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平成28年2月9日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成26年(ワ)第34227号損害賠償請求事件
口頭弁論の終結の日平成27年10月7日
判決
原告アダプティックスインコーポレイテッド
同訴訟代理人弁護士飯田秀郷
隈部泰正
森山航洋
清水紘武
同訴訟代理人弁理士黒田博道
北口智英
被告日本電気株式会社
同訴訟代理人弁護士片山英二
本多広和
梶並彰一郎
同訴訟代理人弁理士黒川恵
同補佐人弁理士相田義明
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
第1請求
被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成27年1月9日から支
払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,発明の名称を「グループベースのサブキャリア割当による多重キャ
リア通信」とする特許権を有する原告が,被告による別紙物件目録記載の基地
局装置(以下「被告製品」という。)の製造,販売等は原告の特許権を侵害し,
又は侵害するものとみなされると主張して,被告に対し,不法行為に基づき,
民法709条及び特許法102条3項に基づく損害賠償金の一部として1億円
及びこれに対する不法行為後である平成27年1月9日(訴状送達の日の翌
日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求
める事案である。
1前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)
(1)本件特許権
原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,これに係る特許を「本
件特許」という。また,本件特許出願の願書に添付された明細書(後記(2)
記載のとおり訂正されたもの。)を「本件明細書」という。)を有している
(甲1,2の1・2)。
特許番号第4031707号
発明の名称グループベースのサブキャリア割当による多重キャリア通信
出願日平成13年12月13日
優先日平成12年12月15日(優先権主張番号09/73
8,086,優先権主張国米国)
平成13年4月17日(優先権主張番号09/837,
337,優先権主張国米国)
登録日平成19年10月26日
(2)特許請求の範囲の記載
本件特許の特許請求の範囲の請求項4及び9の記載は,次のとおりである
(以下,請求項4の発明を「本件発明4」,請求項9の発明を「本件発明
9」といい,これらを併せて「本件発明」という。)。なお,原告は,本件
発明につき特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審判を請求し,平成24
年10月9日に訂正を認める旨の審決がされた。以下の各請求項の記載内容
はその訂正後のものである(訂正部分に下線を付した。)(甲1,2の
2)。
ア請求項4
直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用しているシステムの
ためのサブキャリア選択の方法において,
複数のサブキャリアを,複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで
構成された複数のグループに分割する段階と,
前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択
の表示を受信する段階と,
前記加入者からサブキャリアのクラスタの1つ又は複数のグループに関
するフィードバック情報を受信する段階であって,前記フィードバック情
報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,エラー修正でエンコードされ
る,前記段階と,
前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なく
とも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる段
階と,
から成ることを特徴とする方法。
イ請求項9
複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグルー
プの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示と,サブキャ
リアのクラスタから成る前記1つ又は複数のグループに関する前記加入者
からのフィードバック情報と,を受信する,クラスタ割当制御装置であっ
て,前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,エ
ラー修正でエンコードされており,前記クラスタ割当制御装置は,更に,
前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくと
も1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる,前
