弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成20年7月11日決定
平成20年(む)第1263号
主文
本件請求を棄却する。
理由
1請求の趣旨及び理由の要旨
本件請求の趣旨は,自動車ナンバー自動読み取り装置(以下「Nシ
ステム」という。)等による被告人運転車両及び共犯者A運転車両の
各通行記録(これらが添付されている捜査報告書等を含む。)につい
て,開示命令を求めるというものであり,その理由の要旨は,検察官
は,被告人が共謀を遂げたことを立証するために,被害者Bの検察官
調書抄本(甲1)及び共犯者Cの検察官調書謄本(甲7)並びに上記B
及びCの各証人尋問を請求しているが,弁護人が開示を求める上記各
証拠は,検察官請求の上記各証拠の証明力を判断するために極めて重
要であり,また,防御の準備のために開示することの必要性は高く,
さらに,開示をすることの弊害が仮に存在するとしても,その程度は
低いから,刑事訴訟法316条の15第1項の規定により開示すべきである
というものである。
2当裁判所の判断
弁護人が開示命令を求める証拠のうちNシステム等による各車両の
通行記録自体は,検察官が現に保管している証拠ではなく,本件捜査
の過程で作成された証拠でもないから,同法316条の15第1項の証拠開
示の対象となる証拠には該当しない。したがって,これについて開示
命令を求める弁護人の請求は失当である。
また,各車両の通行記録が添付されている捜査報告書等についてみ
ると,本件に関係する通行記録を捜査した結果を記載した書面は,検
察官が現に保管している証拠中には存在しないと認められる(平成20
年7月9日付け検察官作成の求釈明に対する回答)。もとより,本件捜
査の過程で同システム等による通行記録に基づいて特定の車両の通行
記録に関する捜査報告書等が作成されている場合は,その捜査報告書
等は,検察官の手元に存在しないとしても,具体的に行われる証拠調
べとの関係で証拠開示の対象となり得るというべきである。そこで,
更に検討すると,弁護人は,被告人運転車両及びA運転車両の各通行
記録によって,被告人運転車両がD川土手の駐車場出入口付近には行
っていないことが明らかになり,被告人運転車両がA運転車両と共に
D川土手に行ったという内容の前記B及びCの各供述録取書並びに両
名の同旨の各証言の証明力が大きく減殺されることになるのであるか
ら,被告人運転車両及びA運転車両の各通行記録に関する捜査報告書
等は,上記各検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると
主張する。しかし,被告人運転車両がD川土手に行ったとされるのは,
Aらが被害者を逮捕し,A運転車両内での監禁を始めたとされる東京
都E区F先路上から,AらによってA運転車両内で集団強姦が行われ
たとされるG遊園近くの同区H前路上付近まで移動する約30分という
限られた時間の間のことであり,D川土手はこれらの場所から大きく
離れていないのであるから,Nシステム等の通行記録によって,被告
人運転車両がD川土手に行っていないことが直ちに明らかになるとは
考え難い。したがって,弁護人の主張する重要性は認められず,開示
の必要性も認められない。
そうすると,弁護人が開示を求める捜査報告書等についても,同法
316条の15第1項による証拠開示の対象とはならないというべきであり,
これらについて開示命令を求める弁護人の請求も理由がない。
よって,弁護人の本件請求は理由がないから,これを棄却すること
とし,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官・井口修,裁判官・小川賢司,裁判官・熊谷浩明)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