弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人三名の弁護人金子新一の上告趣意は末尾添付の別紙書面記載のとおりであ
る。
 論旨は要するに、原審が検察官の控訴申立による本件控訴審の審判をなすに当り、
被告人等に対し刑訴二七二条の弁護人選任に関する告知をなさず、なお本件(必要
的弁護事件)については弁護人がなければ開廷できないこと、弁護人を私選しない
ときは弁護人が国選されることを通知せず、また被告人等に対する公判期日の召喚
状に被告人等に出頭義務なく、出頭しても自ら弁論はできない旨の注意書を附言し
てあつたため、被告人等において弁護人を選任しなかつたところ、原審裁判所は公
判期日の当日に及んで被告人等のため弁護人を選任し、弁護人に事実調査、答弁書
提出の機会を与えないで公判期日に検察官の控訴趣意の陳述に対する一応の答弁を
なさしめ、その結果第一審判決より重い処断をなし、更に右弁護人に支給した訴訟
費用をも被告人等に負担せしめたものであつて、以上のごとき原審裁判所の措置は
憲法三七条一項または同条三項に違反するという趣旨に帰する。
 しかし、憲法三七条三項前段所定の弁護人を依頼する権利は被告人が自ら行使す
べきもので、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与えその行使を妨げなけ
れば足るものであること、同条項の規定は被告人から弁護人選任の請求があつた場
合に国はこれに対して弁護人を附すれば足るものであること、同条項の規定は被告
人に対し弁護人の選任を請求し得る旨を告知すべき義務或は被告人に対し弁護人を
選任するかどうかを照会する義務を裁判所に負わせているものではないこと、適当
な時機に被告人から弁護人選任の請求をしなかつたために裁判所が控訴趣意書提出
期間後に弁護人を選任し弁護人が趣意書提出の機会を失したような場合であつても、
被告人の憲法上の権利の行使を妨げたものではないこと、必要的弁護事件につき被
告人の弁護人選任請求によらず、被告人の意思の如何にかかわりなく強制的に職権
で弁護人を選任することは憲法に関する問題ではないことは、当裁判所の既に判例
として判示するところである(昭和二四年(れ)二三八号、同年一一月三〇日大法
廷判決、昭和二四年(れ)六八七号、同年一一月二日大法廷判決、昭和二五年(あ)
二一五三号、同二八年四月一日大法廷判決参照)。また憲法三七条一項にいわゆる
公平な裁判所の裁判とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつた裁判所
による裁判を意味するものであつて、個々の事件につきその内容実質が具体的に公
正妥当なる裁判を指すものでないことも亦当裁判所の判例とするところである(昭
和二二年(れ)四八号、同二三年五月二六日大法廷判決参照)。されば所論を右各
判例の趣旨に照せば、所論違憲の各論旨の理由なきものであることまことに明らか
である。なお論旨は単なる訴訟法違反の主張を含むものであるが、この点は刑訴四
〇五条の上告理由に当らない。
 また記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて刑訴四〇八条により、主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官小谷勝重、同谷村唯一郎の次の補足意見の外は裁判官全員一致
の意見によるものである。
 裁判官小谷勝重、同谷村唯一郎の各補足意見は前掲昭和二五年(あ)第二一五三
号、同二八年四月一日大法廷判決(判例集七巻四号)に記載の各補足意見のとおり
である。即ち本件原判決には右判決所掲補足意見記載の如き違法はあるが、記録に
より本件事案を判断するに、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められないので
ある。
  昭和二八年一一月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎
裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判官小谷勝重は出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    霜   山   精   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