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平成14年(ワ)第523号 不当利得金返還請求事件
         判         決
         主         文
1 被告は,原告に対し,金2816万5892円及びこれに対する平成14年2
月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
3 この判決は,仮に執行することができる。
        事         実
第1 請求
 主文同旨。
第2 事案の概要
  本件は,被告が,平成4年度から平成13年度までの間,再生債務者ナイス・
ミドル・スポーツ倶楽部株式会社(以下,再生債務者という)から,社員でないの
に,社員として賃金の支給を受け,源泉所得税を控除した金額について不当に利得
していたとして,返還請求(社会保険料等については,予備的に不法行為に基づく
損害賠償請求)された事案である。
第3 請求原因
 1 再生債務者は,平成13年4月16日,当庁に対し,債権者から民事再生手
続開始の申立てを受け,同年7月16日,民事再生手続開始決定を受け,原告が管
財人に選任された。
2 被告に対し,再生債務者の社員であったとして,以下のとおりの賃金が支払わ
れている。
① 平成4年度
  総支給額   200万円
  社会保険料等 19万6927円
  源泉所得税  6万1613円
  手取り額   174万1460円
② 平成5年度
  総支給額   200万円
  社会保険料等 21万3564円
  源泉所得税  6万7100円
  手取り額   171万9336円
③ 平成6年度
  総支給額   248万0938円
  社会保険料等 24万3670円
  源泉所得税  8万9028円
  手取り額   214万8240円
④ 平成7年度
  総支給額   301万円
  社会保険料等 34万1636円
  源泉所得税  10万5630円
  手取り額   256万2734円
⑤ 平成8年度
  総支給額   335万5000円
  社会保険料等 34万7050円
  源泉所得税  13万3740円
  手取り額   287万4210円
⑥ 平成9年度
  総支給額   360万5000円
  社会保険料等 35万9920円
  源泉所得税  14万7013円
  手取り額   309万8067円
⑦ 平成10年度
  総支給額   381万円
  社会保険料等 37万0598円
  源泉所得税  13万1834円
  手取り額   330万7568円
⑧ 平成11年度
  総支給額   393万7500円
  社会保険料等 39万9952円
  源泉所得税  13万4392円
  手取り額   340万3156円
⑨ 平成12年度
  総支給額   421万2500円
  社会保険料等 43万5657円
  源泉所得税  15万7000円
  手取り額   361万9843円
⑩ 平成13年度
  総支給額   81万円
  社会保険料等 11万1810円
  源泉所得税  2万7696円
  手取り額   67万0494円
⑪ 以上合計
  総支給額   2922万0938円
  社会保険料等 302万0784円
  源泉所得税  105万5046円
  手取り額   2514万5108円
3 しかし,被告が再生債務者の社員として勤務した事実はない。
4 しかも,被告は,再生債務者の社員として社会保険等に加入し,保険制度上の
利益を享受したもので,その社会保険料等は,再生債務者から支給された上記賃金
から支払われていた。
5 したがって,被告が再生債務者から支給を受けた総支給額(2922万093
8円)から,源泉所得税額(105万5046円)を控除した残額(2816万5
892円)について,再生債務者に対する関係で不当利得を構成する。
6 仮に,社会保険料等(302万0784円)について不当利得を構成しないと
しても,被告は,再生債務者に勤務していないにもかかわらず,社員として社会保
険に加入し,その保険料を再生債務者に負担させていたのであるから,再生債務者
に対する不法行為を構成することになる。したがって,再生債務者は,被告に対し
て,支払った社会保険料等に相当する金額について,損害賠償請求権を有する。
第4 被告の認否及び反論
1 請求原因1項は,知らない。
2 同2項は,認める。
3 同3項は,認める。
4 同4項ないし6項は,争う。
5 被告は,再生債務者の実質的オーナーであった父Aから,前記総支給額を給与
(社会保険料等を含む)名目で贈与されたものである。したがって,法律上の原因
があり,不当利得に当たらないし,不法行為でもない。
       理         由
第1 請求原因について
1 請求原因1項ないし4項について
 同2項及び3項は,争いがなく,同1項及び4項は,弁論の全趣旨により認めら
れる。
2 同5項について
 同1項ないし4項の事実からすると,被告は,社員でもないのに社員として賃金
の支給を受け,社会保険にも加入し,その保険料も再生債務者が負担していたこと
になるから,被告が再生債務者から支給を受けた総支給額(2922万0938
円)から,源泉所得税額(105万5046円)を控除した残額(2816万58
92円)について,再生債務者に対する関係で不当利得を構成することは,明らか
である。
第2 被告の主張について
 被告は,再生債務者から支給を受けた総額について,再生債務者の実質的オーナ
ーであった父Aから,給与名目で贈与を受けたものであるから,法律上の原因があ
り,不当利得には当たらないと主張する。
 しかし,Aは,再生債務者の役員でも,株主でもない(弁論の全趣旨)のである
から,仮に,被告主張のとおり,Aから,給与名目で贈与を受けたとしても,再生
債務者に対する関係では,支給を受けた金員を保持しうる理由にはならない。
 したがって,被告の主張は採用できない。
第3 結論
  以上のとおりであるから,原告の請求は理由がある。
    大阪地方裁判所第12民事部
        裁判長裁判官  中  村  隆  次
         裁判官  宮  武     康
         裁判官  藪     崇  司

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