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○玩具「ファービー」人形のデザインは美術の著作物に該当しないと判断された事

平成14年7月9日判決宣告
仙台高等裁判所平成12年(う)第63号著作権法違反被告事件
(原審山形地方裁判所平成11年(わ)第167号平成12年3月31日判決
宣告)
主文
原判決を破棄する。
被告人は無罪。
理由
第1本件控訴の趣意は,弁護人當山泰雄作成の控訴趣意書に記載のとおりである
から,これを引用する。
論旨は,法令適用の誤りを主張し,要するに,原判決は,被告人が販売した
玩具「ポーピィ」は,アメリカ合衆国の法人タイガー・エレクトロニクス・リ
ミテッド社が,その製造販売する玩具「ファービー」のデザイン形態に関して
,,,有する著作権を侵害するものであるとして著作権法違反の成立を認めたが
アメリカ合衆国法上の著作権があるものは,わが国の著作権法上の著作物に当
たるとき,わが国でも保護されるものであるところ「ファービー」のデザイ,
ン形態は,著作権法上の美術の著作物に該当しないので,玩具「ポーピィ」の
販売は「ファービー」のデザイン形態に関する著作権を侵害したことになら,
ないというべきであるから,原判決が著作権法違反の成立を認めたのは誤りで
ある,というのである。
第2弁護人及び検察官の各主張
弁護人及び検察官は,控訴趣意及び弁論において,それぞれ以下のように主
張する。
1弁護人の主張の大要
()アメリカ合衆国法上の著作権があるものは,当然にわが国の著作権法によ1
って保護されるのではなく,著作権法上の著作物に該当して初めて保護され
るのである。わが国の著作権法は,その制定過程において,意匠法等工業所
有権制度との調整から,原則として応用美術を美術の著作物として保護する
との立場は採らなかったものであり,ただ判例上,応用美術でも美術の著作
物に該当することはあるとされている。しかし「ファービー」のデザイン,
形態は,応用美術のうち実用品のひな型に属するが,著作権法は一品制作の
美術工芸品に限って著作物に該当するとしているのであるから,実用品のひ
な形は美術工芸品に入らず,また,例え美術工芸品に限らないとの立場に立
っても,これまでの判例上の基準からして「ファービー」のデザイン形態,
については著作物性が認められないといえる。
応用美術の著作物性について従来の判例上示された幾つかの基準に照らし
てみても「ファービー」のデザイン形態は,客観的に見て,電子玩具のデ,
ザイン形態として産業上の利用を目的に創作され,玩具としての機能を離れ
て美的鑑賞の対象となる代物ではなく,また「ファービー」の顔面部分に,
は,額部にセンサーが取り付けられた扇型の窓が設置され,眼球の上下動を
支え,顔全体をプラスチックで一体成型するため,両目の間に額の窓とくち
ばしの上部をグロテスクな半円部分で結合させているなど,実用面からの技
術的制約があり,半球形のくちばしが真横に切れて上下に動くのも,音声を
発するための仕掛けにすぎず「ファービー」の顔面部分は,すべて実用面,
からの技術的制約の下に制作されたものであり,これは玩具としての宿命で
あって,専ら美の表現を追求したものとは認め難いのであって,著作物に該
当するとはいえない。
()ファービーのデザイン形態は1984年ころに人気を呼んだ映画グ2「」,「
レムリン」に登場する「ギズモ」と称する電子玩具に酷似しており,独創
性も認められない。
()刑罰法規の発動は謙抑的でなければならず,平成5年に改正された不正競3
,,争防止法が模倣品の譲渡行為に対する罰則を設けなかった経緯に照らせば
知的所有権の分野における刑罰の適用に関しては,刑罰の謙抑性の要請がよ
り強いというべきであり,応用美術が著作物に該当するか否かの判断に当た
っては,刑事事件では民事事件における以上に厳しくなるべきである。
著作権法の立法経過に照らせば,現行著作権法は,応用美術のうち一品制
