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平成30年3月14日判決言渡
平成25年第5526号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日平成29年12月18日
判決
主文
1被告らは,原告に対し,連帯して6703万0431円及び
これに対する平成24年4月15日から支払済みまで年5分の
割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余
を被告らの負担とする。
4この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
被告らは,原告に対し,連帯して2億0331万6542円及びこれに対す
る平成24年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,亡A(以下「A」という。)の相続人(父母)である原告及び訴訟
承継前原告亡B(以下「B」という。)が,被告らの暴行によってAが死亡し
たと主張して,被告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償として(なお,
原告及びBの固有の慰謝料については民法711条に基づき),原告において
は9635万7644円及びこれに対する不法行為の後の日である平成24年
4月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯
支払を,Bにおいては1億0695万8898円及びこれに対する同日から支
払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案
である。
Bが,本訴係属中である平成28年12月25日に死亡したため,Bの相続
人である原告が訴訟手続を受継した上で,その請求を,上記第1のとおり変更
した。
1前提事実(争いのない事実のほかは,後掲各証拠(枝番があるものでその
全てを摘示する場合には,その記載を省略する。以下同じ。)及び弁論の全
趣旨により明らかに認められる。)
当事者等
ア原告は,昭和a年生まれの男性であり,Aの父である。Bは,昭和b年
生まれの女性であり,Aの母である。(甲1)
イAは,昭和c年d月e日生まれの女性であり,平成24年4月頃死亡し
た。Aは,原告及びBの間の唯一の子であり,死亡当時,Aに配偶者及び
子はいなかった。(甲1)
ウ被告Cは,昭和f年生まれの男性であり,被告Dは,昭和g年生まれの
女性である。被告らは夫婦であり,平成24年2月頃まで漫画喫茶を営み,
そのほかに,名古屋市h区でラーメン店「E」(以下「本件ラーメン店」
という。)を経営していた。(甲2の6,47,顕著な事実)
本件の経緯等
アAは,平成24年4月当時,名古屋市内で一人暮らしをして,漫画喫茶
で働いていたところ,同月14日午前0時頃に仕事を終えた後,連絡が取
れなくなり,その頃死亡した。(甲2の2,2の6)
イ被告らは,平成24年4月頃,Aの遺体を愛知県i町内の畑に埋めて同
人の死体を遺棄した。Aが当時使用していた自動車(以下「本件車両」と
いう。)は,同月24日,α港で放置されているのが発見され,Aの遺体
は平成25年4月19日に発見された。
被告らは,同月21日,Aの遺体を遺棄したという死体遺棄被疑事件の
被疑者として逮捕され,同年5月12日,起訴された(以下,この死体遺
棄に係る刑事事件を「本件死体遺棄事件」という。)。
(以上につき,甲2の5,2の6,2の8,5,乙A1,2)
ウ被告らは,平成25年8月6日に,Aに暴行を加えて死亡させたという
傷害致死被疑事件の被疑者として再逮捕されたものの,同月27日,同事
件について,処分保留となり,同年9月6日,不起訴処分となった。原告
及びBは,上記不起訴処分を不服として,検察審査会に対して審査を申し
立てたところ,名古屋第一検察審査会は,平成26年1月23日,被告ら
に対する各不起訴処分はいずれも不当であるとの議決をした。しかしなが
ら,検察審査会の上記議決を受けて再捜査が行われた後も,被告らが,傷
害致死事件の被告人として起訴されることはなかった。
被告らは,平成26年3月12日,第1審において,本件死体遺棄事件
について懲役2年2月の判決言渡しを受け,同判決はその後の被告らの控
訴取下げにより確定した。
(以上につき,甲2の7,2の8,16,41)
本件訴えの提起
原告及びBは,平成25年12月16日,被告らに対し,本件訴えを提起
した。(顕著な事実)
原告によるBの相続
アBは,平成24年7月2日,名古屋法務局所属公証人F作成に係る同年
j号遺言公正証書により,不動産,預貯金,投資信託及び株式を含む全て
の財産を原告に相続させる旨の遺言をした。(甲34)
イBは,平成28年12月25日,死亡した。(甲33)
被告Cによる供託
被告Cは,「Aの遺体を隠匿ないし遺棄し,もって,原告及びBの遺族と
