弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人指定代理人古藤保正、同志賀光雄、上告人補助参加人代理人竹内俊平の上
告理由第一点について。
 論旨は、原審が本件土地は「昭和二三年本件買収処分当時には、その水深は潮の
干満により約二尺程度の差が認められるが満潮時において約四尺乃至五尺程度を示
し、葦簇生し、魚類さえ游泳棲息する全域池沼の様相を呈していた」との第一審判
決の事実認定をそのまま是認引用したとなし、そのことを前提として、本件買収処
分当時における本件土地の状況に関する原審の事実認定に採証法則違反ないし実験
則違反の違法があるという。
 しかし、右摘示にかかる第一審判決の事実認定部分は、原審において、「補助参
加人Cが本件買収処分当時本件土地の一部を埋め立て農耕した」と判示したことに
より、その限度で訂正されていることは、判文上明らかであるから、原判決には所
論の違法はなく、論旨は、その前提を欠くに帰し、採用し得ない。
 また、論旨は原判決が本件土地を非農地と認定したことが、自作農創設特別措置
法三条の規定の解釈を誤まつたものであるというが、右論旨は、原判示に副わない
事実に基づくか、本件買収処分後に生じた事情を基礎として右の違法をいうもので
あつて、採用の限りでない。
 同第二点について。
 論旨は、原判決が本件土地は非農地であるにかかわらず、これを農地と誤認して
なした本件買収処分の瑕疵は重大かつ明白であると判断したことに法令違背の違法
があるという。
 しかし、原審が本件買収処分成立当時の事情に基づき、右処分にはその成立当初
から重大かつ明白な瑕疵があつたと判断していることは、原判決およびその是認引
用する第一審判決の記載に照らして明らかであつて、所論判例に違反する違法はな
い。また、原判決の確定した事実によれば、本件土地は昭和九年頃から補助参加人
において賃借り耕作してきたが、もともと海に近く、また炭鉱地帯にあるため、昭
和一一年頃から石炭採掘の影響で、その一部の地盤が沈下或いは傾斜して海水が湧
出するようになり、殊に昭和一七年の台風で附近の堤防が決潰し、近隣一帯の土地
とともに海潮の浸入を受けて水没し、爾来畦畔の他は僅か一地域を除き、海水を冠
つたまま排水もされないで放置されていたばかりか、地盤沈下による浸水の度合も
次第に激しくなり、昭和二三年本件買収処分当時には、全地域にわたり池沼の様相
を呈していた。もつとも、当時その一部で、補助参加人が耕作していたことはあつ
たが、それは同人において埋立工事をしたことによるものであり、その耕作も翌二
四年にいたり断念せざるを得なかつた程である、というのである。しからば、かよ
うな事情の下において、原審が、農地でないことの客観的に明白である本件土地を
農地と誤認してなした本件買収処分の違法は重大かつ明白であると判断したことは、
正当であつて、是認することができる。
 論旨は、原判決を正解しないでその違法をいうか、原審の専権に属する事実の認
定、証拠の取捨選択を非難するに過ぎないものであつて、採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