弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人倉橋春雄の上告理由第一点及び第二点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決を正解しな
いでこれを論難するものにすぎず、採用することができない。
 同第三点について
 ある営業表示が不正競争防止法一条一項二号所定の他人の営業表示と類似のもの
にあたるか否かについては、取引の実情のもとにおいて、取引者又は需要者が両表
示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両表示を全体的に類似の
ものと受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきものであることは当裁
判所の判例とするところであり(最高裁昭和五七年(オ)第六五八号同五八年一〇
月七日第二小法廷判決・民集三七巻八号登載予定)、また、ある商品表示が同項一
号所定の他人の商品表示と類似のものにあたるか否かの判断についても、前示営業
表示の類似判断の場合と同一の基準によるべきものと解するのが相当である。
  これを本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、(1) 被
上告人B1(以下「被上告人B1」という。)は、昭和三八年二月二〇日、アメリ
カ合衆国のナシヨナル・フツトボール・リーグに加盟しているプロフツトボールチ
ームの名称及びシンボルマークからなる第一審判決添付目録(二)の一及び二記載の
三〇種の表示(以下「本件表示」という。)を商業的利用のために管理する目的を
もつて設立された会社であつて、本件表示を独占的に使用する権利及びこれを第三
者に使用許諾する権利を有する、(2) 被上告人B1は、昭和四八年一〇月二日、
被上告人B2企業株式会社(以下「被上告人B2企業」という。)との間に使用許
諾契約を締結して、被上告人B2企業に対し、わが国における唯一の使用権者とし
て本件表示の商品化事業を営む権利、すなわち本件表示を特に指定された商品に付
して商品を販売する事業を営む権利及び本件表示を第三者に再使用せしめる権利を
許諾し、同時に、被上告人B1による商品の品質管理に服する義務、本件表示を第
三者に再使用させる場合には再使用権者に対する厳格な品質管理をすべき義務など
を課した、(3) その後、被上告人B2企業は、被上告人B1と業務提携して本件
表示の商品化事業を企画することにした旨の発表会を大々的に行い、また、各種新
聞雑誌に右業務提携についての広告をするとともに、バッグ、雑貨等に本件表示を
付してこれらを販売した、(4) 被上告人B2企業は 昭和四九年一月一日以降、
一業種一社と定めて、訴外D編物株式会社その他の会社との間に再使用許諾契約を
締結して、同会社らに対し、本件表示の再使用を許諾するとともに、被上告人B2
企業による商品の品質管理に服すべき義務、販売商品に被上告人らの商号及び許諾
商品である旨を英文字で表示した証紙を貼付すべき義務、前記商品化事業に携わる
者であることを広告すべき義務などを課した、(5) 再使用権者は、昭和五一年末
現在、第一審判決添付目録(三)記載の一九社となり、それぞれ一商品に一マークを
付することにして、テイシヤツ、トレーナー、セーター、靴下、エプロン、ネクタ
イ、靴、時計、ペナント、洋傘、レポート用紙、ノート、貯金箱などに本件表示を
付してこれらを百貨店及び専門店で販売するとともに、被上告人B2企業から許諾
を受けて本件表示の商品化事業に携わるものである旨を再三にわたつて各種新聞雑
誌に広告した、(6) 被上告人B2企業及び再使用権者は、本件表示の商品化事業
を成功させる方法を検討するため、Eという団体を設けて月一回の会合を持ち、宣
伝広告及び商品販売の方法等について意見及び情報の交換をするとともに、各種新
聞雑誌に本件表示及びEの加盟会社名を掲載して本件表示の商品化事業の宣伝広告
をし、また、一般紙、業界紙及び雑誌には、しばしば被上告人B1と被上告人B2
企業との業務提携による本件表示の商品化事業が爆発的に成長している旨の特集記
事が掲載された、(7) 被上告人B2企業は、再使用権者の本件表示の使用の方法
及び態様、許諾商品の特定及び品質、宣伝広告の方法等について管理統制を行い、
自己と再使用権者のグループの中核的な立場に立つて本件表示の商品化事業を推進
してきた、(8) 本件表示は、遅くとも昭和五〇年初め頃以降、わが国において、
単なるアメリカンフツトボールチームを示すマークの域を脱して、少なくとも一般
消費者に対する宣伝広告を必要とするような業界においては、被上告人ら及び被上
告人らを軸とする再使用権者のグループ(以下「被上告人ら及び再使用権者のグル
ープ」という。)の商品表示又は営業表示として広く認識されるに至つた、(9) 
上告人は、昭和五〇年一一月中旬頃から昭和五一年一〇月六日までの間に、本件表
示のうちの七チームのマークの多数個をその全面に千鳥状に配列印刷したビニール
製シートをもつて組立棚枠の正面及び両側面を被覆してなる箱状の組立ロツカー(
以下「本件ロツカー」という。)を販売した、(10) 被上告人らは、上告人の本
件ロツカーの販売行為によつて、再使用権者に対する管理統制、本件表示による商
品の出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を害されるおそれがある、という
のである。ところで、右事実に基づいて考察するに、三〇種ある本件表示の各マー
クは、それぞれ図柄及びチームの名称を異にするものであるが、いずれもアメリカ
ンフツトボールのヘルメツトをかたどつた共通の図形からなるものであるため、前
示取引の実情のもとにおいては、取引者又は需要者が、本件ロツカーの表示を全体
的にみて、同表示は本件表示の個々のマークと外観及び観念において同一又は類似
のものを多数個使用するものと感得するであろうことが明らかであるから、前示基
準に照らせば、本件ロツカーの表示の使用は、本件表示と同一又は類似のものを使