記クラスタ割当制御装置と,
前記クラスタ割当制御装置に接続されて,前記加入者によって使用され
る前記1つ又は複数のクラスタのグループにおける前記少なくとも1つの
クラスタを表示するような通知を前記加入者へ送信する,直交周波数分割
多重(OFDMA)トランシーバと,
を備えることを特徴とする装置。
(3)本件発明の構成要件
本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構
成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件4A」のようにいう。)。
ア本件発明4
4A直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用しているシステ
ムのためのサブキャリア選択の方法において,
4B複数のサブキャリアを,複数のサブキャリアから成る複数のクラス
タで構成された複数のグループに分割する段階と,
4C前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による
選択の表示を受信する段階と,
4D前記加入者からサブキャリアのクラスタの1つ又は複数のグループ
に関するフィードバック情報を受信する段階であって,
4E前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,
エラー修正でエンコードされる,前記段階と,
4F前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少
なくとも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り
当てる段階と,から成ることを特徴とする方法。
イ本件発明9
9A複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグ
ループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示と,
9Bサブキャリアのクラスタから成る前記1つ又は複数のグループに関
する前記加入者からのフィードバック情報と,を受信する,
9Cクラスタ割当制御装置であって,
9D前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,
エラー修正でエンコードされており,
9E前記クラスタ割当制御装置は,更に,前記加入者が選択した1つ又
は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを前記
加入者との通信に使用するために割り当てる,前記クラスタ割当制御
装置と,
9F前記クラスタ割当制御装置に接続されて,前記加入者によって使用
される前記1つ又は複数のクラスタのグループにおける前記少なくと
も1つのクラスタを表示するような通知を前記加入者へ送信する,
9G直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバと,を備えること
を特徴とする装置。
(4)被告の行為
被告は,業として,被告製品を製造し,販売している。
第3世代移動通信システムの標準化組織の一つが3GPPであるところ,
3GPPにおける第3世代(3G)移動通信システムの長期的高度化システ
ムであるLTE(LongTermEvolution)通信規格が採
用する通信システム方法は,構成要件4Bを充足し,LTE通信規格に準拠
する基地局は,構成要件9F,9Gを充足する。
2争点
原告は,被告製品が用いられる通信システム方法は,LTE通信規格に準拠
しており,LTE通信規格が採用する通信システム方法(以下「本件通信シス
テム方法」という。)及びこれに準拠する基地局(以下「本件基地局装置」と
いう。)は,別紙「本件通信システム方法の特徴」及び別紙「本件基地局装置
の特徴」各記載のとおりの構成を有するとし(以下,上記各別紙記載の各構成
を「特徴4a」などという。),本件通信システム方法は本件発明4の技術的
範囲に属するから,被告製品は特許法101条5号により本件発明4に係る特
許権を侵害するものとみなされ,また本件基地局装置は本件発明9の技術的範
囲に属するから,被告製品は本件発明9に係る特許権を直接侵害すると主張し
ている。これに対し,被告は,被告製品が用いられる通信システム方法及び被
告製品の具体的構成と本件発明との対比を行うまでもなく,原告の主張する本
件通信システム方法及び本件基地局装置の構成は本件発明の各構成要件を充足
しないことが明らかであるなどと主張する。したがって,本件の争点は,以下
のとおりである。
(1)本件通信システム方法及び本件基地局装置は本件発明の技術的範囲に属
するか
(2)間接侵害の成否
(3)本件発明に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認め
られるか
(4)原告の損害額
3争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(本件通信システム方法及び本件基地局装置は本件発明の技術的
範囲に属するか)について
(原告の主張)
