弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決を破棄し本件を松山地方裁判所宇和島支部に差し戻す。
         理    由
 弁護人井上源一並岡林靖の各控訴趣意は井上弁護人において第三点岡林弁護人に
為いて第四点を各量刑不当を主張するのであると釈明した外はそれぞれ別紙の通り
である。
 右井上弁護人の控訴趣意第一点について。
 記録を精査検討するに、検察官の公訴取消(四一九丁)により原裁判所におい
て、昭和二五年八月二三日公訴棄却の決定(四二〇丁)をした所論昭和二四年一〇
月二〇日付の起訴状における第一〇の(ロ)及第一一の(ロ)についての事実及訴
因(一六八丁起訴状及三〇二丁訴因補正書の記載、二〇〇丁第一回及三三八丁第三
回公判調書における釈明参照)の要旨は、
 被告人は昭和一八年から同二四年六月末まで北宇和郡A郵便局長として在勤し為
替貯金等同局の業務一切を総括担任していたものであるが、その間右職務に関し郵
便貯金通帳等の偽造行使等をして交際費、生活費等を不正に領得しようと企図し、
 第一〇、 (イ)昭和二三年四月六日右郵便局において行使の目的をもつて、予
ねて自己名義で預入れの現在高金一五六円二二銭ある徳島貯金支局発行「江ちよ第
○×○号」郵便町金通帳における受入欄に、檀に金二八、四七〇円と虚偽の記入を
しかつ所定の個所に右郵便局長の職印及同局日附印をそれぞれ押印して職務に関し
虚偽の公文書一通を作成していたものであるが、
 (ロ) 同年五月末右郵便局長の服務停止を命ぜられ同年六月末同局長を退職し
たにかかわらず左記日時同郵便局において貯金係Bに対し、七回に亘り右偽造の通
帳に、
    同年六月 三日に 金三、〇〇〇円  八月一二日に 金二、〇〇〇円
     六月 六日に 金一、〇〇〇円  八月一三日に 全二、四六四円四〇

     八月 八日に 金三、五〇〇円  八月一五日に 金九、〇〇〇円
     八月一一日に   金五〇〇円
 の自己名義貯金払戻受領証を添へて提出行使し、真実該通帳記載の預金あるもの
と誤信せしめて払戻金として自己に計金二一、四六四円四〇銭を交付せしめて正当
預金との差額計金二一、三〇八円〇八銭を騙取し、
 第一一、 (イ)予ねて呉市Cからその所有山林の売却を頼まれていたところ同
年五月一〇日頃同人からその息子Dを通じ金二万円の融通方を依頼し来た際行使の
目的をもつて右D所持の金一、一〇〇円預入れあるC名義広島貯金支局発行「くぬ
第△△□□□号」郵便貯金通帳における愛人欄二個所にそれぞれ金一〇、〇〇〇円
と虚偽の記入をし、かつ所定の個所に右郵便局長の職印及同日附印をそれぞれ押印
して虚偽の公文書二通を作成し、
 (ロ) その頃右通帳を前記Cに郵送し情を知らぬ同人をして左記日時呉市E郵
便局等において、同局係員に対し六回に亘り右偽造通帳に、
     五月二三日に 金三、五〇〇円  七月 二日に 金二、〇〇〇円
     六月 二日に 金五、〇〇〇円  八月 二日に 金二、〇〇〇円
     六月二五日に 金二、〇〇〇円  八月二五日に 金五、〇〇〇円
 の同人名義貯金払戻受領証を添へて提出行使させ、同係員を真実該通帳記載の預
金あるものと誤信させ払戻金として同人に計金一九、五〇〇円を交付せしめ正当預
金との差額計金一八、四〇〇円を騙取し、
 たものであつて偽造公文書行使詐欺(刑法第一五八条第二四六条)に該る、とす
るものであり、
 検察官から昭和二五年八月三〇日付の追起訴状により提起された同起訴状におけ
る第二及第三についての事実及訴因(四二五丁追起訴状)の要旨は、
 被告人は前記A郵便局長として在勤し為替貯金等同局の業務一切を総括担任して
いたものであるが、その間右職務に関し郵便貯金通帳等の偽造行使等をして金銭を
不正に領得しようと企図し、
 第二、 昭和二四年五月末右郵便局長の服務停止を命ぜられたにかかわらす左記
日時、右郵便局において貯金係Bに対し、七回に亘り昭和二四年一〇月二〇日付起
訴事実第一〇(イ)記載の偽造通帳に、
     六月 三日に 金三、〇〇〇円  八月一二日 に金二、〇〇〇円
     六月 六日に 金一、〇〇〇円  八月一三日 に金二、四六四円四〇

