弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告人A1、同A2、同A3、同A4の代理人中村紘毅及び上告人A5の代理人
武藤達雄の各上告理由について
一 原審が確定した事実関係は、次のとおりである。
 1 上告人A5、亡D(死亡前一審原告)、訴外Eは兄弟であり、一審判決添付
物件目録(一)、(二)、(四)記載の各土地について各自三分の一の持分を有し、同目
録(三)記載の土地については、上告人A5及び亡Dは各自三〇万一九五分の一二万
二八七七の持分を、訴外Eは三〇万一九五分の五万四四四一の持分を有していた(
以下、同目録(一)ないし(四)記載の各土地を「本件各土地」という。記録によれば、
本件各土地は、地続きの一団の土地であり、東西一六メートル余、南北一七メート
ル余のほぼ長方形の形状をなし、北側が道路に面していることがうかがわれる。)。
 2 被上告人は、昭和六一年一〇月八日、訴外Eから、本件各土地についての持
分を譲り受けた。
 3 亡Dは、昭和六二年二月七日死亡し、相続により、同目録(一)、(二)、(四)
記載の各土地について、上告人A1が六分の一、同A2、同A3及び同A4が各一
八分の一の持分を、同目録(三)記載の土地について、上告人A1が六〇万三九〇分
の一二万二八七七、同A2、同A3及び同A4が各一八〇万一一七〇分の一二万二
八七七の持分を取得した。
 4 上告人らは被上告人に対し、本件各土地の分割を求めたが、協議が調わなか
った。
二 原審は、右事実関係の下において、本件各土地を合筆の上、これを、上告人ら
と被上告人の持分の面積比により東側と西側に分け、西側二〇一・九九平方メート
ルを上告人らの共有とし、東側七七・八四平方メートルを被上告人の単独所有とす
るよう求めた上告人らの本件共有物分割請求について、現物分割は、本件各土地を
極度に細分化することになって、これにより著しくその価格を損ずることとなると
判断して、民法二五八条二項に基づき本件各土地につき競売を命じ、その売得金を
各持分割合に応じて分割すべきものとし、これと同旨の第一審判決を正当として控
訴棄却の判決をした。
三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のと
おりである。
 多数の共有不動産について、民法二五八条により現物分割をする場合には、これ
らを一括して分割の対象とすることも許されること、また、共有者が多数である場
合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残
す方法によることも許されることは、当審の判例(昭和五九年(オ)第八〇五号同
六二年四月二二日大法廷判決・民集四一巻三号四〇八頁)の判示するところであり、
その趣旨に徴すれば、分割請求をする原告が多数である場合においては、被告の持
分の限度で現物を分割し、その余は原告らの共有として残す方法によることも許さ
れると解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、前示事実関係によれば、本件各土地の現物分割をす
るについては、本件各土地を一括して分割の対象とし、かつ、被上告人の持分の限
度でこれを分割し、その余は上告人らの共有として残す方法によることを妨げる事
情はうかがわれず、この方法によるならば、本件各土地を極度に細分化することに
なるとはいえないから、この理由をもって、現物分割によると著しく本件各土地の
価格を損ずることとなるとし、競売による代金分割を命じた原判決には民法二五八
条の解釈適用を誤った違法があって、この違法が判決の結論に影響を及ぼすことは
明らかであり、ひいて審理不尽の違法があるといわなければならない。論旨は理由
があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、上告人ら主張の方法
を含む具体的な現物分割の方法の有無、価格賠償を併用すること(前記当審判例参
照)の当否、現物分割を不能ならしめ、又はこれによって著しく本件各土地の価格
を損ずるおそれを生ぜしめる事情の有無等について更に審理を尽くさせる必要があ
るから、これを原審に差し戻すこととする。
よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決
する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    木   崎   良   平
            裁判官    藤   島       昭
            裁判官    中   島   敏 次 郎
            裁判官    大   西   勝   也

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