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平成13年12月14日判決言渡
平成13年(行コ)第8号 文書開示拒否処分取消請求控訴事件
(原審・仙台地方裁判所平成11年(行ウ)第5号平成13年3月1日判決言渡)
    主         文
           本件控訴を棄却する。
           控訴費用は控訴人の負担とする。
            事 実 及 び 理 由 
第1 申立て
 1 控訴人
(1) 原判決を取り消す。
 (2) 被控訴人が控訴人に対し平成10年12月25日付けでした原判決添付別
   紙文書目録番号1ないし5,43,44,45(ただし,部分開示されたも
   のを除く。),53,55ないし57及び70の文書を開示しないとの処分
   を取り消す。
 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
 2 被控訴人
   主文と同旨
第2事案の概要
   事案の概要は,次のほかは原判決事実摘示のとおりであるから,これを引用
  する。
 1 原判決6頁7行目の「憲法上の機関」を「憲法上の独立の機関」と改める。
 2 同7頁2行目の「発見した場合は」を「発見するなどした場合」と改める。
 3 同8行目の冒頭から同9行目末尾までを次のとおり改める。
   「会計検査院が受検庁に対しこのように作成・提出を依頼する文書には,一
   般的な検査の目的で作成・提出を求める「一般調書」と,特別な検査目的の
   ために作成・提出を求める「特別調書」とがある。」
 4 同11行目の「記載される場合も多い」を「記載されている」と改める。
 5 同15頁4行目の「被告が」から同6行目末尾までを次のとおり改める。
   「被控訴人が,会計検査院から特別の検査目的のための調書(特別調書)の
  作成・提出を依頼されて作成・提出した本件不正支出額調書及びその添付資料
  (控え)である。」
 6 同末行の次に改行して以下を加える。
   「情報公開法が施行された後においても,行政手続法5条の規定に基づき制
  定された会計検査院の「情報公開請求に対する審査基準」において,会計検査
  院が実施した検査の過程又は検査結果に対する審理・判断の過程において作成
  又は取得した主要な情報・資料が,同法5条5号及び6号に規定する不開示情
  報に該当するものとされ,会計検査院法第26条の規定に基づく質問等の基礎
  資料となる特別調書が「院の保有する行政文書中,不開示情報に該当するもの
  の具体例」として明記されていることから明らか なように,検査過程及び審
  理・判断過程の不公表の取扱いは,会計検査院における確立した取扱いであり,
  情報公開法が施行されたからといって,そうした特別調書が直ちに開示される
  というものではない。」
 7 同16頁7行目の次に改行して以下を加える。
  「なお,会計検査院内部における前記検査結果に対する審理・判断過程は,
  会計検査院が法律上有する広範な規則制定権に基づき定められたものであり,
  この規則制定権は会計検査院の憲法上の独立機関としての地位・権限の特殊性
  に配慮のうえ自律的権能として認められたものであるから,この会計検査院内
  部における審理・判断過程の保障は,究極的には憲法90条1項の規定に由来
  するものである。したがって,会計検査院における検査過程及び審理・判断過
  程を事後的にも公表しない取扱いは,会計検査院の前記の憲法上の地位及び権
  限の特殊性に鑑みて最大限尊重されるべきであり,検査過程及び審理・判断過
  程を事後的とはいえ公表するようなことは,会計検査院の組織の根幹と自律権
  を揺るがしかねないこととなるのである。」
8同28頁6行目の「本件検査手法」の次に「がそもそも存在するのか否か,
  存在するとして,その具体的な内容如何,本件公文書に会計検査院の本件不正
  支出の事態の解明に至る検査手法が,ある程度の具体性と明瞭さをもって読み
  取ることが可能な状態で記載されているか否か,記載されているとして,本件
  検査手法の公開によって,被控訴人が主張するような不都合ないし支障が生じ
  るのか否かについて,被控訴人に主張立証責任があるのに被控訴人は具体的な
  主張立証をしないだけでなく,本件検査手法」を加える。
 9 同9行目の次に改行して以下を加える。
   「エ そもそも,情報公開法施行後は,同法5条6号の要件を満たして初め
て不開示となし得るのであり,憲法上の独立機関であろうと,検査官会議で議
決されたもの以外の検査結果を公表しないとすることは許されない。
また,会計検査院の定める「情報公開請求に対する審査基準」には,特別調
書が情報公開法5条5号に該当するとの記載があるが,同号は,意思決定前の
情報に関する不開示事由であり,意思決定後(検査完了後)には適用の余地が
なく,さらに,前記審査基準によっても,特別調書に必ず,「外部に対する公
表が全く予定されていない検査の着眼点,検査手法等に関する情報又は検査上
知り得た秘密に関する情報等が含まれる」ものではないし,仮に,そのような
情報が含まれる場合であっても,同号に該当するか否かは,検査の着眼点,検
査手法等に関する情報又は検査上知り得た秘密の具体的な内容如何によるので
あるから,その点の吟味なしに同号の該当性を認めることはできない。」
第3 当裁判所の判断
 1 当裁判所も,本訴請求を棄却すべきであると判断するが,その理由は,次の
ほかは原判決「理由」欄記載のとおりであるから,これを引用する。
 (1) 原判決34頁2行目の「九、」の次に「12ないし15,」を加え,同7
   行目の「憲法上の機関」を「憲法上の独立機関」と改める。
 (2) 同末行の次に改行して以下を加える。
  「会計検査院には,広範な規則制定権が認められている(会計検査院法3
   8条)が,それは,同院の地位・権限の特殊性に配慮し,自律的権能として
   認められたもので,会計検査院内部における検査過程や検査結果に対する審
   理・判断過程なども,この規則制定権に基づいて定められている。」
(3) 同35頁4行目の「発見した場合」を「発見するなどした場合」と,同1
   0行目の「受検庁に特別調書」を「受検庁に対し,特別の検査目的のための
 特別調書」とそれぞれ改める。
 (4) 同36頁5行目の「記載されて」から同6行目末尾までを「記載されてお 
   り,事情説明者等の名前等も記載されるのが通常である。」と改める。
 (5) 同39頁8行目の「検査結果については、」の次に「事後的にも」を,同
   10行目の「ついても、」の次に「同様に,同院の意思形成過程における資
   料として」をそれぞれ加える。
(6) 同40頁1行目の「必要があると考えられていることにある。」を「必要
   があること,検査過程やその検査結果の審理過程において作成・取得された
 特別調書のようなものが開示された場合,後記認定のとおりその後の会計検
   査院の検査業務等に影響を及ぼすおそれがあると考えられていることにある。
   情報公開法が施行された後においても,被控訴人主張のとおり,行政手続法
   5条の規定に基づき制定された会計検査院の「情報公開請求に対する審査基
   準」において,会計検査院が実施した検査の過程又は検査結果に対する審理
   ・判断の過程において作成又は取得した主要な情報・資料は同法5条5号及
   び6号に規定する不開示情報に該当するものとされ,会計検査院法第26条