ア構成要件4A,9A,9C等の「サブキャリア」ないし「クラスタ」充
足性について
本件通信システム方法及び本件基地局装置におけるリソース・ブロック
は,本件発明におけるクラスタに相当し,その選択は,リソース・ブロッ
クを構成するサブキャリアを選択することに相当する。本件発明における
クラスタは,リソース・ブロックと同様に,周波数軸と時間軸の二次元で
定義されたものとして理解されるべきであるから,両者が異なるとする被
告の主張には理由がない。よって,本件通信システム方法及び本件基地局
装置は,構成要件4A,9A,9C等の「サブキャリア」ないし「クラス
タ」を充足する。
イ構成要件4C,9A充足性について
非周期的CQIレポートの高次階層設定サブバンドフィードバックモー
ドでは,ワイドバンドCQI及び全部のサブバンドについて各サブバンド
のCQIとワイドバンドCQIとの差分を示すサブバンド差分CQI値が
基地局に送信されるが,これは,ユーザ端末が,基地局に対して,全部の
サブバンドを選択したことを表示することに相当する(以下,この立場を
「解釈1」という。)。本件明細書の段落【0028】,【0040】,
【0069】には,全部のクラスタが選択されることを包含する内容の記
載があり,実質的にも,全部のサブバンドを選択してフィードバックした
方がかえってフィードバック情報量を削減できるといえる。
上記と別の立場として,特徴4c,9aのとおり,各サブバンドのCQ
IがワイドバンドCQI以上であることを示すサブバンド差分CQI値
「0,1,2」が基地局に通知されることは,ユーザ端末が,基地局に対
して,これらの値を有するサブバンドを積極的に自己に割り当てて欲しい
と請求することであり,これらのサブバンドの選択の表示に相当し,一方,
サブバンド差分CQI値が「3」(ワイドバンドCQI未満)と通知され
ることは,割当てに適さないという非選択の表示に相当する(以下,この
立場を「解釈2」という。)。基地局が,サブバンド差分CQI値「3」
のサブバンドに属するリソース・ブロックを割り当てることがあるとして
も,それはユーザ端末にとっては望んだ状況ではなく,ユーザ端末が好適
サブバンドを選択した後の統合最適化オペレーションを遂行する基地局の
行為であるから,ユーザ端末の「選択」が否定されることはないというべ
きである。また,選択の表示に加えて非選択の表示が付加されたり,選択
の好ましさの度合いが付加されたとしても,加入者による選択の表示がな
されていることに変わりはない。
よって,本件通信システム方法及び本件基地局装置は,解釈1又は2の
いずれによっても,構成要件4C,9Aを充足する。
ウ構成要件4D,4E,9B,9D充足性について
本件発明における「フィードバック情報」は,基地局からのパイロット
信号に基づき基地局にフィードバックされる通信品質に関する情報を意味
し,前記イ記載の各選択の表示がこれに相当する。本件通信システム方法
及び本件基地局装置においては,特徴4e,9dのとおり,ユーザ端末か
ら基地局に対してサブバンドCQIがワイドバンドCQIとの関係で差分
的にエンコードされることにより圧縮され,テイルバイティング畳み込み
符号により誤り訂正符号化されたものが送信されるが,これはフィードバ
ック情報に含まれる。被告は,ワイドバンドCQIとサブバンド差分CQ
I値のみが送信されており,サブバンドCQIが送信されている訳ではな
いから,フィードバック情報に該当しないと主張するが,高次階層設定サ
ブバンドフィードバックモードで報告されるべきものはサブバンドCQI
であり,その手段としてワイドバンドCQIとサブバンド差分CQI値と
いう指標が送信されているのであるから,被告の主張には理由がない。ま
た,選択の表示に加えて非選択の表示が付加されていてもフィードバック
情報であることに変わりはない。よって,本件通信システム方法及び本件
基地局装置は,構成要件4D,4E,9B,9Dを充足する。
エ構成要件4F,9E充足性について
被告製品等の計測結果によれば,本件通信システム方法及び本件基地局
装置において,基地局は,ユーザ端末に対して,前記イ記載のとおりユー
ザ端末によって選択されたサブバンドに属する12個のサブキャリアで構
成されるリソース・ブロックを少なくとも1つ割り当てる。
解釈2につき,本件発明は,基地局が,多数の加入者に対する通信を最
も効率的に行うように調整して最適化する過程で,総合的な判断によって,
加入者が選択したグループ以外のグループに属するクラスタの割当てを行
うことを許容している。構成要件4F,9Eは,「前記加入者が選択した
1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタ『の
み』を・・・割り当てる」と規定しているわけではなく,また,本件明細
書には,加入者に対するサブキャリアの割当ては基地局が総合的判断のも
とで最終決定をすることが記載されている。したがって,被告製品がサブ
バンド差分CQI値「3」のサブバンドに属するリソース・ブロックを,
サブバンド差分CQI値「0,1,2」のサブバンドに属するリソース・
ブロックと共に割り当てることがあるとしても,構成要件4F,9Eを充
足する。
よって,本件通信システム方法及び本件基地局装置において,基地局は,
ユーザ端末に対して,選択されたサブバンドに属し,クラスタに相当する
