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平成13年12月26日判決言渡
平成13年(ネ)第216号 貸金請求控訴事件(原審・福島地方裁判所郡山支部
平成9年(ワ)第93号平成3年4月12日判決言渡)
 主         文
 1 本件控訴をいずれも棄却する。
    2 控訴費用のうち,控訴人と被控訴人らとの間で生じた分は,控訴人の
負担とし,補助参加人と被控訴人らとの間で生じた分は,補助参加人の
負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 当事者の求めた裁判
 1 控訴の趣旨
(1) 原判決中被控訴人らに関する部分を取り消す。
(2) 被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して金1481万0959円及び
  これに対する平成9年3月8日から支払いずみまで年18.25パーセ
     ントの割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。
 との判決,並びに仮執行の宣言
 2 控訴の趣旨に対する答弁
   主文と同旨。
第2 事案の概要
   本件は,控訴人が,原審相被告A,被控訴人B及び被控訴人Cを連帯保証人
として,原審相被告株式会社朝日組(以下「朝日組」という。)に対して15
00万円を貸し付けたとして,上記4名に対し,残元金1481万0959円
及びこれに対する期限の利益の喪失日の翌日である平成9年3月8日から支払
いずみまで約定利率年18.25パーセントの割合による遅延損害金の連帯支
  払いを求めて提訴したところ,原審が本訴請求のうち,朝日組及びAに対する
  請求を全部認容し,被控訴人らに対する請求を上記連帯保証契約の錯誤による
  無効を理由に棄却したので,控訴人が敗訴部分について控訴した事案である。 
   
 1 争いがない事実及び証拠等により認められる事実
  (1) 控訴人は,平成4年12月28日,朝日組との間において,朝日組が
  手形交換所の取引停止処分を受けたときは,取引契約上の期限の利益を
失う旨などの内容が約定されている信用取引契約を締結した。(甲1の
     1及び2)
  (2)① 控訴人補助参加人(以下「補助参加人」という。)は,昭和19年
に設立された電気・通信・土木及び建築工事等を目的とした東京証券
取引所一部上場の株式会社であり,その資本の額は78億0390万
円である。
(乙16,弁論の全趣旨) 
② 補助参加人は,平成7年ころ,福島競馬場スタンド改築工事を請け
負い,施工していたところ,平成8年2月ころ,朝日組の代表者であ
るAから,朝日組が下請けとして3億円程度の規模の外注工事を受注
したいとの申込みを受けたが,適当な工事がなかったことから,その
申入れには応じられない旨を回答した。
   しかし,補助参加人は,平成8年3月ころ,Aから,朝日組の受注
・完成工事高の実績を確保するために,上記工事についての架空の工
事契約書を作成することに協力してほしい旨を依頼され,朝日組から
は営業情報の提供等の協力を得ていたという過去の経緯もあったこと
から,契約の事実が全くないにもかかわらず,発注者を補助参加人,
請負人を朝日組とする同年4月1日付け福島競馬場スタンド改築工事
請負契約書(工期,平成8年4月1日から平成9年5月31日,請負
代金,1億0300万円)と平成8年7月9日付け福島競馬場スタン
ド改築工事請負契約書(工期,平成8年7月10日から平成9年5月
31日,請負代金,1億5450万円)を作成し,Aに交付した(以
下,内容が架空の上記工事請負契約書を「本件工事契約書」という。)。
      (乙2ないし4,丙1)
(3) 控訴人は,朝日組から平成8年7月23日付け借入申込書により15
  00万円の融資の申込みを受け,同月30日,以下の約定で1500万
     円を貸し渡し(以下「本件貸金」という。),Aはその債務を連帯保証
     した。(甲2の1ないし5,弁論の全趣旨)
 イ 支払期日 平成9年1月31日
      ロ 利  息年4パーセント(年365日の日割計算)  
      ハ 遅延損害金 年18.25パーセント(年365日の日割計算)
