。」を
「損害賠償請求、債権調査期日に異議を述べた被控訴人破産会社管財人に対して
は、同額の破産債権確定請求。」と改め、
同二四頁六行目を「3 控訴人工業会の被控訴人【A】に対する損害賠償請求及び
被控訴人破産会社管財人に対する破産債権確定請求」と改め、同九行目の「理由
に、」の次に「被控訴人【A】に対しては、」を加え、同行の「内金請求。」を
「内金二〇〇万円につき損害賠償請求、債権調査期日に異議を述べた被控訴人破産
会社管財人に対しては、同額の破産債権確定請求。」と、同二六頁七行目の「被告
ら」を「破産会社及び被控訴人【A】」と、各改める。
第三 争点に対する判断
 次のとおり付加訂正するほかは、原判決二六頁一〇行目から同五六頁七行目まで
に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 右引用部分中に「被告会社」とあるのは、すべて「破産会社」と改める。
二 原判決二七頁四行目の「逆台形」を「矩形(逆台形もしくはその類似範囲内の
正方形)」と改め、同三〇頁二行目と三行目との間に「(なお、控訴人らは右原告
籾袋の形態に関し、(一) ④の『外側に折り返して縫着され』ていることは①の
『内側に折り曲げて縫着され』ていることと共に、縫着の方法でしかなく『形態』
の特定要素とはなり得ない旨、及び(二) ⑥の補強片の形態につき前記引用の原
判決の記述は誤りである旨主張するが、右(一)の点は、なるほど縫着の方法に由
来するものではあっても、その結果において外観上の識別機能を備えているのであ
るから、これを『形態』の特徴の一つに捉えることに誤りはないし、(二)の点で
は、控訴人らの主張が『商品表示としての原告籾袋の形態〔訴状別紙(一)の一の
記載〕』として、原判決別紙(一)AないしD及び同(二)AないしCの各図面に
示される形態に限らず〔右図示形態に限れば、明らかに『逆台形』であって、前引
用の原判決記述に誤りはない〕、前記のとおり『矩形〔逆台形もしくはその類似正
方形を含む〕』であるものとなされていることは了解し得るが、そのように補強片
の形態の範囲を広げることは、かえって補強片が縫着されていることの前記機能的
意味合いを強める〔補強片の具体的形状に格別の意味がない〕こととなって、前記
認定を左右するに足る主張とはなり得ない。)」を加え、
同三三頁四行目の「販売をしていた」から同五行目の「含まれていた。)。」まで
を、「販売をしていたもので、しかもその中には破産会社及びその前身の橋本商事
株式会社が製造し、直接又はテザック等を通じてクボタに販売していた原告籾袋
(一)と同一の形態の籾袋も含まれていた。」と、同一一行目の「乙一九の1~
4」を「乙一四、一九の1~4」と、同三六頁五行目の「示されていること」を
「示されていることからして、少なくとも、その当初のころ製造、販売された原告
籾袋とされる籾袋の中には、原告籾袋の形態のうち④(底部三つ折り二重環縫
い)、⑤(下部角部斜め縫い合わせ)を具備しないものが相当数含まれていたもの
と思われる。また、補強片(原告籾袋の形態⑥)に関しても、前記のパーツリスト
に図示の補強片は逆台形であるが」と、同行の「c」を「イ」と、同一〇行目の
「d」を「ロ」と、各改め、同三七頁二行目末尾の「e」から同八行目の「以降で
あること、」までを削除し、同行の「f」を「ハ」と、同一一行目の「しているこ
と、」を「していることに照らすと、当初から逆台形に統一されていた訳ではな
く、正方形の補強片も存し、これが逆台形に統一されたのは、昭和五三年ころ以降
と認められる。」と、各改め、同行の「g」から同三九頁二行目まで及び同四二頁
一〇、一一行目をいずれも削除する。
三 同四三頁末行の次に行を改めて次のとおり加える。
「(当審における控訴人らの付加的主張)
 もともと破産会社ないし被控訴人【A】は、控訴人工業会グループの一角を占め
る下請業者であったところ、その締結していた下請関係についての契約(甲一七~
一九、二〇の1)は、本件意匠及びクボタ意匠の実施許諾契約の性格を有し、破産
会社ないし被控訴人【A】は、右各意匠権の実施として、原告籾袋を下請生産して
きた。即ち、破産会社ないし被控訴人【A】は、その下請生産する原告籾袋が、本
件意匠及びクボタ意匠の類似範囲内にあることを承認してきたものである。従っ
て、これと同一形状の被告籾袋が本件意匠及びクボタ意匠と類似することは当然で
ある。
 ところが原判決は、被告意匠の構成として認定したうちの、
形状とは無関係の折り方や縫い方に関する部分であり、かつ、指摘・説明がなけれ
ば気づかないような微細部分である、袋の上辺が外側に折り返され二条の縫い目に
より縫着されている点(原判決認定の被告意匠の構成c)、袋の下辺の折り返し縁
がまとめて背面側に折り返される等して一条の縫い目により縫着され、左右に縫糸
の余端糸がみられる点(同構成f)が、看者の注意を強くひく部分であるとして、
類似性を否定したもので、その判断は明白な誤りである。また、侵害物件の構成の
うち登録意匠と相違する部分があっても、その部分が既存の公知意匠に照らして新
規部分でないときは、その部分を重視すべきではないところ、前記相違点は、被告
意匠が製造販売された以前から一般に用いられているありふれた構成であり、何ら
目新しいものではないから、この点からしても、前記相違点の存在をもって、本件
意匠及びクボタ意匠との類似関係を否定するのは誤りである。」
四 同五二頁二行目から同四行目までを次のとおり改める。
「(五) 控訴人らの当審における付加的主張について
 破産会社ないし被控訴人【A】が、控訴人井関、販売実施権者との間で締結して
