弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士津島宗康の上告理由第一点、第二点について。
 しかし、本件山林を被控訴人(被上告人、原告)が買受け判示のごとく未登記の
まま長年月を経過したこと、控訴人(上告人、被告)Aがこれを十分熟知しながら
判示意図の下判示経緯で判示低廉な価格で買受け、判示仮処分に関する経緯の下で
登記を得、その仮処分が判示のごとく回復されたこと、控訴人らが判示のごとく刑
事訴追を受けたこと等に関する原判決の事実認定は、挙示の証拠並びに争のない事
実を綜合すれば、これを肯認できないことはない。そして、その認定した事実関係
の下において控訴人AがDと通謀の上本件不動産の横領を企てたものというべく、
本件山林につき控訴人AとDとの間に締結された売買契約は、公の秩序、善良の風
俗に反する行為であつて無効たるを免れない旨、並びに、従つて、控訴人Aは、民
法一七七条にいわゆる「第三者」に該当しない旨の原判決の判断は、いずれもこれ
を正当として是認することができる。所論引用の判例は、すべて本件に適切でない。
それ故、原判決には、所論の違法は認められない。
 同第三点について。
 しかし、原判決は、本件山林についてのDと控訴人Aとの間の判示売買契約が無
効と認められること前叙説示のとおりであるから、仮に本件山林につき被控訴人の
なした処分禁止の仮処分が適法有効に取り消され、その有効な取消後にDより控訴
人Aへの所有権移転登記がなされたとしても、控訴人Aは本件山林につきその所有
権を取得するに由ないこと明らかであると判示しており、その判示は正当である。
されば、所論は、原判決に影響を及ぼさない法令違背の主張に帰し、採るを得ない。
 同第四点について。
 しかし、原判決は、所論のごとく単に本件山林の代金が著しく廉価の故だけで横
領の共謀となり公序良俗に反し無効だと認めたものでないことは、その判示に照し
明白である。しかのみならず、裁判所は当事者が特に民法九〇条による無効の主張
をしなくとも同条違反に該当する事実の陳述さえあれば、その有効無効の判断をな
しうるものと解するを相当とする。そして、原告(被控訴人、被上告人)は、一審
以来Dと被告Aは共謀の上本件不動産を横領して刑事訴追をうけその他原判示のご
とき仮処分に関する不法行為をした旨の主張をしていることが明らかであるから、
原審が判示事実認定の下にこれを公の秩序、善良の風俗に反し無効であると判断し
たからといつて、所論の違法あるということはできない。
 同第五点について。
 論旨第一点ないし第四点の採ることができないことは、すでに、同論旨について
述べたところである。されば、これらの論旨の理由あることを前提とする本論旨も
採ることができない。
 同第六点について。
 しかし、民事訴訟用印紙法四条は、「本訴ト反訴ト其目的ガ同一ノ訴訟物ナルト
キハ反訴ノ訴状ニ印紙ヲ貼用スルヲ要セス」と規定するところ、原判決は、本件反
訴請求と本件本訴請求とは、同一の不動産に関する請求ではあるが、その請求原因
を異にし且つ訴訟物すなわち審判の対象となる権利または法律関係が同一であると
はいい難い旨判示しており、その判示は正当として是認することができる。右の判
示によれば、本件では右の法条の場合に当るものでないことは明白であるから、本
件反訴には印紙の貼用を要するものとした原判決は正当であつて、所論の違法は認
められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官の全員一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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