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○公務員の福利団体と類似の名称を使った多数の退職公務員からの多額の現金詐欺事件について懲
か月の刑が維持された事例
平成14年5月9日判決宣告
仙台高等裁判所 平成13年(う)第207号 詐欺被告事件
(原審 仙台地方裁判所 平成13年(わ)第361号等,平成13年11月22日判決宣告)
               主     文
     本件控訴を棄却する。
     当審における未決勾留日数中110日を原判決の刑に算入する。
               理     由
第1 本件控訴の趣意は,弁護人氏家和男作成の控訴趣意書に記載のとおりであるから,これを引
   論旨は,量刑不当の主張であり,要するに,被告人は,本件犯行後フィリピンに渡ったが,
対し逮捕状が出れば必ず出頭する旨確約しており,養子縁組により氏を変更したのも,犯行発
  たからではなく,借金返済のために半強制的に変更させられたからであるなど,犯行後の情状
  べき点があること,本件犯行に際しても,自らが経営する「A」等の名称を明示して責任の所
  かにし,実際に平成12年11月ころまでは約束の支払いをしているなどの有利な情状がある
  審弁論終結後に,前妻や長男が被告人の所有するマンション2室の任意売却に協力してくれる
  り,売却代金から被害弁償の一部に充てる意向であり,また,被告人は被害者らに対し謝罪文
  ていること,被告人は,社会復帰後も弁償の努力をすることを誓い,深い反省の情を示してい
  以上の諸事情に鑑みれば,被告人を懲役3年6か月に処した原判決の量刑は重すぎて不当であ
  うものである。
第2 そこで,記録を調査し,当審における事実取調べの結果を併せて検討する。
   本件は,地方公務員の福利の増進等を目的とする非営利団体であるBと類似のCの名称を用
  公務員7名から,預かった金員を運用して高い利息を支払い,かつ,元金を確実に返済する旨
  て預り金名下に合計2170万円余りの金員を詐取した事案である。被告人は,上記正規のB
  契約を締結して保険の勧誘業務を行っていた会社に勤務していた平成9年10月ころから,正
  商品を模倣して自ら勝手に保険商品を作り,それを正規のBの保険商品であるかのように装っ
  金名下に金員を集めており,さらに平成10年ころからは,正規の各県のBの上部組織である
  なCとの名称を用い,集めた資金の運用実績もその確実な見込みもないにもかかわらず,元本
  配当の安全で有利な金融商品であると偽って,預り金名下に多数の顧客から多額の資金を集め
  済のため自転車操業的に同種行為を繰り返すことを行ってきたのであり,平成12年8月ころ
  額の金員を預けていた顧客から契約を解約されて,従前の自転車操業的な運営すらできなくな
  約返戻金の支払や他の顧客への配当金等の支払に窮し,同年9月には,正規のBからCの名称
  の営業を中止するよう求める警告書が送付され,もはや預かった元金や利息の支払いなど到底
  あったにもかかわらず,本件各犯行に及んだのであるから,長期間にわたる詐欺的商法の挙げ
  て周到な準備に基づき,計画的かつ営業的に行われた狡猾で悪質な詐欺事犯というほかない。
  は,被害者が7名で,被害額合計2170万円余りの多額に上り,被害者らは,いずれも老後
  等のために確実な運用先として金員を預託し,これを奪われるに至ったのであり,その被害は
  って,結果は重大である。これに対し,現実には被害弁償は全く行われていないのであり,被
  は何らの落ち度も認められず,被害感情が厳しいのは当然である。加えて,被告人は,本件犯
  外へ逃亡し,氏を変更する目的で養子縁組をするなど,犯行後の情状も芳しくない。所論は,
  亡したものの被告人が警察に出頭する意思があったことや養子縁組の経緯などについて言うが
  の海外逃亡や養子縁組による氏の変更により,捜査が困難になり支障を来したことは否定でき
  決指摘のとおり,被告人に不利な事情であることは変わりはない。したがって,被告人の刑事
  いというほかない。
   そうすると,被告人が,反省の情を示し,原判決後も被害弁償のため,親族等の協力を得て
  有のマンションを売却すべく努力をしていること,謝罪の手紙を被害者らに送付したこと,罰
  の前科がないことなど,被告人にとって酌むべき事情を考慮しても,被告人を懲役3年6か月
  原判決の量刑が重すぎるとはいえない。論旨は理由がない。
第3よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし,当審における未決勾留日数の
  き刑法21条を,当審における訴訟費用を被告人に負担させないことにつき刑訴法181条1
  書をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
平成14年5月9日
  仙台高等裁判所第1刑事部
      裁判長裁判官   松  浦     繁
         裁判官   根  本     渉
         裁判官   春  名  郁  子

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