いた下請関係についての契約(甲一七~一九、二〇の1)は、本件意匠及びクボタ
意匠の実施許諾契約の性格を含むものであり、破産会社ないし被控訴人【A】は、
右契約に従い、原告籾袋を下請生産してきたものであるから、その限りでは、破産
会社ないし被控訴人【A】は、その下請生産する原告籾袋が本件意匠及びクボタ意
匠の類似範囲内に含まれることを承認してきたかのごとくである。しかし、被控訴
人【A】は、本件意匠及びクボタ意匠と現に破産会社ないし被控訴人【A】が下請
生産していた原告籾袋とではその形状が大幅に相違することから、本件意匠及びク
ボタ意匠の類似範囲内に含まれるとは認識していなかった旨供述していることに加
え、現に後記争点2(二)に対する判断で認定のとおり、被控訴人【A】は、I・
K・Sに対し、その下請生産する原告籾袋に関し、袋の開口部上部端縁の折り返し
を外折れとする(前記被告意匠の構成c)仕様変更を申し入れ、
これを控訴人井関との契約関係に基づいて下請生産する籾袋として採用することを
申入れ、一度はその内諾を得ている(即ち、右契約に基づき下請生産されるもの
に、厳密には本件意匠及びクボタ意匠の類似範囲内に含まれないものでも、これを
排除するものではないことが当事者間に了解されていた。)こと、一方で、【C】
において、これにつき実用新案登録出願及び意匠登録出願をしていることにも照ら
すと、形式的には、破産会社ないし被控訴人【A】は、控訴人井関との前記下請関
係についての契約に基づき原告籾袋を下請生産してきたものとはいえ、そのことか
ら、実質的にも原告籾袋が本件意匠及びクボタ意匠の類似範囲内に含まれることを
承諾してきたものとは認めがたく、他にこれを認めるに足る確たる証拠もない。
 また、前示認定のとおり、本件意匠及びクボタ意匠(その各類似意匠も含め)に
おける袋本体の下辺部の構成とそれによる形状は、いずれも折り返し不要の底部シ
ームレスの袋であるか、折り返し縁が袋内側に折り返されている構成による形状を
示すものと認められるところ、本件意匠が出願された昭和四一年当時はもとよりク
ボタ意匠が出願された昭和四三年当時にあっても、籾袋として一般的であったのは
底部シームレスのものであったもので、被告意匠のような構成fを採用するものは
いまだ一般的にはなっていなかったこと(被控訴人【A】)、即ち、底部シームレ
スの袋の場合にあっては、籾袋本体部分を原糸から織り上げるに際し、これを二重
にして筒状チューブとし、これに一定感覚でドビー又はジャガード織等の織着帯を
設けることにより、この部分を切断するだけで縫製することなしにこれを下辺部と
する籾袋とすることができる利点がある反面、その反復使用により底部の織着帯が
ほつれ、その荷重及び衝撃による強度に不安がある等の難点があったため、底部が
シームレスの袋に関しても底縫いがなされるようになり、さらに昭和四三年ころ以
降から、長期の使用や衝撃にも耐え得る袋本体底部の縫製方法として二重環縫いの
籾袋への導入が図られ、
これにより籾袋本体部分を原糸から織り上げるに際し織着帯を設けることなく筒状
に織り上げ、これ(エンドレスチューブ)を切断し、縫製時にその底部を二重環縫
いによって縫い合わせる方法によって、底部シームレスの袋より強度的にも優れた
籾袋の生産が可能となって以降初めて、籾袋において、被告意匠のような構成fを
備える形状の籾袋が出現したものであること(乙八、検乙一二の1、2、被控訴人
【A】)、被告意匠の構成cに関しても、従来の内折りでは、開閉時にファスナー
がひっかかり、また、内折り部分に籾が残るといった難点を解決するとともに、縫
製の合理化を図る方法として、昭和六一年ころ被控訴人【A】がこれを考案し、採
用されるに至った形状であり(甲四九、乙五~七、被控訴人【A】)、いずれも、
本件意匠及びクボタ意匠(その各類似意匠も含め)にはなかった新規な形状と認め
られる。そして右構成c、fは、袋本体の開口部及び底部の形状であり、正面及び
背面の上辺及び下辺部に表れる模様であるところ、籾袋という物品の性質上、前示
認定のとおり右部分の形状及び模様は、その使用時及び流通時に看者、取扱者のも
っとも注意をひく部分であると認められるから、被告意匠の構成c、fをもって、
意匠とは無関係の折り方や縫い方に関する部分で、かつ、指摘・説明がなければ気
づかないような微細部分であり、また、その構成はありふれたもので、何ら目新し
いものではないものとすることはできない。
 以上のとおりで、控訴人らの当審における付加的主張はこれを採用できず、他に
前記認定を左右するような主張・立証はない。」
五 同五五頁八行目の「二〇の6~10、」及び同五六頁八行目から同末行までを
削除し、同七行目の次に行を改めて次のとおり加える。
「四 以上によって明らかなとおり、控訴人らが主張する不正競争防止法違反、意
匠権侵害及び本件下請契約生産契約違反の事実はいずれもこれを認めることができ
ないから、控訴人らの請求はその余について判断するまでもなく、いずれも理由が
ない。」
第四 結論
 よって、控訴人らの請求はいずれも失当としてこれを棄却すべきものであるか
ら、
控訴人からの被控訴人【A】に対する控訴はこれを棄却し、当審における新請求で
ある控訴人らの被控訴人破産会社管財人に対する破産債権確定請求はこれを棄却す
ることとし、当審における訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用し
て、主文のとおり判決する。
(裁判官 潮久郎 山崎杲 上田昭典)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