弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件再上告を棄却する。
         理    由
 弁護人池辺甚一郎再上告趣意第一点について。
 所論は物価統制令は憲法違反の法令であると主張するのであるが、憲法の如何な
る条項に違反するかにつき明確な主張がない。しかし所論の全趣旨から勘案すると、
右は憲法二五条違反を主張するものと解される。しかるに、憲法二五条の法意は、
その第一項は国家は国民一般に対して概括的に健康で文化的な最低限度の生活を営
ましめる責務を負担し、これを国政の任務とすべきであること。第二項は国家はす
べての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上並びに増進のため
かかる社会的施設の拡充増進に努力すベきであることを各宣言した趣旨と解すべき
ものである(昭和二三年(れ)第二〇五号、同年九月二九日大法廷判決。判例集二
巻一〇号一二三五頁以下参照)。飜つて所論物価統制令の立法目的はその第一条に
明示するとおりであり、その他の各条はこの目的達成のための具体的方法的事項を
規定しているものであるから、同令はむしろ右憲法二五条の要請に適合する立法と
いわねばならない。そして、もの事には利弊の両面が随伴することは数の免れない
ところであるから、たとい同令施行の実際面において仮に所論のような不都合な事
態があるからといつて、そのため直ちに同令をもつて違憲の立法であるとは断ずる
ことはできないのである。されば結論において同令を適憲であると判断した原上告
審の判決に違法はないから、論旨は採用の限りでない。
 同第二点について。
 所論は違憲に名を藉るも、その実質は本件第二審裁判所の証拠の取捨採否を攻撃
し延いて事実の誤認を主張するに過ぎないものと認むべきであるから、再上告適法
の理由とならない。
 同第三点について。
 所論顛末書の作成者を証人として訊問した結果、顛末書の記載と反対の証言をし
た場合、裁判所は右顛末書と証言の何れを措信採証するかは裁判所の判断に委せら
れたところであつて、この事はむしろ所論の実体的真実発見主義の要請にも適合す
るものであるといわねばならない。されば本件第二審裁判所が、右証言を排して顛
末書を断罪の証拠に供したことは毫も所論憲法三七条の趣旨精神に反するものでは
ない(昭和二三年(れ)第八三三号、同二四年五月一八日大法廷判決参照。判例集
三巻六号七八九頁)。それ故右と同旨に出でた原上告審の判断に違法はないから、
論旨は理由がない。
 同第四点について。
 所論憲法三九条前段の「既に無罪とされた行為については刑事上の責任を問われ
ない」というのは、所論のように行為時の法令によれば有罪であつたものが、裁判
時の法令に従えば無罪である行為につき刑事上の責任を問われないという趣旨では
なく、既に無罪の裁判のあつた行為については再び刑事上の責任を問われないとい
う趣旨と解すべきものであることは当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一九六一
号、同二六年五月三〇日大法廷判決)とするところである(なお、物価統制令違反
の行為につき、裁判時において統制価格に関する告示の廃止があつても、旧刑訴三
六三条の「犯罪後ノ法令ニ依リ刑ノ廃止アリタルトキ」にも該当しないことも、既
に当裁判所の判例の示すところである。昭和二三年(れ)第八〇〇号、同二五年一
〇月一一日大法廷判決。判例集四巻一〇号一九七二頁)。それ故論旨は理由がない。
 よつて、刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員一致の意見によつて、
主文のとおり判決する。
 検察官 田中巳代治関与
  昭和二六年七月六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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