弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人弁護人内田弘文上告趣意第一点について。
 被告人が所論の期間勾留されていたこと及び原判決が所論原審公判廷の被告人の
自白を証拠としたことは所論のとおりである。しかし記録で明らかなように、本件
事案は被告人の他に共犯者五名犯行回数六、被害者四名に上る相当複雑なものであ
るから、諸般の事情を考察すれば被告人が逮捕勾留された昭和二二年一二月一八日
から二ケ月目に当る同二三年二月一八日の本件第一審第二回公判廷における自白は
不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白であると認めることはできない。そし
て所論の昭和二三年六月二一日に開かれた原審第一回公判廷における自白は、右第
一審第二回公判廷における自白と全然同一のものであること記録上明白なところで
あるから被告人の前示勾留と原判決の引用した原審公判廷の自白との間には因果関
係がなかつたものと認めるのが相当であり、従つて原審公判廷の自白は、不当に長
く抑留若しくは拘禁された後の自白に当らないといわなくてはならぬ(昭和二二年
(れ)第二七一号同二三年六月二三日大法廷判決参照)。それ故原判決には所論の
ような違法はない。
 同第二点について。
 しかし憲法第三六条にいわゆる「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的、肉体的苦
痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を意味し、単なる量刑の不当を指すも
のでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第三二三号同二三年六月二三日
大法廷判決)の示すとおりである。されば事実審たる原裁判所が刑法窃盗罪所定の
刑期範囲内において懲役一年二月の実刑に処し執行猶予の言渡をしなかつたからと
いつて、それが被告人側から観て過重の刑であるとしても直ちに所論のごとく、憲
法第三六条にいわゆる「残虐な刑罰」にはあたらない。弁護人は被告人は肺侵潤に
より病床に呻吟しているので一年二月の実刑に服したなら必ずや刑務所内で死の転
帰を見ること明らかであるから、右一年二月の懲役刑は憲法にいわゆる「残虐な刑
罰」の外何ものでもないというのであるが、若しも所論のように被告人の病状が重
ければ刑訴第五四六条によつて検事が刑の執行停止を指揮する道もあることである
から、被告人が病弱であるということのために原判決の科した刑が人道上残酷と認
められる刑罰と断することはあやまりである。所論は結局事実審たる原裁判所の裁
定権にのみ属する刑の量定を非難するに帰着するものであるから、上告適法の理由
とはならない。
 同第三点について。
 原判決の証拠理由の説明は所論のとおりであつて、表現に欠けるきらいはあるが、
「右事実中犯意継続の点を除きて」との判文はその文脈自体から「その余の事実は」
の意味を当然に含蓄しているものであることは明らかである。又所論の「被告人A
の判示第一及第三同旨の供述、被告人Bの判示第二及第三同旨の供述」とあるのは
被告人等の原審公判廷の供述を指すものと理解すべきことは多言を要しないところ
である。蓋し被告人の供述自体を証拠として引用しうるのは原判決の基礎となつた
口頭弁論における被告人の供述に限ることはいうまでもなく、第一審公判廷におけ
る供述を証拠とする場合には供述記載と表示せらるべきものであるからである。そ
して被告人が原審公判廷において判示同旨の供述をしていることは原審公判調書に
よつて明らかなところであるから原判決には所論のような理由不備の違法はない。
 よつて刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 橋本乾三関与
  昭和二三年一一月一八日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