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平成15年(ネ)第2884号 意匠権に基づく差止等請求控訴事件
平成15年11月27日判決言渡、平成15年10月30日口頭弁論終結
(原審・東京地方裁判所平成14年(ワ)第18356号、平成15年4月30日
判決)
         判    決
    控訴人(原告)   アイエスティー株式会社
    訴訟代理人弁護士   寒河江孝允、武藤元
    被控訴人(被告) アルインコ株式会社
    訴訟代理人弁護士   加藤幸江、中務尚子
    補佐人弁理士     藤川忠司
         主    文
  本件控訴を棄却する。
  控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴人の求めた裁判
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人は、原判決添付の別紙物件目録1及び2記載の各作業用足場を製
造、販売してはならない。
3 被控訴人は、控訴人に対し、4707万円及びこれに対する平成14年8月
30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 1 控訴人は、被控訴人に対し、原判決添付の別紙物件目録1及び2記載の各作
業用足場(被告製品1及び被告製品2)を製造販売する被控訴人の行為が、控訴人
が共有持分を有する登録第903265号意匠権(その意匠を「本件登録意匠」と
いう。)を侵害すると主張して、被控訴人の同行為の差止め及び損害賠償を求め、
原判決は、控訴人の請求をいずれも棄却した。
2 本件において争いのない事実(証拠により容易に認定できる事実を含
む。)、争点及び当事者の主張は、原判決の事実及び理由欄の「第2 事案の概
要」の「1 争いのない事実等」及び「2 争点及び当事者の主張」のとおりであ
る。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も、被告製品1の意匠(被告意匠1)及び被告製品2の意匠(被告意匠
2)は、いずれも本件登録意匠と類似しているものではなく、控訴人の被控訴人に
対する請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決の事実及び
理由欄の「第3 当裁判所の判断」に示されたところと同一であるから、これを引
用する(ただし、原判決中「美観」と表記されているところをすべて「美感」と改
め、原判決25頁9行の「公知の意匠」を「公知の形態」と改める。)。
 控訴人は、当審において、(1)原判決は、本件登録意匠の要部の認定において3点
につき看過した誤りをしているとし、その上で、(2)原判決は、本件登録意匠と被告
意匠1との対比判断において、①水平板の幅と長さの比から本件登録意匠がスマー
トな印象を与え、被告意匠1が太めの印象を与えると認定したが、誤りであり、両
意匠とも通常のスマートな印象を与えるものである、②脚部の折り畳み状態の共通
性について、看者の関心を引きにくい部分であり、類似の美感を生じさせないと認
定したが、両者の同一性を過小に評価し、結果としてその同一性を看過した誤りを
した、③水平板上の多数の小円(孔)といった公知の形状ないし模様をことさら要
部として抽出するという誤りをした、(3)原判決は、本件登録意匠と被告意匠2との
全体的観察による対比判断において、本件登録意匠はスマートな印象を与え、被告
意匠2は太めのどっしりとした印象を与えると認定したが、両意匠とも、通常のス
マートな印象を与えるものであり、原判決の判断は、両意匠の要部及び全体観察に
おいて類否の判断を誤った、などと主張する。
 控訴人の当審における追加主張は、その実質において、原審における主張の繰り
返しであるが、改めて控訴人の主張に照らして検討してみても、上記引用にかかる
原審の認定判断を左右するものではない。
 よって、本件控訴は、理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり
判決する。 
 東京高等裁判所第18民事部
       裁判長裁判官     塚   原   朋   一
裁判官     古   城   春   実
          裁判官     田   中   昌   利

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