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平成13年(ネ)第5254号 実用新案権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京
地方裁判所平成12年(ワ)第6125号)
平成14年6月18日口頭弁論終結
          判      決
    控訴人(原告)   株式会社多賀製作所
    訴訟代理人弁護士  高 橋 敬一郎
    補佐人弁理士    吉 田 芳 春
    被控訴人(被告)  日特エンジニアリング株式会社
    訴訟代理人弁護士  田 倉   整
    補佐人弁理士    後 藤 政 喜
    同         松 田 嘉 夫
    同         飯 田 雅 昭
          主      文
   本件控訴を棄却する。
   控訴費用は控訴人の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 控訴人
 原判決を取り消す。
 被控訴人は,原判決別紙第1物件目録記載の自動巻線処理装置の製造,販売,貸
与,使用及び販売・貸与の申し出を行ってはならない。
 被控訴人は,自ら占有する前項記載の自動巻線処理装置を廃棄せよ。
 被控訴人は,控訴人に対し,金7345万円及びこれに対する平成12年4月5
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
 2 被控訴人
主文同旨
第2 事案の概要
 本件は,自動巻線処理装置の実用新案権(登録番号第1985611号,本件実
用新案権,この考案が本件考案)を有する控訴人が,原判決添付の別紙第1物件目
録記載の装置(被告装置)を製造・販売する被控訴人に対し,被告装置が本件実用
新案権の技術的範囲に属しており,被告装置の製造・販売は本件実用新案権を侵害
すると主張して,本件実用新案権に基づき,前記第1の1と同旨の裁判を求めた事
案である。
 原判決は,本件考案の実用新案登録出願(昭和62年8月31日)前に,被控訴
人が製造し,松下電工株式会社(以下「松下電工」という。)瀬戸工場に納入した
装置(被告先行装置)は,本件考案の技術的範囲に属するので,被控訴人は先使用
による通常実施権を有すること,また,上記被告先行装置の製造・納入により,本
件考案は,その実用新案登録出願前に公然実施されていたものであり,本件考案に
は,明白な無効事由が存在するから,これに基づく請求は権利の濫用として許され
ないことを理由として,控訴人の請求を棄却する旨の判決をした。これに対して,
控訴人が本件控訴を提起したものである。
 「事案の概要」は,次の1,2のとおり当審における当事者の主張の要点を付加
するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」(ただし,原判決3
頁15行~24行及び4頁1行~4行を除く。)のとおりであるから,これを引用
する。なお,本判決においても原判決の用法に従い,「被告装置」,「本件実用新
案権」,「本件明細書」,「本件公報」,「本件考案」,「被告先行装置」,「構
成要件A①」などの各語を用いる。
 1 当審における控訴人の主張(控訴理由)の要点
 (1) 抗弁において対象とすべき被控訴人の先行実施製品の認定の誤り
 原判決における被告先行装置(原判決別紙第2物件目録記載の自動巻線処理装
置)は,乙第3号証に基づいて特定されているが,乙第3号証記載の装置は,被控
訴人の先行装置としての実施品ではない。
ア 原判決は,「本件考案の実用新案登録出願前に被告が被告先行装置(別紙第
2物件目録記載の自動巻線処理装置)を製造し,松下電工瀬戸工場に納入したこと
は当事者間に争いがない。」旨の事実整理をし(原判決4頁1行~4行),その前
提で理由説示をしているが(原判決13頁16行~17行,14頁6行~7行),
控訴人はこの事実を争ったものであり,原判決は誤っている。
なお,控訴人は,乙第5~7号証によって特定される装置が先行実施品であると
主張をしたが,この主張が原判決から欠落しており(原判決4頁18頁以下の(原
告の主張)欄の記載は争う。),この主張に対する判断も示されていない。
イ 乙第3号証によって特定される被告先行装置(別紙第2物件目録記載の自動巻
線処理装置)は,実施形跡がない。すなわち,被控訴人が松下電工瀬戸工場に納入
し,稼働しているものは,乙第5~7号証に示されたものである。乙第5号証で
は,松下電工工場長が「装置の構成は納入当時のままであり,現在も稼働中であ
る」と陳述し,乙第6号証の管理記録,乙第7号証の公証人の記録と松下電工の課
長の陳述によれば,乙第7号証の写真に示す構成が納入されており,これが被控訴
人の先行実施品に該当することは明白である。
なお,乙第5~7号証の装置と乙第3号証の装置(被告先行装置)とは,構成で
相違している。すなわち,後者は,2機のパーツフィーダと2機のキャリア挿入装
置が図示され(乙3),J型コイル及びC型コイル(C-30型コイルとC-50
型コイルは兼用)の3種コイル専用の自動装填装置を備えている。これに対して,
前者は,J型コイルと推認される1機のパーツフィーダと1機のキャリア挿入装置
が撮影され(乙7),J型コイル専用の自動装填装置として実施したと認められる
のである。
 
(2) 本件考案の技術的範囲の解釈の誤り
 原判決は,自動装填装置と自動巻線装置の両者を連結して一体の着脱自在のユニ
ットとし,1個のコンベアを備える構成としたものであっても本件考案の技術的範
囲に含まれるなどと判示するものであって,これらは,本件考案の実用新案登録請
求の範囲の記載が明瞭であるにもかかわらず,この記載を無視した上,請求の範囲
の記載に包含されていない一実施例(第1図の実施例)の記載のみに依拠して技術
的範囲を曲解するものであって,技術的範囲の解釈の基本原則を逸脱するものであ
る。
ア 本件考案の構成要件を分説すると,次のとおりである(原判決3頁4行~1
4行に記載のとおりで争いがない。なお,以下,原判決と同様に,分説した各構成
要件をその符号に従い「構成要件A①」ないし単に「A①」のように表記す
る。)。
   A① キャリアにボビンを自動装填する自動装填ユニットと,
    ② ボビンに巻線を施す自動巻線ユニットと,
    ③ ボビンに巻線が施されたコイルにテーピングや絶縁チェック,更にコ
イル搬出等を行う複数の処理ユニットと,
    ④ キャリアを受け渡すために各ユニットに設けたコンベアとを備え,
   B① 前記各ユニットは着脱自在に配設され,
    ② 各コンベアはキャリアを授受できるように各ユニット間においてその
高さを揃えたこと
   C を特徴とする自動巻線処理装置。
 本件考案における「ユニット」とは,構成要件A①の自動装填ユニット,A②自
動巻線ユニット,A③複数の処理ユニットを含む概念であり,「処理ユニット」と
は,A③の複数の処理ユニットであって,その1番目の処理ユニットA③1と複数
番目の処理ユニットA③Nをいう。
 本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載によれば,A①自動装填ユニットと,
A②自動巻線ユニットと,A③複数の処理ユニットとがいわゆる「と書き」で表現