   の規定に基づく質問等の基礎資料となる特別調書が「院の保有する行政文書
   中,不開示情報に該当するものの具体例」として明記されていることから,
   上記検査過程及び審理・判断過程不公表の取扱いは,会計検査院における確
   立した取扱いとして,今後も変わらないものと見られる。」と改める。
(7) 同41頁8行目の「経理操作を」を「経理操作が」と改める。
 (8) 同43頁1行目の「踏まえ、」の次に「調査の方法やその調書の様式及び 
   添付すべき資料(関係書類)等を示すなどして」を加える。
(9)同44頁7行目の末尾に「なお,前記不正支出額調書やこの集計表の様式 
   は,前記のとおり会計検査院の指示したものである。」を加える。
 (10) 同45頁9,10行目の「可能である」を「可能であるとされている」と 
   改める。
 (11) 同46頁3行目の「行われてきたことを」の次に「過去の具体的事例を挙 
   げるなどして詳細に」を,同4行目の「本件検査手法の内容」の次に「を具  
   体的に明らかにできないことから,その内容」をそれぞれ加える。
 (12) 同47頁10,11行目の「基づくものである」を「基づくもので,同院
   は,本件公文書が公開されると,今後特別調書の作成・提出という手法によ
   り事態の解明を図ることについて,事情説明者又は受検庁側の協力を得られ
   なくなるおそれがあることなどにより,適切且つ効果的な検査の実施に支障
   を来すなど,会計検査院の検査業務に深刻な事態を招来するおそれがある上,
   公正な審理と判断を確保するため検査結果の公表に関し極めて慎重な取扱い
   を期している同院の事情に何ら配慮することなく県条例によって公開するこ
   とになれば,憲法上の独立機関として,その自律権に基づき,公正な審理と
   判断を確保するために採られている同院の意思形成システムの重要な制度的
   担保を失わせることになるなどとして,このような事態は,憲法上の独立機
   関,国家財政の監督機関として,かかる検査手法により不正経理等の事態を
   解明し,また,公正な審理と判断に基づきその検査結果を公表することによ
   り国民の信頼と期待に応えてきた同院にとって死活問題となりかねないばか
   りでなく,会計検査院の組織の根幹と自律権を揺るがすことともなりかねな
   い重大な事態で,同院が憲法や法律により負託されている重要な職責を,将
   来にわたって適切且つ十分に果たし得なくなるおそれすらあるとしている」
   と改める。
(13)同48頁3行目の「県条例は、」を「県条例が,」と,次行の「開示」か
   ら「一方で」までを「開示する(県条例1条)こととする一方で」とそれぞ
 れ改める。
(14) 同50頁9行目の「については、」の次に「事後的にも」を,次行の「つ
   いても、」の次に「同様に」をそれぞれ加える。
(15) 同51頁2行目の「必要があると考えられていることにある。」を「必要
   があること,検査過程やその検査結果の審理過程において作成・取得した特
 別調書のようなものが開示された場合,その後の会計検査院の検査業務等に
   支障が生ずるおそれがあるなどその及ぼす影響が少なくないと考えられてい
   ることにある。」と,同3行目の「担当する」から次行の「根拠も」までを
   「担当する専門機関として,これまで数々の不正経理等の事態を解明するこ
   とにより,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として国民の期待と信頼
   に応えてきた会計検査院の判断であって,同院が前記二5(三)認定のとおり
本件文書を開示した場合の事態を深刻に受け止めて憂慮していることは十分
首肯できるところであり,同院のこうした判断や憂慮を不当とする根拠は」
と,同11行目の「隠蔽工作を」を「隠蔽工作が」とそれぞれ改める。
(16) 同11行目の末尾に以下を加える。
  「なお,会計検査院が本件文書につき,宮城県に対し破棄ないし回収を指示
した事実は認められないが,受検庁が本件文書を非開示文書として管理する
限り何ら不都合はなく,それが上記隠蔽工作に利用されるおそれも少ないと
認め得る(証人B,乙8,弁論の全趣旨)から,破棄ないし回収を指示した
事実がないことをもって,本件文書の上記記載内容を否定する根拠とはなら
ない。また,控訴人主張のように,本訴において本件文書の開示を請求して
   いるのがたまたま一般市民であるとしても,情報開示制度の下においては,非
   開示情報以外の情報は理由如何を問わず何人に対しても開示されることにな
   るのであるから,開示により広く一般に流布される可能性が存することを当
   然の前提として,開示の当否を検討すべきものである。」
 (17) 同52頁1行目の「反対の意向を表明している」を「反対の意向を表明し
   ているだけでなく,検査業務に支障を及ぼし,組織の根幹と自律権を揺るが
   しかねないなどとして,同院が憲法や法律により負託されている重要な職責
   を,将来にわたって適切且つ十分に果たし得なくなるのではないかと憂慮し
   ている」と改める。
(18) 同3行目末尾に「本件文書にかかる検査結果が「決算検査報告」に掲記さ
   れ,当該検査が完了しているとしても,前記説示から明らかなように,本件
 文書を開示した場合の会計検査院の検査業務等に及ぼす影響には座視し難い
   ものがあるということができるから,その場合も同様に考えるのが相当であ
   る。」を加える。
(19)同4行目の末尾に「なお,控訴人は,被控訴人において本件検査手法の内
   容等を具体的に主張立証しなければ,本件文書の開示により被控訴人の主張
 するような不都合等が生じるか否かを判断できないかのように主張するけれ
   ども,その手法の内容を具体的に記載した本件文書の開示を求める本件訴訟
   において,そこまでの主張立証を求めることが相当でないことはいうまでも
   なく,被控訴人においては,本件文書が県条例9条5号及び7号に該当する
   かどうかを判断することができる程度にその記載内容を主張立証すれば足り
   るというべきところ,その判断が可能であることは既に説示したところから
   明らかであるから,控訴人のかかる主張は到底採用することができない。」
   を加える。
(20) 同6行目末尾に「そうすると,同条例9条7号に該当するかどうかについ
   て判断するまでもなく,控訴人の本件文書開示請求は,理由がないことが明
 らかである。」を加える。
(21) 同10行目末尾に「なお,被控訴人が原審における準備書面に,「別添開
   示部分の例により,そのとおり開示すべしとされることに異存ありません」
 と記載していることが認められるが,これは,その例により開示を命ずる判
   決がなされても異存がないという趣旨であって,請求の一部認諾であるとは
   到底認めることはできない。そして,前記説示のとおり,本件文書は一体的
   な情報となっていて,非開示事由に該当する部分とそうでない部分とを分離
   できないものである(被控訴人が異存のない部分のみ開示しても,情報とし
   ての意味がない。)から,被控訴人が一部開示を認めているからといって,
   その部分について開示を命じて,開示を義務付けることは相当でなく,その
   部分を開示するかどうかは被控訴人の任意に委ねるべきものである。」を加
   える。