リソース・ブロックを1つ又は複数割り当てるから,本件通信システム方
法及び本件基地局装置は,構成要件4F,9Eを充足する。
オよって,本件通信システム方法及び本件基地局装置は,本件発明の全て
の構成要件を充足する。
(被告の主張)
本件通信システム方法及び本件基地局装置が,特徴4a,4b,9d,9
f,9gを備えていることは認めるが,特徴4c,4d,4e,4f,9a,
9b,9eを備えていることは否認する。特徴9cについては,被告製品の
うち,「4MB4600」については否認し,その余の被告製品について
は認める。
ア構成要件4A,9A,9C等「サブキャリア」ないし「クラスタ」充足
性について
本件通信システム方法及び本件基地局装置におけるリソース・ブロック
は,周波数軸と時間軸によって構成される二次元の広がりを持つものであ
って,本件発明における単に周波数軸によって構成されている一次元のサ
ブキャリアとは異なるから,本件通信システム方法及び本件基地局装置は,
構成要件4A,9A,9C等の「サブキャリア」ないし「クラスタ」を充
足しない。
イ構成要件4C,9A充足性について
原告の主張する選択の表示に関する2つの解釈は,矛盾する内容を含ん
でいる。本件発明は,加入者が使用に望ましいと考えるクラスタグループ
の候補を選択し,候補クラスタグループの情報を加入者から基地局へフィ
ードバックすることで,基地局によるクラスタの選択・割当ての負担を軽
減させるものであるから,構成要件4C,9Aの「加入者による選択」と
は,加入者が所望のものを選び出すものでなければならない。本件明細書
においても,常に帯域を形成する全部のクラスタグループに関する情報が
基地局に返送されるという実施形態については何ら記載されていない。し
かるに,原告が議論の対象とする非周期的高次階層設定サブバンドフィー
ドバックモードは,「N個のサブバンド」についてのサブバンド差分CQ
I値を,常に,その数値の如何に関わりなく全て報告するものであるから,
加入者が使用に望ましいと考えるものが選び出されているとはいえないし,
実質的に見ても,基地局による選択・割当ての負担を軽減し,統合最適化
に寄与するものではない。
よって,本件通信システム方法及び本件基地局装置は,構成要件4C,
9Aを充足しない。
ウ構成要件4D,4E,9B,9D充足性について
構成要件4D,4E,9B,9Dの「フィードバック情報」には,加入
者が選択したクラスタグループに含まれる各クラスタの個別の情報が含ま
れていなければならず,加入者が選択していないクラスタグループの情報
が含まれていてはならないと解されるところ,本件通信システム方法及び
本件基地局装置において,ユーザ端末から基地局に対して送信されるサブ
バンド差分CQI値は,原告が「クラスタグループ」に相当すると主張す
るサブバンドに関する情報であってクラスタに関する情報ではなく,また,
原告の主張する解釈2を採ると,非選択としたサブバンドについての差分
CQI値も送信していることになるため,「フィードバック情報」に該当
しない。よって,本件通信システム方法及び本件基地局装置は,構成要件
4D,4E,9B,9Dを充足しない。
エ構成要件4F,9E充足性について
前記イ記載のとおり,原告が議論の対象とする非周期的高次階層設定サ
ブバンドフィードバックモードにおける報告の方法は,構成要件4F,9
Eの「前記加入者が選択」を充足しない。
また,本件発明は,加入者が選択した候補クラスタグループのクラスタ
の中から,基地局がクラスタを選択して割り当てるという点に特徴があり,
これによって,基地局による選択・割当ての負担を軽減し,最適なクラス
タ割当てを実現するというものであることからすれば,構成要件4F,9
Eの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタグループの中の少な
くとも1つのクラスタを・・・割り当てる」との規定は,基地局において,
加入者が選択した候補クラスタグループの中のクラスタを割り当てなけれ
ばならず,加入者が選択していないクラスタグループ内のクラスタを割り
当てることがあってはならないと解される。
仮に,解釈2として原告が主張するように,サブバンド差分CQI値
「0,1,2」のサブバンドがユーザ端末によって「選択」されたサブバ
ンドであると解するとしても,LTE通信規格には,基地局がサブバンド
差分CQI値「0,1,2」のサブバンドを構成するリソース・ブロック
を割り当てるという記載はない上,LTE通信規格に準拠した基地局と端
末との間の通信において,非周期的高次階層設定サブバンドフィードバッ
クモードのときに,サブバンド差分CQI値「3」のサブバンドは割当て
の対象となっているから,ユーザ端末が選択していないサブバンド内のリ
ソース・ブロックが割り当てられているといえる。よって,本件通信シス
テム方法及び本件基地局装置は,構成要件4F,9Eを充足しない。
(2)争点(2)(間接侵害の成否)について
(原告の主張)
被告製品は,本件発明4の使用に用いるものであり,本件発明4による課
題の解決に不可欠なものである。被告は,このことを知りながら,業として,
その譲渡若しくは輸入又は譲渡等の申出をしているから,特許法101条5