され,それぞれ独立の構成要件として記載されている。巻線処理ラインは,ボビン
をキャリアに自動装填した後に巻線を施すことが必要であるから,自動装填ユニッ
トと自動巻線ユニットの存在が必須である。自動装填ユニットと自動巻線ユニット
は,コイルの種類や形状等に応じてボビン外形が相違する上に巻線構造も種々存在
するので,これらの要請に対応するために,それぞれ独立したユニットに構成され
ているのである。
 A④の「キャリアを受け渡すために各ユニットに設けたコンベアとを備え」とい
う構成要件における「各ユニット」は,A①,A②,A③を前提として「各ユニッ
ト」と記載されているので,自動装填ユニットA①,自動巻線ユニットA②,複数
の処理ユニットA③を指すことが文言上極めて明瞭に示されている。A①,A②の
みを除外する余地は皆無である。しかも,A①,A②,A③の「ユニット」とA④
の「各ユニット」が同一用語と認められる。A③のみが「各ユニット」であるとす
る解釈は実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて定めるという基本原則から逸脱
している。A④において,「キャリアを受け渡すために各ユニットに設けたコンベ
アを備え」と記載されているので,コンベアは,前記各ユニットにそれぞれ備えら
れることが必須である。なお,本件で補正する前の出願当初には,A④に対応する
構成要件として,「各ユニットにはボビンが装填されるキャリアを各ユニット相互
間において受け渡すためのコンベアをそれぞれ設けた」と記載されており,各ユニ
ットにコンベアを設ける構成を明瞭に記載していた。A④のように補正されても,
各ユニットにコンベアを備えることは否定されず,簡明に記載されているのであ
る。被控訴人は,補正によって,「それぞれ」の文言が削除された点を取り上げて
反論するが,コンベアがそれぞれに備えられることが文理上明白であるから,「そ
れぞれ」の有無に左右されるわけではない。
構成要件B①では,「前記各ユニットは着脱自在に配設され」と記載されてい
る。この各ユニットは,前記のとおり,A①,A②,A③を指すものと解釈され,
A①,A②のみを除外する余地は皆無である。A③のみを「各ユニット」と解釈
し,B①の記載にA①とA②が一体化しているものを包含するものと解釈するの
は,前記解釈の基本原則を逸脱する。なお,補正前の当初の出願においては,B①
に対応するものは,「上記各ユニットを脱着自在に連結すると共に」とされてお
り,出願当初から,上記のように各ユニットが脱着自在とする構成を明瞭に記載し
ていたのであり,上記各ユニットの独立性は明らかである。補正後も各ユニットの
個別ないし独立性は引き継がれている。
 構成要件B②の「各ユニット」についても,文理上,A①,A②のみを除外する
余地は皆無である。
 
イ 原判決の誤りを具体的に指摘すると以下のとおりである。
(ア) 原判決は,「本件考案における自動巻線装置が,①コンベアを備えた複数
のユニットを備えること,②ユニットが着脱自在に配設されていること」と認定す
るが(原判決9頁20行~22行),①の点は,構成要件A④の「各ユニットに設
けたコンベア」との文言に反するし,この「各」を無視した認定は,B②の記載と
も矛盾し,②の点も構成要件B①の記載から「前記各」の構成要素を脱落させてお
り,誤っている。
また,「(なかでも,ボビンを自動装填する装置とボビンに巻線を施す自動巻線
装置とを,それぞれ独立して着脱自在の別個の単体として構成し,それぞれに独自
にコンベアを備えるものに限られるのか)という点は,文言上は必ずしも明らかで
ない。」とするが(原判決9頁下から2行~10頁2行),構成要件B②に各ユニ
ット間の各コンベアが明確に記載されているほか,実用新案登録請求の範囲の文言
上,自動装填ユニットと自動巻線ユニットのそれぞれが独立して別個の単体として
構成されていることは極めて明瞭である。また,自動装填装置は,コイルの種類に
応じて交換しなければならないものであり,自動巻線装置は,コイルの種類の大部
分で流用することができるものであるから,両者は,着脱自在な単体としてユニッ
ト化されなければならないことは自明であって,原判決はこの点を看過している。
(イ) 原判決は,10頁3行~24行において,本件明細書の「考案の詳細な説
明」欄の「考案が解決しようとする問題点」,「考案の効果」の記載を参酌してい
るが,実用新案登録請求の範囲の記載から明瞭なのであるから,これを無視するこ
とは前記基本原則に反する。
なお,上記の欄に「処理ユニット」について記載があるが,構成要件A③の処理
ユニットに着目して言及しているにすぎない箇所である。「着脱自在なユニット」
としては,構成要件A①の自動装填ユニットとA②の自動巻線ユニットと,A③の
複数の処理ユニットとが必須要件であることは,上記の本件考案の効果の記載から
明らかである。考案の詳細な説明欄の処理ユニットの記載箇所のみを根拠として本
件考案の実用新案登録請求の範囲の明瞭な記載を無視して判断することはできな
い。なお,原判決3頁15行~24行の本件考案の作用効果に関する記載も争う。
 (ウ) 原判決は,「本件考案の効果を達成するためには,・・・装置のそれぞれ
が必ず個別に独立した着脱自在の単位体として構成されなければならないというわ
けではなく,・・・必ず生産ライン上で隣り合う場所に位置することが予定されて
いる複数の装置については,個別に着脱することが想定されないから,これらをま
とめて共通のコンベアを備えた一つの着脱自在の単位体として構成することが当然
に予定されているものと解するのが相当である。」と判示する(原判決11頁2行
~8行)。
しかし,本件考案特有の効果を達成するためには,装置のそれぞれが個別に独立
した単位体(ユニット)として構成されていることが必要であって,原判決は,本
件考案の特徴を無視している。また,隣り合う場所に位置することが予定されてい
たとしても,個別に着脱することが想定されないと判断することは当を得ていな
い。また,自動装填ユニットと自動巻線ユニットが隣り合っているので,一つの単
位体として構成することができると断じることは,本件考案の構成要件でA①とA
②が別個の構成要件として記載されていることを無視するものである。
(エ) 原判決は,「(コイルに施す異なる種類の操作と処理ユニットの関係につ
いては,実用新案登録請求の範囲に何ら記載されていないのであるから,この点
は,明細書の他の部分の記載に照らして判断するのが相当であり,前記のように解
するべきである。)」という(原判決11頁8行~11行)。
しかし,これは誤りである。すなわち,本件考案の実用新案登録請求の範囲に
は,コイルに施す異なる種類の操作としては,A①キャリアへのボビンの自動装填
と,A②ボビンに巻線を施すことと,A③巻線が施されたコイルに例示としてテー
ピング,絶縁チェック,コイル搬出等の複数処理を操作することが記載されてお
り,このように異なる種類の操作A①,A②,A③が順に記載され,各ユニットが
着脱自在に配設され,各ユニットに設けられたコンベアでキャリアを受け渡すので
あるから,上記の順に操作することが明らかであり,実用新案登録請求の範囲に記
載されているのである。
 (オ) 原判決は,「自動装填装置と自動巻線装置についても,一般にその間に何