作の美術工芸品のみが美術の著作物に含まれる,としたものと解すべきであ
,「」,りファービーのデザイン形態がそれに当たらないことは明らかであり
民事事件において一品制作の美術工芸品以外のものについて著作物性を認め
た判例があるとしても,それを刑事事件についても当てはめることは,明文
にはない類推解釈であって,罪刑法定主義に反する。
2検察官の主張の大要
()著作権法上の美術の著作物の定義については,明文の規定はなく,絵画,1
彫刻等専ら鑑賞目的で創作される美的創作物である純粋美術が,美術の著作
物に当たることは法文上明らかであるが,実用に供されあるいは産業上利用
される美的創作物であるいわゆる応用美術が,著作権法上保護されるか否か
については,意匠法との関係などから,かねてから議論があるが,従来の裁
判例においては,応用美術についても純粋美術と同視しうる場合には美術の
著作物と認めていると解される。そして,この純粋美術と同視しうる場合と
は,判文上は高度な美的表現を要求しているような裁判例もあるが,実際の
事例を見ると,必ずしも絵画や彫刻等の典型的ないし高度な美的創作物と同
程度の高度な美的表現がなされているものに限定されていないと認められる
のであり,そもそも純粋美術については美術性の高低や芸術性が問題とされ
ていないのに,応用美術についてのみそれを問題とする合理性はないといえ
る。また,裁判例には,美の表現が実用目的によって実質的に制約されてい
る場合には,著作物性が否定されるとしているのがあるが,そのような場合
とは,美的表現がそもそも実用目的のための補助的機能を果たしているにす
ぎないような,言い換えれば,実用目的による制約が極めて強い場合を指し
ているものと解されるのである。結局,従来の裁判例では,美的表象が実用
面や機能面を離れて,一つの完結した美的表現を追求しているものと認めら
れるか否かによって,著作物性を判断するとの姿勢をとっていると理解でき
る。これまでの裁判例でも,玩具であるとの一事をもって著作物性を否定す
る判断をしていない。
()「ファービー」のデザイン形態は,ペットを飼育しているかのような感情2
を想起させることを意図して創作されたものであり,映画「グレムリン」に
「」,。登場するキャラクターギズモとは多数の相違点があって模倣性はない
「ファービー」は,ペットを飼育しているかのような楽しみを感じさせる
ため,ペットを飼育する際に感じる喜怒哀楽といった様々な感情を想起させ
,,ることを意図してそれを目的に開発された育成型電子ペットであるところ
そのデザイン形態は,使用者の感性に訴え,愛らしさ,親しみを覚えさせる
よう工夫して創作されたものであり,二頭身のずんぐりした体型を長い毛で
覆い,大きな耳,丸くくりっとした目,長くカールされたまつげ,小さなく
ちばしというような容貌姿態は,使用者の感性に訴えかけるという制作者の
思想を具体的に表現したもので,愛らしさがあって親近感や愛情を抱かせる
という意味で鑑賞の対象となる美的特性を備えており「ファービー」のデ,
ザイン形態は著作物であるといえる。
実際にも,販売されたカラーバリエーションを購入して鑑賞したり「フ,
ァービー」を着せ替え人形として鑑賞して楽しむなどされており,これは,
「ファービー」のデザイン形態に,愛らしさや親近感があるからにほかなら
ず,刺激に反応するという機能が備わっていたとしても,そうした爆発的人
気商品となることは考えられず,容貌姿態が美的特性を有することを物語っ
ているといえる。
「ファービー」は,玩具であり,様々な感情を呼び起こし情操を高めるも
のであって,主として日常生活の利便性に資する日用品とは本質的な差異が
ある。
「ファービー」において「全身を覆う毛のぬいぐるみから動物とは明ら,
」,かに質感の異なるプラスチック製の目やくちばし等が露出していることは
美的鑑賞の対象となる美的特性を否定する理由にならず,そもそも美の表現
において素材は問題とならないはずであり,一部プラスチックを使用せざる
