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平成24年9月27日判決言渡
平成24年(ネ)第10031号承継参加事件(平成23年(ネ)第10073
号不正競争行為差止等請求控訴事件,原審・東京地方裁判所平成22年(ワ)第
22918号)
口頭弁論終結日平成24年8月9日
判決
第1審原告訴訟承継参加人株式会社日本橋にいたか屋
訴訟代理人弁護士岩瀬吉和
同城山康文
同森清圀生
同元芳哲郎
同佐橋雄介
同工藤奏子
同川端康弘
脱退前の第1審原告株式会社東京にいたか屋
第1審被告備後漬物有限会社
第1審被告株式会社東京漬膳
第1審被告ら訴訟代理人弁護士岩井泉
同中澤構
同鶴由貴
同關健一
同潮田治彦
第1審被告ら補佐人弁理士藤本昇
同白井里央子
同田中幸
主文
1第1審被告らは,別紙イ号包装目録ないし同ハ号包装目録記載の
包装を使用し,又は,同包装を用いた商品を譲渡し,引き渡し,譲
渡若しくは引渡しのため展示してはならない。
2第1審被告らは,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に
前項記載の包装の図柄を表示して頒布してはならない。
3第1審被告らは,第1項記載の包装,同包装を表示した宣伝用カ
タログその他の広告物及び同包装の印刷用原版を廃棄せよ。
4第1審被告らは,第1審原告訴訟承継参加人に対し,連帯して,
156万3500円及び内80万9659円に対する平成22年6
月29日から支払済みまで年5分の割合による金員,並びに,75
万3841円に対する平成23年4月2日から支払済みまで年5分
の割合による,各金員を支払え。
5第1審原告訴訟承継参加人のその余の請求をいずれも棄却する。
6当審における訴訟費用はこれを5分し,その3を第1審原告訴訟
承継参加人の,その余を第1審被告らの負担とする。
7この判決の第4項は仮に執行することができる。
8なお,原判決は,第1審原告訴訟承継参加人が原審の口頭弁論終
結後に脱退前の第1審原告を承継して当審において参加承継をし,
脱退前の第1審原告が本件訴訟から脱退したことにより,失効して
いる。
事実及び理由
第1第1審原告訴訟承継参加人の請求
1第1審被告らは,別紙イ号包装目録ないし同ニ号包装目録記載の包装を使用
し,又は,同包装を用いた商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのため展
示してはならない。
2第1審被告らは,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に前項記載の
包装の図柄を表示して頒布してはならない。
3第1審被告らは,第1項記載の包装,同包装を表示した宣伝用カタログその
他の広告物及び同包装の印刷用原版を廃棄せよ。
4第1審被告らは,第1審原告訴訟承継参加人に対し,連帯して,390万8
296円及びこれに対する平成22年6月29日から,333万円及びこれに対す
る平成23年4月2日から,並びに,709万9207円及びこれに対する同日か
ら,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1略称・読替え等
本判決では,原判決で用いられた略語は,そのまま用いる。また,以下では,「第
1審原告訴訟承継参加人」を単に「参加人」といい,「脱退前の第1審原告」を単に
「第1審原告」という。原判決を引用する部分では,当審での地位に従って,「原告」
とあるのを「脱退前の第1審原告」(「第1審原告」)と,「被告備後漬物」とあるの
を「第1審被告備後漬物」と,「被告東京漬膳」とあるのを「第1審被告東京漬膳」
と,「被告ら」とあるのを「第1審被告ら」とそれぞれ読み替えるものとする。なお,
本判決別紙及び別表は,原判決のものと同一である。
2当事者等
第1審原告は,東京都中央区日本橋に所在し,「東京べったら漬」及び「東京ゆず
べったら漬」の表示を用い,別紙原告商品等表示目録記載の包装を使用して,大根
を麹で漬けた漬物である「べったら漬け」を製造,販売していた会社である。
参加人は,第1審原告から新設分割による分割会社として設立された会社であり,
第1審原告が営むべったら漬け,生姜,キムチ等の漬物の製造及び販売に関する事
業について有する権利義務を承継した。
第1審被告らは,「東京べったら」及び「東京ゆずべったら」の表示を用い,被告
包装を使用して,埼玉県所在の会社が埼玉県内の工場において製造,加工したべっ
たら漬けを販売している。
3第1審からの主要審判経過
(1)第1審での請求
第1審原告は,第1審被告らに対して,第1審被告らの行為が,①不競法2条1
項13号の原産地等誤認惹起行為に該当する,②同号の品質等誤認惹起行為に該当
する,③不競法2条1項1号の不正競争に該当する,④仮にこれらの不正競争行為
が認められないとしても,民法709条の不法行為に該当する,などと主張して,
不競法3条1項に基づく被告包装の使用等の差止め及び同条2項に基づく被告包装
等の廃棄を求めるほか,損害賠償として,主位的には不競法4条に基づき,予備的
には民法709条に基づき,5000万円及びこれに対する不正競争(主位的請求)
ないし不法行為(予備的請求)の後の日である平成22年6月29日から支払済み
まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求めた。
(2)原判決の概要
原判決は,第1審被告らの行為は,不競法2条1項13号の原産地等誤認惹起行
為にも,同号の品質等誤認惹起行為にも,民法709条の不法行為にも該当しない
が,イ号包装ないしハ号包装の使用に関しては,不競法2条1項1号の不正競争に
該当するとして,これらの包装の使用等の差止め及び包装等(これらの包装を用い
た製品を除く。)の廃棄を求め,390万8296円及びこれに対する平成22年6
月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め
る限度で第1審原告の請求は理由があるとして,この限度で第1審原告の請求を認
容し,ニ号包装に関する請求を含めその余の請求を棄却した。
(3)当審における審理対象
原判決に対しては,第1審原告と第1審被告らの双方から控訴がされ,併せて,
第1審原告は,ニ号包装についての損害の請求を従前の一部請求から全部請求とす
ること,イ号包装ないしニ号包装について第1審での請求に係る期間の後に発生し
た損害についても請求することを含める請求の拡張をした。
その後,参加人が第1審原告の権利を承継したとして本件訴訟に訴訟承継参加し,
第1審原告は,第1審被告ら承諾を得て,訴訟脱退したため,第1審原告と第1審
被告らとの間の訴訟は終了し,その間の訴訟につき言い渡された原判決は当然に失
効した。
(4)参加人の請求
ア参加人の第1審被告らに対する請求の原因は,以下のとおりである。
①べったら漬けは,東京の名産品であり,「東京べったら」という商品名を有す
るべったら漬け商品は,東京産の原料を使用しているか,又は,東京都内で製造,
加工されたものとして購入されるものであるのに,被告商品は,その原料である大
根の産地も,製造加工地も,製造者の本店・住所も東京にはないから,被告商品に
「東京べったら」ないし「東京ゆずべったら」と表示することは不競法2条1項1
3号の原産地等誤認惹起行為に該当する,
②原告表示は,第1審原告の商品等表示として周知なものであり,第1審被告
らが,これに類似する「東京べったら」及び「東京ゆずべったら」の表示や,被告
包装を使用したべったら漬けを販売等することは,不競法2条1項1号の不正競争
に該当する,
③仮に,第1審被告らに不正競争行為が認められないとしても,第1審被告ら
の上記行為は,第1審原告がべったら漬けの老舗業者として築き上げてきた「東京
べったら漬」の周知性に乗じて,被告商品があたかも第1審原告の商品と同品質で