らかの作業を行うことは予定されていないものであるから,これらをまとめて共通
のコンベアを備えた一つの着脱自在の単位体として構成することも,本件考案にお
いて,想定されている」旨を判示する(原判決11頁13行~16行)。
しかし,隣り合うことが予定される自動装填ユニットと自動巻線ユニットは,一
般にその間に何らかの作業を行うことは予定されていないと断じ得ないばかりか,
これらをまとめて共通のコンベアを備えた一つの単位体として構成するとの判断に
も無理がある。
すなわち,コイルの種類に応じてボビンや端子の形状,寸法あるいは位置関係が
それぞれ相違する。自動装填装置である以上は,これらコイルの相違に対応して必
然的に交換される。よって,自動装填装置がコイルの種類に応じて対応し得るよう
に着脱自在な単体としてユニット化されなければならないことは自明であって,交
換の必要性があることは,技術的にも明らかである。これに対し,自動巻線装置
は,線径や移動ストロークあるいはスピンドルのピッチなどが近似する範囲では,
スプール台に線材が巻回されたリールを変えることなど,同一の自動巻線装置を大
部分は流用することができるものである。原判決はこのことを看過している。
その上,自動装填装置と自動巻線装置との間には必要に応じた各種作業が予定さ
れているのである。例えば,自動装填装置と自動巻線装置との間にボビンの胴部へ
テーピングするためのテーピングユニットを追加しなければならない場合(イグニ
ッションコイルの一次コイル),自動装填装置と自動巻線装置との間に,端子を曲
げ成形する端子曲げユニットを追加しなければならない場合,巻線処理スピードの
向上や異線種の巻線などに対応するために,上記両装置の間に1又は複数の自動巻
線ユニットを追加しなければならない場合などがある。原判決は,自動装填装置と
自動巻線装置の間において,コイルの種類に応じた多数の作業が行われていること
を看過している。
 (カ) 原判決は,本件明細書の「考案の詳細な説明」欄の本件考案の実施例,特
に第1図に基づく説示をした上(原判決11頁17行~末行),「A①~③の「ユ
ニット」はいずれもコイルに対する1種類の作業に対応する装置をいうが,A④及
びB①における「各ユニット」については,いずれも,「各ユニットが必ず単独
で」ということまでを意味するものではなく,「各ユニットが,それぞれ単独で,
あるいは隣接するユニットと共に(共通のコンベアを備えるか,あるいは一体とし
て着脱自在となっている)」ということを意味しているものと解するのが相当であ
る。」と判断している(原判決12頁13行~19行)。
しかし,A①,A②,A③にそれぞれユニットが記載され,構成要件A④に各ユ
ニットにコンベアが備えられと記載され,構成要件B①に各ユニットの着脱性が記
載され,構成要件B②に各ユニット間の「各コンベア」が明確に記載されているの
で,これらの文言上からもA①,A②の独自性は明らかである。本件考案の構成要
件の記載が明瞭であるにもかかわらず,必ずしも明らかでないとした上,当初から
本件考案に包含されていない一実施例に依拠し,重要な要旨である「ユニット」,
「各ユニット」などの概念を勝手に変更していることは明らかである。
本件考案は,本件出願当初から,本件明細書の第5図を中心とする実施例に依拠
して記載されているのであり,出願当初から第1図を中心とする実施例には依拠し
て記載されてはいない。特許庁の審査において,拒絶理由通知がされたのを受け,
控訴人は,手続補正書及び意見書を提出し,登録されたという経緯があるが,意見
書では,第1図の実施例を除外する明確な主張がされている。この審査経緯から,
第1図を中心とする実施例は,特許庁の審査において除外されていたことは明らか
である。ちなみに,意見書では,第5図に基づく一実施例としてではなく,本件考
案の構成として記載されている。第5図に依拠するものとして,明確かつ客観的に
記載されている。原審での主張においては,第5図の実施例に示す構成に依拠する
ことを主張してあり,確かに,第1図を中心とする実施例には依拠して記載されて
いないとの主張はしていないが,「第1図の実施例に包含されていないユニットA
①とA②とが別のコンベアにより連結されている本件考案の構成要素A④に依拠す
る」と主張しており,第1図の実施例に包含されないと主張していることと同じ意
味である。
 (3) 乙第5~7号証に基づく被控訴人製品の構成と本件考案の内容との対比
 前記(1)のとおり,抗弁において対象とすべき被控訴人の先行実施製品は,乙第
5~7号証によって特定される装置であるべきである。この製品は,次のような構
成であり,本件考案とは異なっている。
 すなわち,J型専用の1機の装填装置部分とJ型専用に調整された巻線装置部分
とを一体に搭載したJ型装填巻線ラインユニットと,J型専用にボビン受け治具及
びテープその他専用部品がセットされているJ型テーピングユニットと,J型専用
にストロークや先端アタッチメントがセットされているJ型フラックス装置部分
と,同様にセットされているJ型半田装置部分と,同様にセットされているJ型レ
アショート装置部分とを一体に搭載した半田関連装置を備え,これにJ型専用に先
端アタッチメントをセットした排出装置部分を一体に搭載したJ型複数処理ライン
ユニットと,から構成されている。
 J型装填巻線ラインユニットは,J型専用の1機のパーツフィーダからなる装填
装置部分と,J型専用に調整された巻線装置部分とが分離不可分になっていた。あ
くまでもJ型の専用の自動装填と自動巻線の連続ラインを構成するものとして実施
されていたことは明らかである。仮に,J型装填巻線ラインユニットをトランス用
ボビン自動巻線処理ラインに交換しようとしても,採用し得ないことが明白であ
り,本件考案とは異なることが明らかである。
 また,J型専用にストロークや先端アタッチメントがセットされることで,J型
フラックス装置部分と,J型半田装置部分と,J型レアショート装置部分とが一体
に搭載した半田関連装置を備え,これに続いて同様にセットした排出装置部分を一
体に搭載することで複数の処理ラインユニットが一体不可分に構成されている。こ
の場合にも,J型複数処理ラインユニットをトランス用ボビン自動巻線処理ライン
に交換しようとしても,トランスボビン用搬出ユニットと交換することができず,
採用し得ないことが明白であり,本件考案とは異なることが明らかである。
 (4) 被告先行装置の構成と本件考案の内容との対比
 原判決は,(1)のとおり,先使用の検討対象を誤っているが,原判決が対象とした
被告先行装置についてみても,本件考案とは異なっている(原判決4頁19行~5
頁19行の主張に付加する)。
 ア 被告先行装置の構成
対象コイルは,J型,C-30型,C-50型の3種類のみを対象としている。
ボビンも対象コイルと同じ3種類のものである。搬送パレットは,J型ボビン専用
キャリアとC-30型及びC-50型兼用キャリアの2種類でパレット交換するも
ので,3種専用に設計されている。巻線治具は,J型ボビン専用治具とC-30型
及びC-50型兼用治具の2種類で巻線機治具交換をするもので,3種専用に設計
されている。
 自動装填装置部分は,J型専用のホッパーフィーダー,ボウルフィーダー,直進
フィーダー,キャリア挿入装置と,C-30型及びC-50型兼用のホッパーフィ
