弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人松尾公善の上告理由について
 一 被上告人B1、同B2、同B3、同B4、同B5及び同B6(以下「被上告
人B1ほか五名」という。)が本訴において主張するところは、(一) 主位的請求
として、(1) Dは、昭和二一年六月一八日、上告人A1の代理人として、上告人
A1所有の本件士地をEに売渡した、(2) 仮にDの本件土地の売渡が権限外の行
為であつたとしても、Eには、Dに権限があると信ずべき正当の理由があつた、(
3) Eは、昭和三六年六月二一日、上告人A1を相手方として、前記(1)の本件
土地の売渡を受けたことを理由に本件土地につき所有権移転登記手続請求権の執行
を保全するため処分禁止の仮処分決定(以下「本件仮処分決定」という。)を得て、
同月二二日にその旨の登記を経由した、(4) たとえ上告人A2が昭和四四年二月
一〇日に上告人A1から本件土地の売渡を受け、同年三月三日に条件付所有権移転
仮登記を、同月二五日に所有権移転登記をそれぞれ経由したものであるとしても、
右本件土地の売渡は本件仮処分決定に違反するものであるから、上告人A2は、E
に対し右売渡による本件土地の所有権取得の効力を対抗することができない、(5)
 Eは昭和四六年一二月三日に死亡し、被上告人B1ほか五名が相続によりEの地
位を承継した、(6) よつて、被上告人B1ほか五名は、上告人A1に対し、本件
土地につき昭和二一年六月一八日売買を原因とする所有権移転登記手続を求めると
ともに、上告人A2に対し、本件土地につき経由した前記(4)の条件付所有権移転
仮登記及び所有権移転登記の各抹消登記手続を求める、(二) 予備的請求として、
(1) 仮に前記DのEに対する本件土地の売渡が効力を生じないものであるとして
も、Eにおいて、右売渡によつて売渡当日本件土地の占有を開始し、所有の意思を
もつて平穏かつ公然に善意であることにつき過失なく占有を一〇年間継続したか、
又は仮に善意であることにつき過失があつたとしても占有を二〇年間継続したこと
により、Eのために本件土地につき取得時効が完成した、(2) よつて、被上告人
B1ほか五名は、上告人A1に対し、本件土地につき昭和二一年六月一八日時効取
得を原因とする所有権移転登記手続を求めるとともに、上告人A2に対し、前記(
一)、(6)と同旨の抹消登記手続を求める、というのである。
 二 原審は、被上告人B1ほか五名の右主張を判断するにあたり、(1) Dは、
昭和二一年六月一八日、上告人A1の代理人として、本件土地をEに売渡したが、
右売渡についての代理権を上告人A1から与えられておらず、単に東京都新宿区a
町所在の上告人A1所有の土地建物の管理、上告人A1に対する配給品の受領等を
する限度で上告人A1を代理する権限を与えられていたにすぎなかつた、(2) E
が本件土地の売渡についてDに代理権があると信じたとしても、そのように信じた
ことに過失があつたので、右売渡は、上告人A1に対して効力を生じなかつた、(
3) Eは、右売渡によつて売渡当日本件土地の占有を取得し、それ以後所有の意
思をもつて本件土地の占有を継続した、(4) Eは、昭和三六年六月二一日、上告
人A1を相手方として、本件仮処分決定を得て、同月二二日にその旨の登記を経由
した、(5) Eにおいて本件土地の占有を二〇年間継続したことにより、昭和四一
年六月一八日、Eのために本件土地につき取得時効が完成した、(6) 上告人A1
の代理人であるFは、昭和四四年三月三日、本件土地を上告人A2に売渡した、(
7) Eは昭和四六年一二月三日に死亡し、被上告人B1ほか五名が相続によりE
の地位を承継した、(8) 本件仮処分決定は、昭和四九年三月一四日、被上告人B
1ほか五名と上告人A1との間において仮処分異議事件の判決をもつて認可された、
以上の事実を認定しているところ、右事実認定は原判決挙示の証拠関係に照らして
肯認することができ、その過程に所論の違法はない。そして、原審は、右事実関係
に基づき、被上告人B1ほか五名は、Eのために本件土地につき取得時効が完成し
たことを理由に本件仮処分決定の効力を上告人A2に対し主張することができ、し
たがつて、被上告人B1ほか五名の上告人らに対する前記予備的請求は認容すべき
ものである、と判断した。
 三 ところで、前記原審の認定した事実関係のもとにおいては、本件仮処分決定
は、B1ほか五名と上告人A2との関係において、前記二、(1)の売買に基づく所
有権移転登記手続請求権を被保全権利とする処分禁止の効力を有しないものといわ
ざるをえないが、前記二、(5)の取得時効の完成時以降は、時効取得に基づく所有
権移転登記手続請求権を被保全権利とする処分禁止の効力を有するものと解するの
が相当である。そうすると、被上告人B1ほか五名は、右時効完成後に上告人A1
から本件土地につき前記二、(6)の売渡を受け登記を経由した上告人A2に対して
本件仮処分決定の効力を主張することができ、したがつて、上告人A2は、被上告
人B1ほか五名に対し右売渡による本件土地の所有権取得の効力を対抗することが
できないものといわなければならない。これと結論を同じくする原審の判断は正当
として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することが
できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    谷   口   正   孝
            裁判官    和   田   誠   一
            裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    矢   口   洪   一

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