しての固有の権利を害し精神的苦痛などの損害を与えた」ことに係る損害賠
償として,平成26年2月4日,原告及びBの代理人弁護士に対して,各1
00万円の弁済を提供したが,受領を拒絶されたため,同月13日,原告及
びBを被供託者として,各109万0685円(100万円及びこれに対す
る平成24年4月14日から口頭の提供日である平成26年2月4日までの
遅延損害金)を名古屋法務局豊田支局に供託した。(乙A1,2)
2争点
被告らのAに対する暴行の有無及び態様
被告らがAに加えた暴行とAの死亡との間に相当因果関係があるか
損害額
3争点に関する当事者の主張
争点(被告らのAに対する暴行の有無及び態様)について
(原告の主張)
被告らは,平成24年4月14日未明頃,被告Cが経営していた本件ラー
メン店において,共同して,素手で顔面を叩いた後に,店内に置いてあった
豚の骨を割る金属棒(以下「本件金属棒」という。)のT字になっている取
っ手部分で,Aの腹部を数回突き,同人がうずくまったところを,さらに腹
部を叩きつけるという暴行を加えた。
(被告らの主張)
被告らは,Aに対する傷害致死被疑事件の被疑者の地位にあることなどの
事情から,黙秘権を行使し,認否をしない。ただし,被告らがAの死亡に関
し不法行為責任を負うとの主張は争う。
(被告らがAに加えた暴行とAの死亡との間に相当因果関係がある
か)について
(原告の主張)
Aは,前記被告らが肩を
ゆすっても反応がなくなり,呼吸も心臓も停止した。このような経過に加え,
法医学の専門家であるG医師が,本件金属棒で腹部を突いた場合には腸間膜
や腸管が破裂して大量の出血を招き得る旨を証言していることからすれば,
被告らの暴行(特に被告Cが本件金属棒でAの腹部を突いたこと)に起因し
て,Aは内臓損傷による失血により死亡したものと考えられる。反面,被告
らによる暴行からAの死亡までの間に第三者の行為等の他の死亡要因が介在
しておらず,Aに死につながるような病気も発見されていない。
以上の点からすると,被告らによる暴行によってAが死亡したことについ
て,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得る状況になっ
たといえるから,被告らによる暴行とAの死亡との間には相当因果関係が認
められる。
(被告らの主張)
事実関係については,黙秘権を行使し,認否をしない。また,被告らの暴
行とAの死亡との間に相当因果関係があるとの部分は争う。
原告は,Aに対する加害行為の内容や加害行為から死亡までの時間的経過
を具体的に特定していないため,死亡機序が明らかでない。そして,Aの死
因も,「内臓損傷による失血死」という以上に特定されていないから,原告
は,被告らの暴行とAの死亡との間に相当因果関係が存在することについて,
その立証責任はおろか主張責任すら果たしていないものであり,その主張自
体が失当である。
さらに,原告が主張する死亡機序は,①Aには腹腔内出血が生じていた可
能性があり,②その腹腔内出血は被告らの暴行により生じた可能性があり,
③その腹腔内出血が死因となった可能性があるという,仮説に仮説を重ねる
ものであるから,通常人が疑いを差し挟まない程度の真実性の確信を持ち得
る程度の立証が行われたとはいえない。また,Aの遺体を解剖したH医師は,
腹腔内出血について何ら言及していないから,前提となる腹腔内出血が生じ
ていたとは認め難いし,仮に腹腔内出血が生じていたとして,それが生前に
生じたものか死後に生じたものかも明らかでない。
以上によれば,被告らの暴行とAの死亡との間に相当因果関係があるとは
認められない。
本件について,検察官は,捜査機関が収集した証拠を全て検討した上で,
Aに対する傷害致死被疑事件について,被告らを2度にわたり不起訴処分と
しているところ,その理由は因果関係の立証が不可能であるからと断じてよ
く,民事事件において,その裁定を覆すことは,特段の事情がない限り許さ
れない。
争点(損害額)について
(原告の主張)
原告は,次のイの損害を被るとともに,次のア及びウの各損害に係るA及
びBの損害賠償請求権を相続したものであって,原告が被告らに対して請求
し得る損害額は,合計2億0331万6542円を下らない。
アAが被った損害9264万0889円
被告らがAを暴行し,同人を死亡させたという不法行為により,Aは次
の損害を被った。
葬儀費用170万円
葬儀費用として170万円の損害が生じた。なお,原告は,Aの葬儀
に要した費用の全てについて明細を有しているわけではないことから,
葬儀費用として一般的な相場である170万円を請求するものである。
逸失利益3966万0889円
基礎収入を394万1400円(賃金センサス平成23年女子学歴計
40~44歳。なお,Aの給与に関して資料が現存していないため,賃
金センサスにより計算した。),就労可能年数26年,生活費控除率を
0.3として,Aの逸失利益は,下記(計算式)のとおり,3966万