ーダー,ボウルフィーダー,直進フィーダーと,C-30型,C-50型兼用キャ
リア挿入装置とで設計されている。要するに,自動装填装置は,J型ボビンとC型
ボビンの2機のパーツフィーダーと2機のキャリア挿入装置とが装備され,J型ボ
ビン,C-30型ボビン,C-50型ボビンに使用される3種コイル専用機であ
る。そして,乙第3号証の左部分に図示されている自動装填装置のうち,J型ボビ
ンは右側の小型部分が使用され,C-30型ボビンとC-50型ボビンは左側の大
型部分が兼用されるものと推認される。
自動巻線装置部分は,J型用線材とC-30型及びC-50型用線材の2種類の
ポリウレタン電線が用いられ,ボビン台は,2種類の線材ごとに専用の8連ボビン
台を設置している。自動巻線装置部分は,J型ボビン,C-30型ボビン,C-5
0型ボビンの3種コイル専用型の巻線機として設計されている。
自動装填装置と自動巻線装置とは,1つのコンベアで一体となってライン化され
ている3種コイル専用型であって,かつ,入れ換えを要しない1ライン式の自動装
填巻線ラインとして構成されている。
J型,C-30型,C-50型の3種類のテープが用いられ,テーピングユニッ
トは,3種類のテープと,3種類のテーピングピッカーが図示されており,3種類
のテープ以外には使用することができない装備となっている。そして,自動装填巻
線ラインに接続して入れ換えを不要として1ラインを構成するものである。
松下電工は,設計当初から3種コイル専用型の巻線処理ラインを1ラインで交換
を要せずに巻線処理ができるように設計依頼しているものと認められるので,コイ
ルの種類に応じて交換しようという技術的思想は皆無である。そして,設計変更に
よって,実際には,乙第5~7号証の先行実施品が実施されているが,1種専用機
であるから,コイルの種類に応じて交換しようという技術的思想はない。
以上のとおり,先行装置は,J型コイル,C-30型コイル,C-50型コイル
の3種類のみを巻線処理の対象品種として設計された3種コイル専用型の1ライン
式の自動巻線処理装置である。
特に,自動装填装置と自動巻線装置とが1つのコンベアで一体となって3種コイ
ル専用型の自動装填巻線ラインを構成し,テーピングユニットも3種コイル専用の
3種装備を備えているから,3種コイル以外には使用することができないばかり
か,自動装填巻線ラインとテーピングユニットとを交換する必要性もなく,交換し
得る技術的思想も全くみられない。
要するに,被告先行装置は,3種コイル専用の自動装填巻線ラインユニットと,
3種コイル専用のテーピングユニットと,3種コイル専用の多数作業(6作業)処
理ラインとから構成されているばかりか,入れ換えを不要とした1ライン式であ
る。なお,輸送と据付け設置等のために3つのパーツに分割したにすぎないと推認
される。
イ 被告先行装置と本件考案の対比
(ア) 被告先行装置は,自動装填装置と自動巻線装置とが1つのコンベアで一体
化されてライン構成され,着脱自在にユニット化されておらず,原判決の「ボビン
供給ユニットを有する」との認定は誤っている。先行装置は,本件考案の構成要件
A①を欠如している。生産ラインの冒頭部分に配置されることが予定される自動装
填装置が単独で着脱自在に配設することができない以上,コイルの種類に対応して
交換することができず,本件考案の技術的思想とは相違する通常の生産ラインを示
すにすぎない。
(イ) 原判決は,「巻線ユニットを備えている」と認定するが,被告先行装置の
自動巻線装置は,3種コイル専用型で入れ換えを要しない1ライン式の自動装填巻
線ラインである。被告先行装置は,構成要件A②を欠如している。
(ウ) 原判決は,「テーピングユニットを・・設けている」と認定するが,テー
ピングユニットは,3種コイル専用型で装備され,自動巻線ラインに付属して入れ
換え不要な1ラインを構成するものである。被告先行装置は,テーピングユニット
において,構成要件A③を欠如している。
また,原判決は,「フラックス装置,半田装置,レアショート装置,不良排出装
置,排出ピッカー装置及び排出コンベアを備えた半田ユニットを設けている」とす
るが,半田ユニットと称するものは,フラックスないし排出コンベアまでの6作業
からなる一連の処理ラインとなるのであり,原判決は,何らの根拠も示さずに上記
多数処理ラインを単に半田ユニットと言い換えているにすぎない。被告先行装置
は,半田ユニットと称するものが実は多数処理ラインであるから,構成要件A③を
欠如している。
(エ) 自動装填巻線ラインと半田ユニットと称する多数作業処理ラインは,ユニ
ット化されておらず,高さそろえの前提として各ユニット間に各コンベアを備えて
いない。被告先行装置は,構成要件B②も欠如する。
(オ) 被告先行装置の自動装填装置と自動巻線装置は互いに着脱不可能な自動装
填巻線ラインである。半田ユニットと称するものは,一連の多数処理ラインであ
る。よって,被告先行装置は,自動装填巻線ラインと多数処理ラインであるから,
構成要件のA①,②,③,④,B①,②を欠如している。
 (カ) 以上のとおり,原判決は,本件考案と被告先行装置との対比を誤っている
のであり,先使用の抗弁を認めた原判決の判断は誤っている。
 同様のことは,実用新案登録無効の抗弁に関する判断についてもいえるのであり
(原判決14頁4行~11行),被告先行装置は,本件考案の技術的範囲に属して
おらず,被告先行装置は,本件考案の実用新案登録請求の範囲外である第1図の実
施例に係わるものであって,しかも,1種類(含むとしても3種類)のコイル専用
型の1ライン式の自動巻線処理装置であるから,本件考案の請求の範囲の記載とは
無関係である。よって,無効理由は何ら存在せず,権利の濫用にも該当しない。
 2 被控訴人の反論の要点
 (1) 抗弁において対象とすべき被控訴人の先行実施製品の認定の誤りをいう主張
に対し
本件巻線装置について,本件考案の構成要件に該当する部分については何ら変更
はなく,両装置が実質的に同じであることは明白であり,乙第3号証と乙第5~7
号証との間には矛盾する部分は何もない。乙第3号証に示された装置にはパーツフ
ィーダーが2機備えられているのに対して,乙第5~7号証の装置では1機が備え
られている点が両装置の外形的な相違であるが,その相違が構成要件に影響を及ぼ
さないことは明らかである。納入後に変更がされて上記の相違が生じたとしても,
同一性が失われるものではなく,原判決の認定に誤りはない。
 (2) 本件考案の技術的範囲の解釈の誤りをいう主張に対し
ア 控訴人の主張は,本件考案は,当初から第1図の実施例に依拠して記載され
ていないとの不当な論理を前提とするものであり,前提そのものが誤っている。
仮に,本件考案の出願人が,本件考案が出願当初から第1図の実施例に基づいて
記載されていないと認識していたとすれば,第1図に記載されたものについて,本
件考案の公告公報(甲2)において,「以下に,本考案に係る自動巻線処理装置の
一実施例を図面に基づき説明する。第1図において・・・」と記載し,あるいは
「第1図は本考案に係る自動巻線処理装置の構成図」というような記載を行うはず
がない。むしろ,第1図に記載された実施例が本件考案の技術的範囲外のものであ
るとするならば,審査過程で出願人により自主的に又は審査官の指令により第1図
に係る実施例の記載を削除する手続補正がされたはずであり,実際に出願後の審査