  被控訴人B及び同Cは,平成8年7月23日から同月29日の間に,
     上記借入申込書の保証人欄に署名し,かつ,上記借入を連帯保証する旨
     を記載した書面の連帯保証人欄に署名押印し,朝日組の控訴人に対する
     上記借入債務を連帯保証した(以下「本件連帯保証契約」という。)。
     (甲2の1,2,6及び7,原審被控訴人C及び同B各本人)
(4) 控訴人と朝日組とは,本件貸金の返済期日を平成9年6月30日まで
     延期する旨の同年2月17日付け延期証を交わし,同年2月17日ころ
     までに,A,被控訴人B及び同Cは,それぞれ同延期証の連帯保証人欄
     に署名押印した。(甲3の1ないし5,原審被控訴人C及び同B各本人)
(5) 朝日組は,平成9年2月末に手形不渡りを出し,同年3月7日,手形
     交換所の取引停止処分を受けた。(原審証人D,原審被控訴人C本人,
  弁論の全趣旨)
2 争点
(1) 本件連帯保証契約は,被控訴人らの錯誤により無効であるか。
(2) 控訴人と被控訴人らとの間で,被控訴人らが保証責任を負わない旨の
     合意をしたか。
(3) 控訴人が被控訴人らに対し本訴請求をすることが,信義則違反ないし
     権利の濫用となるか。
(4) 本件連帯保証契約には,朝日組が補助参加人から福島競馬場スタンド
     改築工事を請け負うとの停止条件が付されていたか。 
 3 当事者の主張
 (1) 被控訴人らの主張
  ① 本件連帯保証契約の錯誤無効
       被控訴人らは,控訴人の担当職員Dから,本件工事契約書を示され,
      朝日組はこれだけの工事をするから融資金の返済は問題がなく,被控
      訴人らの保証責任は形式的なものである旨の説明を受けるなど,D及
      びAから,補助参加人と朝日組との本件工事契約を重視し,その工事
      代金(以下「本件工事代金」という。)により本件貸金を控訴人に返
      済するとして,本件連帯保証契約の締結を勧められ,そのように信じ
      て本件連帯保証契約を締結した。
   しかし,真実は本件工事契約書は内容架空のもので,本件工事代金
      債権は発生する可能性がないものであったところ,被控訴人らは,こ
  れを予め知っていたならば,本件連帯保証契約の意思表示はしなかっ
      たものである。
したがって,表示された動機に錯誤があり,その動機は本件連帯保
      証契約にとって重要なものであるから,法律行為の要素の錯誤として,
  本件連帯保証契約は無効である。
   被控訴人らは,Dから,朝日組に対する融資に信用保証協会の保証
      が付いたから,本件工事契約が調査されたもので信用できるとか,本
  件工事代金で本件貸金が返済されるとか,被控訴人らが返済すること
      になる心配は不要であるなどとの説明を受け,これを信じて,本件連
      帯保証契約を締結したものであるから,被控訴人らには,過失はない
      ものである。
② 保証責任を負わない旨の合意の存在
  本件連帯保証契約の締結の際,Dは,前記のとおり説明しており,
控訴人と被控訴人らとの間には,被控訴人らが保証責任を負うことは
ない旨の合意が存在する。
   ③ 信義則違反・権利の濫用
     本件連帯保証契約の締結の際,Dは,前記のとおり説明しており,
補助参加人と朝日組との間の本件工事契約が架空である以上,控訴人
が被控訴人らに対し,本訴請求をすることは信義則に違反し,あるい
は権利の濫用である。
④ 本件連帯保証契約の条件不成就
  本件連帯保証契約には,朝日組が補助参加人から福島競馬場スタン
ド改築工事を請け負い,その代金で本件貸金を返済するという停止条
件が付されているところ,その条件は成就していないから,本件連帯
保証契約は成立していない。
(2) 控訴人の主張
 ① Dは,本件連帯保証契約の締結に際し,被控訴人らに対し,本件工
事契約の話をしたり,連帯保証が形式的であるとかの話をしたことは
なく,また,本件貸金と本件工事契約とは別個の契約であり,控訴人
は,本件貸金の保全のために本件連帯保証契約を締結し,被控訴人ら
は,本件工事契約とは関係なく,朝日組及びAを信用して,本件連帯
