弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

 平成13年11月28日判決言渡
平成13年(ネ)第213号,同年(ネ)第330号 土地・建物明渡請求控訴
事件,並びに同附帯控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成11年(ワ)第131
0号平成13年4月23日判決言渡)
主    文
1 控訴人(附帯被控訴人)の本件控訴を棄却する。
(但し,被控訴人(附帯控訴人)が,当審において明け渡しを求める
土地の範囲を明確にしたことに伴い,原判決主文1ないし5項の「
別紙第1物件目録」をいずれも「本判決別紙第1物件目録」と改め
る。)
2 被控訴人(附帯控訴人)の附帯控訴に基づき,次のとおり宣言する。
 原判決は仮に執行することができる。
3 控訴費用及び附帯控訴費用はいずれも控訴人(附帯被控訴人)の負
担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人(附帯控訴人,以下単に「被控訴人」という)の請求をいず
  れも棄却する。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
(1) 本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は控訴人(附帯被控訴人,以下単に「控訴人」という)の
  負担とする。
3 附帯控訴の趣旨
(1) 原判決は仮に執行することができる。
(2) 附帯控訴費用は控訴人の負担とする。
4 附帯控訴の趣旨に対する答弁
(1) 本件附帯控訴を棄却する。
(2) 附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
 本件は,被控訴人が,被控訴人の所有するA公園敷地内のB城C広場におい
て,同じく被控訴人の所有する公園施設たる売店である本判決別紙第1物件目
録(6)記載の建物(以下「本件建物」という)につき,これを被控訴人から
管理許可を受けて使用し「C茶屋」の名称で茶店を営んできた控訴人に対し,
B城C跡を含めた公園整備等の必要等を理由として平成11年3月19日付け
で本件建物の使用につき不許可処分としたうえで,本件建物及びその敷地であ
る同目録記載(1)の土地(以下「本件土地」という)所有権に基づき,本件
建物及び本件土地のうち同目録記載(2)ないし(5)土地部分の各明渡し,
並びに本件建物の明渡しずみまでの使用料相当損害金の支払いを求めて提訴し
た事案であり,原審が仮執行宣言の申立てを除いて被控訴人の請求を全部認容
したので,控訴人が本件建物等につき賃借権を有すること,賃借権が認められ
ないとしても被控訴人の請求は権利濫用として許されないこと等を主張して控
訴したものであり,一方,被控訴人も原判決に対して仮執行の宣言を求めて附
帯控訴したものである(なお,以下,原判決中の「別紙第1物件目録」との記
載を「本判決別紙第1物件目録」と読み替えることとする)。
1 争いのない事実等
 本件における「争いのない事実等」は,原判決の「事実及び理由」欄の「第
2 事案の概要」中の「1 争いのない事実及び証拠により容易に認定できる
事実」(原判決2頁10行目から同6頁2行目まで)と同一であるから,これ
を引用する(但し,原判決4頁11行目の「本件工作物」を「本件工作物(1)」
と,同5頁24行目の「関わらず」を「拘わらず」とそれぞれ改める)。
2 争点
 本件における「争点」は,次のとおり付加・訂正し,「控訴人の当審におけ
る主張」を追加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概
要」中の「2 主な争点(抗弁)」及び「3 争点に関する当事者の主張」(
原判決6頁3行目から同13頁10行目まで)と同一であるから,これを引用
する。
(1) 原判決10頁1行目の「D神社から」の次に「公園敷地として利用す
  る目的で」を,同じ行の「借り受ける際にも,」の次に「同じく」をそ
     れぞれ加え,同12頁8行目の「公園管理者をB市長であることを」を
「公園管理者はB市であるのに,B市長が無権限で管理許可を行ってい
たということ」と改める。
(2) 控訴人の当審における主張
ア 控訴人が本件建物及び本件土地のうち本判決別紙第1物件目録記載
(2)ないし(5)部分の土地(以下「本件(2)ないし(5)土地」
という)につき賃借権を有すること本件調停では従前の控訴人の使用