請求時あるいは拒絶理由通知時など前記の削除を行う機会が幾度もあったにもかか
わらず出願人がそのような手続補正を行っていないことからすれば,前記控訴人の
主張は,虚偽であると考えるほかない。
控訴人は,本件出願の審査過程において,意見書を提出し,第1図の実施例を除
外する明確な主張がされていると主張するが,実際には,それを客観的に把握し得
る程度にまで明確に記載されてはいない。また,そもそも控訴人は,第一審の訴訟
手続において,「出願当初から第1図を中心とする実施例には依拠して記載されて
いない」というような主張は一切行っていない。構成要件A④に相当する部分の補
正前の記載は,「各ユニットには,・・・コンベアをそれぞれ設けたこと」と読み
取れるが,補正により「それぞれ」という文言が削除され,むしろ,第1図の実施
例が本件考案の技術的範囲に含まれることが明瞭になるように補正されたことが推
認し得るのである。
イ 本件明細書中の「考案が解決しようとする問題点」「実施例」「考案の効
果」の各記載によれば,本件考案の自動巻線処理装置が想定している着脱自在なユ
ニットとは,処理ユニットが対象となっていることは明白であり,また,本件考案
の構成要件B①「前記各ユニットは着脱自在に配設され」における「各ユニット」
とは,「各ユニットはそれぞれ単独で,あるいは隣接するユニットと共に」と解釈
するのが,本件考案の技術的思想からいって自然である。
 (3) 被告先行装置と本件考案との対比について
 被告先行装置は,本件考案と実質的に同一であり,被控訴人は,先行装置を本件
実用新案登録出願前に公然実施した。よって,実用新案法3条1項1号に該当す
る。また,本件考案は,公知技術に基づいて極めて容易に考案をすることができた
ものであって,同法3条2項に規定された考案に該当する。
控訴人は,乙第3号証に係る装置が本件考案の技術的範囲に属しないかのような
主張をしているが,詭弁というほかない。
 本件考案に係る自動巻線処理措置は,ある特定のコイルを巻線処理することを目
的として,いくつかのユニットを組み合わせることができるように構成されている
ことが特徴であり,結果的に組み合わされた複数のユニットないし処理ユニットに
より製造されるコイルは,前記目的に応じた限られた種類のものとなるのがむしろ
普通であるからである。事後的に前記目的外の他種類のコイルの製造が必要となっ
たときに任意のユニットないし処理ユニットに入れ換えることが可能な構成となっ
ていれば,それは本件考案の構成要件を満足しているといえるのである。つまり,
乙第3号証に記載された装置がたまたま3種類のコイルのみを製造することしかで
きないと仮定しても,装置の特定のユニットを入れ換えることで他の種類のコイル
を製造し得る構成となっている限りは,本件考案の技術的範囲に属するのである。
この点からも控訴人の主張は失当というほかない。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も控訴人の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は,以下のとお
り,訂正,付加するほか,原判決の「第3 当裁判所の判断」(ただし,原判決1
0頁下から2行~11頁16行までの部分及び11頁17行の「現に,」の文言を
除く。)に記載のとおりであるから,これを引用する。
 原判決中,訂正するものは次のとおりである。すなわち,原判決13頁16行~
17行の「本件考案の実用新案登録出願前に被告が被告先行装置を製造し,松下電
工瀬戸工場に納入したことは当事者間に争いがないので,」とあるのを,「本件考
案の実用新案登録出願前に,被控訴人が被告先行装置を製造し,松下電工瀬戸工場
に納入したことは,本件証拠により認めることができるので,」と,原判決14頁
6行~7行の「本件考案の実用新案登録出願前に,被告が被告先行装置を製造し,
松下電工瀬戸工場に納入したことは当事者間に争いがないから,」とあるのを,
「本件考案の実用新案登録出願前に,被控訴人が被告先行装置を製造し,松下電工
瀬戸工場に納入したことは,本件証拠により認めることができるので,」とそれぞ
れ訂正する(証拠による認定の詳細は,後記の1の判示参照)。
 当審における控訴人の主張に対する判断として付加するものは,以下のとおりで
ある。
 1 抗弁において対象とすべき被控訴人の先行実施製品について
控訴人は,原判決における被告先行装置(原判決別紙第2物件目録記載の自動巻
線処理装置)は乙第3号証に基づいて特定されているが,乙第3号証記載の装置は
被控訴人の先行装置としての実施品ではない旨を主張するので,まず,この点につ
いて判断する。
なお,控訴人は,「本件考案の実用新案登録出願前に被告が被告先行装置を製造
し,松下電工瀬戸工場に納入したことは当事者間に争いがない。」旨の原判決の判
示につき,この事実を争ったものである旨を主張するところ,原審記録によると,
控訴人は,理由を付すことなく単に「不知」と答弁したにすぎず,主張全体からみ
れば,上記の事実を明らかに争わないものと扱われてもやむを得なかったところで
あるが,控訴人は,当審で明確にこの事実を争うので,原判決4頁1行~4行を本
判決に引用することなく,この点も含め,以下において証拠に基づく判断をするこ
ととする(以下の判断をもとに,原判決の理由中の説示である原判決13頁16行
~17行,14頁6行~7行について,前記のとおり訂正した。)。
 (1) 原判決添付の別紙第2物件目録には,乙第3号証の図面が添付されている。
これは,本件抗弁の主張責任を負担する被控訴人が,原審の第6回弁論準備期日に
おいて,「先使用の抗弁及び公知無効の抗弁は,被告が松下電工瀬戸工場に納入し
た製品(乙第3号証参照)に基づき主張する。準備書面(被告第三)の「仮想クレ
ーム」は,上記の製品の構成を本件考案と対比するため,抽象化したものであ
る。」と陳述し,乙第3号証に基づく構成をもって,抗弁における被告の先行実施
品の主張とするものと特定したためである。
 そして,本件証拠を検討すると,昭和61年11月10日にNT-880FFの
装置に関する乙第3号証の図面が被控訴人によって作成され,松下電工に承認願い
がされたこと(乙3),同年12月24日には,この図面の内容を踏まえ装置の詳
細が記載された「見積仕様書」(NT-880FFの装置)が作成され,そのこ
ろ,松下電工の承認がされたこと(乙4),NT-880FFの装置は,昭和62
年4月以前に被控訴人から松下電工瀬戸工場に納入され,稼動していること(乙
5,乙7),松下電工における経理情報システムによると,ELコイル巻線加工機
を昭和62年4月に取得したものとして管理していること(乙6の1,2),NT
-880FFの装置に関する被控訴人作成の見積金額が3750万円(乙1),同装
置に関する松下電工の注文書金額も3750万円(乙2)であるが,松下電工の上記
経理システムではやや高めの3964万円余の取得金額として管理されていること
(乙6の1),上記乙第1~4号証は,松下電工が保管するもので(乙9),他に
図面,見積書,注文書などは提出されていないことが認められる。これらの事実に
よれば,乙第3号証記載の被告先行装置は,昭和62年4月ころまでに,
被控訴人によって製造され,これが松下電工瀬戸工場に納入され,稼動したことを
