弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人大里一郎の上告趣意第一点について。
 憲法三七条一項にいわゆる公平な裁判所の裁判とは、組織構成において偏頗の虞
のない裁判所の裁判の意味であることは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一七
一号同二三年五月五日大法廷判決、刑集二巻五号四四七頁参照)の示すとおりであ
つて、原裁判所が組織構成において偏頗の虞ある裁判所であることを認むべき何ら
の資料もない。また、憲法三七条二項の規定は、被告人または弁護人の申請する証
人は裁判所が必要と認めないまでもすべてこれを喚問し、被告人側にこれが尋問の
機会を与えなければならないという趣旨の規定ではないことも、当裁判所の判例(
昭和二三年(れ)第八八号同年六月二三大日法廷判決刑集二巻七号七三四頁、昭和
二二年(れ)第二五三号同二三年七月一四日大法廷判決刑集二巻八号八五六頁、昭
和二二年(れ)第二三〇号同二三年七月二九日大法廷判決刑集二巻九号一〇四五頁
各参照)とするところである。そして本件第一審以来の審理の経過に徴すれば、原
審において所論証人申請全部を却下した措置が、その健全な合理性に反し自由裁量
の範囲を逸脱したものとは認められない。それ故論旨は理由がない。
 同第二、第三点について。
 所論は、事実誤認と量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Bの弁護人石川泰三の上告趣意について。
 所論第一点は、違憲をいうが、その実質は単なる刑訴法違反の主張(なお、刑訴
四四条一項にいう「裁判の理由」とは、主文のよつて生ずる理由を指すのであつて
証拠上の理由のごときはこれに含まれないと解すべきであるから、有罪判決におい
ては、所論のように、何故にある証拠を採用し他の証拠を排斥したかの理由、ある
いは採用した証拠により如何なる理由で犯罪事実を認定したかの判断について必ず
しも一々これを判示することを要するものではない。)、その他の論旨は、単なる
刑訴法違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理
由に当らない。
 被告人Cの弁護人大西重喬の上告趣意について。
 所論は、事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条、一八一条一項但書(被告人Cに対し)により裁判官全員一致
の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三三年三月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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