あるかのような体裁を生じさせているものであり,取引における公正かつ自由な競
争として許される範囲を逸脱しているから,民法709条の不法行為に該当する。
イまた,参加人の第1審被告らに対する請求の趣旨は,次のとおりである。
参加人は第1審被告らに対して,不競法3条1項に基づく被告包装の使用等の差
止め及び同条2項に基づく被告包装等の廃棄を求めるほか,損害賠償として,主位
的には不競法4条に基づき,予備的には民法709条に基づき,
①イ号ないしハ号商品に関する平成22年6月18日までの損害・弁護士費用
として390万8296円及び不正競争ないし不法行為の後の日である同年6月2
9日(第1審の訴状送達の日の翌日でもある。)から支払済みまで民法所定の年5分
の割合による遅延損害金
②ニ号商品に関する平成22年6月18日までの損害として333万円及び不
正競争ないし不法行為の後の日である平成23年4月2日から支払済みまで民法所
定の年5分の割合による遅延損害金,並びに
③イ号ないしニ号商品に関する平成22年6月19日から平成23年4月1日
までの損害として709万9207円及び不正競争ないし不法行為の後の日である
同月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
を連帯して支払うよう求めるものである。
4争いのない事実等,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり付加
訂正する他は,原判決4頁14行目から68頁23行目までに記載されたとおりで
あるから,これを引用する。
(1)原判決5頁1行目の後に改行の上,次のとおり挿入する。
「ウ参加人
参加人は,第1審原告から,新設分割による分割会社として設立された株式会社
であり,第1審原告が営むべったら漬け,生姜,キムチ等の漬物の製造及び販売に
関する事業について有する権利義務を承継した。」
(2)原判決7頁21行目末尾の「(争点1-1)」から25行目までを削除する(第
1審でされていた品質等誤認惹起行為に関する主張は,当審で撤回された。)。
(3)原判決24頁20行目から36頁15行目までを,次のとおり改める。
「ア争点2-1(原告表示は,第1審原告の商品等表示として需要者の間に広
く認識されているか)について
[参加人の主張]
原告表示は,次のとおり,遅くとも平成21年8月までには,全国の卸売業者,
小売業者及び一般消費者の間で,第1審原告の商品を示す表示として広く知られる
ようになっていた。
(ア)原告表示1-1について
原告表示1-1(「東京べったら漬」)は,「東京」という地名と「べったら漬」と
いう普通名称から構成される。しかし,次のとおり,原告表示1-1は,遅くとも
昭和60年ころから,金久の商品等表示として広く周知されていたものであり,第
1審原告は,原告表示1-1の周知性についても金久から承継した。
また,第1審原告は,平成14年以降,第1審原告の製造販売するべったら漬け
の包装に,第1審原告の製造販売する商品であることを示す表示として原告表示1
-1を付し,圧倒的なシェアを確保,維持している。
その結果,原告表示1-1は,原告商品を示す表示としての識別力を取得し,不
競法2条1項1号の商品等表示性及び周知性を備えた。
a金久による「東京べったら漬」表示の使用
「東京べったら漬」の表示は,べったら漬けの老舗メーカーであった金久が,昭
和40年代に,同社が製造したべったら漬け商品について使用を開始したものであ
る。
金久は,同商標を使用した宣伝広告を多数行い,新聞記事においても,金久のべ
ったら漬け商品の名称として「東京べったら漬」が紹介された。その結果,「東京べ
ったら漬」の表示は,遅くとも昭和60年ころまでに,金久の商品を表示するもの
として,商品等表示性及び周知性を備えた。
金久の「東京べったら漬」商品の昭和40年代から平成14年までの累計売上額
は,300億円を下らない。ところで,金久は,平成14年に倒産したが,昭和6
0年から平成14年までの間,金久や,金久にプライベート・ブランド商品の製造
を委託していた会社及び金久から暖簾分けを受けた会社以外に,「東京べったら漬」
の表示及びこれに類似する表示を使用する業者は存在しない(仮に存在したとして
も,その規模,態様は,無視しうる程度にすぎない。)。
b金久から第1審原告への「東京べったら漬」表示の承継
金久は,平成14年に倒産し,第1審原告は,同年,金久から,「東京べったら漬」
表示を使用する権利を含む,べったら漬けに関わるすべての業務についての営業譲
渡を受け,「東京べったら漬」表示の周知性についても金久から承継した。
c第1審原告による「東京べったら漬」表示(原告表示1-1)の使用開始,
及び第1審原告の使用による周知性の獲得
第1審原告は,金久から上記営業譲渡を受けたことを契機に,第1審原告の製造
販売するべったら漬け商品に原告表示1-1を付して,販売促進を図った。
第1審原告は,その後,次のとおり,原告表示1-1を継続的かつ大量に使用し,
「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名のべったら漬け商品の中での圧倒的
なシェアを確保,維持するとともに,原告商品について多数の宣伝広告をし,べっ
たら市とのタイアップを図るなどして,原告表示1-1の周知性を確固たるものと
した。
(a)原告商品の市場占有率
Ⅰべったら漬け市場全体の年間売上額は,40億円程度である。その中で,第
1審原告は,金久から営業譲渡を受けた平成14年から平成21年7月までの間に,
原告表示1-1を使用した商品を約2805万6532個販売した。その販売額の
合計は,約45億2548万5489円であり,1年間の売上額は約8億5000
万円である。
Ⅱまた,第1審原告以外に「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名のべ
ったら漬けを販売している業者の売上高は,最大の鈴木食品でも,年間約1億20
00万円ないしそれを下回る程度のものである(なお,鈴木食品の上記売上高は,
包装等が一般消費者の目に触れることのない,いわゆる樽もの商品(べったら漬け
大根が個々に包装されず,まとめて樽や発泡スチロール箱に入れられて販売される
もの。)が売上げの半分以上を占めている。)。その他の業者の売上高は,すべての業
者を含めても,年間約3500万円にすぎない。
Ⅲしたがって,「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名を付して販売され
るべったら漬け商品における原告商品の市場占有率は,仮に樽もの商品を含めたと
しても,売上高ベースで8割以上であり(なお,原告商品の上記売上高には,樽も
の商品は含まれていない。),樽もの商品を含めない場合は,売上高ベースで約9割
である。
(b)原告商品の宣伝広告態様等
Ⅰ第1審原告は,新聞広告により,遅くとも平成14年ころから原告商品1を
含む第1審原告の商品を,平成17年10月以降原告商品2を宣伝広告しており,
「東京べったら漬」(原告表示1-1)及び「東京ゆずべったら漬」(原告表示2-
1)が,それぞれ,第1審原告の商号を使わない形で,第1審原告の商品名として
記載されている。第1審原告は,ここ数年,これらの新聞広告のために毎年400
万円から700万円を支出している。
Ⅱ第1審原告は,東京都交通局の地下鉄車内,バス車内,都電車内,都営交通
案内所において,毎年2000枚ないし4000枚程度の広告により,遅くとも平
成14年ころから,べったら市,自社,原告表示1-1を含む第1審原告の商品を,
遅くとも平成17年10月以降原告表示2-1を含む第1審原告の商品を宣伝広告
しており,1年当たり約70万円を支出している。
Ⅲ第1審原告は,遅くとも平成14年ころから,原告表示1-1を含む第1審
原告の商品に関する店頭の看板等の販促物(平成17年10月以降は原告表示2-