認めることができる。
(2) もっとも,控訴人が主張するように,乙第7号証によれば,平成12年6月
14日に実施された公証人による確認,見分の時点で松下電工瀬戸工場において稼
動していた装置においては,J型コイル用と推認される1機のパーツフィーダと1
機のキャリア挿入装置があり,J型コイル専用の自動装填装置となっているが,乙
第3号証には,2機のパーツフィーダと2機のキャリア挿入装置が図示され,J型
コイル及びC-30型とC-50型コイル(兼用)の3種コイル専用の自動装填装
置を備えており,この点で両者に違いがあるところ,乙第7号証によれば,松下電
工の課長は,「装置の構成は納入当時のままであり,現在も稼働中である。」と陳
述し,乙第5号証においても,同瀬戸工場長が「巻線機は,納入当時の構成のまま
現在も稼働中である」旨の書面を作成していることが認められる。他方,納入まで
の間に,見積書,注文書,図面,見積仕様書が乙第3号証のものから乙第7号証に
みられる装置に簡略化するように変更された形跡はないこと,乙第7号証添付の写
真(26)によれば,巻線ユニットの制御盤には,J型とC-30,C-50型との品
種切換スイッチが存在すること,同写真(5),(6),(25)によれば,自動装填装置に
おいて,J型コイル用と推認される1機のパーツフィーダと1機のキャリア挿入装
置の横のスペース(乙第3号証ではC-30型とC-50型兼用の装置が存在する
はずのスペース)には何もなく,そこにはボルトの挿入孔とみられる孔がいくつか
残っていることなどが認められる。
これらの事実に照らしてみると,乙第5,7号証などに関して控訴人の指摘する
点を考慮しても,乙第3号証に記載された装置が昭和62年4月ころまでに納入さ
れたものと認められるとの前記認定を覆すには足りないというほかない。上記課長
及び工場長の陳述等も,基本的な構成が当初納入されたものから変わっていない趣
旨であるとも理解され,この認定と必ずしも相容れないものではない(乙3と乙7
との相違の原因は必ずしも明確ではないが,上記状況に照らせば,乙3の装置が納
入された後に,C-30型,C-50型兼用のパーツが取り外された可能性が想定
される。なお,本件抗弁の成否においては,被控訴人の先行実施する製品の考案と
しての構成が問題となるところ,それを抽出したものが別紙第2物件目録の「二 
本件装置の構成の概要」であって,乙第7号証にみられる装置もこの構成の限りで
は本質的な差異はないものと認められ,仮に,納入当初から装置が乙第7号証にみ
られる状態であったとしても,別紙第2物件目録における図面の引用が適切か否か
という余地はあるものの,本件の結論を左右するに足りるものとはいい難い。)。
2 本件考案の構成について
(1) 本件考案の登録請求の範囲の記載は前記のとおりであるところ,当裁判所
は,登録請求の範囲には控訴人主張の限定のあることを認めるべき記載はなく,考
案の詳細な説明を参酌しても,控訴人主張のような限定があるものと解釈すること
はできず,自動装填装置と自動巻線装置を連結して一体の着脱自在のユニットと
し,1個の共通のコンベアを備える構成のものも本件考案の登録請求の範囲の構成
を充足するものと判断する。
以下,その理由について,控訴人の主張を検討しつつ説示する。
(2) 控訴人は,本件明細書における実用新案登録請求の範囲の記載から,A①自
動装填ユニットと,A②自動巻線ユニットと,A③複数の処理ユニットとがそれぞ
れ独立の構成要件であること,A④の「キャリアを受け渡すために各ユニットに設
けたコンベアとを備え」という構成要件における「各ユニット」も,A①,A②,
A③の各ユニットを指すので,コンベアは,前記各ユニットにそれぞれ備えられる
ことが必須であること,構成要件B①の「前記各ユニットは着脱自在に配設され」
という構成要件における「各ユニット」は,A①,A②,A③を指すものと解釈さ
れ,これら各ユニットが着脱自在とする構成であること,構成要件B②の「各ユニ
ット」についても,A①,A②,A③指すものであることが,いずれも文言上極め
て明瞭に示されていると主張する(前記第2,1(2)ア)。そして,原判決が,
「(なかでも,ボビンを自動装填する装置とボビンに巻線を施す自動巻線装置と
を,それぞれ独立して着脱自在の別個の単体として構成し,それぞれに独自にコン
ベアを備えるものに限られるのか)という点は,文言上は必ずしも明らかでな
い。」とし(原判決9頁下から2行~10頁2行),10頁3行~24行におい
て,本件明細書の「考案の詳細な説明」欄の「考案が解決しようとする問題点」,
「考案の効果」の記載を参酌している点に対し,実用新案登録請求の範囲の記載か
ら明瞭なのであるから,これを無視することは解釈の基本原則に反すると主張する
(前記第2,1(2)イ(ア)後段及び(イ)前段)。
検討するに,考案の構成を確定するには,まず登録請求の範囲の記載に基づくべ
きものであり,そこから一義的に読み取れない場合には,考案の詳細な説明を参酌
すべきことになる。本件考案の登録請求の範囲の記載によれば,被控訴人が主張す
るように,本件考案の自動巻線処理装置が想定している着脱自在なユニットとは,
処理ユニットであり,構成要件B①「前記各ユニットは着脱自在に配設され」など
としてみられる「各ユニット」とは,「各ユニットはそれぞれ単独で,あるいは隣
接するユニットと共に」とする解釈も十分に成り立ち,登録請求の範囲の記載から
みて,被控訴人主張の解釈による構成態様も本件考案の構成(技術的思想)に含ま
れると解する余地もあるものと認められるのであって,控訴人が主張するような構
成に一義的に限定され,それ以外のものは一切本件考案の構成を充足しないものと
断定することができるものか否かについては,疑義がある。よって,本件は「考案
の詳細な説明」の欄をも参酌して本件考案の構成を確定するのが相当であると解さ
れる。この点に関する原判決の上記判示は相当であり,控訴人の主張は採用の限り
ではない。
なお,控訴人は,原判決9頁20行~22行の説示についても誤りであると主張
するが(前記第2,1(2)イ(ア)前段),上記説示は,原判決が本件明細書の実用新
案登録請求の範囲の記載から確実に読み取れる範囲のものを説示したものであると
解され,前記認定判断したところに照らせば,控訴人の主張は直ちに採用すること
はできない。
また,控訴人は,自動装填装置は,コイルの種類に応じて交換しなければならな
いものであり,自動巻線装置は,コイルの種類の大部分で流用できるものであるか
ら,両者は,着脱自在な単体としてユニット化されなければならないことは自明で
あるとも主張するが,この主張内容は実用新案登録請求の範囲に記載されていない
事項を前提とするものであり,仮に,この主張が,記載の有無にかかわらず,装置
の性質から両ユニットが着脱自在な単体とされなければならないことが自明である
との趣旨であるならば,本件明細書自体において,自動装填ユニットと自動巻線ユ
ニットとが一体として連結され,独立して着脱自在とされてはおらず,コンベアも
両者で1個の共通のものとなっている形態のものが,まさに本件考案の実施例とし
て記載されていることと矛盾するものであり,到底採用することができるものでは
ない(本件考案が上記実施例に依拠しているか否かという点については,後記(5)参
照)。