     八月 八日に 金三、五〇〇円  八月一五日 に金九、〇〇〇円
     八月一一日に   金五〇〇円
 の自己名義貯金払戻受領証を添へて提出行使し、真実該通帳記載の預金があるも
のと誤信させ払戻として自己に計金二一、四六四円四〇銭を交付せしめ正当預金と
の差額全二一、三〇八円〇八銭を、
 第三、 昭和二四年五月頃Cに対し同年一〇月二〇日付起訴事実第一一(イ)記
載の偽造通帳を郵送し、情を知らぬ同人をして左記日時呉市E郵便局に対し六回に
亘り該偽造通帳に、
     五月二三日に 金三、五〇〇円  七月 二日に 金二、〇〇〇円
     六月 二日に 金五、〇〇〇円  八月 二日に 金二、〇〇〇円
     六月二五日に 金二、〇〇〇円  八月二五日に 金五、〇〇〇円
 の同人名義貯金払戻受領証を添へて提出行使させ、同局係員をして真実該通帳記
載の預金があるものと誤信払戻金として計金一九、五〇〇円を交付させ正当預金と
の差額計金一八、四〇〇円を
 騙取したもので、偽造公文書行使詐欺(刑法第一五八条第二四六条)に該る。
 とするのであるところ検察官は前記公訴棄却の決定があつた昭和二四年一〇月二
〇日付起訴状における第一〇の(ロ)及第一一の(ロ)の事実及訴因は一罪として
審判を求めたように云う(四四〇丁第七回公判調書参照)けれども右起訴状には各
数回の亘り偽造通帳を払戻金受領証を添へて提出行使し因つて払戻金を交付させて
観取したとの数個の犯罪事実が記載されておること及びその後公訴取消に至るまで
の審理により右数個の事実が前記の如く特定したこと等に鑑みると併合罪の起訴で
ありその提起の方式等に何等欠けるところがなく右追起訴にお<要旨>ける第二及第
三の事実及訴因と向一であると解すべきである。そうすると右追起訴は刑訴法第三
四〇条により犯罪事実につき新たに重要な証拠を発見した場合に限り提起す
ることができるに過ぎないのであるにかかわらず、記録中検察官から右追起訴事実
立証の証拠として取調べを求めたものは既に公訴取消までに取調べを了し又は存在
していたもののみで「新たに発見された、重要な証拠」は見当らないから同条に違
反して提起されたのではないかとの疑があり、しかもその点につき釈明を求めたり
立証を促がす等審理を尽した形跡が全く窺はれないので原裁判所の審理には不尽が
あり、その結果刑訴法第三三八条第二号に則り判決をもつて棄却しなければならな
い疑がある該追起訴を慢然(原審弁護人の主張も排し)有効としたと思われること
等訴訟手続に法令違反の疑もあると云わなければならない。
 右に関連し職権で調査するに前記公訴取消により同様公訴棄却の決定をした昭和
二四年六月一八日付起訴状における第二の事実及訴因(一丁起訴状の記載及四九丁
裏公判調書の記載参照)の要旨は、被告人は北宇和郡A郵便局長で同局の為替貯金
等の業務一切を総括担任しておるものであるが、
 第二、 昭和二四年三月八日から四月二〇日までの間、八回に亘って生じた右郵
便局取扱ひの超過計金一、〇五一、七〇〇円を業務上保管中三月九日から四月二三
日までの間七回に亘つて計金一、〇三〇、〇〇〇円を檀に居村及宇和島市等に為い
て自己の債務の弁済等に費消横領したものであつて、業務上横領、刑法第二五三条
に該る。
 とするものであり、
 前記追起訴状により提起された同起訴状における第一の事実及訴因(四二五丁追
起訴状)の要旨は、
 被告人は前記A郵便局長として同局の為替貯金等の業務一切を総括担任していた
ものであるが、
 第一、 昭和二四年三月八日から四月二〇日までの間に八回に亘つて生じた右郵
便局取扱ひの超過計金一、〇五一、七〇〇円を業務上保管中左表の通り擅に九回に
亘り計金一、〇三〇、〇〇〇円を居村及宇和島市等において自己の債務の弁済等に
費消横領したもので、業務上横領、刑法第二五三条に該る。
      月  日    金   額       場所及費途
      三、 九   一〇〇、〇〇〇   自宅 Fへ貸与
      三、一〇    五〇、〇〇〇   自宅 Gへ貸与
      三、一〇   一四〇、〇〇〇   自宅 H株買入手附金として、
Iへ交付
      三、二二   一九〇、〇〇〇   超過金費消被害への弁償
      三、三〇頃  一七〇、〇〇〇   自宅 Jへの債務弁償
      〃       四〇、〇〇〇   居村 生活費等に充てた
      四、二〇   二〇〇、〇〇〇   宇和島市 K等への債務弁済
      四、二三   一〇〇、〇〇〇   自宅 Gへ貸与
      〃       四〇、〇〇〇   自宅 Lへの債務弁済
 とするのであるところ検察官は前記公訴棄却の決定があつた昭和二四年六月一八
日付起訴状における第二の事実及訴因も亦一罪として審判を求めたように云うけれ
ども起訴状には業務上保管中の金員を擅に数回に亘り自己の債務の弁済等に費消し
たと数個の犯罪事実か記載されておること及びその後の審理により其体的に右数個
の費消事実か明らかとなつて為ること等に鑑みると前同様併合罪の起訴でありその
方式等に欠けるところがなく右追起訴におけろ第一の事実及び訴因と同一であると
解す(但し起訴状は七回であるが追起訴状は九回となつておるけれども)べきであ
る、そうするとこの部分の追起訴も前同様の違反の疑があると云わなければならな
い、(叙上説示は右公訴棄却決定がその後確定するに至つたことを前提としたもの
であるが飜つて仔細に調べると、叙上公訴棄却の決定は昭和二五年八月三〇日被告
人に送達され、その即時抗告期間内である同日追起訴を提起されたもの即ち公訴棄
却決定の確定以前に追起訴か提起されたのであるから刑訴法第三三八条第三号に該
るのではないかとも疑われる「参照滝川幸辰外二名著刑事訴訟法(コンメンター
ル)四九三頁」)
 以上の違反は判決に影響を及ぼすのが当然であるから弁護人等その余の控訴趣意
についての判断を省略し刑訴法第三九七条第三七九条に則り原判決を破棄し同法第
四〇〇条本文により事件を原裁判所に差し戻すものとし主文の通り判決するのであ
る。
 (裁判長判事 満田清四郎 判事 太田元 判事 森本正)

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