1に関するものも含む)を小売店等に提供しており,ここ数年は900万円ないし
1200万円を支出している。
Ⅳ第1審原告は,昭和22年から,「べったら市」に対し,のぼり,提灯,法被
その他の提供を行い,べったら市を全面的に支援することにより自社を宣伝し,か
つ,遅くとも平成14年ころからは原告表示1-1を含む第1審原告の商品を,遅
くとも平成17年10月以降は原告商品2を宣伝広告しており,ここ数年は,毎年
約300万円を支出している。
Ⅴ以上のとおり,原告商品は,極めて多数の新聞記事で取り上げられ,多数の
宣伝広告がされている。これらの新聞記事では,「東京べったら漬」及び「東京ゆず
べったら漬」が,第1審原告の商号を伴わない形で,第1審原告の商品名として紹
介されており,原告商品の包装の写真も掲載されている。新聞広告においても,「東
京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」が第1審原告の商品名として記載され
ている。
さらに,一般消費者向けには,スーパーのチラシ等の宣伝広告のほか,べったら
市とタイアップして第1審原告が企画するキャンペーン等により,原告商品を含む
第1審原告のべったら漬け商品及び原告表示が,消費者に強く印象付けられている。
そして,テレビやマスコミの影響もあって,東京日本橋の「べったら市」が開催さ
れる10月になると,原告商品の売上げは急激に上がり,例年,年末までその状態
が続く。
(c)このように,「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬け商品における
原告商品の市場占有率は,少なくとも8割以上である上,業界紙,マスコミ報道,
店頭でのべったら市企画等,「東京べったら漬」として露出するものは,ほぼすべて
第1審原告の商品である。そのため,大多数の消費者は,「東京べったら漬」といえ
ば,第1審原告の商品を連想し,イメージする。
これらの事情に鑑みれば,原告表示1-1は,金久及び第1審原告の使用により
識別力を取得し,遅くとも平成21年8月までには,商品等表示性及び周知性を備
えたものであるといえる。
(イ)原告表示1-2ないし1-4について
a商品等表示性について
商品の包装は,本来的に,商品を個別化する認識手段として機能するのであり,
原告表示1-2ないし1-4が商品等表示に該当することは条文上も明らかである
し,商品等表示性が認められるために,その表示のみを独占的に統一して長年継続
して使用するということは必ずしも必要でない。
原告表示1-2ないし1-4は,第1審原告独自のものであり,かつ,第1審被
告らが被告商品を発売する以前に類似のデザインの商品は存在しなかったから,商
品等表示性を有する。
b原告表示1-2について
(a)原告表示1―2には,①包装の右下部に日本橋のべったら市を描いた図絵が
施されており,また,②包装の切り口が上下2箇所に赤色で示されている。原告商
品1の包装態様は,平成14年12月の発売当初のものから,次のとおり,2回,
変更が行われた。もっとも,いずれもJANコードは同一であって,第1審原告社
内のみならず,取引先においても同一の商品として取り扱われる等,商品としての
同一性は保たれていたのであるから,表示に微細な変更が加わったとしても,同一
の商品等表示として評価し得ると解すべきである。
Ⅰ原告商品1には,平成14年12月から平成17年8月30日までの出荷分
について,前記①及び②の特徴を有しない次の包装が使用されていた。
Ⅱ平成17年8月31日以降の出荷分から,平成21年1月までの出荷分につ
いて,上記①は有するものの,上記②は有しない次の包装が使用された。
Ⅲ平成21年2月以降,上記①及び②を有する原告表示1-2が使用されてい
る。
(b)第1審原告が金久から営業譲渡を受けた平成14年から平成21年7月ま
での期間における,原告商品1-2の販売数の合計は約891万6887個である。
その販売額の合計は,約14億128万1724円であり,1年間の売上額は約3
億円である。
(c)原告表示1-2の販売状況については,上記のとおりである。また,原告表
示1-2中の「東京べったら漬」と表記した文字部分(原告表示1-1)は,前記
(ア)のとおり周知性を有する。
したがって,原告表示1-2は,遅くとも平成21年8月までには,第1審原告
の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。
c原告表示1-3について
(a)第1審原告は,遅くとも平成18年以後,第1審原告の製造販売するべった
ら漬けのうち「東京べったら漬一本」と表記した商品の包装に原告表示1-3を
表示した商品(原告商品1-3)を販売している。
(b)原告商品1-3の1年間の売上額は約2000万円であるが,べったら漬け
商品の中で,商品名に「東京」及び「一本」と付した商品は,原告商品1-3及び
被告商品ハのみであり,原告商品1-3の市場占有率は,100%である。
(c)原告表示1-3の販売状況については,上記のとおりである。また,原告表
示1-3中の「東京べったら漬」と表記した文字部分(原告表示1-1)及び原告
表示1-3とほぼ同一の商品等表示である原告表示1-2は,前記(ア)及び(イ)bの
とおり周知性を有する。
したがって,原告表示1-3は,遅くとも平成21年8月までには,第1審原告
の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。
d原告表示1-4について
(a)第1審原告は,遅くとも平成18年以後,第1審原告の製造販売するべった
ら漬けのうち「東京べったら漬スライス」と表記した商品の包装に原告商品1-
4を表示した商品(原告商品1-4)を販売している。
(b)原告商品1-4の1年間の売上額は約400万円であるが,べったら漬け商
品の中で,商品名に「東京」及び「スライス」と付した商品は,原告商品1-4及
び被告商品ニのみであり,原告商品1-4の市場占有率は,100%である。
(c)原告表示1-4の販売状況については,上記のとおりである。また,原告表
示1-4中の「東京べったら漬」と表記した文字部分(原告表示1-1)は,前記
(ア)のとおり周知性を有する。
したがって,原告表示1-4は,遅くとも平成21年8月までには,第1審原告
の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。
(ウ)原告表示2-1及び同2-2について
a原告商品2の販売開始時期
原告表示2-2を使用した商品(原告商品2)は,平成17年10月に発売され
た。その後,原告商品2の包装態様は,発売当初のものから,次のとおり,1回変
更が行われたが,JANコードは同一であって,第1審原告社内のみならず,取引
先においても同一の商品として取り扱われる等,商品としての同一性は保たれてい
たから,これらは同一の商品等表示として評価するべきである。
(a)平成17年10月の発売当初から,平成21年1月までの出荷分については,
次の赤い切り口を有しない包装が使用された。
(b)平成21年2月以降,次の包装の切り口が上下2箇所に赤色で示されている
包装(原告表示2-2)が使用された。
b原告商品2の売上高
第1審原告は,平成17年10月から平成21年7月までの間に,原告商品2を
約69万5347個販売した。その販売額の合計は,約1億1098万2460円
であり,1年間の売上額は約4000万円である。
c原告商品2の市場占有率
べったら漬け商品の中で,「東京ゆずべったら漬」又はこれに類似する商品名を有
する商品は,原告商品2以外には存在しない。したがって,原告商品2の市場占有
率は,100%である。
d原告表示2-1の商品等表示性及び周知性について
原告表示2-1は,前記(ア)のとおり第1審原告による長年の使用により商品等表
示性及び周知性を備えた原告表示1-1(「東京べったら漬」)に,「ゆず」と表記し