保証契約を締結したものである。
  被控訴人らは,有効な本件工事契約が存在することを前提とする旨
の動機を表示しておらず,かつ,本件連帯保証契約は,有効な工事契
約の工事の完成・不完成の事実などにより借主が返済できるかどうか
不確実である一般の貸付と同様に,不測の事態に備えてその保全のた
めに行われたものであり,法律行為の要素についての錯誤には当たら
ない。
② 被控訴人Bは,朝日組の従業員であり,被控訴人Cは,同社の取締
役であって,朝日組及びAとは親しい関係にあるところ,被控訴人ら
は,本件連帯保証契約の締結の当時,本件工事契約によれば工事着工
に入っているべきことを知っており,かつ,朝日組の他の従業員から,
あるいは現地において,真実に工事が実施されているかどうかを確認
することは容易であったから,本件工事契約や本件貸金の返済が確実
かどうかについて,十分な調査をしなかった被控訴人らには,重大な
過失がある。
 (3) 補助参加人の主張
   ① 被控訴人Bは,朝日組の従業員であり,被控訴人Cは同社の取締役
であったものであるから,本件工事契約が架空のものであることを,
当然知っていたものであり,被控訴人らの意思表示に錯誤はない。
   ② 朝日組は,昭和63年4月に設立された資本金1000万円の株式
会社であり,平成8年当時,従業員の数は10名程度で,年間完成工
事高は3億円程度であった。
     このような会社が平成8年4月以降に工事代金額が2億5000万
円にも及ぶ工事を受注したということであれば,社内において被控訴
人らを含む従業員等の間で大きな話題となり,その準備や段取り等が
早くより始められていなければならないはずである。
     したがって,上記のような工事契約を締結したという事実を,契約
締結日から3か月余も経過してから告げられた場合,被控訴人らのよ
うな朝日組の社内の者であれば,そのような工事契約の存在をそれま
で知らされていなかったこと,そのような工事契約が社内で何らの話
題にもなっていないこと,そのような工事について社内で準備や段取
り等が一切なされていないことなどに照らし,その真偽について疑念
を抱くのが当然であったということができる。
     上記のような事情に照らせば,仮に,被控訴人らが本件工事契約を
有効なものと信じて,本件連帯保証契約を締結したものであるとして
も,被控訴人らには重大な過失がある。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)について
 (1) 前記第2・1の事実及び証拠(甲2の1ないし3,6及び7,4の1
ないし8,5,6の1及び2,11,乙1ないし3,5ないし8,9の
1及び2,10,11,13,原審証人D及び同E,原審被控訴人C及
び同B各本人)によれば,次の事実が認められる。
   ① 控訴人は,平成8年7月中旬ころ,以前から頻繁に取引のあった朝
日組の代表者であるAから,本件工事契約書を提示されて,補助参加
人から本件工事契約をとったから,朝日組に対し3000万円の融資
を実行してもらいたい旨の依頼を受けたので,本件工事契約書の写し
を持参して福島県信用保証協会にこの件を相談するなどしたところ,
3000万円のうち,1500万円について同保証協会の保証をする
旨の内諾を得たこともあり,かつ,Aからの返済の説明や朝日組と取
引関係にある補助参加人との間の本件工事契約書が存在することから,
本件工事代金により返済資金が確保されるものと信じて,朝日組への
3000万円の短期融資(以下「本件融資」という。)を実行するこ
とに決め,朝日組に対し,被控訴人らとの間で本件連帯保証契約を締
結したうえ,同月30日,本件貸金1500万円を貸し渡したほか,
同保証協会の保証や被控訴人らの連帯保証を得て,同年8月30日に
も1500万円を貸し渡した。
② 被控訴人Bは,Aの亡父の友人であり,農業に従事するかたわら,
平成4年ころから朝日組の人夫としてその仕事を手伝っており,本件
貸金の以前にも,朝日組の借入金について,2,3回保証人になった
ことがあるところ,平成8年7月22日,朝日組の事務所において,
Aから,本件工事契約の話を聞かされたうえ,本件工事代金が直ぐに
入るから返済は心配ないとの説明を受け,控訴人から本件融資を受け