0889円である。
(計算式)
3,941,400円×(1-0.3)×14.3752(就労可能年数26年に対応するライ
プニッツ係数)=39,660,889円
車両代金128万円
本件車両はAが所有していたところ,被告らによってAの遺体を隠匿
するために用いられたこと,ナンバープレートが外され,車体番号を削
り取られた状態で放置されたことにより,買い手がつかなくなり,使用
不能になった。このため,本件車両は廃車とせざるを得なくなり,Aに
は本件車両の購入費用相当額である128万円の損害が生じた。
死亡慰謝料5000万円
Aは被告らの暴行によって死亡したところ,生前,被告らから繰り返
し暴行を受けていたこと,死亡後に被告らがAの遺体を遺棄したことも
考慮すれば,Aの死亡慰謝料は5000万円が相当である。
イ原告が被った損害5003万7200円
軽自動車税7200円
本件車両は,長期間原告ないしBに返還されることなく警察署で保管
されることとなったため,平成25年度軽自動車税を納税する必要が生
じ,原告においてこれを支払った。使用不能となった本件車両に生じた
軽自動車税相当額は,被告らによる不法行為と相当因果関係がある損害
に当たる。
検案料等3万円
Aの検案及び検案書作成費用として3万円を要したところ,原告は,
これを支払った。
原告固有の慰謝料5000万円
被告らがAを死亡させたため,原告及びBは唯一の子を失うこととな
った。また,被告らがAの死亡を隠蔽し,正確な死体遺棄場所を供述し
なかったため,Aが死亡してから遺体が発見されるまでの1年以上の間,
原告とBは,Aが行方不明のため生死不明という状態で過ごすことを余
儀なくされた。さらに,Aの遺体が埋められていたため死因が特定でき
なくなったこと,被告らが本件死体遺棄事件において黙秘をしたことに
よって,原告及びBは,Aの死亡に至る経緯も死因も知ることができな
かった。
このため,原告は,甚大な精神的苦痛を受けたものであって,原告に
対する慰謝料は,5000万円が相当である。
ウBが被った損害6063万8454円
部屋代等63万3634円
Bは,Aが行方不明になった平成24年4月から平成25年9月まで
の間,Aが居住していた賃借物件(以下「A宅」という。)の家賃(月
額3万4000円×18か月=61万2000円)のほか,退去精算不
足分7984円,残置物処分代1万3650円を支払った。A宅は,犯
行に使用された可能性や,犯行に関係するものが残っている可能性があ
ったため,警察から賃借を続けるよう依頼され,平成25年9月までの
間,賃借を継続して賃料を支払い続けたものであり,これらの費用は,
被告らの不法行為によって生じた損害に当たる。
Bの精神的苦痛による治療費4820円
Aが行方不明になって以降,Bはうつ症状となり,そのための診療,
投薬費用として4820円を要した。
B固有の慰謝料6000万円
前件により,Bは甚大な精神的苦痛を受
けたものと認められるところ,前Bは,本件不法行為に
起因してうつ症状となり,治療を受ける必要が生じたことも考慮すると,
Bに対する慰謝料は,6000万円が相当である。
(被告らの主張)
不知ないし黙秘する。
被告らが原告及びBに対する固有の慰謝料部分に係る不法行為責任を負う
ことは争わないが,その金額は争う。被告らが行った不法行為は,Aの遺体
を遺棄・隠匿したことにとどまるから,原告及びBの固有の慰謝料は,それ
ぞれ100万円が相当である。なお,原告が黙秘権行使を慰謝料の加算事由
として主張しているのであれば,憲法に違反する違法な主張である。
また,被告Cは,前提事実のとおり供託をしたから,原告らの固有の慰
謝料については全額が弁済済みである。
第3当裁判所の判断
1認定事実((被告らのAに対する暴行の有無及び態様)に対する判断
を含む。)
前記前提事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認
められる。
Aと被告らとの関係性等
アAは,平成14年頃から被告Cが経営する漫画喫茶「I」(以下「本件
喫茶店」という。)でアルバイト店員として勤務していた。(甲31,4
3,49)
イ被告Cは,平成24年2月末をもって,本件喫茶店の営業を終了し,A
も本件喫茶店を退職した。そのため,Aは,同年3月以降,別の漫画喫茶
でアルバイト店員として働き始めた。(甲2の2,2の3,44,49)
被告らのAに対する暴行等
ア被告Cは,平成24年4月,Aが本件喫茶店の売上金を横領していたと
聞いたことから,同月14日未明,被告Cが経営する本件ラーメン店を訪
れたAに対し,横領の件を激しい口調で問いただした。
そして,被告CとAのやりとりに,途中から被告Dも加わったが,被告
らは,Aに反省している様子がないと感じたことから苛立ちを募らせ,A
に対して暴力を加え始めた。被告らは,当初は,平手でAの顔を叩くなど
していたが,被告Cは,怒りがおさまらず,本件ラーメン店の店内にあっ