号により本件特許権を侵害するものとみなされる。
(被告の主張)
争う。
(3)争点(3)(本件発明に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきも
のと認められるか)について
(被告の主張)
本件発明は,本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物(乙6(国際公
開WO98/35463号),乙13(ドイツ特許DE198009
53C1))に記載された発明であるか,又は同刊行物に記載された発明
に周知技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができ
たものであるから,本件発明は新規性ないし進歩性を欠く。
(原告の主張)
否認ないし争う。乙6は,OFDMA,クラスタグループ等を開示してい
ないし,乙13は,クラスタグループ,フィードバック情報等を開示してお
らず,これらの相違点等を踏まえると,当業者であっても,本件発明の構成
に容易に想到することができるとはいえない。
(4)争点(4)(原告の損害額)について
(原告の主張)
被告製品の販売台数は3万台を下ることはないから,原告の損害額は,
特許法102条3項に基づき算定される実施料相当額18億円を下ること
はない。原告は,本訴において,上記原告が受けた損害のうち明示的一部
請求として1億円の損害の賠償を請求する。
(被告の主張)
否認ないし争う。
第3当裁判所の判断
1争点(1)(本件通信システム方法及び本件基地局装置は本件発明の技術的範
囲に属するか)について
(1)原告は,構成要件4C,4F,9A,9E充足性につき,解釈1及び2
を主張して,いずれの解釈によっても構成要件4C,4F,9A,9Eを充
足すると主張する。しかしながら,当裁判所は,各構成要件に係る特許請求
の範囲の記載及び本件明細書の記載に照らして,原告の主張する解釈1を採
用すると,少なくとも構成要件4C,9Aを充足せず,原告の主張する解釈
2を採用すると,少なくとも構成要件4F,9Eを充足しないから,いずれ
の解釈によっても,本件通信システム方法及び本件基地局装置は本件発明の
技術的範囲に属するとは認められないと判断する。その理由は,以下のとお
りである。
(2)本件明細書には以下の記載がある(甲2の2)。
【発明が解決しようとする課題】として
ア「OFDMAに関してサブキャリア割当を行うという1つのアプローチ
は,統合最適化オペレーションであるが,これは,全セル内の全加入者の
行動とチャネルに関する知識が必要なばかりでなく,現在の加入者がネッ
トワークを抜けたり新しい加入者がネットワークに加わったりした場合,
その度毎に周波数の再調整が必要になる。これは,主に,加入者情報を更
新するための帯域幅コストと統合最適化のための計算費用のせいで,実際
の無線システムでは非実用的である場合が多い。」(段落【0006】)
【課題を解決するための手段】として
イ「システムのためにサブキャリアを選択する方法及び装置について説明
する。或る実施形態では,直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を
採用しているシステムのためのサブキャリア選択の方法は,複数のサブキ
ャリアを,少なくとも1つのサブキャリアのクラスタから成る複数のグル
ープに分割する段階と,加入者による,前記複数のグループの中の1つ又
は複数のグループの選択の表示を受信する段階と,加入者が選択した1つ
又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを,加入
者との通信に使用するために割り当てる段階と,で構成されている。」
(段落【0007】)
【発明を実施するための最良の形態】として
ウ「ダウンリンクチャネルに関しては,各加入者は最初に全てのサブキャ
リアについてチャネルと干渉の情報を測定し,性能の良い(中略)複数の
サブキャリアを選択して,それら候補サブキャリアに関する情報を基地局
にフィードバックする。」(段落【0010】)
エ「加入者からこの情報を受信すると,基地局は,基地局で入手可能な追
加情報(中略)を利用して,候補の中からサブキャリアを更に選択する。
(段落【0011】)
オ「各加入者は,継続的にパイロット記号の受信をモニターし,セル間干
渉及びセル内トラフィックを含め,各クラスタのSINR及び/又は他の
パラメータを測定する(中略)。この情報に基づいて,各加入者は,相対
的に性能が良好な(中略)1つ又は複数のクラスタを選択して,これらの
候補クラスタに関する情報を所定のアップリンクアクセスチャネルを通し
て基地局にフィードバックする(中略)。(中略)各加入者は,他よりも
相対的に性能が良好なクラスタを選択する。この選択により,各加入者は
測定されたパラメータに基づいて使用が望ましいと思われるクラスタを選
択することになる。(段落【0026】)
カ「各加入者から基地局への情報のフィードバックは,各クラスタのSI
NR値を含んでおり,加入者が使用を望む符号化/変調速度も示している。
フィードバック内の情報の順序を基地局が知っている限り,フィードバッ
ク内のどのSINR値がどのクラスタに対応しているかを示すためにクラ
スタインデクスが必要になることはない。」(段落【0028】)