た文字が挿入されたものであり,原告表示1-1に類似する。そのため,原告表示
2-1は,需要者にとって,第1審原告の商品を示すものであると容易に認識する
ことができる。
したがって,原告表示2-1は,遅くとも平成21年8月までには原告商品を示
す表示としての識別力を取得し,不競法2条1項1号の商品等表示性及び周知性を
備えた。
e原告表示2-2の商品等表示性及び周知性について
原告表示2-2には独自性があり,これが商品等表示性を有することは明らかで
ある。
原告商品2は,平成17年10月から発売されており,また,原告表示2-2中
の「東京ゆずべったら漬」と表記した文字部分は,前記dのとおり,商品等表示性
及び周知性を有する。
したがって,原告表示2-2は,遅くとも平成21年8月までには,第1審原告
の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。
[第1審被告らの認否,反論]
(ア)原告表示1-1(「東京べったら漬」)及び同2-1(「東京ゆずべったら漬」)
は,商品等表示性を有しないこと
次のとおり,「東京べったら漬」は,東京の名産品としてのべったら漬けの一般的
名称であり,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではない。
また,金久ないし第1審原告のみが「東京べったら漬」の表示を独占的に使用して
いる事実はなく,金久ないし第1審原告の使用によって「東京べったら漬」の表示
が識別力を生じたものでもない。
「東京ゆずべったら漬」も,「ゆず味の」東京べったら漬と表記した漬物のことを
示すにすぎず,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではな
く,第1審原告のみが「東京ゆずべったら漬」と表記した表示を独占的に使用して
いる事実もない。
a「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」は,一般的名称であること
(a)「べったら漬け」は,江戸時代に日本橋の恵比寿神社の祭礼で売られたこと
から始まる物品であり,その意味において,東京の名産品としての「江戸べったら
漬け」と称呼され,明治以降,東京発祥の物品(東京名産)の代表として「東京べ
ったら漬」として周知,著名となり,「べったら漬け」といえば東京の名産品である
と認識されている。
「東京」は,「江戸」と同様に,べったら漬けの発祥の地(名産品)としての意味
であり,「東京べったら漬」は,「奈良漬け」や「野沢菜漬け」,「仙台長なす漬け」
と同様に,発祥地を示す「東京」と商品名としての「べったら漬け」が結合したも
のであって,「東京発祥のべったら漬」(東京名産のべったら漬)又は「東京のべっ
たら漬け」を意味することは明らかである。
(b)「東京ゆずべったら漬」と表記した表示も,「ゆず風味のべったら漬け」と
表記した漬物を意味するにすぎず,出所表示機能や自他商品識別機能を具備するも
のではない。
b「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示は,使用により識別
力を得たとはいえないこと
(a)金久による「東京べったら漬」表示の使用状況
金久が昭和60年ころから自社の商品に表示していたのは,「金久の東京べったら
漬」の商標であり,「東京べったら漬」を単独で表示していた事実はなく,「金久の」
文字と「東京べったら漬」の文字は,常に一体化されて使用されていた。
金久が登録していた商標も,「東京べったら漬」ではなく,「金久の東京べったら
漬」であった。なお,「東京べったら漬」の文字を含む商標として登録されている商
標は,「金久の東京べったら漬」,「東京新高屋の東京べったら漬」,「東京漬膳の東京
べったら」などのように,「東京べったら漬」又は「東京べったら」の前に商標権者
の社名や屋号が一体的に結合されて登録されているものであり,「東京べったら漬」
のみで登録された商標は存在しない。
(b)第1審原告による「東京べったら漬」表示の使用状況
第1審原告が「東京べったら漬」の表示を付して販売している商品は,単に「東
京べったら漬」と表記した表示がされているのではなく,必ず,「東京新高屋」と一
体的に表示して使用がされている。
第1審原告は,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」が,第1審原告の
商号を使わない形で,新聞記事や新聞広告に第1審原告の商品名として記載された
と主張する。しかし,第1審原告が引用する新聞記事及び宣伝広告においては,第
1審原告の商品について,第1審原告の商号ないし第1審原告を指し示す「同社」
等と表記した記載と「東京べったら漬」,「東京ゆずべったら漬」と表記した記載と
が一体表示されているものであり,第1審原告の商号と無関係に「東京べったら漬」
ないし「東京ゆずべったら漬」が表示されている新聞記事及び宣伝広告は存在しな
い。また,第1審原告による宣伝広告の媒体は,食品新聞,食料新聞及び食品経済
新聞であり,その購入者は業界関係者のみであって,一般消費者が購入するもので
はない。
(c)他社による「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の使用状況
「東京べったら漬」の表示を使用していたのは,金久及び第1審原告のみではな
く,鈴木食品ほか11社が「東京べったら漬」と表記した表示を付した商品を製造,
販売していた。
鈴木食品の「東京べったら漬」の1年間の売上額は,2億円を上回るものであり,
その販売個数は,約125万個である。また,ゆず風味のべったら漬けは,第1審
原告の他に,鈴木食品など7社が販売しており,第1審原告のみが「東京ゆずべっ
たら漬」なる表示を独占的に使用している事実はない。
(d)「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示の周知性とべったら
市との関係
第1審原告は,べったら市の周知性の向上に伴い,第1審原告のべったら漬け商
品の周知性が向上したと主張する。
しかし,べったら市では,「べったら漬け」と表記した商品が紹介されているもの
であり,これにより,「べったら漬け」と表記した商品の一般的名称としての周知性
が向上するとしても,「東京べったら漬」の周知性が向上するわけではない。また,
第1審原告の商品等表示である「東京新高屋の東京べったら漬」の周知性が向上す
るわけでもない。
また,第1審原告は,第1審原告又は第1審原告の商品を取り上げたテレビ番組
や新聞記事の存在について主張する。これらは,べったら市に関するものであるか,
又は,べったら漬けと表記した商品を一般的に紹介する中で付随的に第1審原告の
商品に触れているにすぎず,これによって,「東京べったら漬」,又は,第1審原告
の商品等表示である「東京新高屋の東京べったら漬」が周知であるとはいえない。
(イ)原告表示1-2及び同2-2は商品等表示性を有しないこと
不競法2条1項1号所定の「商品等表示」というためには当該表示が出所表示機
能や自他商品識別機能を具備していることが必要となる。
原告表示1-2及び同2-2の原形は,平成17年になってから初めて使用され
たものである。すなわち,第1審原告が原告商品(「東京べったら漬」の表示を付し
たべったら漬け)の販売を始めたのは平成14年からではあるが,平成14年から
平成17年までに第1審原告がべったら漬けに使用していたのは原告表示1-2と
は異なり,第1審原告は平成17年12月に入り初めて原告表示1-2の包装表示
の使用を開始した。また,原告表示1-2及び同2-2も平成21年に赤い切り口
を加えるなどの変遷があった。
原告表示1-2に類似するデザインは多数存在するものであり,「東京べったら
漬」の包装表示としては,古くから一般的に使用されている,ありふれた表示態様
であって何ら特徴がなく,識別性はないし,第1審原告は,原告表示1-2のみを