た本件金属棒を持ち出し,本件金属棒のT字型の取っ手部分を先端として,
Aの腹部を複数回叩いた。これによりAはうずくまったが,演技だと感じ
た被告Cは,更に腹を立てて,力一杯に複数回,Aの腹部付近を突いた(以
下,本件金属棒によるこれらの暴行を「本件暴行」という。)。
被告Cが上記暴行に用いた本件金属棒は,本件ラーメン店において,豚
骨を砕くために使用していた器具(全長約120センチメートル,重さ約
1.16キログラムのステンレス製)であり,片側がヘラ状で,もう一方
の片側が取っ手状となっているものであった。
(以上につき,甲18,43,47,49)
イAは,本件暴行を受けると,その直後にその場で床の上に倒れ込み,う
なり声を上げたが,その反応は徐々に小さくなった。その後,Aは倒れ込
んだまま呼吸をしなくなり,心停止して死亡した。被告らはAの脈をとっ
たり,人工呼吸をしたり,心臓マッサージをしたりしたが,Aが蘇生する
ことはなかった。(甲42,43,49。なお,被告らは,本件暴行と上
記のAの挙動等との時間的間隔が不明であると主張するが,甲43,49
の記載からすれば,Aは,本件暴行の直後に,暴行現場において倒れ込み,
比較的短時間の間に死亡に至ったものと認められる。)
被告らによるAの遺体の遺棄等
ア被告らは,本件暴行によりAが死亡したと考え,その犯行の発覚を防ぐ
ため,Aの遺体を遺棄することとした。そして,被告らは,Aの遺体を,
同人が本件ラーメン店まで乗ってきていた本件車両の車内に1週間程度隠
匿した。
被告らは,平成24年4月23日頃,愛知県i町内の畑に穴を掘り,A
の遺体を埋めて遺棄した。
(以上につき,甲42,43,46,48ないし51)
イまた,被告らは,犯行の発覚を防ぐため,本件車両を投棄することを計
画し,本件車両のナンバープレートを外し,車体番号を削り取った。そし
て,被告らは,名古屋市k区内にある港から,本件車両を海中に投棄しよ
うとしたが,失敗して車体が岸壁にひっかかってしまったため,同所に本
件車両を放置した。本件車両は,平成24年4月24日に発見された。(甲
2の2,2の4,2の8,31,49)
Aの遺体に対する司法解剖の結果等
平成25年4月19日,愛知県i町の畑内からAの遺体が,死蠟化した状
態で発見された。Aの遺体に対しては,同月20日,M大学大学院医学系研
究科法医・生命倫理学教授であるH医師により司法解剖(以下「本件解剖」
という。)が実施された。
本件解剖の際に撮影されたAの遺体の解剖写真等によれば,Aの遺体につ
いては以下の所見が認められた。
ア腹腔部等の着染状況
前提
遺体の腐敗変色の主体はヘモグロビンであるから,遺体の臓器の変色
は血量に依存することになる。このため,血量の多い肝臓や脾臓は,腐
敗着染が高度となり,緑色から進んで黒色化することも多い。他方,子
宮は平滑筋が主体であり淡褐色を示し,それほど血量が多い臓器ではな
いから,死蠟化した死体でも,通常は淡緑色の腐敗着染を示したままか
なり長く保たれる。また,腹腔内も,通常は淡黄色の透明な液が少し存
在する程度であるから,出血がなければ,黒い着染が生じることは通常
ない。
Aの遺体
これに対し,Aの遺体では,子宮前面の子宮頸部に当たる部分(腹腔
内に面していない部分)は淡褐色であったが,子宮後面には黒色の着染
が認められた。また,Aの遺体は,腹部臓器を取り除いた後膜腹部全体
の写真では,ほぼ淡褐色ないし淡緑褐色であったが,ダグラス窩(腹腔
の底部の窪み)と右上腹部の肝臓の下に当たる窪んだ部分(いずれも腹
腔内への出血があった場合に血流が貯留しやすい部分)に,強い赤褐色
ないし紫褐色の着染が認められた。
イ腹部の骨折状況
Aの遺体には,左第4,5肋骨に骨折が認められたが,生前死後の判別
は困難であった。
(以上につき,甲2の8,21,40,乙A3,証人G医師)
Aの病歴等
Aは,平成23年6月23日,J整形外科を受診し,両下肢不全麻痺,腰
部変形性脊椎症,尿路感染症との診断を受けたが,これらは,出血につなが
る病変ではなく,また,同日以後,同整形外科を受診してはいない。さらに,
Aは,平成24年1月から死亡するまでの間に,その他の医療機関を受診し
たこともなく,上記J整形外科を受診した際にも,既往歴の申告はしていな
かった。(甲36ないし39,証人G医師)
被告らの捜査段階での供述等
ア捜査段階での供述
被告らは,平成24年11月12日から同月14日までの間,警察によ
る任意の取調べに対して,概ね前記の内容の供述をし,その旨の
自筆による上申書を作成した。ただし,その後は,黙秘に転じ,後記イの
手紙を作成・送付した頃には,死体遺棄の事実を再度認めるに至ったが,
本件死体遺棄事件の初公判では認否を留保した。(甲2の8,42,43,
46ないし51)
イ被告らから原告に対する手紙
被告Cは,平成25年5月13日,弁護人を通じて原告に対して手紙を
送付した。手紙には,「私達夫婦が今回起こしてしまった,事件でAさん