を得ないという技術的制約があるとしても,それをどのように使用するかは
,,「」様々でありそのデザインによって美醜が決まるのであってファービー
,。は使用者に愛らしさを感じさせるような外観でデザインされたものである
()著作権法上美術の著作物の意義について明文の規定がなく,その意義は専3
ら解釈に委ねられており,解釈として一定の応用美術について著作物と認め
ることは,類推解釈に当たらない。
第3当裁判所の判断
,,,当裁判所は記録を調査し当審における事実取調べの結果も併せて検討し
以下のとおり判断する。
1本件公訴事実の要旨は「商品名『ポーピィ』と称する玩具が,タイガー・,
エレクトロニクス・リミテッド社が著作権を有する『ファービー』の容貌姿態
等を模したもので,同社の有する著作権を侵害して製造されたものであること
を知りながら『ポーピィ』を販売して,タイガー・エレクトロニクス・リミ,
テッド社の著作権を侵害した」というもので,同事実は著作権法119条1。
号,113条1項2号違反に該当するというのである。
「ファービー」のデザイン形態については,アメリカ合衆国の玩具の製造販
売会社であるタイガー・エレクトロニクス・リミテッド社が,アメリカ合衆国
連邦機関である著作権庁に著作権登録をし,アメリカ合衆国法上の著作権を有
するのであるが,こうしたデザイン形態は,物の形態あるいは外観の美的創作
であって,著作権法の領域においては,実用品に供されあるいは産業上利用さ
れることを目的として制作される応用美術といわれるものに属する。
ところで,わが国の著作権法6条3号は「条約によりわが国が保護の義務,
を負う著作物」を著作権法により保護する旨定めており,わが国及びアメリカ
合衆国は「文化的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」に加盟して,
,,,おり両国間の著作権の保護に関しては同条約によることとなるが同条約は
本国で保護される著作権が他の同盟国内で保護される範囲等を各同盟国の国内
法に委ね(同条約5条1項,2項),特にいわゆる応用美術については,その保
護の範囲及び保護条件を定める権能を各同盟国の国内法に委ねており(同条約
2条1項,7項)「ファービー」のデザイン形態は応用美術に当たるので,,
結局,タイガー・エレクトロニクス・リミテッド社がアメリカ合衆国において
著作権を有する「ファービー」のデザイン形態について,わが国の著作権法上
著作物として保護の対象となるか否かは,わが国の著作権法の解釈にかかるこ
ととなる(なお,本件では,内蔵チップに組み込まれた言語を発するプログラ
,,ムについてはアメリカ合衆国で著作権を有する法人である告発者においても
著作権侵害として告発しておらず,また,公訴事実においても,当該プログラ
ムに関する著作権侵害は掲げられておらず,デザイン形態に関する著作権侵害
のみが対象とされている。)。
2わが国の著作権法は,著作権等による保護の対象となる著作物について,同
法2条1項1号において「思想又は感情を創作的に表現したものであって,,
文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」とし,同条2項は「美術,『
の著作物』には,美術工芸品を含むものとする」と定めており,絵画,彫刻。
等の専ら美術鑑賞の対象とされることを目的とした純粋美術のみならず,美術
の感覚や技法を手工的な一品制作に応用した美術工芸品が,美術の著作物とさ
れていることは明らかである。しかし,実用品に供されあるいは産業上利用さ
れることを目的として制作される応用美術については,昭和44年当時の著作
権法の制定経過や同法が応用美術のうち美術工芸品のみを掲げていることなど
を考慮すると,現行著作権法上は原則として著作権法の対象とならず,意匠法
等工業所有権制度による保護に委ねられていると解すべきである。ただ,そう
した応用美術のうちでも,純粋美術と同視できる程度に美術鑑賞の対象とされ