土地(約340平方メートル)の使用料相当損害金につき年額20万
4000円と定められたのに,調停後の使用料が被控訴人の定める他
の同種売店の使用料の6.67倍の年額145万2000円にもなっ
ており,このことは控訴人が使用料の相場を知らないまま調停に合意
      したことを意味し,調停合意は錯誤により無効であるといえる,また,
被控訴人によってなされるべき都市公園法5条2項の管理許可が権限
のないB市長又はE区長によってなされていることにより,本件調停
条項は実行されないまま事実上無効となったか,あるいは本件調停条
項に基づく控訴人と被控訴人の債権関係は時効により消滅したといえ
るのであるから,控訴人による管理許可のない本件建物等の占有は,
その歴史的経過,調停に至る経緯,控訴人が本件建物内部の厨房設備
及び備品等を設置しながら月額12万1000円を支払っていること
等を考慮すれば,控訴人が過去において別の建物及びその使用土地に
対して有していた賃借権(借家権)が引き続き,本件建物及び本件(
2)ないし(5)土地上に存続していると評価されるべきである。
イ 権利濫用
 本件調停による合意は,管理許可の方法により控訴人に生活権を補
償することを目的としたものであること,被控訴人が控訴人の立ち退
きの理由とするB城の石垣修復工事等は調停時に予想されていたこと
であり,それを根拠に立ち退きを求めることは根拠薄弱であること,
本件建物における控訴人の茶店の営業は控訴人の家族にとって不可欠
の生活の糧となっていること等を考慮すれば,控訴人の本訴請求は権
利の濫用として許されない。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,被控訴人の本訴請求は,正当としてこれを認容すべきであると
判断する。その理由は,次のとおり訂正し,「控訴人の当審における主張に対
する判断」を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所
の判断」(原判決13頁11行目から同20頁4行目まで)と同一であるから,
これを引用する。
(1) 原判決14頁5行目の「2月18日」を「2月20日」と,同19頁
2行目の「本件建物の場所を必要とすること,」を「本件建物の敷地を
含む本件(2)ないし(5)土地を利用する必要性の高いこと,」とそ
れぞれ改める。
(2) 控訴人の当審における主張に対する判断
ア 賃借権の主張ついて
 原判決説示のとおり,本件調停前に亡F及びこれを相続した控訴人
が別件建物及び本件(2)ないし(5)土地上に何らかの占有権原を
有していたとしても,本件調停の成立により,控訴人の土地占有権原
は形式的にも実質的にも管理許可によるものとなったと解すべきであ
り,控訴人に占有権原を認めることはできない。また,控訴人が本件
調停前に本件(2)ないし(5)土地上に被控訴人に対抗できる何ら
かの占有権原を有していたことを認めるに足りる証拠もないし,控訴
人の主張するところを前提にしても,それだけでは本件調停が無効で
あると解することはできない。他に本件調停が無効であると認めるに
足りる証拠はなく,控訴人のこの点に関する主張は採用できない。
イ 権利濫用の主張について
 控訴人の当審において主張する事由を十分考慮に入れたとしても,原
判決説示のとおり,被控訴人の本訴請求が権利濫用になるものと認め
ることはできず,この点に関する控訴人の主張も採用できない。
2 以上によれば,被控訴人の控訴人に対する本訴請求は,正当としてこれを認
容すべきであり,これと同旨の原判決は相当であって,控訴人の本件控訴は理
由がないからこれを棄却すべきである。
 なお,前判示のとおり,被控訴人はA公園基本計画を決定し,第1期工事に
着手し,現在石垣修復工事については石垣解体が終了し,本格的修復工事に取
りかかる段階にあり,今後効率的に修復工事を進めるためには,可及的速やか
に本件(2)ないし(5)土地を利用する必要性の高いことが認められるから,
被控訴人の附帯控訴に基づき,原裁判に対して仮執行宣言を付することとする。
よって,控訴費用及び附帯控訴費用の負担につき民事訴訟法67条1項,6
1条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のと
おり判決する。
仙台高等裁判所第三民事部
裁判長裁判官喜多村 治 雄
裁判官小 林   崇
裁判官片 瀬 敏 寿
   (物件目録省略)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