るに際しての保証を懇願され,しかたなく,これに応じることにし,
同日,Aと共に市役所に赴き,印鑑登録証明書等の交付を受け,翌日,
Aにともなわれて控訴人のF支店に赴き,Dと面会し,借入手続の説
明を受けたが,本件連帯保証契約書等に署名する段になり,なお逡巡
するような態度を示すと,本件工事契約書を所持していたAから,再
度,本件工事代金が入金になるし,信用保証協会の保証も付けるので,
心配はいらない旨を説明され,Dもこれに同調する言動をとったこと
から,自己が保証人として返済するまでには至らないものと考え,本
件連帯保証契約書等に署名し,後日,これに押印した。
   ③ 被控訴人Cは,実際の経営には関与していないが朝日組の取締役で
あり,本件貸金の以前にも,朝日組の借入金について,2,3回保証
人になったことがあるものであるところ,平成8年7月ころから,A
から,本件工事契約の話を聞かされたうえ,借入も工事完成するまで
の短期間だから迷惑をかけないとの説明で,控訴人から本件融資を受
けるに際しての保証を懇願され,しかたなく,控訴人の融資担当者と
会うことを承諾し,同月29日,Aの車に同乗して朝日組の事務所に
赴き,A同席の下,Dと面会し,Aから本件工事契約書を示される中,
Dから,借入手続の説明を受けたが,本件連帯保証契約書等に署名す
る段になり,なお逡巡するような態度を示すと,Aから,再度,本件
工事代金が入金となるし,信用保証協会の保証も付けるので,心配は
いらない旨を説明され,Dもこれに同調する言動をとったことから,
自己が保証人として返済するまでには至らないものと考え,本件連帯
保証契約書等に署名押印した。
(2) 以上の認定事実によれば,本件連帯保証契約は,本件工事契約が有効
で,これが補助参加人との間の取引であることなどから,本件工事代金
の支払い及びそれによる返済の蓋然性が高いものであるとの控訴人の認
識,判断の下で貸し渡した本件貸金について,被控訴人らにおいても,
控訴人と同様の認識の下で,自己が保証人として本件貸金を返済する事
態が発生するおそれは少ないものと信じ,締結したものであり,このこ
とは黙示に被控訴人らから控訴人に対し表示され,両者間の共通の認識
となっていたものであるところ,本件工事契約は内容が架空であり,本
件工事代金が支払われる可能性は当初から全くなかったものであるから,
被控訴人らの意思表示には,その動機において錯誤があり,かつ,その
動機は控訴人に対し表示されていたものとみるべきである。
   そして,被控訴人らが有効と信じた本件工事契約における本件工事代
金額や本件連帯保証契約の内容(ことに,連帯保証債務の金額が多額で
あること。)に照らせば,本件連帯保証契約締結時,本件工事契約の内
容が架空であり,本件工事代金が支払われる可能性がないことを知って
いれば,被控訴人らのみならず,通常人においても,およそ本件連帯保
証契約を締結しなかったものと認められるから,その錯誤は重要であり,
法律行為の要素に錯誤があるというべきである。
   したがって,被控訴人らにおいて,錯誤の点で重大な過失が認められ
ない限り,本件連帯保証契約は無効である。   
 (3) 次いで,本件連帯保証契約の締結に際しての被控訴人らの動機に錯誤
があったことに関し,重大な過失があったか否かを検討する。
    前記第2・1(2)の事実及び前記(1)の認定事実によれば,被控
訴人らは,朝日組とは従業員等の地位にある関係から他の従業員からの
聞き取りや工事現場での事情聴取により同社の現実の取引内容を窺い知
ることができる立場にあったこと,本件連帯保証契約の締結時は,本件
工事契約による工事の着工に入っている時期であり,さらに,本件工事
は,工事代金額が合計で2億5000万円余りと高額な規模であること
から,通常の請負であれば,朝日組の社内にそれなりの動きがみられる
ものと考えられること,以上の事実が認められるが,他方,本件工事契
約書は,その作成自体はこれまでに実際の取引関係にあった大企業であ
る補助参加人との間の合意により行われたものであること,その書面の
形式も正常なものであること(乙2,3),融資の観点から本件工事契
約書の内容についてある程度の審査を行うことのできる控訴人や福島県
信用保証協会においても,これを内容真正なものと信じて本件融資を実