ると認められるものは,美術の著作物として著作権法上保護の対象となると解
釈することはできる。そこで,美術の著作物といえるためには,応用美術が,
純粋美術と等しく美術鑑賞の対象となりうる程度の審美性を備えていることが
必要である。これを本件で問題となっている実用品のデザイン形態についてい
えば,そのデザイン形態で生産される実用品の形態,外観が,美術鑑賞の対象
となりうるだけの審美性を備えている場合には,美術の著作物に該当するとい
える。
3「ファービー」の制作由来については,アメリカ合衆国のエンジニア兼デザ
イナーであるデビッド・ハンプトン外2名が,使用する者にあたかもペットを
飼育しているかのような楽しみを感じさせる電子玩具の製作を意図したもので
あり,その電子回路の設計及びデザイン形態を試作した上,同国の玩具メーカ
,「」ーであるタイガー・エレクトロニクス・リミテッド社との間でファービー
の共同開発に関する契約及び「ファービー」の著作権の譲渡契約を締結した。
タイガー・エレクトロニクス・リミテッド社は,より斬新性を高めて購買者に
対する印象を強めるべく,試作品のデザイン形態に若干の変更を加えて「フ,
ァービー」のデザイン形態を完成させ,1998年10月にアメリカ合衆国に
おいて「毛ぐるみ付き玩具」として「ファービー」のデザイン形態を,同時,
,。「」,にファービー語・英語辞典をそれぞれ著作権登録をしたファービーは
同年10月にアメリカ合衆国で販売が開始されるとともに話題を呼び,大流行
となって,その後世界50カ国以上で発売されることとなり,わが国において
も,平成11年2月に英語版が,同年5月末から日本語版が発売され,大きな
売り上げを記録している。なお「ファービー」については,わが国で同年4,
月2日に意匠登録の出願がなされ,同年9月3日に意匠登録されている。
「ファービー」の形状や機能等については,電子回路やモーター等の内蔵さ
れたプラスチック製の本体と,本体にかぶさる毛のぬいぐるみから成り,体長
が約13センチメートルで,頭部分が大きい二頭身ほどのずんぐりした架空の
動物を表した体型をしている。顔面部分は本体と一体となっており,球形の大
きな両眼と同じく球形の口がある。顔面部分及び底部を除いて,毛のぬいぐる
みが覆っており,三角形の大きな耳と頭上部分にたてがみ様の毛があり,3本
指の足がついているが,手に当たるものはない。ぬいぐるみの色,模様にはバ
リエーションがあって,数多くの種類があり,目の色も数種類ある。
「ファービー」の本体内部に個の各種センサーが内蔵されており,これら7
センサーが,接触,光,音,振動,傾斜等の外部からの刺激をセンサーで感応
し,CPU制御によって耳,目,口,足が動くとともに,内設のロムチップに
記憶された単語を適切に選択し,その動作に合った言葉等の音声を内蔵スピー
カーから発し,刺激を継続することで記憶チップが作動し,あらかじめ記憶さ
れた単語の範囲内で次第に語彙を増やし,その組み合わせを変化させ,疑似言
語から英語等による言葉を発するようになり,あたかも飼っているペットが成
長するような,楽しみやかわいさ等を抱かせることになり,育成型の電子ペッ
ト玩具といわれるゆえんである。
4「ファービー」のデザイン形態は,当初から工業的に大量生産される電子玩
,「」,具のデザインとして創作されたものであるがファービーの最大の特徴は
あたかもペットを飼育しているかのような感情を抱かせることを目的に,各種
の刺激に反応して各種の動作をするとともに言葉を発することにあり,そのた
め,そうした特徴を有効に発揮させるための形状,外観が見られるのである。
顔面の額に光センサーと赤外線センサーのための扇形の窓が設置され,額か
ら眼球周辺及び口周辺にかけては一体成型のための平板な作りとなっており,
目,口は球状のものが三角形上に3つ配置され,眼球及び口が動くため,その
周囲が丸くくりぬかれて隙間があり,左右の眼球を連結する軸を隠すように,
両目の間に半円形に隆起した部分があり,美感上重要な顔面部分に玩具として
