弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     被告人Aを罰金二万円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金五百円を一日に換算した期
間同被告人を労役場に留置する。
     第一審における訴訟費用は全部同被告人及び爾余の被告人等三名の連帯
負担とする。
     被告人Aに対し公職選挙法二五二条一項に規定する選挙権及び被選挙権
を有しない期間を三年に短縮する。
     被告人Aを除くその余の被告人三名の本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A本人の上告趣意第一点は、事実誤認乃至単なる法令違反の主張であり、
同第二点は違憲をいうが同被告人及び相被告人三名の司法警察員及び検察官に対す
る各供述調書がいずれも任意性を欠くと認むべき資料は存しないのであるから所論
違憲の主張はその前提を欠くものであり、被告人四名の弁護人袴田重司の上告趣意
第一点は、判例違反をいう点もあるが、所論引用の判例は事案を異にする本件には
適切でなく、又違憲をいうけれども実質は原審の証拠の取捨判断を非難しひいて事
実誤認を主張するものであり、(なお原判決が公職選挙法二二一条一項一号の供与
申込罪について示した判断は正当である)、同第二点は量刑不当の主張であり、被
告人A、同B、同Cの弁護人南出一雄の上告趣意一乃至三は、違憲をいうが実質は
訴訟法違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、すべて適法な上告理由に当
らない。
 しかし職権をもつて調査するに、公職選挙法二二一条三項にいう「公職の候補者」
とは、同法の規定に基く正式の立候補届出又は推薦届出により候補者としての地位
を有するに至つた者をいい、未だ正式の届出をしないいわゆる立候補しようとする
特定人を包含しないものと解するを相当とする(昭和三四年(あ)第一一九〇号、
同三五年二月二三日第三小法廷判決、集一四巻二号一七〇頁参照)ところ、原判決
の維持する第一審判決は、被告人Aは、昭和三四年四月二三日施行の同判示選挙に
際し立候補して当選したものであるが、自己の当選を得る目的を以て、その選挙の
告示前である同年同月二日同判示のとおり戸別訪問並びに供与及び供与の申込の犯
行をなした旨認定し、その後者の所為につき公職選挙法二二一条三項を適用して同
被告人を処断していること明らかである。されば同条項にいう「公職の候補者」に
は「立候補しようとする特定人」も含まれるものと解した第一審判決及びこれを是
認した原判決には法令の解釈適用を誤つた違法があり、刑訴四一一条一号により、
同被告人に関する部分はこれを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなけ
ればならない。
 よつて被告人Aを除くその余の被告人三名については、刑訴四一四条、三九六条
により本件各上告を棄却すべきものとし、被告人Aについては、同四一三条但書に
より更に判決する。
 原判決の確定した事実を法律に照らすと、被告人Aの判示所為中、戸別訪問の点
は公職選挙法二三九条三号、一三八条、罰金等臨時措置法二条一項、刑法六〇条に、
事前運動の点は公職選挙法二三九条一号、一二九条、罰金等臨時措置法二条一項、
刑法六〇条に、金品の供与及び供与の申込の点は公職選挙法二二一条一項一号、罰
金等臨時措置法二条一項、刑法六〇条(第一審判決判示四については適用しない)
に各該当するところ、右戸別訪問は包括一罪であり、これと事前運動並びに供与及
び供与の申込は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから、刑法五四条
一項前段一〇条により全部一罪として最も重い供与及び供与の申込の罪の刑に従い
処断すべく、所定刑中罰金刑を選択しその範囲内において被告人Aを罰金二万円に
処し、右罰金を完納することができないときは、同一八条により金五百円を一日に
換算した期間同被告人を労役場に留置すべく、なお訴訟費用の負担につき刑訴一八
一条一項本文、一八二条を、選挙権及び被選挙権の停止期間の短縮につき公職選挙
法二五二条三項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検祭官 高橋一郎公判出席
  昭和三六年五月二六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奧   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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