(3) 控訴人は,原判決の「本件考案の効果を達成するためには,・・・装置のそ
れぞれが必ず個別に独立した着脱自在の単位体として構成されなければならないと
いうわけではなく,・・・必ず生産ライン上で隣り合う場所に位置することが予定
されている複数の装置については,個別に着脱することが想定されないから,これ
らをまとめて共通のコンベアを備えた一つの着脱自在の単位体として構成すること
が当然に予定されているものと解するのが相当である。」との説示(原判決11頁
2行~8行)を非難し(前記第2,1(2)イ(ウ)),また,「自動装填装置と自動巻
線装置についても,一般にその間に何らかの作業を行うことは予定されていないも
のであるから,これらをまとめて共通のコンベアを備えた一つの着脱自在の単位体
として構成することも,本件考案において,想定されている」との説示(原判決1
1頁13行~16行)を非難する(前記第2,1(2)イ(オ))。
本判決は,前記のとおり,上記の非難の対象となっている説示を含む原判決10
頁下から2行~11頁16行までの部分につき,結論に直接影響しない説示である
ので引用しなかった。控訴人の主張は,引用されない部分に対する非難に帰し,そ
の意味で採用の限りではない。
なお,所論にかんがみ若干の補足説明を加えておく。
確かに,控訴人の主張するとおり,ユニットが隣り合う場所に位置することが予
定されていたとしても,個別に着脱することが想定されないとまで言い切ることが
できるのか,自動装填装置と自動巻線装置の間において,一般にその間に何らかの
作業を行うことが予定されていないと断じることができるのか,コイルの種類が変
わる場合に自動巻線装置は流用し,自動装填装置のみを取り換える必要が生じる場
合があるのではないかなどという疑問の余地もあり得るところである。しかし,後
にも説示するとおり,本件明細書の「実施例」の項において,自動装填ユニットと
自動巻線ユニットとが一体として連結され,独立して着脱自在とされてはおらず,
コンベアも両者で1個の共通のものとなっている実施例が詳細に記載されているこ
と,本件明細書の「考案が解決しようとする問題点」では,「この種のコイルは,
使用目的や使用条件などにより数多くの種類があり,・・コイルの種類によって処
理装置も異なる場合が多く,・・コイルの種類を変える度毎に,全装置を入れ変え
るのでは,大変な労力が強いられる・・・多くの時間を必要とし・・・装置の使用
率も悪いといった問題があった。そこで,本考案は,上記事情に鑑み,製作すべき
コイルの種類に応じて装置の必要とする処理ユニットのみを入れ変え,又補充
し・・・自由自在に処理ユニットを連結し得る自動巻線装置を提供せんとするもの
である。」とされ,「考案の効果」の項では,「製作すべきコイルの種類に応じて
装置の必要とする処理ユニットのみを自由に入れ換え,又補充でき」とされるな
ど,コイルの種類に応じて「処理ユニットのみ」を入れ換えることで対応すると明
確に記載されており,自動装填装置の入れ換えについては特段の記載がないことな
どからすると,本件考案においては,自動装填装置と自動巻線装置が一体化された
構成をも含むが,それでも支障はないとされているのではないかと推認せざるを得
ない。これらの事情に照らせば,控訴人が指摘する点は,本件結論を左右するほど
のものとは認められない。
(4) 控訴人は,原判決の「(コイルに施す異なる種類の操作と処理ユニットの関
係については,実用新案登録請求の範囲に何ら記載されていないのであるから,こ
の点は,明細書の他の部分の記載に照らして判断するのが相当であり,前記のよう
に解するべきである。)」との判示(原判決11頁8行~11行)を非難する(前
記第2,1(2)イ(エ))。
しかし,複数の処理ユニットとは,自動装填,自動巻線以外のテーピング,絶縁
チェック,搬送などの処理を行うユニットを指すとみられるところ,原判決の上記
判示部分は,当該処理ユニットのそれぞれがどのような処理を含むのかは,実用新
案登録請求の範囲に記載がないので,これについては明細書の他の部分の記載に照
らして判断するのが相当であるとの趣旨をいうものと解され,それ自体は相当であ
る。控訴人の主張は,原判決の正確な理解に基づかない非難であると思われるが,
いずれにしても採用の限りではない。
(5) 控訴人は,原判決が「A①~③の「ユニット」はいずれもコイルに対する1
種類の作業に対応する装置をいうが,A④及びB①における「各ユニット」につい
ては,いずれも,「各ユニットが必ず単独で」ということまでを意味するものでは
なく,「各ユニットが,それぞれ単独で,あるいは隣接するユニットと共に(共通
のコンベアを備えるか,あるいは一体として着脱自在となっている)」ということ
を意味しているものと解するのが相当である。」(原判決12頁13行~19行)
と判断した点についても非難する(前記第2,1(2)イ(カ))。
そこで,前に判断したところに従い,本件考案の構成(技術的思想)につき,本
件明細書の「考案の詳細な説明」欄の記載をも参酌しつつ検討する。
本件明細書における「考案の詳細な説明」中の「考案が解決しようとする問題
点」,「考案の効果」,「実施例」の記載内容として,前判示(原判決10頁3行
~24行及び11頁17行~末行を引用)のことを指摘し得る。そのうち,「考案
が解決しようとする問題点」の記載(原判決10頁3行~14行)をみると,専ら
「処理ユニット」の入れ換え又は補充と「処理ユニット」の自由自在な連結がいわ
れ,自動装填ユニットや自動巻線のユニットについては何ら言及されていない。す
なわち,本件考案の目的というべき上記記載には「処理ユニット」の点しか言及が
ない。また,「考案の効果」の記載(原判決10頁14行~24行)をみても,専
ら「処理ユニット」のみを自由に入れ換え又は補充できること,「処理ユニット」
を自由自在に連結し得ること,個別の「処理ユニット」を任意に入れ換えることが
できることがいわれ,自動装填ユニットや自動巻線のユニットについては何ら言及
されていないのである。さらに,「実施例」の記載をみると,第1図を引用しつつ
説明される実施例では,自動装填ユニットと自動巻線ユニットとが一体として連結
され,独立して着脱自在とされてはおらず,コンベアも両者で1個の共通のものと
なっており,各種の処理ユニットが着脱自在とされているものである。
これらによれば,上記の原判決の説示を含む,原判決12頁1行~19行の説示
は,相当であって,是認し得るものである。
この点に関し,控訴人は,「本件考案は,本件出願当初から,本件明細書の第5
図を中心とする実施例に依拠して記載されているのであり,出願当初から第1図を
中心とする実施例には依拠して記載されてはいない。第1図を中心とする実施例
は,特許庁の審査において除外されていたことは明らかである。」などと主張す
る。
しかし,第1図を引用しての実施例は,「実施例」の項の冒頭に「本考案に係る
自動巻線処理装置の一実施例」(本件公報3欄25行~26行)と明記された上で
説明され,この実施例は,「実施例」の項のほとんどのスペースを割いて詳細に説
明がされていること,特許庁の審査を経た後も第1図に基づく実施例の説明の記載
は削除されることなく,維持されたまま現在に至っていること,前記のとおり,第
1図による「実施例」のみならず,「考案が解決しようとする問題点」,「考案の