キ「加入者からフィードバックを受信すると,基地局は,次に,候補の中
から加入者用に1つ又は複数のクラスタを選択する(中略)。」(段落
【0029】)
ク「或る実施形態では,加入者は,常にできるだけ多くのクラスタに関す
る情報を送ろうと務め,そこから基地局が選択する。」(段落【004
0】)
ケ「加入者の目的は,加入者が使用したいと思うクラスタについて基地局
に表示を提供することである。理想的には,加入者による選択の結果は,
チャネルゲインが高く,他のセルからの干渉が低く,利用可能性が高いク
ラスタということになる。加入者は,その結果を含んでいるフィードバッ
ク情報を提供し,所望のクラスタを,順番に又はここに記載していない方
法でリスト表示する。(段落【0046】)
コ「この情報に基づいて,加入者は,所定の性能基準に基づき使用を希望
するクラスタを選択する。クラスタの順位リストを使って,加入者は,加
入者が知っている符号化及び変調速度と共に所望のクラスタを要求して,
所望のデータ速度を実現する。」(段落【0052】)
サ「基地局からパイロット信号を受信した後,加入者は1つ又は複数のク
ラスタグループに関するチャネル情報を同時に又は順次返送する。或る実
施形態では,グループの幾つかに関する情報しか基地局には返送されな
い。」(段落【0069】)
(3)まず,原告の主張する解釈1を採用した場合に,構成要件4C,9Aを
充足するかについて検討する。
ア構成要件4Cは「前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの
加入者による選択の表示を受信する段階と,」というものであり,構成要
件9Aは「複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数
のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示と,」
というものである。
原告は,基地局がユーザ端末に対して高次階層設定サブバンドフィード
バックモードを選択して非周期的CQI報告をさせることを指示すると,
この指示が,全部のサブバンドについてサブバンドCQIを報告すること
を指示するものであるから,ユーザ端末はこれに基づいて,全部のサブバ
ンドを選択してサブバンドCQIを報告しなければならないが,これはユ
ーザ端末が全部のサブバンドを選択したことに相当する旨主張する。
イしかしながら,かかる非周期的CQI報告の態様を前提とすると,ユー
ザ端末は,基地局の指示に基づいて常に全部のサブバンドについての情報
を報告するのであるから,ユーザ端末が何らかの「選択」(えらぶこと。
適当なものをえらびだすこと。良いものをとり,悪いものをすてること。
[広辞苑第6版・乙3])をしているということはできない。本件明細書
においても,加入者が望ましい候補を選び出し望ましくない候補を外すこ
とを「選択」と表現していることは,段落【0010】,【0026】,
【0046】,【0052】等に記載されている実施形態等から明らかで
ある。この点,原告は,「選択」には全てを選択することが含まれると主
張するが,常に全部のサブバンドを選ぶという態様は,「選択」の語義に
含まれないと言わざるを得ない。また,原告の主張する解釈1を採用する
と,構成要件4F,9Eにおける「前記加入者が選択した・・・クラスタ
のグループの中の・・・クラスタを・・・割り当てる」との文言の意義が
失われることからすれば,このような解釈は本件発明の構成要件が予定し
ないところであると言わざるを得ない。
ウ原告は,本件明細書の段落【0028】,【0040】,【0069】
には,全部のクラスタが選択されることを包含する内容の記載があり,実
質的にも,全部のサブバンドを選択してフィードバックした方がかえって
フィードバック情報量を削減できるといえると主張する。
しかしながら,前記のとおり本件明細書においても加入者が望ましい候
補を選び出すことを「選択」と表現していると認められる上,原告の主張
する段落【0028】,段落【0040】,段落【0069】の各記載に
よっても,常に全部のクラスタについての情報を「選択」するという実施
形態は明示されていない。なお,段落【0028】には,「フィードバッ
ク内の情報の順序を基地局が知っている限り,フィードバック内のどのS
INR値がどのクラスタに対応しているかを示すためにクラスタインデク
スが必要になることはない。」としか記載されていないから,この実施形
態が全部のクラスタについての情報をフィードバックする実施形態を含む
としても,このようなフィードバックの形態と「選択」との関係が不明で
あり,少なくとも,常に全部のクラスタについての情報を報告する態様が
「選択」の一形態として含まれることの記載はない。また,全部のサブバ
ンドを選択してフィードバックした方がかえってフィードバック情報量を
削減できる場合があるとしても,本件明細書にはそのような実施形態は明
示されていない。原告の主張は,採用することができない。
エしたがって,原告の主張する解釈1を採用すると,少なくとも構成要件
4C,9Aを充足しない。
(4)次に,原告の主張する解釈2を採用した場合に,構成要件4F,9Eを
充足するかについて判断する。
