弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 弁護人鈴木信雄の上告趣意第一点は、被告人が何等犯罪をしたことがないことを
前提として憲法三六条又は三九条違反を主張するに帰し、また、弁護人塩原時三郎、
同鹿士源太郎の上告趣意第一点は、被告人が無罪たることを前提として、憲法一一
条並びに一三条違反を主張するものであるから、いずれも刑訴四〇五条の上告理由
に該当するものとは認め難い。
 しかし、職権を以て調査するに、原審が被告人に対し、昭和二六年四月三〇日宣
告した有罪判決において認定した本件公訴事実は、「被告人Aは、清水郵便局通信
課監視員なるところ夜勤中の昭和二三年二月七日午前一時頃同郵便局において額面
金七万九千四百九十一円の自由小切手、額面七万九千五百円の封鎖小切手各一通在
中の横浜市ab町c番地B販売組合より清水市de番地C株式会社に宛てた横浜第
七五七号書留郵便一通を窃取した。」というのである。しかるに右判決後である同
二六年一一月二六日東京地方裁判所が被告人Dに対する窃盗被告事件について言渡
した有罪判決の判示第一の事実は、「被告人Dは、昭和二三年一月二〇日から東京
鉄道郵便局東京駅派出所に雇として勤務し東海道本線東京f駅間の郵便車に乗組み
普通郵便物の区分に従事していたものであるが同年二月六日午後八時五十三分東京
駅発g行急行列車に編成された郵便車に乗組み同日午後十時頃同列車がh駅附近を
進行中右郵便車において特殊郵便物受渡係Eの保管に係るいずれもF銀行G支店支
払の額面七万九千四百九十一円の自由小切手及び額面七万九千五百円の封鎖小切手
各一通並びに送金案内書一通在中の横浜市ab町c番地B販売組合差出清水市de
番地C株式会社宛の横浜第七百五十七号書留郵便一通を窃取した。」というのであ
る。
 そして、右東京地方裁判所の被告人Dに対する窃盗被告事件の判決は、同年一二
月一〇日確定したものであるばかりでなく、同判決の証拠として引用されている一、
同被告人の公判廷における供述、一、司法警察員のHに対する被害聴取書の謄本の
記載、一、司法警察官のIに対する聴取書の謄本の記載、一、押収に係る自由小切
手一通、印判原簿一冊、封筒一通の各存在、一、同被告人の昭和二六年九月二〇日
附作成に係る書面の記載、一、Jの作成に係る鑑定書と題する書面の記載と本件原
判決の証拠としている一、H及びIに対する司法警察官警部代理巡査部長の各聴取
書(前記D被告人の判決の証拠となつている謄本の原本と認める。)、一、東京高
等検察庁昭和二三年押第二八五五号の一送金小切手、同押号の二Kなる文字の記載
ある封筒、同押号の三印判原簿(前記判決の証拠品と同一と認める。) を彼此対
照し且つ前記D被告人に対する記録中の同人の司法警察員に対する供述調書の供述
記載並びにAの検事に対する供述調書の供述記載を綜合すると本件窃盗の目的物で
ある書留郵便一通は、昭和二三年二月六日午後一〇時頃前記被告人Dに対する判示
郵便車において同人が単独で窃取したものであつて、本件被告人Aは、右窃取につ
き共犯その他何等の関係もないことを確認することができる。されば、刑訴施行法
二条、三条の二に基き旧刑訴並びに応急措置法のほか刑訴四一一条等の適用される
本件被告人に対しては、原判決のあつた後旧刑訴四八五条六号にいわゆる有罪の言
渡を受けたる者に対して無罪を言渡すべき明確なる証拠を新に発見したるときであ
り、且つ刑訴四一一条四号にいわゆる再審の請求をすることができる場合にあたる
事由があるものであつて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとい.わな
れけばならない。
 よつて、右刑訴施行法、刑訴四一一条、旧刑訴四四八条、四五五条、三六二条に
従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 検察官 三堀博関与
  昭和二七年四月二四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