効果」にも,「処理ユニット」の入れ換え又は補充のみが記載されていることなど
に照らせば,これらの記載が誤記であるとか訂正漏れであるということはできず,
出願当初から第1図を中心とする実施例には依拠して記載されてはいない旨の控訴
人の主張は,到底採用することができるものではないし,その実施例が特許庁の審
査の過程で除外された旨の主張もこれを認めるに足りる証拠はない。
また,控訴人は,上記の「処理ユニット」に関する記載について,「構成要件A
③の処理ユニットに着目して言及しているにすぎない箇所である。」とも主張する
が(前記第2,1(2)イ(イ)後段),前認定のとおり,「考案が解決しようとする問
題点」においても,「考案の効果」においても,専ら「処理ユニット」のみを自由
に入れ換え又は補充できることがうたわれ,自動装填や自動巻線のユニットについ
ては何ら言及されておらず,各ユニット全体に関する記載はないことが認められる
上,その他各記載の状況に照らしても,控訴人の主張は採用の限りではない。
3 乙第5~7号証に基づく被控訴人製品の構成と本件考案の内容との対比につ
いて
控訴人は,本件抗弁での検討対象は乙第5~7号証に基づく被控訴人製品である
べきであると主張し,この主張を前提として,同製品と本件考案との対比をし,同
製品が本件考案の構成を充足しない旨を主張する(前記第2,1(3))。
しかし,前記1で判示したところによれば,控訴人の主張は前提を欠くものであ
り,採用することができない。
4 被告先行装置の構成と本件考案の内容との対比について
当裁判所も,前判示(原判決を引用。このうち,対比部分は,原判決12頁20
行~13頁14行)のとおり,被告先行装置は,本件考案の構成を充足するものと
判断する(なお,原判決の一部を訂正したことは既に説示したとおりである。)。
控訴人の主張は,要するに,被告先行装置の構成は,本件考案の構成要件のA①~
④,B①,②をいずれも欠如するから,先使用の抗弁を認め,明白な無効事由があ
るとした原判決の認定判断は誤りであるというものであるが,以下に控訴人の当審
における主張につき,判断しておく。
(1) 控訴人は,主たる理由のひとつとして,被告先行装置の自動装填装置と自動
巻線装置が一体化されており,着脱自在にユニット化されておらず,両者のコンベ
アも1つの一体となったものとなっていることを挙げている。
しかし,この主張は,本件考案の構成についての控訴人の主張(前記第2,1(2)
参照)を前提とするものであって,その控訴人の主張が採用することができないこ
とは,既に説示したとおりである(前記第3,2参照)。よって,上記主張もまた
採用することができないものといわざるを得ない。
(2) 控訴人は,原判決が「フラックス装置,半田装置,レアショート装置,不良
排出装置,排出ピッカー装置及び排出コンベアを備えた半田ユニットを設けてい
る」とした点につき,半田ユニットと称するものは,フラックスないし排出コンベ
アまでの6作業からなる一連の処理ラインとなるのであり,被告先行装置の半田ユ
ニットと称するものは,実は多数処理ラインであるから,構成要件A③を欠如して
いる旨を主張する。
本件明細書の実用新案登録請求の範囲をみると,「ボビンに巻線が施されたコイ
ルにテーピングや絶縁チェック,更にコイルの搬送等を行う複数の処理ユニット
と」と記載されているのみであり(A③),そこで,「考案の詳細な説明」をみる
と,実施例において,半田処理ユニット,自動テーピングユニット,検査ユニッ
ト,自動溶接ユニット,端子曲げユニットなども処置ユニットの例として記載され
ており,また,チェック装置を備えた接着剤塗布ユニットも処理ユニットの例に挙
げられていることが認められる。これらの記載を勘案すると,「複数の処理ユニッ
ト」とは,自動装填,自動巻線という作業以外の,「テーピング」,「絶縁チェッ
ク」,「搬送」などの巻線処理に付随する任意の処理を行うユニットを意味し,当
該「処理ユニット」の各々がどのような処理を含む,又は含む必要があるのか,と
いうことは特定されないものと認められる。そこで,被告先行装置についてみる
と,まず,テーピングを施すテーピング装置に独自のコンベアが設けられたもの
で,1つのユニットを構成しているものと認められ,さらに,フラックス装置,半
田装置,レアショート装置,排出措置などに共用で1つのコンベアが設けられたも
のとなっており,これで1つのユニット(半田ユニット)を構成しているものとい
って差し支えないものと認められる。これら2つのユニットは,本件考案の「複数
の処理ユニット」に対応するものと認められ,構成要件A③に欠けるところはない
ものと認められる。
(3) 控訴人は,次のようにも主張する。すなわち,松下電工は,設計当初から3
種コイル専用型の巻線処理ラインを1ラインで交換を要せずに巻線処理ができるよ
うに設計依頼しているものと認められるので,被告先行装置にコイルの種類に応じ
て交換しようという技術的思想は皆無である。要するに,被告先行装置は,3種コ
イル専用の自動装填巻線ラインユニットと,3種コイル専用のテーピングユニット
と,3種コイル専用の多数作業(6作業)処理ラインとから構成されているばかり
か,入れ換えを不要とした1ライン式である。3種コイル以外には使用することが
できないばかりか,自動装填巻線ラインとテーピングユニットとを交換する必要性
もなく,交換し得る技術的思想も全くみられない。輸送と据付け設置等のために3
つのパーツに分割したにすぎないと推認される。
しかし,前認定のとおり,被告先行装置は,自動装填装置と自動巻線装置とが一
体とされ共用で1つのコンベアを備え,テーピングユニットと半田ユニット(前
記(2)参照)が,それぞれ独立し独自のコンベアを有し,各コンベアの高さが揃えら
れているのであって,これら3つがそれぞれ必要に応じて着脱可能な構成となって
いるものと認められ,この被告先行装置の構成と本件考案の構成との対比は,前判
示のとおりである。被告先行装置の構成がこのようなものとなっている以上,これ
が個々の顧客の下で具体的にどのような意図,思想で設置,使用されるかは,被告
先行装置の構成が本件考案の構成を充足するとの認定を覆すものとは認められな
い。よって,控訴人の上記主張も採用の限りではない。
(4) 以上のとおり,本件考案と被告先行装置との対比に関する原判決の認定判断
は誤りであって先使用の抗弁を認めた判断は誤っているとの趣旨の控訴人の主張
は,採用することができないものであり,その他,控訴人の主張を精査しても,結
論を覆すべきものは見当たらない。
 同様のことは,実用新案登録無効の抗弁に関する原判決の判断に対する控訴人の
主張についてもいえるのであり,この点に関する控訴人の前記主張も採用すること
ができない。
 5 結論
 以上によれば,控訴人の請求を棄却すべきものとした原判決は相当であり,本件
控訴は理由がないので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第18民事部
     裁判長裁判官     永   井   紀   昭
          裁判官     塩   月   秀   平
          裁判官     田   中   昌   利

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