を死なせてしまい,本当に心から,すみませんでした。謝まっても,謝ま
っても,ゆるされる事ではありません。お父さんと,お母さんの大切な子
供さんを,私達夫婦が死なせたため,約一年間位Aさんと連絡がとれず,
毎日毎日,心配で心配で,眠むれなかったと,心から思います。」と記載
されていた。(甲3)
また,被告Dは,同月15日,弁護人を通じて原告に手紙を送付した。
手紙には,「今回の事で大切なAさんを失って,お父さま,お母さまの悲
しみはいかほどばかりかと推察いたします。本当に申し分けありません。」
「14日がAさんの命日と思って,毎日,手を合わせています。」と記載
されていた。(甲4)
2争点(本件暴行とAの死亡との間に相当因果関係があるか)について
民事訴訟における因果関係の立証
訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明では
なく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生
を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり,その判定
は,通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであるこ
とを必要とし,かつ,それで足りるものである(最高裁
7号同50年10月24日第二小法廷判決・民集29巻9号1417頁)。
そこで,以上を前提に,本件暴行とAの死亡との間に相当因果関係が認めら
れるかについて検討する。
本件暴行とAの死亡との間の相当因果関係
アまず,本件暴行の態様は,中年男性である被告Cが,重量物である本件
金属棒の取っ手部分でAの腹部を複数回叩き,更に力いっぱい複数回,腹
部付近を突いたなどというものである。そして,警察に
おいて,被告Cが捜査段階で供述した態様により本件金属棒を打突した場
合の衝撃実験を行ったところ,3回の実験により,平均237.34キロ
グラム重の衝撃が打突部分に加えられたとの結果が得られている(甲1
7)。以上によれば,被告CがAに対して行った本件暴行は,身体の枢要
部に対して強い衝撃を加える行為であり,それ自体,Aの内臓に損傷を生
じさせるなどして,Aを死亡させる危険性が高い行為であったと認められ
る。
そして,Aは,実際にも,本件暴行を受けた直後,暴行現場で倒れ込ん
で徐々に反応が小さくなり,そのまま死亡するに至っており,被告ら自身,
自分たちの暴行によりAが死亡したと認識していたのであるから(認定事
),正確な死亡時刻を特定することはできないものの,本件暴
行とAの死亡とは時間的・場所的に極めて近接していたと認められる。
イまた,アのとおり,本件解剖時におけるAの遺体には,通常
は淡褐色ないし淡緑褐色であるはずの子宮及び腹腔のうち,血液の溜まり
やすい部分に濃い着染が認められた。そして,法医学を専門とするG医師
は,①子宮と腹腔内の着染状況を総合的に考えると,Aの死亡時点におい
て腹腔内にかなりの出血があった公算が大きく,それは十分に死因となる
と考えられること,②人間の腹部には,大量の血管が通る軟らかい臓器が
あるため,堅い鈍体で腹部を突いた場合には簡単に裂けてしまい,それに
より出血するケースが非常に多いことを踏まえると,本件暴行によりAが
失血死したと考えるのが最も自然であるとの見解を示している(甲21,
証人G医師)。
ウ以上のような本件暴行の態様,本件暴行とAの死亡の時間的・場所的近
接性,本件暴行とAの遺体の客観的状況との整合性に加え,本件全証拠に
よっても,平成24年4月14日又はこれに近接した日時に,本件暴行以
外に,Aの死亡を招来するような病変その他の原因が存在したとはうかが
われないことに照らせば,Aは,本件暴行により致命的な傷害を負い,同
傷害に起因して死亡したとの高度の蓋然性を認めることができる。
エなお,本件解剖を実施したH医師や,捜査段階においてAの遺体の写真
を見た上で同人の死因を推測したK医師は,いずれもAの遺体の状況やA
の死亡に至る機序等について,確定的な判断を示すことはできないとの所
見を示しているものの,同医師らは民事訴訟において必要とされる立証の
程度を前提とした所見を示しているものではないし,本件暴行によってA
が死亡したという認定に反する所見が示されているものではない(甲55,
乙A3)から,これらの各所見も,前記推認を覆すに足りるものではない。
被告らの主張の検討
これに対し,被告らは,①検察官がAに対する傷害致死事件について,被
告らを2度にわたり不起訴処分とし,因果関係の立証が不可能であるとして
いることからすれば,特段の事情がない限り,検察官の上記裁定を覆すこと
はできない,②Aの死亡機序・死因が明らかとされていないことからすれば,
本件暴行によりAが死亡したという原告の主張は,それ自体失当である,③
原告の見解の基礎となるG医師による説明が医学的普遍性を有するものとは
