弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。
 論旨は、原審が「此上告人の原審に於ける供述」を証拠として「強姦」の事実を
認定したのは採証の法則に違背するものであると主張しているけれども、原判決が
証拠として採用したのは、被告人の原審公判廷に於ける判示日時場所でAを「姦淫
したことは相違ない旨の供述」である。即ち右の被告人の供述中、強制によつて姦
淫したのではない、という部分は証拠として採用せず、「姦淫した」という供述だ
けを採用し、これを挙示の他の証拠と綜合して強姦の事実を認定したのである。証
拠の取捨は原審裁判所の自由裁量に委ねられているところであり、原判決挙示の証
拠を綜合すれば、強姦の事実は十分証明できるのであるから、原判決には、所論の
ように、採証の法則に違背して事実を認定したという違法は存しない。強姦の事実
はなかつたと主張する論旨は、原判決が証拠として採用しない資料に基いて原判決
の事実認定を争うことに帰するから、採用し難い。
 同第二点について。
 しかしAが被告人から強姦せられた際に負傷を受けたことは、同女に対する検察
事務官の聴取書中の供述記載、医師B作成の同女に対する診断書中の記載、その他
原判決挙示の証拠を綜合すれば、十分に証明できることであるから、原判決がこれ
らの証拠によつて、右のような認定をしたことには、所論のような実験則違反又は
理由不備の違法は存しない。致傷の事実のなかつたことを主張する論旨は、原判決
の採用しなかつた証拠に基いて、原判決の事実認定を非難することに帰着するから、
採用することができない。
 同第三点について。
 強姦行為を為すに際して相手方に傷害を加えた場合には、たとえその傷害が、「
メソタム一回つけただけで後は苦痛を感ぜずに治」つた程度のものであつたとして
も、強姦致傷の罪が成立する。そうして強姦致傷罪は、単純な強姦罪のようにいわ
ゆる親告罪でないから、所論告訴の取消にも拘らず、原判決が公訴棄却の判決をな
さず刑法第一八一条を適用したのは正当であつて、所論のように擬律錯誤の違法は
ない。論旨は理由がない。
 同第四点について。
 しかし刑訴応急措置法第一二条第一項に、反対訊問の機会を与えてない供述書又
は供述代用書類を証拠となし得る旨を規定していることが、憲法第三七条第二項に
違反するものでない所以は、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第八三三号、同年
五月一八日大法廷判決)に示されている通りである。そうして所論Aに対する検察
事務官の聴取書中の供述記載及び医師B作成の同女に対する診断書中の記載につい
ては、その供述者又は作成者を公判期日において訊問したい旨の請求が被告人から
なされたのでもないから、原判決がこれ等の資料をそのまゝ証拠として採用したこ
とには、所論のような違憲の廉はない。論旨は理由がない。
 同第五点について。
 しかし強姦致傷罪は一箇の罪であるから、たとえ告訴の取消しがなされても、強
姦と致傷とを分離して致傷の点のみを処罰の対象とすべきであるという主張は採用
し難い。
 論旨は更らに本件につき執行猶予の言渡をすべき理由を縷々と述べ、原判決が被
告人に懲役三年の実刑を科したことは、刑法第二五条の適用を誤つたものであると
主張しているけれども、論旨は結局量刑不当の主張に帰し、適法な上告理由となら
ないものである。
 以上の理由により、最高裁判所裁判事務処理規則第九条第四項、旧刑訴法第四四
六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二四年七月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