 2 よって,本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり
  判決する。
   仙台高等裁判所第一民事部
        裁判長裁判官  佐々木 寅 男
           裁判官  衣 笠 和 彦
           裁判官  橋 本   健
(参考) (原文は縦書き)
仙台地方裁判所
平成一一年(行ウ)第五号 文書開示拒否処分取消請求事件
主文
  一原告の請求を棄却する。
  二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が原告に対し平成一〇年一二月二五日付けでした別紙文書目録番号一
ないし五,四三,四四,四五(ただし,部分開示されたものを除く。),五
三,五五ないし五七及び七〇の文書を開示しないとの処分を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 当事者
(一)原告は,平成五年六月二四日,地方行財政の不正を監視・是正すること
等を目的として結成された権利能力なき社団である。
(二)被告は,宮城県情報公開条例(平成二年宮城県条例第一八号。以下「県
条例」という。)二条一項の実施機関である。
2 本件処分の存在
 原告は,被告に対し,平成一〇年一一月一六日付けで,県条例五条一項二
号に基づき,「文部省の委嘱事業費の不正支出の調査に関する一切の資料」
(以下,この不正支出を「本件不正支出」という。)の開示を請求したとこ
ろ,被告は,平成一〇年一二月二五日,別紙文書目録番号一ないし七八の文
書を特定した上,このうち番号一ないし五,四三,四四,四五(ただし,部
分開示されたものを除く),五三,五五ないし五七,七〇の各文書(以下「
本件公文書」という。)につき,県条例九条五号及び七号に該当するとの理
由で,開示しない旨の決定(以下「本件処分」という。)をした。
3 本件処分の違法性
 本件処分は,県条例九条五号及び七号の非開示事由が存在しないにもかか
わらず,本件公文書を非開示としたものであり,違法である。
4 よって,原告は,本件処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1及び2は認める。
2 請求原因3は争う。
三 被告の主張
1 会計検査制度等
(一)会計検査院は,国の収入支出の決算や法律で定められた機関等の会計を
常時検査し,会計処理が適正に行われるように客観的で公平な立場から検
査する憲法上の機関・国家財政監督機関であり,その検査は,国等の機関
において,予算・法令に違反するなどの不当な経理又はその他の不適切な
事態を指摘するだけではなく,その原因を究明して当該不適切な事態の是
正改善を図ることも目的としている(会計検査院法二〇条二項,二九条三
号,七号,八号,三四条,三六条)。
(二)会計検査院は,国の会計はもとより,国が補助金その他の財政援助を与
えている都道府県などの会計も対象として実地検査を行っているが,この
実地検査において違法・不当な経理を発見した場合は,更に詳細な事実関
係を把握するとともに,同種の事案・他年度分などについても対象範囲を
拡大するなどの目的で検査を継続する場合がある。この場合,受検者(以
下「受検庁」という。)に協力を求め,調査の方法とその調書の様式及び
添付資料等を示すなどして,一定の調査の実施とその調査結果に関する報
告書の作成を依頼し,その提出を受けて実地検査の内容を補完している。
 このような特別の目的で検査するため,会計検査院が受検庁に作成・提
出を依頼し,その協力を得て取得するものを「特別調書」という。
 特別調書には,会計検査という目的達成のために,一般には公表されて
いない情報(個人情報を含む。)が記載される場合も多い。
 そして,特別調書は,会計検査院法二六条に基づく質問書を発する際の
最重要の基礎資料とされるものである。
(三)会計検査院では,このような特別調書及びそれに基づいて発せられる質
問書に対する受検庁の回答より得た資料等を重要な資料として,各局の検
査報告委員会で審議した後,官房に設けられている検査報告調整委員会で
再度審議して問題点の検討,各局間の総合調整等が行われる。そして,右
検査報告調整委員会の審議結果を基に,事務総長の審議に付され,さらに,
検査官会議における最終的検討が加えられる。そこで可決されたものだけ
が,「決算検査報告」に掲記されることになる。
 決算検査報告は,会計検査院が一年間にわたって実施した検査の成果を
明らかにした文書で,決算とともに内閣に送付され,内閣から国会に提出
される(憲法九〇条一項)。決算検査報告は,国民が予算執行の現状及び
検査結果について知ることができる重要な報告文書であり,その掲記事項
については,会計検査院における記者会見等を通じ,マスコミ等により広
く報道されている。
(四)会計検査院においては,会計検査院の正式な指摘事項ないし検査結果と
して決算検査報告に掲記し,外部に公表することが検査官会議で最終的に
議決されたもの以外の検査結果については,公表しない取扱いとし,また,
最終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程についても公
表しない取扱いをしている。
 その理由は,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として,公正な審
理を尽くした上で最終的な判断を行う必要があることから,外部の圧力・
干渉等を排除する必要があるからである。
2 本件公文書の性質・内容
(一)(1)本件公文書は,会計検査院が被告に対し,平成一〇年四月実施の宮城
県会計実地検査(文部省所管歳出予算関係)の結果を踏まえ,その作成
・提出を指示・依頼したことに基づき作成・提出されたものであり,会
計検査院が,宮城県知事に対し,本件不正支出に関し,会計検査院法二
六条に基づく質問書を発する際に最重要の基礎資料とされたものである。
(2)本件公文書は,特別調書である不正支出額調書(別紙文書目録一ない
し四の文書)並びにその添付資料としての各種集計表(別紙文書目録五
の文書)及び各種関係資料等(別紙文書目録四三ないし四五,五三,五
五ないし五七,七〇の各文書)で構成されている。
(二)(1)不正支出額調書は,本件不正支出の全容等について,会計検査院の検
査の着眼点に基づいて,これらに関する主要な情報を整理し直し,その
不正支出の有無・内容等についての整理・判断を書面上一覧できるもの
として作成されているものであり,また,実地検査等において担当調査
官により作成される事情説明書の要点が記載されるような形での作成が
指示されているものである。そこには,多数の関係者の人名等とともに,
本件不正支出の全容が,一定の分類に従って記述されている。また,ク
欄,ケ欄には,それぞれ会計検査院としての事実認定の内容・方法と,
当該事実認定の基礎資料である関係書類が記載されている。
(2)各種集計表は,不正支出額調書の記載内容について,一定の観点から
整理し直した上,精緻な分析を行うための資料として作成が指示された
ものであり,不正支出額調書の記載と内容的に同一性ないし密接な関連
性を有する検査結果の分析資料である。
(3)各種関係資料等は,不正支出額調書の記載内容を基礎付ける各種の関
係資料又はその記載内容を補完するための各種の補充資料として,会計
検査院が,被告に対し,その収集・整備を指示・依頼し,又はそれを新
