弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護入池田久の上告趣意第一点について
 原判決の摘示する事実とその挙示する証拠とを彼此対照して検討するに、被告人
は婦女を誘惑して郊外に連れ出し、午後一〇時過頃、人家も稀れなお寺の境内に連
れ込み、同所で同女を強姦しようと企て、突然同女の首を締めて境内の方へ押すよ
うにしながら「大きな声をするな殺して逃げてしまえばそれまでだ」と申し向けて
脅迫したというのであるから、たとい被告人に所論の如くいまだ猥褻行為に出でん
とした直接の姿態がなかつたとしても、これを以て強姦の実行に着手したものとい
うに妨げない。原判決が被告人の右の如き所為に対し強姦未遂罪を以つて問擬した
のは正当である。所論引用の各判決は、本件に適切な判例ではない。論旨は理由が
ない。
 同第二点について
 検察庁法二七条三項には「検察事務官は、上官の命を受けて検察庁の事務を掌り、
又検察官を補佐し、又はその指揮を受けて捜査を行う」とあり、刑訴応急措置法一
九条には「検察事務官は、捜査及び令状の執行については、司法警察官に準ずるも
のとする」と規定されているから、地方検察庁の検察事務官は、検察官の指揮下に
おいて捜査する限り、たとい補助者ではあつても、地方裁判所の合議事件につき、
被疑者その他の者を取調べ、その聴取書を作成する権限を有するものと解するを相
当とする。所論引用の大阪高等裁判所の判決は、検察事務官の右の如き捜査に関す
る一般権限についてのものでなく、地方検察庁の検察事務官には、新刑事訴訟法の
適用のある事案につき、告訴を受理する権限がないことを刑訴二四一条を根拠とし
て判示したものであつて、本件に適切な判例ではない。従つて原判決には所論の如
き判例違反のかどはない。論旨は理由がない。
 同第三点について
 旧法事件の上告理由の制限に関する刑訴施行法三条の二、旧刑事訴訟法事件の控
訴審及び上告審における審判の特例に関する規則等が所論の如く憲法の規定に違反
しないことは当裁判所屡次の大法廷判決等に徴し明白である(昭和二二年(れ)第
五六号同二三年二月六日大法廷判決、昭和二二年(れ)第四三号同二三年三月一〇
日同、昭和二三年(れ)第一二二一号同二四年三月二三日同、昭和二六年(れ)第
七〇七号同二六年一一月一六日第二小法廷判決参照)。従つてこの点に関する論旨
(一)は理由がない。また論旨(二)(三)において主張する点は、刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認め
られない。
 弁護人は論旨(四)において、本件については適法な告訴がないと主張するので
あるが、所論検察事務官の聴取書の記載によれば、被害者は同事務官に対し、明か
に被告人の本件所為につき厳重処罰を求める意思を表示しているのであるから、こ
れにより同事務官に対し口頭の告訴があつたものと認めることができる。しかも本
件は、刑訴応急措置法の適用のある事案であるが、同法  条には、「検察事務官
は、捜査及び令状の執行については、司法警察官に準ずるものとする」と規定され
て居り、司法警察官が告訴受理の権限あることは、旧刑訴二七二条乃至二七四条の
明定するところであり、告訴が広く捜査に含まれることは勿論であるから、尠くと
も刑訴応急措置法適用当時においては、地方検察庁の検察事務官も司法警察官と同
様告訴を受理する権限があつたものと解するを相当とする。してみれば前記検察事
務官に対してなした本件被害者の告訴は有効と認むべきであるから、原判決には所
論の如き違法はなく、論旨は採用するを得ない。なお論旨(五)の点につき記録を
検討するに、所論第三回公判調書中「二月一日」とあるのは、「一月三〇日」の誤
記であること、判決言渡期日の公判調書、原判決の原本領収の記載等に徴し明白で
あるから、本論旨もとるを得ない。
 同第四点について
 裁判が迅速を欠き憲法三七条一項に違反したとしても、それは判決に影響を及ぼ
さないこと明らかであるから、上告理由とすることのできないことは、所論の如く
当裁判所の判例とするところであり、今これを変更する必要を認めないから論旨は
採用できない。
 その他記録を調べても刑訴四一一条を適用して原判決を破棄するに足る事由を発
見するを得ない。
 よつて刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員一致の意見である。
 検察官 熊沢孝平出席
  昭和二八年三月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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