弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人中榮敬太郎の上告趣意について。
 論旨中には憲法違反の語があるけれども、主張の要旨は、原審は被告人に対し累
犯として刑罰加重の原因となる前科の事実を認定しているが、そのような前科はな
いと言うのであるから、事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条に定める上告の理由
となる憲法違反の問題ではない。そしてまた、記録中には原判決に示した前科の事
実を認定し得るような前科調書もあり、或はまた上告人の主張を裏づけるような証
拠もあるのであるから、原審が前科を認定したことを事実誤認であると即断するこ
ともにわかにできないのである。仮りに、上告人の主張するように原審に事実誤が
あつたとしても、記録によれば本件犯罪については、第一審は被告人に刑罰加重の
原因となる前科がなかつたものと認めたに拘らず懲役六月の実刑を科したこと並び
に被告人は本件犯罪後さらに賍物牙保罪により高松地方裁判所丸亀支部において懲
役一年(三年間執行猶予)罰金一万円に処せられたこと等が窺われるのであるから、
これらの事情を参酌すると原審が被告人を懲役六月に処したことを目して原判決を
破棄しなければ著しく正義に反すると認めることはできない。
 それゆえ、本件は刑訴四一一条を適用すべき場合にも当らない。
 よつて、刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条に従い裁判官全員の一致した意見に
より主文のとおり判決する。
  昭和二六年七月一七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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