弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実及び理由
第一 請求
一 被告が、Aに対して、河内長野市千代田公民館の使用を長期的かつ独占的に許
可し、その使用許可を取り消さないことが違法であることを確認する。
二 被告が、Aに対して与えた、河内長野市千代田公民館の使用許可を取り消す。
第二 事案の概要
本件訴えは、河内長野市千代田公民館長の地位にある被告が、風俗営業に類するA
に対して、同公民館の使用を長期的かつ独占的に許可し、その使用許可を取り消さ
ないことが、河内長野市立公民館の設置及び管理に関する条例四条一項及び二項に
違反する違法な財産の管理に当たるとして、地方自治法二四二条の二第一項三号及
び四号に基づき、右許可の取消しを怠る事実の違法確認と右許可の取消しを求め
る、というものである。
第三 判断
住民訴訟による是正の対象となる「違法な行為又は怠る事実」(地方自治法二四二
条の二第一項)とは、公有財産の財産的価値に着目して、その価値の維持、保全を
図る財務処理を直接の目的とする財務会計上の違法な行為又は怠る事実をいうもの
である(最高裁判所昭和六二年(行ツ)第二二号平成二年四月一二日第一小法廷判
決・民集四四巻三号四三一頁参照。)。
河内長野市千代田公民館長の被告が、同公民館の使用の許否を決する行為は、公共
用物である同公民館の設置の目的を達成するためにする行政的管理行為であって、
同公民館の財産的価値に着目して、その価値の維持、保全を図る財務的処理を直接
の目的とする財務会計上の行為には当たらない。
そうすると、原告が、本訴においてその違法確認及び取消しを求める被告の行為
は、地方自治法二四二条の二に定める住民訴訟の対象となる行為とはいえないか
ら、本件訴えは、不適法である。
(裁判官 井関正裕 綿引万里子 和久田 斉)

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