弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成25年(あ)第510号わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的
記録有償頒布目的保管被告事件
平成26年11月25日第三小法廷決定
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人鶴田岬の上告趣意は,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の
上告理由に当たらない。
所論に鑑み,職権により判断する。
1原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,(1)日本在
住の被告人は,日本及びアメリカ合衆国在住の共犯者らとともに,日本国内で作成
したわいせつな動画等のデータファイルをアメリカ合衆国在住の共犯者らの下に送
り,同人らにおいて同国内に設置されたサーバコンピュータに同データファイルを
記録,保存し,日本人を中心とした不特定かつ多数の顧客にインターネットを介し
た操作をさせて同データファイルをダウンロードさせる方法によって有料配信する
日本語のウェブサイトを運営していたところ,平成23年7月及び同年12月,日
本国内の顧客が同配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルをダウ
ンロードして同国内に設置されたパーソナルコンピュータに記録,保存し,(2)被
告人らは,平成24年5月,前記有料配信に備えてのバックアップ等のために,東
京都内の事務所において,DVDやハードディスクにわいせつな動画等のデータフ
ァイルを保管したというのである。
2所論は,サーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへのデータ
の転送は,データをダウンロードして受信する顧客の行為によるものであって,被
告人らの頒布行為に当たらず,また,被告人らの行為といえる前記配信サイトの開
設,運用は日本国外でされているため,被告人らは,刑法1条1項にいう「日本国
内において罪を犯した」者に当たらないから,被告人にわいせつ電磁的記録等送信
頒布罪は成立せず,したがって,わいせつな動画等のデータファイルの保管も日本
国内における頒布の目的でされたものとはいえないから,わいせつ電磁的記録有償
頒布目的保管罪も成立しないという。
3そこで検討するに,刑法175条1項後段にいう「頒布」とは,不特定又は
多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをい
うと解される。
そして,前記の事実関係によれば,被告人らが運営する前記配信サイトには,イ
ンターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が
備え付けられていたのであって,顧客による操作は被告人らが意図していた送信の
契機となるものにすぎず,被告人らは,これに応じてサーバコンピュータから顧客
のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきである。したがって,不
特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても,その操
作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する
方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュ
ータ等の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後段にいうわい
せつな電磁的記録の「頒布」に当たる。
また,前記の事実関係の下では,被告人らが,同項後段の罪を日本国内において
犯した者に当たることも,同条2項所定の目的を有していたことも明らかである。
したがって,被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的
記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は,正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,
主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官大谷剛彦裁判官岡部喜代子裁判官大橋正春裁判官
木内道祥裁判官山崎敏充)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