たに作成の上,提出するよう指示・依頼したものであり,会計検査院に
よる不正な経理操作に係る事実認定を支える個別具体的な基礎資料とな
っている。
(4)このように,本件公文書は,全体として有機的な関連性を持った一個
の検査資料というべきものとして成立しているものであって,本件不正
支出の事態に対する会計検査院の検査結果の全容(会計検査等における
事情説明者等の官職氏名等個人情報を含む。)が記載されており,会計
検査院の本件不正支出の事態の解明に至る検査過程,検査の着眼点,検
査手法,検査のノウハウ(以下「本件検査手法」という。)を含む会計
検査院の検査活動の全容が,ある程度の具体性と明瞭さをもって読み取
ることが可能な状態で記載されている。
3 本件処分の適法性
 本件公文書は,県条例九条五号及び七号に該当するものであるから,本件
処分は適法である。
(一)県条例九条五号該当性
(1)県条例九条五号は,「国又は地方公共団体その他の公共団体(以下「
国等」という。)の機関からの協議,依頼等に基づいて作成され,又は
取得された情報であって,公開することにより,国等との協力関係又は
信頼関係が損なわれると認められるもの」に該当する情報が記録されて
いる公文書については,実施機関はこれを開示しないことができる旨規
定している。
 これは,県民の公文書の開示を請求する権利と公益との調和を図る規
定の一つである。すなわち,県の行政は,国等との密接な関係の下に執
行されていることから,右規定は,県と国等との間における現在又は将
来にわたる継続的で包括的な協力関係又は信頼関係を維持することによ
って,行政の適正かつ円滑な執行を図るという公益上の要請から,公開
することによりこれらの関係を損なうと認められる情報が記録されてい
る公文書は,非開示とすることができる旨を定めたものである。
 そして,「公開することにより,国等との協力関係又は信頼関係が損
なわれると認められるもの」とは,国等において,その情報を公表する
ことが客観的ないし制度的に想定されていない場合をいうものと解され
る。
(2)前段該当性
 前記1のとおり,会計検査院と受検庁との関係は,単に検査者と受検
者という相対立する関係にとどまるものではなく,受検庁が,会計検査
院に積極的に協力することにより,適切な事実の確認及び評価が初めて
可能となり,それに基づいて,受検庁が必要な是正措置を講じ,事務事
業の適正かつ有効な執行を図ることができるという意味で,協力関係に
ある。
 本件公文書は,このような協力関係の下で,被告が会計検査院の依頼
により,実地検査の内容を補完するために特別調書及びその添付資料と
して作成した文書である。
(3)後段該当性
ア 前記1(四)のとおり,会計検査院においては,会計検査院の正式な
指摘事項ないし検査結果として決算検査報告に掲記し,外部に公表す
ることが検査官会議で最終的に議決されたもの以外の検査結果及び最
終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程については,
公表しない取扱いをしている。
 そして,前記2のとおり,本件公文書は,会計検査院の実地検査の
過程で作成された特別調書であり,会計検査院が,宮城県知事に対し,
本件不正支出に関し,質問書を発する際の最重要の基礎資料となった
ものである。
 したがって,本件公文書を公表することは,会計検査院における公
正な審理・判断の確保に支障を来すおそれがあり,現行の会計検査制
度上全く想定されていないものである。
イ また,前記2(二)(4)のとおり,本件公文書には,本件不正支出の事
      態に対する会計検査院の検査結果の全容が記載されているのであり,
      本件検査手法を示すものとなっている上,新たな検査の着眼点の提供,
これに基づく新たな検査手法の開発等,今後の検査の実施のための有
力な情報・資料となるものをも含んでいる。
 このような文書を開示した場合,会計検査院の検査業務に支障を来
す現実的かつ具体的なおそれがある。
ウ このような事情から,会計検査院は,本件公文書に対する開示請求
に対しては,非開示として対処するよう被告に要請した。
エ 以上のとおり,本件公文書を開示することは,現行の会計検査制度
並びに本件公文書の性格及び内容にかんがみると,客観的ないし制度
的に想定されていないことであり,被告が本件公文書を開示すること
は,被告と会計検査院との協力関係,信頼関係を損なうこととなるも
のである。
(二) 県条例九条七号該当性
(1)県条例九条七号は,「県の機関又は国等の機関が行う検査,監査,取
締り,争訟,交渉,渉外,入札,試験その他の事務事業に関する情報で
あって,当該事務事業の性質上,公開することにより,当該事務事業若
しくは将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなり,又はこれらの
事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれのあるもの」
に該当する情報が記録されている公文書については,実施機関はこれを
開示しないことができる旨規定している。
(2)前段該当性
 「検査,監査,取締り」とは,県又は国等の機関が権限に基づいて行
う検査,指導監査,取締り等をいうところ,会計検査院が行う検査活動
は,当然この「検査」に含まれるのである。
 そして,本件公文書は,会計検査院の検査の過程においてされた指示
・依頼に基づき,被告が作成・提出したものであるから,「国等の機関
が行う検査に関する情報」が記録されているものである。
(3)後段該当性
ア 「目的が達成できなくなり,又はこれらの事務事業の公正若しくは
円滑な執行に支障が生ずるおそれのあるもの」とは,①公開すること
により,事務事業を実施しても,予想どおりの成果が得られなくなる
おそれのあるもの,②公開することにより,特定の者に不当な利益又
は不利益を与えるおそれのあるもの,③公開することにより経費が著
しく増大したり,事務事業の実施が大幅に遅れるなど,行政の質の低
下を来すおそれのあるもの,④公開することにより,事務事業の実施
のために必要な情報や関係者の理解・協力が得られなくなり,又は経
済的,財政的利益を失うおそれのあるもの,⑤その他公開することに
より,その地方自治体又は国等の事務事業の公正かつ円滑な執行に支
障が生じるおそれのあるものをいい,「支障が生ずるおそれ」とは,
その情報を公開することにより,支障が生じる抽象的危険,すなわち
その可能性があれば足り,一般に,そのような危険性が具体的に存在
することまでは必要ないものと解される。
イ 本件公文書を開示した場合,次のような支障が生じるおそれがある。
(ア)本件公文書は,会計検査という目的達成のため,一般にはその記
載内容をそのまま開示することはないとの前提で,関係者及び受検
庁である被告の理解と協力を得て作成され,会計検査院に提出され
たものである。
 すなわち,本件公文書には,会計実地検査において,担当調査官
が関係職員に直接面会し,事情聴取を行った場合における当該関係
者等(以下「事情説明者等」という。)の官職氏名及びその聴取結
果,並びに会計実地検査終了後に会計検査院の依頼を受けて宮城県
の担当者が関係者に同様の事情聴取を行った場合における事情説明
者等の官職氏名及びその聴取結果等が記載されている。そして,こ
の場合,事情説明者等は,会計検査の目的を理解し,その目的達成
に協力する意思で,このような事情聴取を中心とする調査に応ずる
