弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人田島政吉の上告趣意第一点、第二点について。
 論旨は、原判示Aが顛倒負傷するに際し被告人には当時の現実の状況に即した注
意義務に違反するところはなかつたと主張するが、この点に関する原判示事実は論
旨引用のとおりであつて、これによれば、被告人が、判示状況の下において、当初
約三二米先方に進路左側を被害者Aが自転車で右と略々同一速度で疾走下降して来
たのを認めたときは、被告人としては更に警音を発してAの注意を喚起するととも
に、急停車の措置を採るか又は急停車し得る程度に速度を落してAの避譲に便宜を
与え、これによつてAはもちろんA以外の通行人Bに対する関係においても事故の
発生を防止することができた状態であつたのに拘らず、更に警音を発することなく、
右急停車または徐行もすることなく同一速度で更に約一〇米を進行し両者の距離一
〇余米に接近するに及んであわてて急に自動車を右に転じAをして左右いずれの側
にも避譲することを困難ならしめ、また、Bの存在に気付かず、よつて両名をして
顛倒負傷させたというのであるから、被告人の右所為は原判示の状況下における自
動車運転者としての業務上の注意義務を怠つた過失あるものといわなければならな
いのであつて、当時の被告人にこの義務の遵守を期待することは不能であつたとい
うことはできない。互に接近するまでに被害者Aが自ら避議し得た筈でありとし、
また、被告人としてはこの場合右に転ずる以外に途はなかつたとする論旨は事実誤
認の主張に過ぎない。
 論旨引用の大正三年四月二四日大審院判例中、電車運転手が警鐘を鳴らしその他
危険注意を与えつつ前進する場合に関し言及する部分は、被害者発見直後警音を発
することを怠つた本件の場合に適切でないとともに、運転する車の前方において通
行人が線路を横断するの冒険的行為をなさんとする衝突を惹起すべき虞あることを
疑わしむべき相当の理由ある場合には特に停車又はその他危険予防臨機手段を講ぜ
ざるべからずと判示する部分はむしろ原判示と趣旨を同じくするものであり、結局
原判決には引用の判例に反するところはない。
 次に、論旨は引用の期待可能に関する判例違反をいうが、原判決の認定によれば、
判示状況下に被告人としては判示の如く被害者発見直後警音を発し急停車若くは徐
行等の措置をとり事故の発生を防止することができた状態であつたというのである
から、所論は原判決の認定にそわない事実を主張するものであつて前提を欠き採用
することができない。次に、引用の大正一四年六月一六日大審院判決は、運転手が
その席より被害者を看取すること能はざる状態の場合に関するものであるに反し、
原判決の認定は、被告人が被害者発見直後警音を発し急停車、徐行等の措置をとつ
たならば被害者Bの傷害は発生しなかつた関係であつたとの趣旨であるから、事案
を異にし本件に適切でない。引用の昭和二年六月二九日判決も同様本件に適切でな
い。論旨中Aの死亡は被告人の所為に原因しないA自身が避譲せず自転車の進行を
自ら停止し被告入の自動車右転前顛落したのに原因するとの主張は事実誤認の主張
にほかならず上告適法の理由とならない。 (原判決は第一審判決と異り、被告人
の自動車をAに衝突させた事情を認めていないが、要するに、被告人がA発見直後
警音を発せず急停車若くは徐行をせず一〇余米に接近して急右転したためAをして
左右いずれの側にも避譲することを困難ならしめ、よつてAをして急停車等による
顛落負傷死亡を惹起せしめたとの趣旨である。)論旨はすべて採用できない。また
記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四〇八
条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三二年二月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    高   橋       潔

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