ア構成要件4Fは「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグル
ープの中の少なくとも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するた
めに割り当てる段階と,から成ることを特徴とする方法。」というもので
あり,構成要件9Eは「前記クラスタ割当制御装置は,更に,前記加入者
が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのク
ラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる,前記クラスタ
割当制御装置と,」というものである。
原告は,非周期的CQIレポートの高次階層設定サブバンドフィードバ
ックモードでは,ユーザ端末は,ワイドバンドCQIを一種のいき値とし
て,サブバンドCQIがワイドバンドCQI以上であるサブバンドを,サ
ブバンド差分CQI値「0,1,2」を付して順位付けしてこれを選択し,
非選択のサブバンドにサブバンド差分CQI値「3」を付して全部のサブ
バンドの差分CQI値を送信することにより,個別のサブバンドを特定す
る表示を省略して情報量を低減化しているところ,基地局はユーザ端末に
対してサブバンド差分CQI値「0,1,2」のサブバンドを構成する少
なくとも1つのリソース・ブロックを割り当てているし,また,多数の加
入者に対する通信を最も効率的に行うように調整して最適化する過程で,
基地局の総合的な判断によって,加入者が非選択としたサブバンド(本件
発明におけるクラスタグループ)に属するリソース・ブロック(本件発明
におけるクラスタ)の割当てを行うことは,本件発明によっても許容され
ているから,サブバンド差分CQI値「3」のサブバンドに属するリソー
ス・ブロックも割当ての対象になっているとしても,「前記加入者が選択
した1つ又は複数のクラスタグループの中の少なくとも1つのクラスタ
を・・・割り当てる」ことに相当する旨主張する。
イしかしながら,「前記加入者が選択した・・・クラスタのグループの中
の・・・クラスタを・・・割り当てる」との文言,及び本件明細書の段落
【0006】,【0007】,【0011】,【0029】,【0040】
等の記載内容からすれば,本件発明は,基地局が全セル内の全加入者の行
動とチャネルに関する知識を必要とする統合最適化オペレーションは非実
用的である場合が多いため,加入者が選択した候補クラスタグループのク
ラスタの中から基地局がクラスタを選択して割り当てることによって,基
地局による選択・割当ての負担を分担して軽減し,最適なクラスタ割当て
を実現することをその特徴の一つとするものであると解される。そうであ
るから,同構成要件の文言のうち「少なくとも1つの」との限定は,その
位置及び前記本件発明の特徴に照らして,「1つ以上の」と同義と解釈す
べきであって,構成要件4F,9Eの「前記加入者が選択した1つ又は複
数のクラスタグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当て
る」との文言は,基地局において,加入者が選択した候補クラスタグルー
プの中のクラスタのみを割り当てることを意味すると解すべきである。す
なわち,加入者が選択していないクラスタグループ内のクラスタを基地局
が割り当てることは,基地局の負担を増大させると共に,加入者がクラス
タグループを選択することの意味を失わせるものであり,基地局による選
択・割当ての負担を分担して軽減するという本件発明の特徴に反するもの
であるから,かかる文言の範囲に含まれないと解すべきである。
この点,原告は,構成要件4F,9Eにおいて,「前記加入者が選択し
た1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタ
『のみ』を・・・割り当てる」との記載になっていないことや,本件明細
書において,加入者に対するサブキャリアの割当ては基地局が総合的判断
のもとで最終決定をすることが記載されていることを主張するが,これら
の記載内容は前記認定と矛盾するものではないから,前記認定に係る構成
要件4F,9Eの解釈を左右しない。
ウこれを本件通信システム方法及び本件基地局装置についてみるに,そも
そも,LTE通信規格には,基地局がユーザ端末に対してサブバンド差分
CQI値「0,1,2」のサブバンドを構成する少なくとも1つのリソー
ス・ブロックを割り当てるという記載はないし(弁論の全趣旨),被告製
品等の計測結果(甲18,21ないし35,乙5)はいずれもある特定の
時点・基地局における割当て結果の例を示したものに過ぎないから,基地
局がユーザ端末に対して常にサブバンド差分CQI値「0,1,2」のサ
ブバンドを構成する少なくとも1つのリソース・ブロックを割り当てると
認めるに足りるものではない。そうすると,原告の主張する解釈2を前提
としても,原告が主張するように基地局がユーザ端末に対して常にサブバ
ンド差分CQI値「0,1,2」のサブバンドを構成する少なくとも1つ
のリソース・ブロックを割り当てることを認めるに足りる証拠はないから,
本件通信システム方法及び本件基地局装置が構成要件4F,9Eを充足す
るとは認めるに足りない。