解し難いし,仮に子宮外着染が腹腔内出血の根拠となるとしても,生前の出
血か死後の出血か峻別できないから,これを基礎として相当因果関係は認め
ることはできないと主張する。
アしかしながら,刑事裁判においては,証拠の証拠能力について一定の制
約が存在する上,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に立証を行う必
要があるところ,検察官は上記立証の難易やその他の事情を総合考慮した
上で公訴を提起するか否かの判断を行うものである。これに対し,民事裁
判における因果関係の立証は,特定の事実が特定の結果発生を招来した関
係を是認し得る高度の蓋然性を証明することで足りることは,既に述べた
とおりである。そうすると,刑事裁判と民事裁判とでは,証拠の証拠能力
の制約も求められる立証の程度も同一ではないのであるから,検察官が不
起訴処分をしたからといって,そのことにより,民事訴訟である本件訴訟
において,本件暴行とAの死亡との間の相当因果関係を肯定することが妨
げられるものではない。したがって,被告らの上記①の主張を採用するこ
とはできない。
イまた,上記のような民事訴訟における因果関係の立証を踏まえれば,前
及びイの各点をもって,本件暴行とAの死亡との間に相当因果関係
が存在すると認めるに十分であることは,前
告らの上記②の主張も採用することができない。
ウさらに,G医師が,Aの遺体状況を根拠に,Aが死亡時に腹腔内出血を
していた公算が大きいと判断したことに関しては,同医師がその根拠を具
体的かつ合理的に証言しており,その医学的普遍性に疑念を差し挟むべき
根拠は特に見当たらない。Aの遺体を解剖したH医師は,胸腹腔開検の結
果として,明らかな出血は判別できないとの鑑定書(乙A3)を作成して
いるが,ここでいう「明らかな出血」がどの程度の明白性を前提としてい
るのかや,G医師が指摘した子宮,ダグラス窩及び右上腹部の着染につい
てH医師どのような判断をしたかが上記鑑定書からは不明であるから,H
医師の上記鑑定書がG医師の証言の信用性を減殺するものとは直ちにいえ
ない。
また,Aの遺体状況のみでは,発見されたAの遺体に出血所見があった
ことが認められるだけであって,その出血がいつの時点で生じたかを確定
することはできないことは被告らが主張するとおりであるが,既に述べた
とおり,本件暴行とAの死亡との時間的・場所的近接性や,本件暴行態様
(位置・強度)と遺体の着染状況(腹腔内の出血)の整合性に照らせば,
Aは本件暴行により失血死したと考えるのが最も合理的であり,被告の上
記③の主張も,前
小括
したがって,Aは,被告らによる本件暴行によって死亡したものと認めら
れ,本件暴行とAの死亡との間には,相当因果関係があると認められる。
そして,Aに暴行
を加えた機会に,被告らによる暴行の一環として被告Cによって加えられた
ものであって,本件暴行は被告らによるAに対する共同不法行為(以下「本
件不法行為」という。)に当たると認められる。したがって,被告らは,Aの
死亡によって生じた損害を賠償する義務を負う。
3(損害額)について
以下,本件不法行為による損害額について検討する。
Aに生じた損害5588万9114円
本件不法行為によってAに生じた損害は,次のアないしエのとおり,55
88万9114円であると認められる。
ア葬儀費用58万1150円
原告は,本件不法行為による損害として,一般的な葬儀費用(170万
円)を請求するが,不法行為による損害額としての葬儀費用は,実際の支
出額のうち相当と認められる金額に限って認められるべきものであるか
ら,葬儀に関係する現実の支出額を基礎として算出されるべきである。
しかるに,証拠(甲31)及び弁論の全趣旨によれば,原告及びBは,
警察からAの遺体の返還を受けた後に,密葬を行ったものと認められ,そ
の費用として,葬儀業者に支払う葬儀費として16万1850円,住職へ
のお布施として15万円,仏壇購入費用として26万9300円を支出し
たと認められる。
以上によれば,本件不法行為と相当因果関係のある損害としての葬儀費
用の額は,上記金額の合計である58万1150円をもって相当と認める。
イ逸失利益2441万1964円
前提事イ,及び証拠(甲1の4,31)によれば,Aは
本件不法行為当時41歳の女性であったところ,平成11年7月に離婚し
た後はアルバイト等として稼働し,平成24年2月末に本件喫茶店でのア
ルバイト職を失った後も,別の漫画喫茶においてアルバイトとして稼働し
ていたと認められる。このようなAの生前の稼働実績に照らせば,Aの基
礎収入は,平成24年賃金構造基本統計調査(賃金センサス)のうち,「女
性」・「正社員・正職員以外」・「産業計」・「40~44歳」・「学歴
計」・「企業規模計」の賃金額である年額242万6000円(公知の事
実)とするのが相当である。
そして,本件不法行為当時のAが41歳の独居女性であることからすれ
ば,その就労可能年齢は26年間(67歳までの期間),生活費控除率は