などしているものであり,その官職氏名及び具体的な説明内容等,
さらには,これらを記載した本件公文書の内容がそのまま開示され
ることはないとの前提で調査に協力しているものである。
 そして,前記1(四)のとおり,このような前提に対する信頼は,
単なる各事情説明者又は受検庁における主観的な期待に止まるもの
ではなく,事情説明者等,受検庁及び会計検査院のいずれにおいて
も当然の前提としている会計検査院の検査過程・審理過程の不公表
の取扱いに対する制度的・客観的な信頼である。
 本件公文書の記載内容がすべて開示されるとなれば,今後,会計
検査院が,会計検査上の必要から一定内容の調査の実施を企図し,
担当調査官が自ら又は受検庁の協力を得て事情聴取を中心とした必
要な調査を行う場合に,受検庁から十分な理解と協力を得られなく
なるという重大な結果を招来するおそれがある。
(イ)国の予算の執行に関して行われる不正経理は,組織的かつ全国的
な規模で,長年にわたって慣行的に行われていることが多い。外部
からの指摘による発覚を免れ得るよう巧妙な隠蔽工作が施されてい
る場合が少なくなく,会計検査院の検査に対する受検庁の抵抗も悪
質で巧妙な形をとる。会計検査院の調査官は,それをかいくぐるよ
うにして検査の端緒をつかみ,真相を解明していくのであるが,そ
の過程で駆使される本件検査手法は,会計検査院の特別なノウハウ
である。
 そして,組織的な不正経理の事態を指摘する上で最も重要なこと
は,不正に行われていた経理操作に関する事実認定であり,より具
体的には,不正な経理操作を基礎付ける証拠資料(書面証拠及び供
述証拠)を十分に収集・整備することにより,不正経理に係る事実
関係を確定させることである。強制処分の権限を背景としていない
会計検査院の検査にとって,このような検査手法に関する内部情報
・資料の蓄積は極めて重要な意味を持つ。
 本件公文書には,本件不正支出の事態の全容のみならず,事態の
解明に至る本件検査手法を含む会計検査院の検査活動の内容それ自
体について,ある程度の具体性と明瞭さをもって読みとることが可
能な情報が記載されているのである。したがって,本件公文書が開
示された場合,その後に会計検査院が公表する検査結果と併せて,
会計検査院の行う本件検査手法が公表されて外部に流出することに
なるばかりか,強制捜査ができない会計検査院にとって内部に保持,
秘匿すべき新たな検査の着眼点,検査手法開発等,今後における同
種の検査の実施に際しての重要な内部情報・資料までもが流出する
ことになってしまう。かかる事態になれば,受検庁に対し,会計検
査院の組織的な不正経理の全容解明に至る検査活動内容の詳細を知
らしめることになるのみならず,結果的に事実上の検査妨害を含む
周到な会計実地検査対策を行う術をも知らせてしまうことになる。
(ウ)このように,関係者の協力が得られず,会計検査のノウハウが流
出する事態は,検査費用が著しく増大したり,予算及び会計法令が
予定する事務事業の適正な実施が実現されないなど,国等が経済的,
財産的な利益を失うおそれを生じさせるものである。
四 被告の主張に対する原告の認否及び反論
1 被告の主張1のうち,(一)は認め,その余は不知。
2 同2のうち,(一),(二)(1)ないし(3)は不知,(二)(4)は否認する。
3 同3は争う。
4 原告の反論
(一)県条例九条五号該当性について
(1)県条例九条五号の趣旨は,情報公開制度が,公正で開かれた行政の確
保と促進を目的としていることにかんがみれば,国等の機関からの依頼
に基づいて作成され,又は取得された情報も積極的に公開すべきではあ
るが,中には,公開することによって県と国等との間における協力関係
・信頼関係を損ない,あるいは将来にわたる継続的で包括的な協力関係
・信頼関係を損ない,その結果,県民全体の利益が損なわれる場合があ
ることから,そのような協力関係・信頼関係が損なわれると具体的に認
められる情報については,その開示義務を免除したものと解される。
 この趣旨からすれば,「国等との協力関係又は信頼関係が損なわれる
と認められる」とは,国等との協力関係又は信頼関係が損なわれる客観
的可能性が認められることを意味し,抽象的一般的可能性や実施機関の
主観的危惧では足りないというべきである。
 そして,本件公文書の開示によって会計検査院との「協力関係又は信
頼関係が損なわれる」か否かは,開示されることが想定されていないこ
とそれ自体ではなく,開示されることが想定されていない理由いかんに
よって決せられるべきである。
(2)本件では,県条例九条五号後段に該当する事情は存在しない。
ア 本件公文書が開示され,広く県民の知るところとなったとしても,
それが会計検査院の確定した事実であるとか,会計検査院の意見表示
であるとか,会計検査院の処置要求であると受け取られる可能性は皆
無であるし,そもそも被告の作成した本件公文書を被告が開示したか
らといって,会計検査院の被告に対する信頼が損なわれることにはな
らない。
イ 本件公文書が開示されたからといって,会計検査院における公正な
審理と判断の確保を困難にする結果を生ずるとは,到底考えられない。
 確かに,会計検査の途中で検査資料が開示されれば,公正な審理と判
断の確保を困難にする事態が発生するおそれがないとはいえないが,
調査の完了後に検査資料が開示されたからといって,公正な審理と判
断の確保を困難にする事態が発生することはない。
 また,本件公文書は,会計検査院が会計検査院法二六条に基づく質
問の前段階として被告に作成・提出を依頼した文書であるとしても,
本件公文書には会計検査院の検査結果は一切記載されていないのであ
るから,それの公開によって会計検査の結果が公開されることは,あ
り得ないことである。
ウ 本件では,会計検査院の主張する本件検査手法の流出等の懸念が合
理的な理由に基づくものであることについての具体的主張立証は,何
らされていないから,本件検査手法の流出等の点を理由として本件処
分を正当化することは許されない。
(二) 県条例九条七号該当性について
(1)県条例九条七号は,情報公開制度が,公正で開かれた行政の確保と促
進を目的としていることにかんがみれば,行政執行に関する情報も積極
的に公開すべきではあるが,中には公開することによって県民全体の利
益を損なったり悪用されるなど,かえって行政の公正ないし適正な執行
を妨げる場合があること,具体的には,県が行う事務事業の中には,入
札や試験に関する事項のように,その性質や目的から見て執行前あるい
は執行過程で情報を公開した場合,当該事務事業の実施の目的を失い,
又は公正かつ適正な執行を害するものがあること,交渉や争訟のように,
その性質上,最終的な合意の成立あるいは紛争の解決に向けて関係者間
で継続的な折衝と調整が必要とされ,その過程で出された意見などを公
開することにより,自由な発言や意見交換が妨げられるおそれや同種事
案の処理に支障を来す可能性のあるものも存することから,そのような
情報について開示義務を免除したものと解される。
 この趣旨にかんがみれば,同条七号にいう「当該事務事業若しくは将
来の同種の事務事業の目的が達成できなくなり,又はこれらの事務事業
の公正若しくは円滑な遂行に支障が生ずるおそれ」とは,単に抽象的な
可能性を意味するのではなく,当該事務事業の性質や目的から見て,か
かる可能性が具体的に存する場合を意味すると解すべきである。
(2)ア被告は,本件公文書には事情説明者等の官職氏名その聴取結果など
が記載されており,かつ,事情説明者等はこれらの内容がそのまま公