自己の「東京べったら漬」の包装表示として独占的に統一して長年継続して使用し
ていたものではない。
むしろ,原告表示1-2においては,「東京新高屋」なる屋号が商品識別機能と出
所表示機能を具備するものであると評価されるべきである。この種「べったら漬」
は古く(江戸時代)から多種類の商品が販売され,かつ包装パックも略同形態であ
り,しかも現在も「東京べったら漬」と表記した商品ですら多数の会社から同種の
包装表示からなる商品が販売されている状況に鑑みると,需要者,特に一般消費者
にとって商品の識別標識や出所表示機能を発揮するのは,この種包装パックに表示
されている,各社の商号や屋号にある。したがって,商品表示1-2として評価さ
れるのは,第1審原告の屋号である「東京新高屋」の表示にあり,当該屋号を除く
包装表示のデザインに商品等表示性はない。この点は,原告表示2-2についても
同様である。
以上のとおり,原告表示1-2及び同2-2は出所表示機能及び自他商品識別機
能を具備せず,商品等表示性は認められない。
(ウ)原告表示1-2ないし1-4及び同2-2の周知性について
a原告表示1-2の周知性について
(a)販売個数と販売額について
第1審原告が,原告表示1-2の原形を用いたのは,平成17年12月に入って
からであり,原告表示1-2自体を用いたのは,平成21年になってからである。
したがって,平成14年から平成17年の期間中における原告表示1-2の販売数
量及び販売額に関する推定数値は大幅に減少して計算すべきであるし,原告表示1
-2に限定した販売額は,当該表示の使用開始は平成21年以降であることから,
その販売数量及び販売額は平成21年になってからのもののみを計上して計算すべ
きである。
(b)売上高と市場占有率
全売上市場の約2割程度の市場占有率は,小さいものであって,周知性を肯定す
る根拠とはなり得ない。
また,原告商品1-2の原形ですら全く販売されていない平成14年から平成1
7年末までの販売数と販売額をゼロ評価するならば,原告商品1-2が「東京べっ
たら漬」の商品全体に占める売上高がわずか約1割程度となり,より一層原告商品
1-2の市場におけるシェアは極めてわずかになる。
さらに,需要者にとっては「べったら漬」と「東京べったら漬」に区分して商品
を選別するものではないことからすれば「べったら漬」の市場は全ての「べったら
漬」の売上高における原告表示1-2の商品の市場占有率で評価すべきである。全
ての「べったら漬」の市場からみれば原告表示1-2の商品の市場占有率は,たか
だか1割以下の占有率しかなく,この程度の占有率をもって周知性が認められるこ
とはあり得ない。
(c)原告商品1-2の宣伝広告
原告商品1-2の原形について宣伝広告が開始されたのは,平成17年12月2
日が初めてであり,それ以前の平成14年ないし平成17年12月までの間に原告
商品1-2の宣伝広告の事実は一切ない。
第1審原告主張に係る広告が掲載されたのは,いずれも食品業界の業界紙に属す
る食料新聞,食品新聞,食品経済新聞であり,一般消費者の目に触れることがない
といえる。
スーパーのちらしは,小売店であるスーパーマーケットが自己の小売役務に関す
る情報を伝える目的で作成,頒布するものであり,第1審原告が商品についての情
報を伝えるものとは,性質において異なる。チラシの掲載面には,多数の他社商品
が同時に掲載されており,また,「東京新高屋」及び「東京べったら漬」の文字と価
格が目立つように掲載され,原告表示1-2は,目立つような広告宣伝がされてい
ない。スーパーのちらしにより,原告表示1-2の周知性を認めることはできない。
b原告表示2-2について
原告表示2-2についても,同1-2と同様の理由により,周知性はない。原告
表示2-2の原形を表示した商品は,平成17年12月2日以降から販売が開始さ
れたものであり,原告表示2-2を表示した商品は平成21年になって販売された。
甲151号証の第1審原告の陳述書の表には,平成14年から平成17年までの販
売数と販売額が推定として記載されているが,かかる記載は明らかに事実に反する。
「ゆずべったら漬」は鈴木食品等他社も販売しているものであるから,ゆずべっ
たら漬市場全体における第1審原告の市場占有率を検討するべきである。
c原告表示1-3及び同1-4について
原告表示1-3及び同1-4についても周知性は認められない。」
(4)原判決「(4)争点4(原告の損害)について」(59頁13行目から68頁
23行目まで)を,次のとおり改める。
「(4)争点4(第1審原告の損害)について
[参加人の主張]
ア第1審被告らの共同行為
第1審被告備後漬物は,平成21年9月以前から原告商品を取り扱っていた。第
1審被告東京漬膳は,第1審被告備後漬物の役員によって設立され,かつ役員を共
通にする会社である。したがって,被告らには,不競法2条1項13号及び同1号
の不正競争行為を行うにつき,故意又は過失がある。また,被告らの行為は,客観
的に共同でされたものである。
イ平成21年9月1日から平成22年6月18日までの損害
(ア)被告商品イないしハに係る第1審被告らの利益●●円
第1審被告らが平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に被告商
品イないしハの販売により得た利益の額は●●円(第1審被告東京漬膳につき●●
円,第1審被告備後漬物につき●●円)である。
(イ)被告商品ニに係る第1審被告らの利益333万0000円
a第1審被告東京漬膳は,被告商品ニを,鈴木食品から1個当たり平均●●円
で購入し,第1審被告備後漬物に対し,1個当たり平均●●円で販売している(甲
184)。第1審被告東京漬膳は実体のない会社であり,各種の経費は,親会社であ
る第1審被告備後漬物が支出しているため,粗利益がそのまま第1審原告の「損害」
として推定される「利益」の額である。
第1審被告備後漬物は,被告商品ニの販売については,卸売の立場にあり,当該
販売について支出する経費率は,第1被告東京漬膳による鈴木食品からの仕入額の
●●%程度である(甲184)。
よって,第1審被告らは,被告商品ニの販売について,合計で,1個当たり少な
くとも平均●●円の利益を得ている。
b第1審被告らは,次のとおり,被告商品ニを販売している(甲184)。
・平成21年9月から同年12月まで約●●個以上
・平成22年1月から本訴提起日(同年6月18日)まで約●●個以上
c以上のとおり,第1審被告らが,平成21年9月1日から平成22年6月1
8日までの期間に,被告商品ニの販売により得た利益(限界利益)額の合計は,約
金333万円(●●円×●●個)を下らない。これは第1審原告の得べかりし利益
と推定される。
(ウ)弁護士費用
弁護士費用としては36万円が相当である。
(エ)一般不法行為による場合の損害についても同額と推定するべきである。
(オ)よって,参加人は第1審被告らに対して,連帯して,前記(ア)及び(ウ)の合計
390万8296円及びこれに対する平成22年6月29日から支払済みまで民法
所定の年5分の割合による遅延損害金,並びに,(イ)の333万円及びこれに対する
平成23年4月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の
各支払を請求する。
ウ平成22年6月19日以降の損害
(ア)被告商品イないしハに係る第1審被告東京漬膳の利益
●●円
別表1のとおり,第1審被告東京漬膳は,鈴木食品に対し,平成21年9月1日
から平成23年3月31日までの間に,被告商品イないしハの代金として,合計●
●円(消費税は含まない。)を支払っている。
他方,別表2のとおり,第1審被告東京漬膳は,この間に第1審被告備後漬物に
販売した被告商品イないしハの代金として,第1審被告備後漬物から,合計●●円
(消費税は含まない。)の支払を受けている。
したがって,第1審被告東京漬膳がこの間に被告商品イないしハの販売により得