行していること,一般に工事請負契約の態様の中には,元請業者と現実
の工事担当業者との間に,直接に工事を担当しない中間業者として取引
に関与して,一定の利益を得る契約内容のものが存在すること,被控訴
人Bは,人夫として働く従業員であり,被控訴人Cは,名目的な取締役
にすぎず,朝日組の取引に関与する立場にはないこと,以上の事実が認
められるから,本件工事契約書の内容の真否について,被控訴人らが調
査をしなかったことに,ある程度の落ち度があるということができるに
しても,これが重大なものであるとまではいい難く,本件連帯保証契約
が有効となるものではない。
 (4) なお,被控訴人らにおいて,本件工事契約書の内容が架空であり,本
件工事代金が支払われる可能性が当初からなかったことを知っていたと
の事実を認めるに足りる証拠はない。
   また,前記錯誤の重要性に関し,前記(1)の認定事実によれば,被
控訴人らが本件連帯保証契約を締結した動機のうちに,本件貸金の返済
に関しての朝日組及びAに対する一般的な信頼や福島県信用保証協会の
保証付きであるとの考えがあったことが認められるが,被控訴人らが朝
日組及びAとの関係で特段の利益関係が認められるわけではなく,これ
に本件連帯保証契約の連帯保証債務の金額が多額であることを斟酌する
と,朝日組及びAに対する一般的な信頼が本件連帯保証契約締結の主要
な動機となっていたとは認められず,連帯保証契約が債権者のために主
債務の不履行一般を担保する性質のものであることを考慮しても,本件
は,被控訴人らが本件工事契約書に関してAに欺罔されて本件連帯保証
契約を締結してしまったものであるとみることが相当であるし,福島県
信用保証協会の保証付きの点は,本件貸付そのものについては同保証協
会の保証は付されていないし,通常,その保証委託契約にともなう連帯
保証契約によって他の連帯保証人は求償債務を負うことになり,連帯保
証人の法律的責任の軽減にはつながらず,考慮する必要性はないもので
ある。 
   そして,前記第2・1(4)の事実及び証拠(甲5,7の1ないし9,
乙4,原審証人D,原審被控訴人B及び同C各本人)によれば,①被控
訴人らは,平成9年2月,本件貸金の返済期日を延期した際,本件連帯
保証契約に関して何らの異議も申し入れなかったこと,②被控訴人Bが
朝日組倒産後の同年3月2日,控訴人に対し,田の売却代金で本件貸金
を返済することを申し出ていること,③被控訴人Cは,同年4月4日こ
ろ,控訴人に対し,係争中の所有不動産の地代等で本件貸金を返済する
ことを申し出ていることが認められるが,被控訴人らが本件工事契約の
内容が架空であることを知ったのは,早くとも補助参加人が控訴人の代
理人弁護士石澤茂夫に対し本件工事契約が架空のものにすぎないことを
回答書という書面(乙4)で回答した同年3月19日より後のことであ
ると認められるから,上記・及び・の事実は,それ以前のもので,前記
錯誤の重要性と抵触する事実ではないし,上記・の事実は,被控訴人C
が本件工事契約書の内容が架空であることを具体的に知らされた時が控
訴人のF支店に赴いた際に上記回答書を見せられた同年3月末であって
(原審被控訴人C本人),その時からさほど日にちが経過していない段
階でのものであり,また,これは控訴人申立ての不動産仮差押に対する
応急的な対応とみることができるから(原審被控訴人C本人),これも
前記錯誤の重要性と抵触する事実とは認められない。
   他に,前記錯誤の重要性についての認定を左右するに足りる証拠はな
い。
2 そうすると,その余の争点について判断するまでもなく,本件連帯保証契約
は被控訴人の錯誤により無効であり,控訴人の本訴請求はいずれも理由がない。
 3 以上の次第で,控訴人の被控訴人らに対する本訴請求は,いずれもこれを棄
却すべきであり,これと同旨の原判決中被控訴人らに関する部分は相当である。
よって,本件控訴をいずれも失当として棄却することとし,控訴費用の負担
につき民事訴訟法67条1項,61条を適用して,主文のとおり判決する。
    仙台高等裁判所第三民事部
     裁判長裁判官   喜多村治雄
裁判官   小林  崇
裁判官片瀬 敏寿

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