開されることはないとの前提で調査に協力しているのであるから,本
件公文書の記載内容がすべて公開されると,今後会計検査院が特別調
書の作成・提出を受けようとする場合に,受検庁から十分な理解と協
力を得られなくなるおそれがある旨主張する。
 しかし,会計検査院が行う国の収入支出の決算の検査に対し,積極
的に協力することは公務員としての当然の責務である。本件での事情
説明者等は,宮城県の職員であり,上司の職務命令に基づき,勤務時
間中に,自らがかつて職務として行った事項について職務として事情
を説明する以上,「公開しないことを条件にする」などという自由は
存在しない。この点は,他の自治体の公務員においても同様である。
したがって,被告の右主張は,単に会計検査院の杞憂に基づくもので
ある。
 仮に,本件公文書が公開されることを理由として会計検査への協力
を拒否するといった事態に配慮するとしても,事情説明者等の官職氏
名のみを非開示とすれば十分であり,本件公文書全部を非開示と主張
する必要は全くない。
 さらに,不正経理の事態は,会計検査院の決算検査報告書に掲記さ
れるのであり,それを読めば,誰が,どのようなことを説明したかは,
おおよそ推知することができ,そうだとすれば,不正支出額調書の公
開による支障をことさら問題とする必要はないといえる。
 また,会計検査院に強制捜査権がないとしても,会計検査院法上,
受検庁の計算書及び証拠書類提出義務(会計検査院法二四条),会計
検査院の帳簿等の提出を要求する権利及び質問若しくは出頭を要求す
る権利(同法二六条)が明記されており,受検庁が,そのような明文
の規定に違反して検査を拒否するような事態は,通常ではあり得ない
ことである。
 さらに,仮に特別調書の作成・提出という手法を採ることができな
くなったとしても,それによって,会計検査院法二六条に基づく質問
書を発することに支障を来すことになるとは考えられない。
イ 被告は,本件公文書には本件検査手法が記載されており,本件公文
書が公開されると,受検者に検査を逃れる術を知らせることになるな
どして検査の目的が達せられなくなる旨主張する。
 しかし,会計検査院の行う検査は,要するに会計監査であり,その
検査について,通常の会計監査と異なる特別なノウハウがあるとは考
えられない。また,本件公文書が外部へ流出することを防止するため
の措置が何ら採られていないことからすれば,本件公文書に本件検査
手法が記載されているとは到底考えられない。
 仮に,本件検査手法が存在し,特別調書及びそれに密接に関連する
文書が実地検査と同様の手法で作成されるとしても,論理必然的に,
特別調書及びそれに密接に関連する文書の内容から,本件検査手法が
自ずと推知されるということにはならない。
理由
一 請求原因1(当事者)及び2(本件処分の存在)は,当事者間に争いがない。
二 証拠(乙八,九,証人A,証人B,調査嘱託の結果)及び弁論 の全趣旨に
よれば,次の事実が認められる。
1 会計検査院制度等について
(一)会計検査院は,国の収入支出の決算や法律で定められた機関等の会計を
常時検査し,会計処理が適正に行われるように客観的で公平な立場から検
査する憲法上の機関・国家財政監督機関であり,その検査は,国等の機関
において,予算・法令に違反するなどの不当な経理又はその他の不適切な
事態を指摘するだけではなく,その原因を究明して当該不適切な事態の是
正改善を図ることも目的としている(会計検査院法二〇条二項,二九条三
号,七号,八号,三四条,三六条。以上の事実は,当事者間に争いがない。)。
会計検査院の職員数は,約一二〇〇名である。
(二)会計検査院は,国の会計はもとより,国が補助金その他の財政援助を与
    えている都道府県などの会計も対象として実地検査を行っているが,この
    実地検査において違法・不当な経理を発見した場合は,更に詳細な事実関
係を把握するとともに,同種の事案・他年度分などについても対象範囲を
拡大するなどの目的で検査を継続する場合がある。この場合,受検庁に協
力を求め,調査の方法とその調書の様式及び添付資料等を示すなどして,
一定の調査の実施とその調査結果に関する報告書の作成を依頼し,その提
出を受けて,実地検査の内容を補完している。
(三)右(二)のように,会計検査院では,受検庁に特別調書の作成・提出を依頼
することがあるが,特別調書の作成は,まず,受検庁が,会計検査院が自
ら行った実地検査の結果を踏まえた同院の指示・依頼に基づき,関係者か
らの不正経理の内容等の事情を聴取し,裏付け資料の収集等を行い,さら
に,会計検査院が右調査結果を精査・確認して記載内容の補充,訂正等を
求めて作成されるものである。したがって,特別調書には,会計検査院に
よる実地検査及びそれに引き続いて行われた受検庁による調査内容の全容
が記載されているものであり,事情説明者等の名前等が記載されることも
多い。
このように特別調書の方式が採用されるのは,次の理由による。すなわ
ち,会計検査院が,実地検査において不正経理等を発見・指摘し,不正経
理等の全容を解明するためには,過去数年分にさかのぼり,支出負担行為
決議書を中心とする会計書類及び外形上の矛盾を生じないよう細工された
ものを含む膨大な関係書類等をすべて検証・突合し,また,不正経理に関
与した多数の関係者に対し網羅的な事情聴取を実施するなどして,これら
の関係書類の成立ないし記載内容の真偽等及び架空経理等の実態等につい
て,多数の関係者の理解と協力を得つつ,確認を行うことなどが必要であ
るが,この作業には膨大な時間と労力を要する。このことは,組織的に大
規模な不正経理が行われてきたような場合に特に顕著である。ところが,
会計検査院の人員は前記のとおり約一二〇〇名にすぎないところ,右程度
の人員で,地方公共団体を含む多くの機関を検査対象として多岐にわたる
検査事項を抱える会計検査院が,自ら全部の関係者から事情を聴取し,必
要な裏付け資料を収集することは,実際上不可能であり,必然的に,検査
対象である事務事業を担当している受検庁に対し,このような事情聴取,
裏付け資料の収集等を行う等の協力を求めることが必要となるものである。
そして,会計検査院は,この特別調書を重要な基礎資料として,受検庁
に対し,質問書を発し(会計検査院法二六条),受検庁に事実の確認とそ
の是正についての公式見解の表明を求めるが,受検庁は,特別調書の提出
までの間の協議によって会計検査院と共通の認識に立っていることが多い
ため,会計検査院の質問書をそのまま認める例が多い。
(四)会計検査院では,会計検査院法二六条の質問書に対する右のような回答
を得た後,当該事項を決算検査報告に掲記して国会に報告する案件として
相当か否かの審議に入るが,会計検査院の検査結果については,すべて公
表されるという取扱いにはなっておらず,院内部の各段階における審理を
受け,そこで可決されたものだけが,「決算検査報告」に掲記されること
になる。
 具体的には,各検査結果は,担当課内で審理・決裁を受けた後,各局に
    置かれる検査報告委員会において一読会から三読会までの審理を受け,こ
れを通ると,官房の検査報告調整委員会,さらには事務総長審議を経た後,
検査官会議において一読会から三読会までの審理を受け,可決されること
によって,初めて検査報告掲記事項として外部に公表されることになって
いる。このような審理の過程で,様々な問題点の指摘や否定的な評価を含
む意見が出されたことなどにより決算検査報告に掲記されない検査結果は,
毎年相当数に上る。