た利益の額は,●●円(●●円-●●円)となる。
第1審被告東京漬膳が平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に
被告商品イないしハの販売により得た利益の額は●●円であるから(前記イ(ア)),
平成22年6月19日から平成23年4月1日までの間に第1審被告東京漬膳が被
告商品イないしハの販売により得た利益の額は,●●円(●●円-●●円)となる。
(イ)被告商品イないしハに係る第1審被告備後漬物の利益
●●円
別表2のとおり,第1審被告備後漬物は,平成21年9月1日から平成23年3
月31日までの間に,被告商品イないしハの販売により合計●●円の売上げを得て
いる。
一方,別表2のとおり,同期間中に第1審被告備後漬物が第1審被告東京漬膳に
支払った被告商品イないしハの代金額は,合計●●円である。
第1審被告備後漬物は,第1審被告東京漬膳から購入した被告商品イないしハを
全国の取引先に販売するに当たり,商品の運搬費,センターフィー,リベート,デ
ータ処理料及び特売条件による負担などとして,同期間中に,別表2のとおり,合
計●●円を支出した。これらの費用は,被告商品イないしハの販売のために追加的
に増加した費用であるから,第1審被告備後漬物の利益を算定するに当たって控除
される。
したがって,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に第1審被
告備後漬物が被告商品イないしハの販売により得た利益の額は,●●円(●●円-
●●円-●●円)となる。
第1審被告備後漬物が平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に
被告商品イないしハの販売により得た利益の額は●●円であるから(前記イ(ア)),
平成22年6月19日から平成23年4月1日までの間に第1審被告備後漬物が被
告商品イないしハの販売により得た利益の額は,●●円(●●円-●●円)となる。
(ウ)被告商品ニに係る第1審被告らの利益●●円
第1審被告らは,平成22年6月19日から平成23年4月1日までの間に,被
告商品ニについて,少なくとも金●●円の利益を挙げている。
(エ)一般不法行為による場合の損害についても同額と推定するべきである。
(オ)よって,参加人は第1審被告らに対して,連帯して,前記(ア)ないし(ウ)の合
計709万9207円及びこれに対する平成23年4月2日から支払済みまで民法
所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求する。
[第1審被告らの認否,反論]
ア[参加人の主張]アの第1文は認め,第2文は否認し又は争う。
イ[参加人の主張]イ(ア)は認め,その余は否認し又は争う。
ウ[参加人の主張]ウは否認し又は争う。
エ被告商品の販売に対する被告包装の寄与度
被告商品の売上げ及び利益の獲得には,次のとおり,第1審被告備後漬物の独自
の営業努力,信用,被告商品自体の品質の高さなどが寄与するところが大きい。被
告商品の販売に対する被告包装の寄与は,皆無であるか,又は極めて小さいもので
ある。
(ア)第1審被告備後漬物の業態及び販売地域
被告商品は,第1審被告東京漬膳が鈴木食品から購入した商品のすべてが第1審
被告備後漬物に販売され,第1審被告備後漬物の販売網を通じて,卸業者や小売業
者に販売された。被告商品の売上げは,その約85%が西日本地域におけるもので
ある。
第1審被告備後漬物は,昭和21年に広島県で創業して以来,西日本を中心に,
卸売業者や小売業者に対して各種漬物を販売しており,特に,キムチに関しては,
その売上げや販売数量は日本でトップクラスである。第1審被告備後漬物は,被告
商品の販売に際しても,西日本における同社の営業網や営業力の強みを生かし,そ
の販売力や販売網を駆使することによって,その売上げを伸ばした。
(イ)被告商品の品質
被告商品は,「味」が決め手となる「漬物」である。需要者は,被告商品の「味」
を選択して被告商品を購入するものであり,被告包装に着目して被告商品を購入す
るわけではない。また,被告商品は食品であるから,「安全」,「安心」という点も,
需要者が商品を購入する強い動機となる。
この点,第1審被告備後漬物が販売する漬物は,「味」が良いということだけでな
く,「安心・安全な漬物」として広く認知されている。第1審被告備後漬物の主力商
品であるキムチが,国際的な品評機関である「モンドセレクション」の金賞を受賞
している事実は,このことを端的に示している。また,被告商品イは,モンドセレ
クションの2011年度銀賞を受賞しており,同商品自体も高い品質を有する。
被告商品の売上げには,このような,「高品質な漬物を長年にわたって提供してき
た備後漬物が販売する漬物」であるという需要者の信頼及び被告商品の品質の高さ
が,大きく寄与している。
(ウ)第1審被告備後漬物の提案力,企画力
第1審被告備後漬物は,長年の営業経験を生かし,各取引先に対し,商品展示方
法や商品の陳列方法等について独自な提案を行っており,これらの提案力や企画力
が取引先に評価され,売上げを伸ばしている。被告商品の売上げの向上は,第1審
被告備後漬物の企画力や提案力という,他社にはない独自な営業手法が功を奏した
ものである。
(エ)被告商品の販売形態
スーパー等の小売店の陳列棚には,通常,特定の1社のべったら漬けのみが陳列
される。そのため,べったら漬けの販売(仕入れ)に当たっては,仕入担当者(購
入者)との人的関係,商品の企画力・品質・価格等が,最大の要因となる。
このような事情の下で,被告商品の売上げについては,前記(ア)ないし(ウ)の第1
審被告備後漬物の人的ネットワーク・営業網・販売網,被告商品の品質の高さ,第
1審被告備後漬物の企画力こそが寄与したものであり,商品の包装に着目して商品
が購入されることはほとんどない。
(オ)被告包装の色彩及び「東京漬膳の」との表示
「べったら漬け」及び「東京べったら漬」を販売している各社の商品包装の色彩
は,ほとんどが「緑色」である。これに対し,イ号包装の色彩は,従来の包装には
存在しない「青色」を採用したため,取引先業者の目にとまり,イ号包装を使用し
た被告商品の売上げに貢献した。
また,被告包装には,「東京漬膳の」との表示が,購入者から一見して明らかな態
様で明記されているため,購入者が被告商品を第1審原告の商品と誤認することは
考え難い。
(カ)被告商品の包装表示
べったら漬け及び東京べったら漬けは,第1審原告及び第1審被告ら以外にも多
数の企業が販売し,その包装表示は,「屋号」や「商号」を除き,各社が独自に,又
は類似するものを用いているが,包装表示にとって重要な表示は,その出所識別標
識としての販売業者の「屋号」や「商号」であって,包装デザインではない。
また,本件では,原告表示1-1(「東京べったら漬」)及び同2-1(「東京ゆず
べったら漬」)には出所表示機能や自他商品識別機能がないため,この表示を度外視
した包装表示が,被告商品の需要を喚起せしめて商品の販売に寄与した程度が検討
されなければならない。このような見地からすると,被告包装の被告商品の販売に
対する寄与は,皆無であるといえる。」
第3当裁判所の判断
当裁判所も,原告表示1-2及び2-2については,周知の商品等表示であり,
イ号包装ないしハ号包装を用いた商品を譲渡する等の第1審被告らの行為は,不競
法2条1項1号に該当するものと判断する(なお,不競法2条1項13号,民法7
09条には該当しないと解する。)。
その理由は,次のとおり付加訂正する他は,原判決の68頁24行目から97頁
12行目までを引用する。
1原判決の74頁17行目から75頁18行目までを削除する。
2原判決76頁12行目に「前記(1)イ」を「前記1(1)イ」と改め,21行目
から22行目にかけての「133,」を削除する。
3原判決の79頁25行目から82頁1行目までを,以下のとおり改める。