の実用性及び機能性保持のための形状,外観が見られ,また,刺激に反応して
目,口,耳が動くことを感得させるため,それらが大きくされていることが認
められる。このように「ファービー」に見られる形態には,電子玩具として,
の実用性及び機能性保持のための要請が濃く表れているのであって,これは美
感をそぐものであり「ファービー」の形態は,全体として美術鑑賞の対象と,
なるだけの審美性が備わっているとは認められず,純粋美術と同視できるもの
ではない。
5検察官は,美的の意味については「美しい」もののみならず,見る者をし,
て驚きや感動を与え,あるいは愛らしさ,親しみ,愛着を抱かせるなど,鑑賞
,,の対象となりうるものであれば広い範囲のものが含まれるというべきであり
「ファービー」は,ペットを飼育する際に感じる喜怒哀楽といった様々な感情
を想起させることを目的に開発された玩具であり,そのデザイン形態は,使用
者の感性に訴え,愛らしさ,親しみを覚えさせるよう工夫して創作されたもの
であり,二頭身のずんぐりした体型を長い毛で覆い,大きな耳,丸くくりっと
した目,長くカールされたまつげ,小さなくちばしといった容貌姿態は,使用
者の感性に訴えかけるという制作者の思想を具体的に表現したもので,愛らし
さがあって親近感や愛情を抱かせるという意味での鑑賞の対象となる美的特性
を備えている旨主張する。
しかしながら,なるほどその容貌姿態は,育成型の電子ペットとしての愛ら
しさやかわいらしさといった感情を抱かせることを目的に創作されたものであ
るが,使用者にかわいらしさを感じさせ,親近感や愛情を持たせるのは,やは
りその大きな特徴であるペットと同じような反応や機能をすることが大きく影
響していると認められるのであり,そうした点を抜きにして,その容貌姿態の
みで美術鑑賞の対象となるというには困難があるといわねばならない。
検察官は「ファービー」が人気があり,現実に爆発的に売れたことを強調,
するのであるが,そうした事実は「ファービー」の特徴である上記の反応,,
機能をすることが大きく影響しているのみならず,著作権の対象とはならない
ぬいぐるみ部分の色彩や模様も影響していると考えられ,容貌形態のみによる
人気の程度や売れ行きの程度を考慮するのは著しく困難である。
6以上のとおりで,本件「ファービー」のデザイン形態は,著作権法2条1項
1号に定める著作物に該当しないと認められる。したがって「ファービー」,
のデザイン形態が著作権法2条1項1号の著作物に該当するとして,著作権法
違反の成立を認めた原判決には,法令の解釈適用を誤った違法があるというべ
きであり,論旨は理由がある。
第4よって,刑訴法397条1項,380条により原判決を破棄し,同法400
条ただし書により,被告事件について更に次のとおり判決する。
本件公訴事実である「被告人は,商品名『ポーピィ』と称する玩具が,タ,
イガー・エレクトロニクス・リミテッド社が著作権を有する『ファービー』の
容貌姿態等を模したもので,同社が有する著作権を侵害して製造されたもので
あることを知りながら,同玩具を頒布し,タイガー・エレクトロニクス・リミ
テッド社の著作権を侵害した」旨の著作権法119条1号,113条1項2。
号違反の事実については,タイガー・エレクトロニクス・リミテッド社がアメ
リカ合衆国法上の著作権を有する「ファービー」のデザイン形態は,上記説示
のとおり,わが国著作権法上の著作物に該当しないので「ポーピィ」が「フ,
ァービー」の容貌姿態等を模したものであるか否かを問うまでもなく,著作権
侵害の事実は認められず,公訴事実は罪とならないので,刑訴法404条,3
36条により,被告人に対し無罪の言渡しをすることとし,主文のとおり判決
する。
平成14年7月9日
仙台高等裁判所第1刑事部
裁判長裁判官松浦繁
裁判官根本渉
裁判官春名郁子

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