 そして,会計検査院においては,会計検査院の正式な指摘事項ないし検
査結果として決算検査報告に掲記し,外部に公表することが検査官会議で
最終的に議決されたもの以外の検査結果については,公表しない取扱いを
し,また,最終的な会計検査院の見解として整理されるまでの審理過程に
ついても,公表しない取扱いをしている。
 その理由は,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として,公正な審
理を尽くした上で最終的な判断を行う必要があることから,外部の圧力・
干渉等を排除する必要があると考えられていることにある。
(五)そして,決算検査報告は,決算とともに内閣に送付され,内閣から国会
に提出される(憲法九〇条一項)。決算検査報告は,国民が予算執行の現
状及び検査結果について知ることができる重要な報告文書であり,その掲
記事項については,会計検査院における記者会見などを通じ,マスコミ等
により広く報道されている。
2 本件検査手法について
 国の予算の執行に関して行われる不正経理のうち,組織的かつ全国的な規
模で,長年慣行的に行われているものは,外部からの指摘による発覚を免れ
得るよう巧妙な隠蔽工作が施されている場合が少なくなく,会計検査院の検
査に対する受検庁の抵抗も悪質で巧妙な形をとる。会計検査院の調査官は,
それをかいくぐるようにして検査の端緒をつかみ,真相を解明していくが,
その過程で駆使される検査の着眼点,検査手法,分析方法等(本件検査手法)
は,会計検査院の特別なノウハウとして蓄積されてきたものであり,新たな
不正経理の解明に当たっても,過去の同種事例において採用された手法を参
考にして,当該事例に適合するように更に改良,工夫された検査手法が生み
出されている。
 そして,組織的な不正経理の事態を指摘する上で最も重要なことは,不正
に行われていた経理操作に関する事実認定であり,より具体的には,関係者
から不正な経理操作を行われたこと及びその具体的方法について十分事情を
聴取してそれを証拠化し,それを裏付ける書面証拠,特に隠蔽工作により細
工のされていない書類を多方面から収集することにより,不正経理に係る事
実関係を確定させることである。そして,強制捜査の権限を背景としていな
い会計検査院の検査にとっては,本件検査手法が極めて重要であり,これが
外部に漏れる事態となれば,不正経理を行う者に対し,会計検査院がどのよ
うな書類に着目するかを知り,どの範囲でつじつま合わせを行えばよいかを
考える糸口を与えることになり,更に周到な隠蔽工作がされる事態を招くこ
とになる。
  3 本件公文書の作成・提出の経緯等
(一)平成一〇年三月上旬,会計検査院は,宮城県に対し,実地検査を行う旨
の通告をした。これを受けた宮城県の担当者は,同月一八日,会計検査院
を訪問し,実地検査のための事務的な打合せを行った。会計検査院は,同
月一九日付けで,実地検査調書の作成依頼(会計検査院第四局長名)を,
同年四月三日付けで出張通知(同事務総長名)をそれぞれ文書で行い,実
地検査は,同年四月二〇日から二四日にかけて行われた。
  そして,会計検査院は,被告に対し,文部省所管歳出予算関係について
行われた右実地検査の結果を踏まえ,本件公文書の作成・提出を依頼し,
前記1(三)に述べたと同様の方法で,本件公文書が作成・提出された。
  4 本件公文書の内容等
(一)本件公文書は,特別調書として作成・提出された不正支出額調書(別紙
文書目録一ないし四の文書)並びにその添付資料としての各種集計表(別
紙文書目録五の文書)及び各種関係資料等(別紙文書目録四三ないし四五,
五三,五五ないし五七,七〇の各文書)で構成されている。
 本件公文書の作成主体は被告であり,本件公文書は,会計検査院に提出
した正本の控えである。
(二)本件公文書のうち不正支出額調書は,本件不正支出の有無・内容等につ
いて,会計検査院の担当調査官及び会計検査院の指示に基づき宮城県の担
当者が関係者の事情聴取を行った結果等が一定の分類に従って記載されて
いる。また,右事情聴取に答えた者の官職氏名等も記載されている。さら
に,右事情聴取の結果を裏付ける資料として,会計検査院の担当調査官が
調査を指示した関係書類名が記載されている。
(三)同じく各種集計表は,不正支出額調書の内容を一定の観点から整理し直
して集計したものであるが,それぞれの集計表を作成する際の基礎資料が
異なっており,全部の関係書類を改ざんしない限り,集計表間の数値が異
なってしまう結果となる。
(四)同じく各種関係資料等は,不正支出額調書の記載内容を基礎付ける各種
の関係資料又はその記載内容を補完するための各種の補充資料として,
会計検査院が,被告に対し,その収集・整備を指示・依頼し,又はそれを
新たに作成の上,提出するよう指示・依頼したものであり,会計検査院に
よる不正な経理操作に係る事実認定を支える個別具体的な基礎資料となっ
ている。
(五)このように,本件公文書は,全体として有機的な関連性を持った一個の
検査資料として成立し,本件不正支出の事態に対する会計検査院の検査結
果の全容が記載されている。これを読めば,本件不正支出についての会計
検査院の検査経過をだれが事情説明を行ったかを含めて知ることができる
だけでなく,国等の会計についてある程度知識を有する者であれば,会計
検査院がその会計検査に当たり,どのような書類を隠蔽工作の及んでいな
い書類として重視し,それらに基づきどのような手法で不正経理の端緒を
つかんでいくか等をある程度の具体性と明瞭さをもって読み取ることが可
能である。
(六)原告は,会計検査院の行う検査に通常の会計監査と異なる特別なノウハ
ウがあるとは考えられない旨主張するが,国等の機関の会計検査を専門的
に行う調査官として,本来あってはならない不正経理がこれまで組織的に
行われた例が多々あり,その解明等のために本件検査手法を含め多くの工
夫が行われてきたことを述べる証人Bの証言(乙八,九を含む。)は,十
分信用できるものであり,事柄の性質上,本件検査手法の内容を詳しく証
言していないことをもって,右証言を信用することができないということ
はできないから,原告の右主張は採用することができない。
 5 会計検査院の意向
(一)本件の公文書開示請求は,前記のとおり,平成一〇年一一月一六日付け
でされたところ,被告指導課のA係長は,同月下旬ころ,会計検査院文部
検査第一課の担当調査官に対し,本件公文書について情報公開請求が出て
いるが,その公開の適否についてどのように考えるべきかとの問い合わせ
をしたところ,担当調査官は,直ちに,「従来から本院の検査調書は公開
しない取扱いとなっている。特に,本件のような特別調書は,本院の業務
に差し支えるため,一切公開していないはずである。この件については本
院と協議してほしい。」旨を回答した。
(二)同年一二月,宮城県教育委員会のC総務課長ほか二名が,会計検査院に
おいて,会計検査院の担当者と協議をしたが,その中で,会計検査院の担
当者は,「従来から本院の検査調書は公開しない取扱いとなっている。
特に,本件のような特別調書は本院の業務に差し支えるため一切公開して
いない。情報公開請求については,非開示として対応してほしい。」旨を
要請した。
(三)そして,このような要請は,会計検査院としての正式の立場に基づくも
のである(調査嘱託の結果参照)。
三1 県条例九条五号の趣旨
 県条例九条は,公文書の公開請求があった場合に,実施機関が公開をしな
いことができる公文書の範囲について,具体的に規定したものであるが,こ