「ウ原告表示1-2(「東京べったら漬」の包装に用いられた文字及びデザイン)
及び同2-2(「東京ゆずべったら漬」の包装に用いられた文字及びデザイン)につ
いて
(ア)証拠(甲1,2,6,7,32ないし38,49ないし103,107ない
し119,130,133,134,139ないし141,151,157の1,
195,196,乙67,68)及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認めら
れる。
a原告表示1-2を包装に用いた原告商品1-2の販売個数等
(a)第1審原告は,平成14年12月に金久から金久のべったら漬け事業を譲り
受け,「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬けの販売を開始した。販売が開
始されてから,平成17年8月30日の出荷分までの間,第1審原告は,後に原告
商品1-2となる商品に次の表示(以下「旧々1-2表示」という。)を付していた。
原告表示1-2と旧々1-2表示とを対比すると,原告表示1-2には包装の右
下部分の江戸時代の日本橋を描いた白黒の図画があるのに対して,旧々1-2表示
にはそれがない点,原告表示1-2では,「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤
色の暖簾に白抜きで表示されているのに対して,旧々1-2表示では,「東京新高屋」
の5文字のみが赤色で表示されている点,原告表示1-2では包装の下辺に緑色で
凹凸状に縁取りがされているのに対して,旧々1-2表示では包装の右下部分に緑
色でアーチ状の模様が描かれている点,旧々1-2表示では包装の左上にも同様の
アーチ状の模様が描かれているのに対して,原告表示1-2にはそれがない点等で
相違するが,その他(中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,「東京べったら漬」
の文字が,黒色・同書・同大の毛筆字体で,横一列に書かれている点を含む。)の点
は同一である。
(b)第1審原告は,平成17年8月31日以降の出荷分から平成21年1月まで
の出荷分について,後に原告商品1-2となる商品に次の表示(以下「旧1-2表
示」という。)を付していた。
原告表示1-2と旧1-2表示とを対比すると,原告表示1-2には包装の左上
下に赤色の切り口を示す表示があるのに対して,旧1-2表示にはこれがない点,
旧1-2表示には「漬」の字の下に「全糖」との記載があるが原告表示1-2では
これがない点などの僅かな相違があるが,その他(中央部に大きくはっきりと目立
つ態様で,「東京べったら漬」の文字が,黒色・同書・同大の毛筆字体で,横一列に
書かれている点を含む。)の点は同一である。
(c)第1審原告は,平成21年2月出荷分からは原告商品1-2に原告表示1-
2を付している。旧々1-2表示,旧1-2表示,原告表示1-2が付された商品
は,いずれも商品コード(JANコード)が同一で,第1審原告社内では,同一の
商品として取り扱われていた。第1審原告は,多様な包装で,多種類のべったら漬
けを製造販売しており,原告商品1-2についても,べったら市の季節には,原告
表示1-2の左上にべったら市の風景の写真を印刷した包装を用いていた。
(d)旧々1-2表示,旧1-2表示又は原告表示1-2が付された商品の平成1
4年から平成21年7月までの期間における販売数の合計は,約890万個である。
また,その販売額の合計は約14億円であり,1年間の売上額は約3億円である。
また,旧1-2表示の使用が開始された後である平成18年8月から平成21年7
月までの期間については,販売数の合計が約470万個,販売額合計は約7億円で
ある。
b原告表示2-2を包装に用いた原告商品2の販売個数等
(a)第1審原告は,平成17年10月に,「東京ゆずべったら漬」の表示を付し
た商品の販売を開始した。平成17年10月から平成21年1月までの出荷分の商
品については原告表示2-2とは赤い切り口を示す表示の有無及び「全糖」と文字
の有無等が異なる次の包装(以下「旧2-2表示」という。)が使用され,その後原
告表示2-2の使用が開始された。
(b)第1審原告は,平成18年8月から平成21年7月までの間に,旧2-2表
示又は原告表示2-2が付された商品を約55万個販売した。その販売額の合計は,
約9000万円であり,1年間の売上額は約4000万円である。第1審原告が販
売する商品の中でゆず風味の商品は,旧2-2表示又は原告表示2-2が付された
商品のみである。
c原告商品1-2及び原告商品2の宣伝広告等
(a)第1審原告は,漬物業界の業界誌である食料新聞,食品新聞及び食品経済新
聞の新聞広告に広告を掲載しており,平成14年12月以降は,旧々1-2表示,
旧1-2表示及び原告表示1-2を含む第1審原告の商品を,平成17年10月こ
ろからは,旧2-2表示及び原告表示2-2を含む第1審原告の商品を宣伝広告し,
各包装の写真も多数回掲載された。
(b)スーパー等の小売店が配布するちらし等に原告商品が掲載されることがあ
り,その際には原告商品1-2を含む原告商品1及び原告商品2の写真が掲載され
ることもあった。また,第1審原告は,小売店向けに販売促進用の各種小物を提供
している。
d原告表示1-2の包装の文字及びデザインの特徴
(a)原告表示1-2
原告表示1-2の包装には,商品の特徴等を説明した部分を除くと,次のとおり
のデザイン及び色彩等における特徴がある。
Ⅰ透明な包装パックに印刷されている。
Ⅱ中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,「東京べったら漬」の文字が,黒色・
同書・同大の毛筆字体で,横一列に書かれている。また,「東京べったら漬」の文字
の略中央部分の上方側に,「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤色の暖簾に白抜
きで,横一列に表示されている。上記暖簾の左側には,やや小さく「東京・日本橋」
と表示されている。
Ⅲ「東京べったら漬」の文字の下には,緑色の太い横線が引かれている。
Ⅳ下部には,左端から右端に至るまで,緑色及び白色の波状の模様が記されて
いる。包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色の印が記されている。
Ⅴ右下部には,包装の下辺に緑色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に,
江戸時代の日本橋を描いた白黒の図絵(橋の上に江戸時代の人々が描かれ,橋の上
部に空が広がっている。)が記されている。
(b)原告表示2-2の包装には,商品の特徴等を説明した部分を除くと,次のと
おりのデザイン及び色彩等の特徴がある。
Ⅰ透明な包装パックに印刷されている。
Ⅱ中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,「東京ゆずべったら漬」の文字が,
黒色・同書・同大の毛筆字体で,横一列に書かれている。また,「東京ゆずべったら
漬」の文字の略中央部分の上方に,「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤色の暖
簾に白抜きで,横一列に表示されている。上記暖簾の左側には,やや小さく「東京・
日本橋」と表示されている。
Ⅲ「東京ゆずべったら漬」の文字の下には,黄色の太い横線が引かれている。
Ⅳ下部には,左端から右端に至るまで,黄色及び白色の波状の模様が記されて
いる。包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色の印が記されている。
Ⅴ透明な部分には,やや弓なりの黄色の曲線が,細いゆず皮が宙を舞うように
複数描かれている。
