弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 昭和四三年(オ)第三号上告代理人福岡福一、同宮井康雄の上告理由第一点およ
び第二点について。
 売買契約に履行期の約定がある場合であつても、当事者がその履行期前には契約
の履行に着手しない旨の合意をしている等特別の事情のないかぎり、その履行期前
に民法五五七条一項にいう契約の履行に着手することができないものではないこと
は、すでに当裁判所の判例(昭和三九年(オ)第六九四号、同四一年一月二一日第
二小法廷判決、最高裁判所民事判例集二〇巻一号六五頁以下参照。)とするところ
である。のみならず、本件につき原審の適法に確定した原判示の事実関係のもとに
おいては、上告人Aほか四名の被承継人であるDと被上告人B1ほか三名の被承継
人であるEとの間に締結された本件土地北側部分(原判決添付図面に表示のC、D、
E、F、Cの各点を順次直線で結んだ範囲内の土地。以下同様。)の売買契約の履
行期は、右Eが、右契約にもとづく残代金の支払のために、F銀行振出の金額四二
〇万円の支払保証小切手一通を右上告人らに提供した昭和三四年六月二四日当時に
はすでに到来していたものであり、かつ、右Eの右小切手の提供は民法五五七条一
項にいう右契約の履行の着手にあたる、とした原審の判断は、正当として是認する
ことができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の適法にし
た証拠の取捨判断および事実の認定を争い、または、原審の認定にそわない事実関
係を前提として原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
 同第三点について。
 原審の適法に確定した原判示の事実関係のもとにおいては、DとEとの間に本件
土地北側部分の売買契約が締結された昭和三一年九月一七日から、右Dの承継人で
ある上告人Aらが本件口頭弁論において右契約を解除する旨の意思表示をした昭和
四〇年六月三日までの間に、右契約の当初の内容により右上告人らを拘束すること
が信義衡平上著しく不当であるような事情の変更が生じたとは認められない、とし
た原審の判断は、正当として肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、
論旨は採用することができない。
 同第四点について。
 被上告人B1ほか三名が、本訴により、上告人Aほか四名に対し金四二八万五、
〇〇〇円の支払と引換に本件土地北側部分の所有権移転登記手続をなすべきことを
求めたのに対して、原審が、右上告人らに対し金四三四万五、〇〇〇円の支払と引
換に右土地部分の所有権移転登記手続をなすべきことを命ずる旨の判決をしたこと
は、右被上告人らの右請求の範囲内においてその一部を認容する旨の判決をしたに
すぎないものであつて、右被上告人らの申立のない事項について判決をしたもので
ないことは明らかである。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができ
ない。
 同第五点について。
 原審が、被上告人B2の控訴の一部を認容して、同人に対する第一審判決を変更
したうえ、上告人Aほか四名の右被上告人に対する本件土地引渡請求の一部、なら
びに被上告人B1ほか三名の右被上告人に対する右土地北側部分の所有権確認請求
および右土地の所有権移転登記抹消登記手続請求の全部をそれぞれ棄却する旨の判
決をしていることは、原判文上明らかである。したがつて、原判決に所論の違法は
なく、論旨は、原判決を正解しないでこれを非難するものにすぎず、採用すること
ができない。
 昭和四三年(オ)第四号上告代理人和田和一郎の上告理由第一点について。
 原判示によれば、原審は、上告人B2本人尋問の結果により右上告人が本件土地
につき所有権移転登記を経由した後同土地の北側部分に板囲いをした旨の事実を認
定していることが明らかであり、かつ、これは、原審が、右上告人において右土地
部分を占有している事実を認定判示したものと解すべきである。そして、原審の右
事実認定は、右証拠に照らし、首肯することができないわけではない。原判決に所
論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第二点および第三点について。
 上告人B2が本件土地の全部または一部についてその所有権を取得した旨の事実
は認められない、とした原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含
む。)挙示の証拠関係および本件記録に照らし、正当として是認することができな
いわけではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の適法に
した証拠の取捨判断および事実の認定を非難するものにすぎず、採用することがで
きない。
 同第四点について。
 DとEとの間に締結された本件土地北側部分の売買契約が、右Dまたはその承継
人である被上告人Aらの債務不履行にもとづき解除されたとの事実関係は、上告人
B2はもちろん、その余の本件当事者も、原審において、何ら主張しなかつたとこ
ろである。のみならず、原審は、被上告人B1ほか三名の右上告人に対する本訴請
求を全部棄却する旨の判決をしているのであるから、仮に右売買契約が右のような
理由により解除されているとしても、その事実が右上告人に対する原判決の結論に
影響を及ぼすものでないことは明らかである。したがつて、論旨は、ひつきよう、
原審において主張のない事項、または、右上告人に対する原判決の結論に影響を及
ぼさない事項について、原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

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