弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人Aを懲役壱年罰金参万円に
     同Bを懲役八月罰金弍万円に
     同Cを懲役六月罰金弍万円に
     同Dを懲役八月罰金参万円に
     各処する。
     但被告人B、同C、同Dに対しては本裁判確定の日から五年間右懲役刑
の執行を猶予する。
     右罰金を完納することができないときは金四百円を壱日に換算した期間
その被告人を労役場に留置する。
     原審に於ける証人E、同Fに支給した日当、証人Gに支給した旅費日当
は被告人Aの負担とし、証人Hに支給した日当は被告人四名の負担とする。
     被告人Dが被告人Aにテイコインを譲渡したとの点は無罪。
         理    由
 被告人Aの弁護人宇和川浜蔵、同木村秀太郎、被告人Bの弁護人松本清三、被告
人Cの弁護人今井源良、同岡井藤志郎、被告人Dの弁護人米田正式の各控訴趣意は
夫々別紙記載の通りである。
 被告人Aの弁護人宇和川浜蔵、同木村秀太郎の控訴趣意第一点について、
 刑事訴訟法第三百一条の被告人とは当該被告人の謂であつて共同被告人を含まな
いと解すべきであるから所論の被告人Aの犯罪事実を立証するため共同被告人であ
るDに対する司法警察職員作成の自白供述調書及び同人に対する検察事務官作成の
自白聴取書の取調を請求しその証拠調がなされたとしても毫も同条の趣旨には反し
ないのである。故に論旨は理由がない。
 同第二点について
 所論の警察官の証明書及び名刺は証拠物として示されたが朗読されなかつたとい
うような手続上の瑕疵は本件に於ては判決に影響を及ぼすものとは認められないか
ら理由がない。
 同第三点について、
 <要旨第一>不法領得の意思とは権利者の物に対する支配を排除してその物を自己
の事実上の支配に移し所有権の内容を実現する可能性の生ずることの認
識があれば足り必らずしも利得する意思を要しないと解すべきであるから論旨は首
肯できない。
 被告人Bの弁護人松本清三の控訴趣意第一点について、
 自白を補強すべき証拠は、必ずしも自白にかかる犯罪事実の構成要件全部にわた
つて洩れなくこれを裏付けるものであることを要せず、自白にかかる事実の真実性
を保障し得るものであれば足りる。本件賍物収受罪に於て被告人Bがその収受のと
き本件テイコインは被告人Aが被告人Dから恐喝したものであるということを知つ
ていたとの点についには自白が唯一の証拠であること所論の通りであるが原判決挙
示の証拠によつてこの自白の真実性を充分保障し得るのであるからこの点の論旨は
理由がない。
 同第二点について、
 麻薬を譲受けこれを他に譲渡した場合の譲受、譲渡の各行為は各独立し併合罪の
関係となることは麻薬取締法の精神に照し一点の疑を容れない。故に所論のような
被告人Bが本件テイコイン被告人Aから貰い受けこれを被告人Cに売渡した行為を
目して一個の譲渡行為又は牽連一罪となるとなすは独自の見解であつて賛成できな
い。
 同第三点について、
 所論の証人Iに対する証拠決定は第四回公判(昭和二十四年五月十一日)に於て
取消されていること記録上明白であるから理由がない。
 被告人Cの弁護人岡井藤志郎の控訴趣意第一点について、
 被告人Cはテイコインが麻薬であることは知らなかつたのである故に原判決中同
被告人に関する部分は事実誤認であると主張するのであるが原判決挙示の証拠によ
つて優に同被告人がテイコインが麻薬を含有することを知りながら原判決摘示のよ
うにそれを取引した事実を認めることができるから事実誤認の主張は該らない。
 被告人Dの弁護人米田正式の控訴趣意第一点について、原審が弁護人今井源良の
本件テイコインの鑑定申請を留保しその採否を決定せずして結審し判決を言渡した
ことは所論の通りであるがこのような手続違背は判決に影響を及ぼすこと明らかと
は言えないから論旨には賛成できない。
 全弁護人に共通する刑の量定不当の主張について、
 本件訴訟記録並びに原審が適法に取調べた証拠を精査し各弁護人の援用する事実
を検討すれば被告人四名に対する原審の量刑は稍重いと思われ殊に被告人B、同
C、同Dはこれまでに刑事上の処罰を受けたことなき点を斟酌すればこの被告人三
名については相当の期間懲役刑の執行を猶予するのが適当である。
 仍て刑事訴訟法第三百八十一条第三百九十七条により原判決はこれを破棄し、同
法第四百条但書の規定に従い当裁判所において次の通り自判することとする。
 罪となるべき事実及びこれを認めた証拠は被告人Dを除く其の余の被告人三名に
ついては原判決に記載の通りであるからここにこれを引用する。
 第四 被告人Dは麻薬取扱者でなく且法定の除外事由がないのに拘わらず、
 (一) 昭和二十三年七月十日麻薬取締法施行当時から同年八月下旬頃までの間
自宅に於て麻薬を含有するテイコイン一CC五十本入二十二箱を所持し
 (二) 同年八月二十二日頃愛媛県伊予郡a町大字bのJ方に於て同人から麻薬
を含有するテイコイン五〇CC三百本、一〇〇CC四十本を譲受け
 たものであつてこれを認むる証拠は原判決に挙示の通りである。
 適用法条
 被告人Aの
 第一の(一)の所為は刑法第二百四十九条第一項
 第一の(二)の所為は麻薬取締法第三条、第五十七条
 被告人Bの
 第二の(一)の所為は刑法第二百五十六条第一項
 第二の(二)の所為は麻薬取締法第三条、第五十七条
 被告人Cの
 第三の(一)(二)(三)(四)の所為は各麻薬取締法第三条、第五十七条
 被告人Dの
 第四の(一)(二)の所為は各麻薬取締法第三条、第五十七条
 尚被告人四名ともに罰金等臨時措置法第二条、第三条、刑法第六条、第十条、第
四十五条、第四十七条、第四十八条、第十条、第六十八条、刑事訴訟法第百八十一

 被告人B、同C、同Dに対して各刑法第二十五条
 <要旨第二>尚被告人Dが被告人Aにテイコインを譲渡したとの公訴事実について
は原審が適法に取調べた証拠によれば被告人Aは恐喝の意思で本件テイ
コインの買入を申込み被告人Dは喝取の意思あることを知らずしてこれを承諾しこ
こに於て有償の譲渡契約は成立しその引渡にあたり判示のように喝取せられたので
あるが麻薬取締法第三条の譲渡罪とはかかる法律上又は事実上の引渡を伴わない単
なる譲渡契約だけでは成立しないことは勿論恐喝に因つて喝取せられた場合にも成
立しないと解するを相当とするから被告人Dの右譲渡の公訴事実に対しては刑事訴
訟法第三百三十六条によつて無罪の言渡をする。
 仍て主文の如く判決する。
 (裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)

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