30パーセントとするのが相当である。
以上によれば,本件不法行為により生じた逸失利益は,下記計算式のと
おり,2441万1964円と認められる。
(計算式)
2,426,000円(基礎収入)×0.7(生活費控除率の控除)×14.3752(就労可
能年数26年に対応するライプニッツ係数)
=24,411,964円(円未満切捨て)
ウ車両代金89万6000円
本件車両はAが所有していたものであるところ(甲6,19),認定事
Aを死亡させた後,その犯行を隠匿するために,
Aの遺体を1週間程度本件車両内に隠し,車体番号を削り取る等したもの
である。そして,車体番号も削られ,遺体が1週間程度隠匿されていた車
両が経済的に全損であることは明らかであるから,被告らは,本件不法行
為によって,A所有の本件車両の交換価値相当額の物的損害を生じさせた
といえる。
そして,証拠(甲6)及び弁論の全趣旨によれば,本件車両は平成22
年8月に新車で購入したものであると認められるところ,証拠(甲35)
によれば,本件車両は,新車購入時から2年で3割程度減価すると認めら
れるから,原告が証拠説明書で指摘するとおり,本件不法行為時(平成2
4年4月。購入の約1年8か月後)における本件車両の時価は,上記購入
価格の7割である89万6000円を下らないと認めるのが相当である。
したがって,Aは,本件不法行為によって,本件車両の時価相当額であ
る89万6000円の損害を被ったと認められる。
エ死亡慰謝料3000万円
Aは,豚骨を砕くために用いられる金属棒によって,身体の枢要部を複
数回にわたって殴打されたものであり,被告らの暴行態様は悪質である。
そして,Aは,特段の抵抗もしていなかったにもかかわらず,被告らから
一方的な暴行を受け,更には倒れた後も適切な救命措置がとられないまま,
41歳という若さで死亡するに至ったものであり,その結果ももとより重
大である。以上のとおり,本件暴行により死亡に至ったAが被った精神的
苦痛は極めて大きい。
そして,以上の点に加え,本件に至る経緯等の本件に関する一切の事情
を考慮すれば,Aが被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は,3000万
円と認めるのが相当である。
原告に生じた損害503万7200円
本件不法行為によって原告に生じた損害は,次のアないしウのとおり,5
03万7200円であると認められる。なお,被告Cは,原告を被供託者と
して,100万円について弁済の提供を行った上で,同額及び遅延損害金の
弁済供託を行っているが,有効な弁済の提供といえるためには,債務の本旨
に従ってされることを要し(民法493条),金銭債務については,原則とし
て,債務の全額(遅延損害金を含む。)を提供・供託することを要する。そう
すると,弁済の提供・供託の金額が債務全額でない場合には,これを無効と
することが信義則に反するなどの特段の事情がない限り,当該一部について
も弁済の提供及び供託の効果は生じないところ,本件において被告Cが行っ
た弁済の提供及び供託は,その金額が債務額に著しく不足しており,これを
有効と解すべき特段の事情も認められないから,同供託は,弁済としての効
力を有しないというべきである。
ア軽自動車税7200円
証拠(甲8,31,原告本人)によれば,原告は,本件車両の平成25
年分軽自動車税(平成25年4月1日時点の所有者に対して課税されるも
のであり,同月から翌年3月までの分)をAに代わって支払ったと認めら
れるところ,原告は,Aの親族として,無価値となった本件車両の平成2
5年分軽自動車税の支払を余儀なくされたといえる。そして,上記軽自動
車税の発生当時,本件車両の所有者であるAは行方不明となっていたので
あるから,それまでに本件車両の廃車手続が執られなかったこともやむを
得ない。したがって,原告がAに代わって支払った本件車両の軽自動車税
相当額7200円は,本件不法行為と相当因果関係のある損害であると認
められる。
イ検案料等3万円
証拠(甲7,31,原告本人)によれば,Aの遺体の検案及び検案書作
成費用として3万円を要し,原告がこれを支払ったと認められるところ,
これが本件不法行為による損害に当たることは明らかである。
ウ原告固有の慰謝料500万円
本件暴行の態様に加え,被告らがAの遺体を遺棄し
たことにより,Aの遺体が原告及びBの元に戻されるまでに1年以上を要
し,しかも死蠟化した状態になっていたことからすれば,本件不法行為に
よって原告が受けた精神的苦痛は甚大なものであったといえる。
したがって,Aが成人女性であり,原告とは同居しておらず,生計も別
であった(甲31)という原告とAの生活状況等を考慮しても,本件不法
行為によって原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額としては,50
0万円が相当と認められる。
Bに生じた損害610万4117円
