弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     食糧管理法違反の点については同被告人を免訴する。
     同被告人を懲役一年に処する。
     同被告人の第一審における未決勾留日数中百日を右本刑に算入する。
     同被告人に対し三年間右刑の執行を猶予する。
     押収にかかる現金五百円(千葉地方裁判所八日市場支部昭和二一年領第
四号の四の七)、現金二百円(同領号の四の一)及び袋入現金百円(同領号の四の
六)は、同被告人から没収する。
     同被告人から金五百円を追徴する。
     被告人Bの本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人A、同Bの弁護人国枝鎌三の上告趣意第二点について。
 所論は、被告人等は、経済関係罰則の整備に関する法律二条にいわゆる統制会社
の役員又は職員でないから、無罪たるべきであると主張する。しかし、右法律二条
にいわゆるその他の職員というためには、右統制会社たる本件C統制株式会社の社
則等に職員とされていると否とによることなく、右会社において被告人等の従事す
る業務関係、雇傭関係等により定めるべきものであることは、当裁判所の判例とす
るところである(判例集二巻四号四〇五頁)。本件において被告人等は何れも各C
統制会社から嘱託の辞令を受け、年二回報酬を受けていた者であつて、右会社の作
成する集荷計画、輸送計画、配給計画に基き、同会社D事務所の指令に従い、藷類
の集荷、輸送、配給の事務に従事していたのであるから(被告人Aの予審第一回訊
問調書八〇〇丁以下及び被告人Bの予審第二回訊問調書八五四丁以下)、単に上役
から命ぜられて単純な機械的な労務に服していたものでないこと明らかであつて、
被告人らを右会社の職員と判示した原判決には所論のような違法はない。それ故に、
この点に関する論旨は採ることができない。
 同第一点について。
 所論は、被告人Aに関する本件食糧管理法違反については大赦があつたから免訴
されたいというのである。よつて調査すると、本件公訴事実中食糧管理法違反の点
(原判決の引用する第一審判決判示第二の事実)については、昭和二七年政令第一
一七号大赦令により大赦があつたので刑訴施行法二条、三条の二、刑訴四一一条五
号、旧刑訴四四八条、三六三条三号により、原判決中被告人Aに関する部分を破棄
し、この点について同被告人を免訴すべきものとする。
 よつて原判決が確定した同被告人に関する大赦にかからない事実(原判決判示第
一の事実)に法令を適用すると、同被告人の判示所為は、昭和二二年一二月法律第
二四二号附則第二項、改正前の経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条第一項前段
第二項昭和一九年勅令第二六八号経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律ニ基ク経済団体
指定ニ関スル件第二条第三三号、改正前の刑法五五条に当るから、所定刑期範囲内
において同被告人を懲役一年に処し、且つ刑法二一条により第一審の未決勾留日数
中百日を右本刑に算入し、情状刑の執行を猶予するのを相当と認め刑法二五条に従
い三年間右刑の執行を猶予し、押収に係る主文第六項掲記の物件は、同被告人が本
件経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律違反の各所為によつて収受した賄賂の一部であ
るから、前記改正前の同法律四条前段によつてこれを没収しその余の賄賂はいずれ
もこれを没収することができないから同条後段に則り主文第七項のとおりこれを追
徴するものとし、被告人Bについては、刑訴四一一条を適用すべきものと認められ
ないので刑訴施行法二条、三条の二、刑訴四〇八条により上告を棄却することとす
る。
 よつて裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 福原忠男関与
  昭和二九年二月四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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