れは,県条例は,公正で開かれた県政を推進するという観点から公文書を原
則として開示することとするものである(県条例一条)が,一方で,県が保
有する情報の中には,開示することによって,個人のプライバシー若しくは
法人の正当な利益を侵害し,又は行政の目的を失わせ,若しくはその公正で
円滑な執行が妨げられるものなどがあることから,県民の公文書の開示を求
める権利を十分に尊重しながら,個人のプライバシーに最大限配慮し,併せ
て第三者の権利及び利益並びに公益との調和を図る趣旨であると解される(
県条例三条参照)。
 県条例九条五号の趣旨は,県の行政は,国等との密接な関係のもとに執行
されていることから,県と国等との間における現在又は将来にわたる協力関
係又は信頼関係を維持することによって,行政の適正かつ円滑な執行を図る
という公益上の要請から,公開されると県と国等との間の右のような協力関
係又は信頼関係を損なうと認められる情報が記録されている公文書は非開示
とすることができる旨を定めたものと解される。
2 前段該当性について
(一)前記二1のとおり,会計検査院は,憲法九〇条及び会計検査院法に基づ
いて設置されている国の機関であるから,同号の「国等」に含まれること
は明らかである。
(二)本件公文書の作成経緯は,前記二1(三),3のとおりであるから,本件
公文書に記録されている情報は,「国等の機関からの協議,依頼等に基づ
いて作成され,又は取得された情報」に該当するものと認められる。
(三)以上のとおり,本件公文書に記録されている情報は,県条例九条五号前
段の要件を充たしているということができる。
3 後段該当性について
(一)前記二4のとおり,本件公文書には,会計検査等における事情説明者等
の官職氏名等を含む本件不正支出の事態に対する会計検査院の検査の全容
が記載されているものである。
 そして,前記二1(四)のとおり,会計検査院においては,従来から,会計
検査院の正式な指摘事項ないし検査結果として決算検査報告に掲記し,外
部に公表することが検査官会議で最終的に議決されたもの以外の検査結果
については,公表しない取扱いとし,また,最終的な会計検査院の見解と
して整理されるまでの審理過程についても,本件で問題となる特別調書を
含め,公表しない取扱いをしているものであるが,そのような取扱いをす
る理由は,憲法上の独立機関・国家財政の監督機関として,公正な審理を
尽くした上で最終的な判断を行う必要があることから,外部の圧力・干渉
等を排除する必要があると考えられていることにある。
 会計検査院のこのような取扱いは,国等の機関の会計検査を担当する専
門機関としての判断であり,これを不当する根拠も見いだせないから,会
計検査院の右判断は尊重されるべきものである。
(二)また,前記二2,4のとおり,本件公文書には,会計検査院の本件不正
支出の事態の解明に至る本件検査手法が,ある程度の具体性と明瞭さをも
って読み取ることが可能な状態で記載されているところ,これが外部に漏
れれば,不正経理を行おうとする者に対し,会計検査院がどのような書類
に着目するかを知り,どの範囲でつじつま合わせを行えばよいかを知らせ,
更に周到な隠蔽工作を行われる事態を招くことにつながるものである。
(三)さらに,前記二5のとおり,会計検査院は,これらの点に基づき,本件
公文書の開示に反対の意向を表明しているものである。
(四)以上によれば,本件公文書を公開することにより,「国等との協力関係
又は信頼関係が損なわれる」ものと認められる。
 これに反する原告の主張は,採用することができない。
4 以上のとおり,本件公文書に記録された情報は,県条例九条五号の前段及
び後段の要件をいずれも充たすものであり,本件処分に違法な点はない。
5 なお,非開示事由に該当する情報とそれ以外の情報とを公文書の開示の請
求の趣旨を損なわない程度に分離できる場合には当たらないと認められるか
ら,本件公文書につき部分開示をしなかった点についても,本件処分に違法
な点はない。
 四 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとお
  り判決する。
(別紙) 
文書目録(抜粋)
1 不正支出額調書(様式1)
2 不正支出額調書(様式2)
3 不正支出額調書(様式3)
4 指定校(地域指定事業等)調書(様式4)
5 各種集計表等
6 支出負担行為並びに支出決議書
7 旅行命令依頼簿   ※国費
  旅行命令(依頼)票 ※県費
8 国費支出内訳書
9 委任状
11 諸謝金支給調書
12 旅費概算(精算)請求書
13 見積書
14 請求書
15 文部省指定校に要する経費について(報告,通知,通達等)
16 研究事業委嘱謝金前金払請求書
17 口座振替依頼書
18 推進校経費決算報告書
19 研究事業報告書
20 研究集録,報告書,紀要,指導案,資料等の写
21 国庫金振込通知書(写)
22 国庫支出関係書類について(提出)
23 指定に係る計画書について(提出)
23 指定書
24 通帳(写)
25 職員派遣依頼文書
26 参加助成金の交付申請文書
27 現地研修のビデオ撮影依頼文書
28 実施報告書執筆監修依頼文書
29 会議の開催通知文書
30 研修会講師依頼文書
31 各種実施要綱
32 各種委員名簿
33 派遣事業指導記録簿
34 旅費精算請求書
35 会議出欠表
36 公開研究会の案内文書
37 各種会議の記録
38 各種委員会の規約等
39 流動性預金取引明細一覧表
40 出勤簿
41 学校日誌
42 旅行伺文書
43 各種出納簿
44 補充資料
45 領収書(書)
46 各種参加者名簿
47 出張承認願兼復命書
48 個人の名刺の写
49 法人関係提供資料
50 年次休暇届
51 町費の支出票
52 経費立替申立書
53 経費の流れ
54 各種決算報告書
55 (調書様式3の明細)
56 別紙 支出内訳
57 公開研究会に係わる文書等の処理経過について(報告)
58 文書収発簿
59 返納決議書
60 納入通知書兼領収書
61 同窓会会計支出伺書及び添付書類
62 PTA会計支出伺書及び添付書類
63 電話ヒアリング記録
64 ペーパーテスト調査関係通知文書
65 令達通知書
66 戻入票
67 支出負担行為兼旅費支出命令決議書
68 旅行命令(依頼)票(特例計算用)
69 自家用自動車使用簿(兼出張特殊業務・合宿従事)伺票
70 副申書
71 経費伺
72 精算通知票
73 施行確認書
74 平成6年度 歳入歳出事項別明細書実質収支に関する調書財産に関する調書
75 国費(示達)不正経理による別途経理資金からの委員等旅費支給計算内訳書
76 出張伺い及び旅行入力票
77 一般日額旅行命令(依頼)票
78 研修事業一覧 不正支出額調書(様式1)

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
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興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
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なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
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