本件不法行為によってBに生じた損害は,次のアないしウのとおり,61
0万4117円であると認められる。なお,被告CによるBに対する弁済金
の供託が,本件不法行為による弁済供託としての効力を有しないことは,前
記と同様である。
アA宅の家賃等60万4117円
証拠(甲11ないし13,31,原告本人)によれば,Bが平成24年
4月から平成25年9月までの家賃(ただし,平成25年9月分は,同月
25日までの分)を支払っていたことや,退去時の残置物処分費として1
万3650円を支払ったことが認められる(なお,原告は,残置物処分費
と退去精算不足分を支払ったと主張するが,証拠(甲12,13)によれ
ば,Bは,退去精算による返金分と残置物処分費が相殺された差額を支払
っていることが認められ,退去精算不足分を支払ったことは認められな
い。)。
しかるに,本件不法行為日までの家賃(日割計算)相当額は,AがA宅
に居住したことの対価として支払われる費用であるから,本件不法行為に
よる損害であると認めることはできない。もっとも,Bは,警察から本件
の捜査のために,A宅をそのままの状態にしておいてほしいと依頼された
ため,A宅の賃貸借契約を継続し,その家賃を支払い続けていたものであ
るから(甲31,原告本人),本件不法行為日の翌日以降の賃料相当額は
本件不法行為により生じた損害であると認められる。また,残置物(冷蔵
庫及び洗濯機)の撤去費用についても,Aが死亡していなければ退去時に
処分する必要はなかったと考えられるから,本件不法行為と相当因果関係
を認めることができる。
以上を前提に,A宅の部屋代等のうち,本件不法行為と相当因果関係が
ある損害額を算出すると,次の計算式のとおり,60万4117円である
と認められる。
(計算式)
34,000円×16日/30日〔H24.4.15~4.30の家賃〕
+34,000円×16か月〔H24.5~25.8の家賃〕
+(34,000円-5,666円)〔H25.9.1~9.25の家賃。甲12の2〕
+13,650円〔残置物処分代〕
=604,117円〔円未満切捨て〕
イ治療費0円
証拠(甲9,10,20,28ないし31,原告本人)によれば,Bは,
Aが行方不明となった後の日である平成24年6月2日にLメンタルクリ
ニックへの通院を開始し,平成25年8月27日には同クリニックの医師
により「反応性うつ病」と診断されたことが認められ,その治療費を支出
したと認められる。そして,以上の診療経過等からすれば,Bは,本件不
法行為によりAが行方不明となり,さらにはAの遺体が死蠟化した状態で
発見されたことによる心痛から,うつ病に罹患したと認められる。
しかしながら,Bは本件暴行を直接受けたものではなく,反応性うつ病
を発症したことは,いわゆる間接被害者に生じた損害に当たるといえる。
そうすると,本件不法行為によりBが受けた心痛を原因としてうつ病を発
症したことは,民法711条に基づく慰謝料額の算定に当たって斟酌すべ
き事情には当たるものの,前記慰謝料のほかに,その治療費について別途
損害賠償請求し得ると解することはできない。
したがって,Bのうつ病治療に要した治療費が,本件不法行為による損
害賠償として被告らに請求し得る損害に当たるとはいえない(なお,Bが
本件不法行為により精神的苦痛を受け,その結果反応性うつ病を発症した
ことは,上記のとおり,Bの慰謝料額算定に当たり考慮することとする。)。
ウB固有の慰謝料550万円
Aが行方不明になったこと及
びAの死亡により,Bが大きな精神的苦痛を受けたことは想像に難くない
ところ,その精神的苦痛の大きさゆえに,Bが反応性うつ病を罹患するに
至ったことは,前記イのとおりである。
したがって,Aが成人女性であり,Bと同居しておらず,生計も同一で
はなかったという,BとAとの関係性等を考慮しても,本件不法行為によ
ってBが被った精神的苦痛に対する慰謝料の額としては,550万円が相
当と認められる。
小括
前記,A,原告及びBは,本件不法行為によって,そ
れぞれ前記の損害を被ったものであるが,前提・イ,同
原告は,A及びBが被告らに対して有する損害賠償請求権を全て相続したも
のといえる。したがって,原告が被告らに対して有する損害賠償請求権の額
は,合計6703万0431円であると認められる。
第4結論
したがって,原告の請求は,被告らに対して6703万0431円及び
不法行為日(平成24年4月14日)の後の日である同月15日から支払
済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由が
あるから認容し,その余はいずれも理由がないからこれらを棄却すること
として,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第10部
裁判長裁判官福田千恵子
裁判官小田誉太郎
裁判官川内裕登

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