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平成12年(行ケ)第8号 取消決定取消請求事件(平成13年2月20日口頭弁
論終結)
判    決
   原      告      凸版印刷株式会社
   代表者代表取締役      A
   訴訟代理人弁護士      小   南   明   也
   同    弁理士      秋   元   輝   雄
  被      告      特許庁長官B
   指定代理人      C
   同             D
   同             E
   同             F
   主    文
 特許庁が平成10年異議第74316号事件について平成11年11月2
2日にした決定を取り消す。
    訴訟費用は被告の負担とする。
事    実
第1請求
  主文同旨
第2前提となる事実
1特許庁における手続の経緯
 (1) 原告は、名称を「バッグインボックス用バッグ」とする実用新案登録第2
564143号の考案(平成3年12月4日出願、平成9年11月21日設定登
録、以下「本件考案」といい、本件考案に係る実用新案を「本件実用新案」とい
う。)の実用新案権者である。
 訴外畑瀬裕子は、本件実用新案につき登録異議の申立てをし、同申立ては平成1
0年異議第74316号事件として特許庁に係属し、原告は、平成11年3月23
日、本件実用新案に係る明細書(以下「本件明細書」という。)の実用新案登録請
求の範囲及び考案の詳細な説明の記載を実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的と
して訂正する訂正請求をし、その手続補正をしたところ、特許庁は、平成11年1
1月22日、「実用新案登録第2564143号の実用新案登録を取り消す。」と
の決定(以下「本件決定」という。別紙1決定書の理由写し参照)をし、その謄本
は、同年12月11日、原告に送達された。
  (2) 原告は、平成12年9月26日、本件明細書の実用新案登録請求の範囲及
び考案の詳細な説明の記載を実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的として訂正す
る訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2000-39113号
事件として審理した上、平成12年11月17日、上記訂正を認める旨の審決(以
下「本件訂正審決」という。別紙2審決書写し参照)をし、その謄本は、同年12
月6日、原告に送達され、本件訂正審決は確定した。
 2 本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載
  (1) 本件訂正審決による訂正前の実用新案登録請求の範囲(請求項1項)
の記載
 バッグ本体に、内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトとを設けたバッグ
インボックス用バッグにおいて、前記内容物充填用スパウトを着脱可能なキャップ
で覆い、前記内容物注出用スパウトは先端に筒部を有して、該筒部に、一端が閉塞
された弾性チューブを接続したことを特徴とするバッグインボックス用バッグ。 
  (2) 本件訂正審決による訂正後の実用新案登録請求の範囲(請求項1項)
の記載(下線部が訂正により付加された箇所である。)
 バッグ本体に、内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトとを設けたバッグ
インボックスにおいて、前記内容物充填用スパウトと、該内容物充填用スパウトよ
りも小寸法にした前記内容物注出用スパウトとを相互に離間させてバッグ本体の同
一側面に設け、前記内容物充填用スパウトを着脱可能なキャップで覆い、前記内容
物注出用スパウトは先端に外周に突設した凸部を設けた筒部を有して、該筒部に、
一端が閉塞された弾性チューブを、前記筒部の外周に突設した前記凸部の外径より
やや大きい内径を有し、かつ、下面の開口内縁がバッグ本体側に向けてテーパー状
に拡径している鍔つきチューブ固定リングにより締め付け固定し、接続したことを
特徴とするバッグインボックス用バッグ。
 3 本件決定の理由の要旨
 別紙1決定書の理由写しのとおり、本件決定は、原告の上記1(1)の平成11
年3月23日付けの訂正請求について、その補正を認めた上で、この補正された訂
正請求による訂正明細書の実用新案登録請求の範囲(請求項1項)に係る考案につ
いて、決定に引用された刊行物1(特開平2-109895号公報)に記載された
発明及び刊行物2(実願昭49-112213号(実開昭51-39212号)の
マイクロフィルム)に記載された考案並びに周知事項に基づいて当業者がきわめて
容易に考案をすることができたものと判断し、実用新案法3条2項の規定により実
用新案登録出願の際独立して実用新案を受けることができないものであり、上記1
(1)の訂正は認められないとして、本件考案の要旨を本件訂正審決による訂正前
の実用新案登録請求の範囲に記載のとおりと認定して、本件考案は、上記刊行物1
に記載された発明及び刊行物2に記載された考案並びに周知事項に基づいて当業者
がきわめて容易に考案をすることができたものと判断し、本件考案の実用新案登録
は、同条項の規定に違反してなされたものであるとして、本件考案の実用新案登録
を取り消した。
第3 当事者の主張の要点
 1 原告
 本件訂正審決による訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであ
り、本件考案の実用新案登録を取り消した本件決定の取消しを目的とする本件訴訟
の係属中に、本件考案について実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする本件訂
正審決が確定した。
 そこで、本件決定が本件考案の要旨を本件訂正審決による訂正前の実用新案登録
請求の範囲に記載のとおりと認定したことは誤りに帰し、この瑕疵は違法であるか
ら、本件決定は取り消されなければならない。
 2 被告
 原告主張のとおり、本件考案について実用新案登録請求の範囲の訂正を認める本
件訂正審決が確定したことは認める。
         理    由 
1 本件訂正審決の確定により本件考案について実用新案登録請求の範囲が前記の
とおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって本件考案につい
て実用新案登録請求の範囲が減縮されたことは明らかである。
 そうすると、本件決定が本件考案の要旨を本件訂正審決による訂正前の実用新案
登録請求の範囲に記載のとおりと認定したことは、結果的に誤りがあることにな
り、この誤りは本件決定の結論に影響を及ぼすものとして違法であるから、本件決
定は取消しを免れない。
2 よって、原告らの請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決す
る。
 東京高等裁判所第18民事部
    裁判長裁判官 永  井  紀  昭
    裁判官 塩  月  秀  平
    裁判官 橋  本  英  史

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