仮にこの点を措くとしても,原告の主張する解釈2のとおり,ユーザ端
末がサブバンド差分CQI値「0,1,2」のサブバンドを「選択」し,
「3」のサブバンドを非選択としたと解するのであれば,基地局が,ユー
ザ端末に対して,サブバンド差分CQI値「3」のサブバンドに属するリ
ソース・ブロックを割り当てることは,前記イ記載の本件発明の特徴に反
するものである。しかるに,原告は,基地局が,ユーザ端末に対して,サ
ブバンド差分CQI値「3」のサブバンドに属するリソース・ブロックを
割り当てることがあることについて積極的に争っておらず,かえって,L
TE通信規格に準拠した基地局とユーザ端末との間の通信において,非周
期的高次階層設定サブバンドフィードバックモードのときに,サブバンド
差分CQI値「3」のサブバンドに属するリソース・ブロックが割当ての
対象になっていることを示す測定結果がある(乙5)。そうであるから,
この点からも,本件通信システム方法及び本件基地局装置が構成要件4F,
9Eを充足するとは認められない。
エしたがって,原告の主張する解釈2を採用すると,少なくとも構成要件
4F,9Eを充足しない。
2結論
以上のとおり,本件通信システム方法及び本件基地局装置は本件発明の技術
的範囲に属するとは認められないから,原告の請求は,その余の点について判
断するまでもなく,いずれも理由がない。よって,原告の請求を棄却すること
として,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官沖中康人
裁判官宇野遥子
裁判官廣瀬達人は,差支えのため署名押印することができない。
裁判長裁判官沖中康人
(別紙)
物件目録
次のシリーズ名,型式名又はモデル名を備えるLTE無線基地局装置
1BS3001形シリーズ
2BS3002形シリーズ
3MB4500
4MB4600
以上
(別紙)
本件通信システム方法の特徴
4aダウンリンクにおいて直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用して
いるLTE規格通信システムのダウンリンクにおけるサブキャリア選択の方
法である。
4bシステム帯域にある複数のサブキャリアを,12個のサブキャリアからな
るリソース・ブロックの複数個で構成されるN個のサブバンドに分割する段
階を有する。
4c基地局は,ユーザ端末から,N個のサブバンドごとに,サブバンドCQI
からワイドバンドCQIの差分により求められるサブバンド差分CQIにつ
いて,0,1,2の3つのインデックスの通知を受ける段階を有する。
4d基地局は,ユーザ端末から,12個のサブキャリアからなるリソース・ブ
ロックの複数個で構成されるN個のサブバンドごとに,サブバンド差分CQ
Iの通知を受けることにより,N個のサブバンドごとにサブバンドCQIの
情報を受信する段階を有する。
4eサブバンドCQIは,ワイドバンドCQIとの関係で差分的に符号化され,
畳み込み符号によって誤り訂正符号化される段階を有する。
4f基地局は,ユーザ端末が選択した複数のサブバンドを構成する1つ又は複
数のリソース・ブロックを,ユーザ端末との通信に使用するために割り当て
る段階を有する,ことを特徴とする方法。
以上
(別紙)
本件基地局装置の特徴
9a12個のサブキャリアからなるリソース・ブロックの複数個で構成され
るN個のサブバンドごとに,サブバンドCQIとワイドバンドCQIの差
分により求められるサブバンド差分CQIについて,0,1,2の3つの
インデックスの通知をユーザ端末から受ける。
9b12個のサブキャリアからなるリソース・ブロックの複数個で構成され
るN個のサブバンドごとに,サブバンド差分CQIの通知を受けることに
より,N個のサブバンドごとにサブバンドCQIの情報を受信する。
9c基地局はリソース・ブロックの割当制御機能を有する装置を備える。
9dサブバンドCQIは,ワイドバンドCQIとの関係で差分的に符号化さ
れ,テイルバイティング畳み込み符号によって誤り訂正符号化されている。
9e基地局は,ユーザ端末が選択した1つ又は複数のサブバンドを構成する
1つ又は複数のリソース・ブロックを,ユーザ端末との通信に使用するた
めに割り当てるリソース・ブロックの割当制御機能を有する装置を備える。
9fユーザ端末との通信に使用するために割り当てるリソース・ブロックの
割当制御機能を有する装置に接続され,基地局がユーザ端末に割り当てた
1つ又は複数のサブバンドを構成する1つ又は複数のリソース・ブロック
を,下り制御情報(DCI)としてユーザ端末に伝送する。
9gダウンリンクにおいて直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用して
いる,送受信機能を有する無線装置。
以上

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激動の時代に
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◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

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