Ⅵ右下部には,包装の下辺に黄色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に,
江戸時代の日本橋を描いた白黒の図絵(橋の上に江戸時代の人々が描かれ,橋の上
部に空が広がっている。)が記されている。
(イ)判断
a商品等表示性について
上記認定に係る第1審原告の販売態様,宣伝態様等を総合すると,原告表示1-
2及び原告表示2-2の包装は,デザイン及び色彩において,前記(ア)d(a),(b)
に指摘したとおりの特徴があり,したがって,同特徴を備えた包装の図柄は,第1
審原告の商品等であることを示す商品等表示性を有すると解することができる。
b原告表示1-2及び同2-2の周知性について
旧1-2表示と原告表示1-2との相違点については,前記(ア)a(b)のとおりで,
その差異は隔離的観察では明らかではないから,原告表示1-2の周知性を検討す
るに当たっては,両者を同一のものととらえることができる(もっとも,旧々1-
2表示と,原告表示1-2とは,その外観における相違点に照らして,必ずしも同
一とはとらえることができず,第1審原告により,旧々1-2表示が使用されてい
たことを,当然に考慮すべきとまではいえない。)。また,旧2-2表示と原告2-
2表示との相違点については,前記(ア)b(a)のとおりであって,同様に両者を同一
のものとしてとらえることができる。
第1審原告は,平成17年8月31日以降に旧1-2表示の使用を開始して以来
平成21年7月までの間において,原告表示1-2又は旧1-2表示をその包装に
付した商品を,全国各地のスーパー等において大量に販売していたこと,また,数
多くの一般顧客が原告表示1-2又は旧1-2表示に触れることにより,前記(ア)
d(a),(b)のデザイン及び色彩における特徴は,多くの顧客により認識され,記憶
されたと考えられる。原告表示1-2又は旧1-2表示をその包装に付した商品の
売上高は,前記(ア)a(d)のとおりであって,年間30億円から40億円と推定され
るべったら漬けの市場の中で,単一商品のみで,1割程度のマーケットシェアを有
する商品であること,新聞広告等にも原告表示1-2又は旧1-2表示が掲載され
ていたことからすると,原告表示1-2は,被告商品の販売が開始された平成21
年9月1日ころには,第1審原告の商品を表すものとして需要者(全国の卸売業者,
小売業者,一般消費者)の間に広く認識されていたといえ,その状態は現時点にお
いても継続しているものといえる。
また,第1審原告は,平成17年10月に旧2-2表示の使用を開始してから平
成21年7月までの間に,原告表示2-2又は旧2-2表示をその包装に付した商
品を全国各地のスーパー等において1年を通じて販売していること,原告表示2-
2又は旧2-2表示は,原告表示1-2又は旧1-2表示と対比すると,色調や「ゆ
ず」との語の有無の相違を別にすれば,前記(ア)d(a),(b)の文字及びデザインにお
ける特徴を共通にすることから,原告表示2-2についても,第1審原告の商品の
出所を表示するものとして,周知性を獲得しているということができる。」
4原判決の93頁1行目の「(ア)被告東京漬膳の利益」を「(ア)平成21年
9月1日から平成22年6月18日までの第1審被告東京漬膳の利益」に,同19
行目の「(イ)被告備後漬物の利益」を「(イ)平成21年9月1日から平成22年
6月18日までの第1審被告備後漬物の利益」に改める。
5原判決の94頁15行目末尾に改行の上,次のとおり挿入する。
「(ウ)平成22年6月19日から平成23年4月1日までの第1審被告東京漬膳
の利益
別表1のとおり,第1審被告東京漬膳は,鈴木食品に対し,平成21年9月1日
から平成23年3月31日までの間に,被告商品イないしハの代金として,合計●
●円(消費税は含まない。)を支払っている。
他方,別表2のとおり,第1審被告東京漬膳は,この間に第1審被告備後漬物に
販売した被告商品イないしハの代金として,第1審被告備後漬物から,合計●●円
(消費税は含まない。)の支払を受けている。
したがって,第1審被告東京漬膳がこの間に被告商品イないしハの販売により得
た利益の額は,●●円(●●円-●●円)となる。
第1審被告東京漬膳が平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に
被告商品イないしハの販売により得た利益の額は●●円であるから(前記(ア)),同
月19日から平成23年4月1日までの間に第1審被告東京漬膳が被告商品イない
しハの販売により得た利益の額は,●●円(●●円-●●円)となる。
(エ)平成22年6月19日から平成23年4月1日までの第1審被告備後漬物
の利益
別表2のとおり,第1審被告備後漬物は,平成21年9月1日から平成23年3
月31日までの間に,被告商品イないしハの販売により合計●●円の売上げを得て
いる。
一方,別表2のとおり,同期間中に第1審被告備後漬物が第1審被告東京漬膳に
支払った被告商品イないしハの代金額は,合計●●円である。
第1審被告備後漬物は,第1審被告東京漬膳から購入した被告商品イないしハを
全国の取引先に販売するに当たり,同期間中に,別表2のとおり,合計●●円の費
用を支出した。
したがって,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に第1審被
告備後漬物が被告商品イないしハの販売により得た利益の額は,●●円(●●円-
●●円-●●円)となる。
第1審被告備後漬物が平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に
被告商品イないしハの販売により得た利益の額は●●円であるから(前記(イ)),同
月19日から平成23年4月1日までの間に第1審被告備後漬物が被告商品イない
しハの販売により得た利益の額は,●●円(●●円-●●円)となる。」
6原判決の95頁13行目から96頁14行目までを,次のとおり改める。
「ウ被告商品の販売に対する被告包装の寄与度
被告商品の売上げには,第1審被告備後漬物の品質,営業努力及び信用等も寄与
したと解されるから,被告らが被告商品から得た利益の全てが,被告包装の表示態
様等によるとすることはできない。本件に現れた全ての事情を考慮すると,被告包
装の寄与の割合は第1審被告らが被告商品から得た利益の20パーセントとするの
が相当である。」
7原判決97頁3行目に「36万円」とあるのを「10万円」と訂正する。
8原判決の97頁4行目から8行目までを,次のとおり改める。
「(3)小括
したがって,第1審被告らは,参加人に対し,連帯して,平成21年9月1日か
ら平成22年6月18日までの期間に対応する損害及び弁護士費用として80万9
659円((●●円+●●円)×20%+10万円)及びこれに対する不正競争の後の
日である同月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,
並びに,同月19日から平成23年4月1日までの期間に対応する損害として75
万3841円((●●円+●●円)×20%)及びこれに対する不正競争の後の日であ
る同月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義
務がある。」
9よって,参加人の請求は,主文第1項ないし4項の限度で理由があるから,
この限度で認容し,その余の請求については,理由がないから棄却することとし,
仮執行宣言については,主文第4項にのみ付するのを相当と認めて,主文のとおり
判決する。なお,原判決は失効しているから,主文においてその旨を明らかにした。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官
飯村敏明
裁判官
八木貴美子
裁判官
小田真治

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