弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人宇和川浜蔵の控訴趣意は別紙に記載の通りである。
 本件記録を精査し総べての証拠を検討するに原審の量刑は相当であつて弁護人の
援用する事実其の他の情状を斟酌してもこれを非難することはできない。
 尚本件被告人の犯行は、政府の免許を受けないで焼酎を製造しようと企て、愛媛
県松山市a町b番地A方の裏小屋で、昭和二十五年九月十四日蒸麦一斗五升位、米
麹一斗二升位、水三斗位を桶に仕込んだ外、同月十五日、十七、十八日、二十日に
それぞれ蒸麦、米麹、水を桶に仕込み、同月二十一日収税官吏に検挙せられるまで
の間、(一)同月二十日右仕込みの醪となつたものを蒸溜してアルコール分約二十
五度の焼酎二斗位を製造し、(二)同月二十一日同様の方法で同様の焼酎二斗位を
製造し、(三)検挙せられた際には右仕込みのアルコール分約十度の醪となつたも
の二石九斗位及び(四)仕込むために麦二斗位を蒸して蒸酵としたもの約二斗五<要
旨>升を右小屋内に所持していた原判示事実であつて、かゝる一群の酒類密造の行為
は酒税法第六十条第一項に該当する包括一罪と解すべきであつてこれと同旨
に出た原判決の見解は相当である。
 その他職権で調査するも刑事訴訟法第三百七十七条乃至第三百八十三条に規定す
る事由が認められないから同法第三百九十六条により本件控訴はこれを棄却する。
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)
 (控訴趣意は省略する。)

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