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平成15年5月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成14年(ハ)第4917号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成15年4月30日
          判       決
          主       文
1 被告Aは,原告に対し,44万5500円及びこれに対する平成13年4月
17日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 被告B株式会社は,被告Aに対する前項の判決が確定したときは,原告に対
し,44万5500円及び前項の判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセ
ントの割合による金員を支払え。
3 原告の被告らに対するその余の請求を棄却する。 
 4 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの
負担とする。
          事実及び理由
第1 請   求 
1 被告Aは,原告に対し,49万5000円及びこれに対する平成13年4月
17日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 被告Bは,被告Aに対する前項の判決が確定したときは,原告に対し,49
万5000円及び前項の判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割
合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 1 本件は,平成13年4月17日午後8時25分ころ,東京都杉並区ab-c先
の片側3車線の道路の第1車線を進行する普通乗用自動車(deほ○○○○,原告所
有,(以下「原告車」という。))と第2車線を進行する被告A運転の普通乗用自
動車(efて○○○○,訴外C株式会社所有,(以下「被告車」という。))との接
触による物損事故について,原告が,被告Aに対して民法709条に基づき,ま
た,被告Aが加入している保険会社である被告Bに対して,被害者による直接請求
として,他車運転危険担保特約に基づき,それぞれ損害賠償額の支払を求めた事案
である。
 2 争点
   事故の態様及び原因
  (原告の主張)
   本件事故は,原告車が第1車線を走行中,右隣の第2車線を同一方向に進行
中の被告車が,原告車の走行車線に進入した過失により,被告車が原告車に接触し
たものである。
  (被告らの主張)
   被告車が第2車線を走行していたところ,原告車が,被告車を左側から追い
越そうとして第2車線に進入したため,被告車に接触したものである。
第3 争点に対する判断                         
1 本件各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。すなわち,
本件事故現場から約20~30メートル前方左側には,首都高速の出口専用道路が
接合しており,その出口の前方角の本件道路に沿ってコンビニ店がある。本件事故
当時,原告車は,第1車線を,大森方面から杉並方面へ向かって時速40ないし5
0キロメートルで進行し,他方,被告車は第2車線を原告車と同一方向に,時速4
5ないし55キロメートルで走行していて,事故直前,両車両はほぼ併走する状態
であった。原告車の右側助手席に同乗していたDは,原告車の右側面に接近してき
た被告車を発見し,「あぶない」と叫んで,よけるようにして左側運転席の方に身
を寄せた。原告が運転席から右側を見ると,原告車がわずかに先行するような状態
で,被告車が寄って
来ていたので,衝突を回避しようとして加速した。その瞬間に,被告車の前部フェ
ンダー左角部分が原告車の右側フェンダー前部分に衝突し,同衝突部位から右側後
部フェンダーにかけて擦過傷を生じた。
   衝突後,原告は,前方のコンビニ店前で停止したところ,被告車がそのまま
通過しようとしたので,発進して追いかけたところ,被告車が道路左端に停車した
ので,原告車も,被告車の前に停車した。以上の事実が認められる。
 2 物件事故報告書(乙9号証)には,略図や特記事項が記載された裏面部分が
省略されているが,その作成者である証人Eは,「現場で当事者が述べた内容は覚
えていないが,物件事故報告書には,乙(原告)は,『相手が寄って来たので,回
避しようとしてスピードを上げようとしたがぶつかった。』と述べ,甲(被告A)
は,『直進していたところ,気が付いたらぶつかっていた。何がなんだか分からな
い。』と述べたことが書いてあった。また,略図には,第1車線に少し入ったとこ
ろで接触したように記載されていた。」と証言しており,その証言は十分信用でき
る。
  次に,D証言によれば,事故直後,被告Aは,Dに対して,「左折しようと
していた」と述べていたとのことである。また,事故調査会社の調査員FのG株式
会社宛(原告が加入していた保険会社)の報告書(甲2号証)によれば,平成13
年6月9日の時点で,被告Aは,同調査員に対して,「原告車がかなりの速度で私
の車を追い越そうとして右に寄り,私の車は理由がないが左に寄ったため衝突し
た。」と述べており,第1車線に寄ったことを自認している。
 3 以上によれば,被告Aには,左隣の第1車線を併走する原告車との間隔を適
正に保たないまま,漫然と第1車線に進入した過失があり,本件事故は,被告Aの
同過失に起因するものと認められる。
 4 これに対して,被告らは,自動車損傷診断書(乙5号証)によれば,原告車
の衝突部位の入力方向が1時の方向であるから,原告車が第2車線に進入して被告
車に衝突したものであると主張する。しかしながら,この点は,衝突直前に原告が
衝突を避けるために加速して被告車の速度を上回っため,衝突時には1時の方向か
ら入力されたものと考えられるから,被告車が第1車線に進入して接触したとの認
定と入力方向が1時であるとする乙5号証とは矛盾しない。 したがって,この点
に関する被告らの主張は採用しない。
   また,被告Aは,「被告車が,第2車線を走行していたところ,原告車が被
告車を左側から追い越そうとして被告車に接触したものである。警察官立ち会いの
下,原告は被告車を追い越そうとしたことを認めた。」と供述するが,E証言によ
れば,物件事故報告書には,原告が追い越しを認めたことは記載されていないこと
が認められるし,また,原告側に,第2車線に進路変更する必要性を窺わせる事情
も見当たらないから,被告Aのこの供述は,たやすく信用することができず,他に
原告車が第2車線に進入したとの事実を認めるに足りる証拠はない。
 5 他方で,原告車は左ハンドルのベンツであり,右ハンドル車に比べて,右側
車線の走行車両に対する視野が狭くなるうえ,さらに右側助手席には同乗者がいた
のであるから,原告としては,サイドミラー等により右側車線の安全を確認する義
務があったというべきである。ところが,原告は,被告車と接触する直前まで併走
していた被告車に気付かなかったというのであるから,右側車線に対する安全確認
義務を怠った過失があったというべきであり,本件交通事故における過失割合は,
原告1対被告A9とするのが相当である。
 6 損害額等について
   本件事故後,保険会社の承諾がえられないため,原告車の修理はされていな
いが,甲第1号証によれば,その修理に要する費用が,61万2465円であるこ
とが認められる。他方で,乙7号証によれば,本件事故当時の原告車の取引価格
は,49万5000円であり,いわゆる経済的全損に当たるから,原告の被った損
害額はその取引価格の範囲に止まるというべきである。したがって,被告らは,原
告の請求する49万5000円の9割すなわち44万5500円の限度で支払義務
を負うべきである。
      東京簡易裁判所民事第2室
           
           裁 判 官山  中 喜 代 志
 

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