弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は抗告人の負担とする。
       理   由
第1 本件抗告の趣旨及び理由等
 本件抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告申立書」記載のとおりである。
第2 事案の概要
 本件は,抗告人が,東京地方裁判所に,相手方がA,B,C,D及びE(以下
「本件各申請者」という。)に対してした公正取引委員会平成11年(判)第4号
事件(以下「本件審判事件」という。)に係る事件記録の閲覧謄写を許すとの各決
定の取消しを求める訴えを提起し(同裁判所平成12年(行ウ)第353号事件記
録閲覧謄写許可処分取消請求事件),これと共に,処分の執行停止を申し立て,
(1) 主位的申立てとして,相手方が本件各申請者に対し,平成12年12月7
日付けでした本件審判事件の事件記録の閲覧謄写を許すとの各決定の効力は,いず
れも本案判決の確定に至るまで停止することを求めると共に,(2) 予備的申立
てとして,相手方が本件各申請者に対し,平成13年1月15日までにした本件審
判事件の事件記録の閲覧謄写を許すとの各決定の効力は,いずれも本件本案判決の
確定に至るまで停止することを求めた事案である。
 その余の本件事案の概要は,原決定「理由」の「第2 当事者の主張」欄記載の
とおりであるから,これを引用する。
 原審は,本件申立ては現時点でいまだされていない処分を対象とした点で不適法
であるといわざるを得ない旨判示して,抗告人の本件申立てをいずれも却下した
(原決定)。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,抗告人の本件申立ては現時点でいまだされていない処分を対象とし
た不適法なものであると判断する。その理由は,次のとおりである。
1 当裁判所の認定した本件の事実関係は,次に訂正・付加するほか,原決定「理
由」の「第3 当裁判所の判断」欄1に記載するとおりであるから,これを引用す
る。
(1) 原決定4頁21行目の次行に次のとおり加える。
 「(5) 相手方は,抗告人に対し,平成13年1月19日付けで,「審判に係
る事件記録の謄写について(通知)」と題する書面を送付した。この書面の内容
は,① 相手方は,抗告人に対し,平成12年12月7日付けで前記(3)の秘匿
を要する特段の事項について照会した,② 抗告人は,相手方に対し,同月22日
付けで前記(4)の回答をした,③ このような状況を踏まえ,本件閲覧謄写申請

ついては,別紙のとおり一定の範囲で応じることとしたので連絡する旨を伝達する
ものであった。」
(2) 原決定4頁22行目及び23行目を次のとおり改める。
 「(6) 相手方は,抗告人に対し,前記(3)の照会及び(5)の通知をした
が,抗告人に対する2回にわたる照会・通知は,本件閲覧謄写申請の手続において
は,第三者に対する意見聴取としての事前の手順を踏んだにすぎないものであっ
て,本件各申請者に対する本件閲覧謄写申請の拒否についての処分は,平成13年
2月2日現在,いまだされていない。
2 そこで,検討すると,前記1で認定した事実関係によれば,抗告人は,相手方
から,本件閲覧謄写申請について前示の照会及び通知を受けたものではあるが,こ
れら相手方のした照会・通知は,本件閲覧謄写申請の拒否についての処分に先立
ち,相手方が第三者(本件審判事件の被審人)である抗告人に対する意見聴取とし
ての照会・通知という事前の手順を踏んだにすぎないものであって,本件各申請者
に対する処分には当たらないし,しかも本件各申請者に対する本件閲覧謄写申請の
許否についての処分は,平成13年2月2日現在,いまだされていないことが認め
られるのであるから,行政処分としての本件閲覧謄写申請の許否についての決定は
いまだされていないものというほかなく,抗告人の本件申立ては,その余の争点に
ついて判断するまでもなく,主位的申立て及び予備的申立て共にその対象となる処
分を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。他に抗告人の主張を認めるに足
りる証拠はない。
3 そうすると,本件申立ては不適法であるところ,これと同旨の原決定は相当で
あって,本件抗告は理由がない。
 よって,主文のとおり決定する。
東京高等裁判所第12民事部
裁判長裁判官 伊藤瑩子
裁判官 秋武憲一
裁判官 小池 一利

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