弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士三原道也の上告理由第一点について。
 憲法七六条は司法権の所属、裁判所の構成、裁判官の職責を規定したものであつ
て、民事裁判において、民事上の責任を究明するに際し、既に刑事判決において有
罪とされた行為につき、これと異なる事実認定をすることができるかどうかという
ごとき、所論のような事柄とは関係のない規定である。それ故、違憲の論旨は前提
を欠き、その実質は、単なる訴訟手続違反の主張に帰し、特別上告適法の理由に当
らない。
 同第二点について。
 所論は、結局原判決は被上告人等の個人的保護を急ぐのあまり、不法にも社会の
秩序、公共の福祉を犠牲にしようとしたもので違憲であるというに帰し、原判決の
如何なる判断が、論旨にいう憲法の諸条項に如何なる点において違反したかを何ら
具体的に示していない。そして、原判決の事実の認定、法律の適用については必ず
しも是認できないけれども、所論は、特別上告理由としては不適法であり、採るを
得ない。
 よつて、民訴四〇九条ノ三、四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一
致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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