弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人徳岡二郎、被告人AことH、弁護人渋谷正俊、被告人B、の各上告趣意は
末尾に添附した別紙書面記載の通りである。
 被告人AことH弁護人徳岡二郎の上告趣意について。
 按ずるに昭和二十二年十月十日の原審第一回公判期日において証人C同D同Eの
三名を訊問する旨の決定をしたことは、同日の公判調書記載によつて明らかである、
そして昭和二十三年六月二十二日の原審第五回公判調書によれば、同日の公判にお
いて右三名の証人の内CとDの二名の証人調を終つた後裁判長は合議の上「留保に
かかる証人F(二十二年十月十日。第一回公判において却下されたものであること
は同日の公判調書記載により明らかである)及び本日弁護人申請の証人Gは却下す
る証人Dを訊問する旨の第一回公判で為した決定は職権を以つて取消す」と宣言し
た旨の記載があるが右記載は明らかに誤りであることがわかる、何となれば証人D
は当日訊問したばかりであるから、同人を証人として訊問する旨の決定を取消すい
われはないからである、そして第一回公判期日において証人として訊問する旨の決
定をした三人の内未だ訊問しないのはEだけであるから、右公判調書の証人Dを訊
問する旨の第一回公判で為したる決定を取消すとの記載はEを訊問する旨の決定を
取消すことの誤記であることを窺い知ることができる、右説明の如くEに対する証
人決定は取消されたのであるから、同人を証人として取調べなかつたことは当然で
あつて、所論の如き違法はないものである、従つて論旨は理由がない。
 被告人AことHの上告趣意について。
 按ずるに論旨は検察庁並に警察署の取調が不当であること、被告人は人種的差別
待遇を受けたこと、被告人は本件強盗罪の見張をした事実はないこと、証人申請を
不当に却下されたこと等細々と述べているのであるが、記録を調べて見ても、検事
や警察官の取調に違法があつたと認むべき形跡はなく、また被告人を人種的差別待
遇をしたと認むべき形跡もない、そして証拠調の範囲は原審の自由裁量にまかせら
れてあるのであるから原審において取調の必要がないと認めた場合は被告人の申請
した証人を調べなかつたとしても違法とはいえない、なお被告人は見張りをしたこ
とはないと主張するけれども原判決において証拠として援用したDの原審公判にお
ける証人としての供述記載並に分離前の相被告人Gに対する原審第一回公判期日に
おける供述記載等によつて明らかであるから見張に関する原審の事実認定には何等
の法則違背はない、要するに論旨は結局原審の事実誤認を非難することに帰着する
が、日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条第二項に
より適法の上告理由とならないものである。
 被告人B弁護人渋谷正俊上告趣意第一点について。
 按ずるに法律により公判において取調ぶべき証拠の取調をなさざるときというの
は刑事訴訟法第三百四十二条の如く公判において証拠調をなすべき旨を法律に規定
されている場合に証拠調をしない場合をいうのであつて証拠調を為すべきか否かを
裁判所の自由裁量にまかせられている場合に証拠調の必要なしと認めてこれをしな
かつたような場合を指すものではない、所論被告人の犯意の有無についてどの程度
に証拠調をなすべきかを決することは事実審たる原審の自由裁量にまかせられてあ
るのであるから原審においてその必要なしと認めて取調をしなかつたことをもつて
違法であるということは当を得ない、論旨は理由がない。
 第二点について。
 原判決は原判決挙示の証拠によつて被告人は原審相被告人等と強盗行為を謀議し
た上その見張りをした事実を認定したのであるがすでに強盗行為を謀議した上見張
りをした事実がある以上は被告人の行為を以て強盗の共同正犯と解しこれに対し共
同正犯の法条を適用したことは当然であつて所論の如き擬律錯誤はない。論旨は理
由がない。
 第三点について。
 刑の執行を猶予すべきか否かは事実審たる原審の自由裁量の範囲に属するのであ
るから原審において刑の執行を猶予すべき情状なしと認めて刑の執行猶予の言渡を
しなかつたとしても何等の違法はない、論旨は原審の量刑不当を上告の理由とする
のであるから日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条
第二項により適法な上告理由とならない。
 被告人Bの上告趣意について。
 論旨前段は原審の事実誤認を非難するのであり同後段は家庭の事情を述べて寛大
の処置を願うというのであるが、かような主張は日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法
の応急的措置に関する法律第十三条第二項により適法の上告理由とならないもので
ある。
 よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二三年一一月九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