用するものといわなければならない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認
することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第四点について
 不正競争防止法一条一項一号又は二号所定の他人には、特定の表示に関する商品
化契約によつて結束した同表示の使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループ
のように、同表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展さ
せるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグ
ループも含まれるものと解するのが相当であり、また、右各号所定の混同を生ぜし
める行為には、周知の他人の商品表示又は営業表示と同一又は類似のものを使用す
る者が、自己と右他人とを同一の商品主体又は営業主体と誤信させる行為のみなら
ず、自己と右他人との間に同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存する
ものと誤信させる行為をも包含し、混同を生ぜしめる行為というためには両者間に
競争関係があることを要しないと解するのが相当である。
  これを本件についてみるに、前示原審の確定した事実関係によれば、被上告人
ら及び再使用権者のグループは不正競争防止法一条一項一号又は二号所定の他人に
あたるものというべきであり、また、右グループの中にロツカーを販売する者がい
ないとしても、上告人の本件ロツカーを販売する行為は、右グループと上告人との
間に同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させるものと認
められるから、右各号所定の他人の商品又は営業活動と混同を生ぜしめる行為に該
当するものといわなければならない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認
することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第五点について
 意匠に係る物品の販売行為が形式的には意匠権の行使と認められるものであつて
も、それが権利の濫用にあたるものであるときには、右物品の販売行為は、不正競
争防止法六条所定の意匠法による権利の行使には該当しないものと解するのが相当
である。
  これを本件についてみるに、原審の確定したところによれば、(1) 本件表示
は、昭和五〇年初め頃にはわが国において被上告人ら及び再使用権者のグループの
商品表示又は営業表示として広く認識されるに至つたものであるところ、上告人は、
昭和五〇年八月頃、本件表示の持つ強い顧客吸引力を利用する意図のもとに、第三
者に本件ロツカーのデザインの作成を依頼してこれを完成させ、同年一一月中旬に
本件ロツカーの販売を開始した、(2) 被上告人らは、上告人の本件ロツカーの販
売当初から、上告人に対し不正競争防止法に基づきその販売の差止を請求しうる地
位を取得していた、(3) 被上告人B2企業は、昭和五〇年一一月末頃、上告人に
対し、本件ロツカーの販売は不正競争防止法一条一項一号及び二号に該当する旨警
告するとともに、その販売を取り止めるよう要求した、(4) 上告人は、右警告及
び要求を無視するとともに、当然予想される被上告人らの不正競争防止法に基づく
差止請求等を免れるため、その対抗措置として、昭和五一年四月一日に本件ロツカ
ーに係る形状及び模様の結合意匠について意匠登録出願をし、昭和五三年九月二〇
日に意匠登録を受けた、というのである。右事実関係によれば、上告人の本件ロツ
カーの販売行為は、形式的には右登録意匠の実施にあたるとしても、権利の濫用に
あたるものと解されるから、不正競争防止法六条所定の意匠法による権利の行使に
は該当しないものというべきである。これと同旨の原審の判断は、正当として是認
することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第六点及び第七点について
 不正競争防止法一条一項柱書所定の営業上の利益を害されるおそれがある者には、
周知表示の商品化事業に携わる周知表示の使用許諾者及び許諾を受けた使用権者で
あつて、同項一号又は二号に該当する行為により、再使用権者に対する管理統制、
周知表示による商品の出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を害されるおそ
れのある者も含まれるものと解するのが相当である。
  これを本件についてみるに、前示原審の確定したところによれば、被上告人ら
は、周知表示である本件表示の商品化事業に携わる周知表示の使用許諾者及び使用
権者であるところ、上告人の不正競争防止法一条一項一号又は二号に該当する行為
により、再使用権者に対する管理統制、本件表示による商品の出所識別機能、品質
保証機能及び顧客吸引力を害されるおそれがある者であるというのであるから、同
項柱書所定の営業上の利益を害されるおそれがある者に該当するものというべきで
あつて、同項及び同法一条ノ二の各規定に基づいて差止請求及び損害賠償請求をす
ることのできる地位にあるものといわなければならない。これと同旨の原審の判断
は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用す
ることができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    木 戸 口   久   治
            裁判官    横   井   大   三
            裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    安   岡   滿   彦

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